強豪・早大が相手の早慶定期戦。慶大はここまで20回勝利なしと苦杯をなめてきた。21回目の今年も1部所属の早大が攻め込む展開で試合が進む。前半は圧倒的に攻め込まれながらもなんとか無失点。後半開始後は攻勢を強め、何度も好機を演出したが得点には結びつかなかった。惜しいシーンが続く中68分に先制されると84分にも加点され、0ー2。善戦したが惜しくも敗れた。
第21回早慶女子サッカー定期戦
2022年11月5日(土)16:00KO @AGFフィールド
【スコア】
慶應義塾大学0ー2早稲田大学
【得点者】
0ー1 68分 吉野真央(早稲田大学)
0ー2 84分 築地育*(早稲田大学)
*今試合MVP
◇慶大出場選手
GK 1 野田明日香(総3・十文字) |
DF 2 深澤菜月(総3・千葉東) |
DF 3 福岡愛実(環3・横須賀シーガルズJOY) |
DF 5 小熊藤子(環1・スフィーダ世田谷FCユース) |
DF 13 坂口芹(総1・仙台大明成) |
MF 7 及川莉子(総3・常盤木学園) |
MF 9 岩瀬絢弥(商2・ちふれASエルフェン埼玉) |
MF 14 佐々木ユリア(環1・浦和レッズレディースユース) |
FW 8 秦野くるみ(総4・藤枝順心) |
FW 10 ブラフフェイ(文4・スフィーダ世田谷FCユース) |
FW11 大橋桜子(商2・INAC東京レオンチーナ) |
今年で21度目の開催となった早慶女子サッカー定期戦。慶應女子ソッカー部はこれまで20大会連続白星なしと強豪早稲田の前に毎年涙を呑んできた。今年こそは絶対的エース・ブラフフェイ(文4・スフィーダ世田谷FCユース)を中心に早稲田を圧倒し「早慶女子サッカー定期戦勝利」という歴史を刻みたいところだ。
この試合はじめにチャンスを作ったのは慶大だった。立ち上がりからブラフフェイを起点とし、内から外へボールを展開することで相手に揺さぶりをかけると4分、立て続けにコーナーキックを獲得。岩瀬絢弥(商2・ちふれASエルフェン埼玉)が正確なボールを蹴り込み、ペナルティエリア内で混戦となるも相手DF、GKが立ちはだかりゴールには結びつかなかった。
するとその後は早大が主導権を握り始め、左右のサイドを広く使った攻撃で慶大ゴールへ忍び寄る。早大はサイド攻撃で慶大DF陣を突破し、素早いパス回しやクロス、個のドリブルでゴール前までボールを運ぶ。慶大は何度もピンチを迎えたものの、ここはディフェンスリーダー・福岡愛実(環3・横須賀シーガルズJOY)を中心とした守りで得点を防いだ。
さらにその後も早大の猛攻は止まず、慶大は押し込まれる展開が続いたが、このチームが苦しい場面で慶大の守護神・野田明日香(総3・十文字)がビッグセーブを連発。さらには最後列から声で鼓舞しチームを救った。
中盤以降はこう着状態で試合が進み前半終了間際、慶大が前線に人数をかけ攻撃を展開。ゴール前の混戦からブラフフェイのシュート、秦野くるみ(総4・藤枝順心)のドリブル、さらには左サイドを攻め上がった坂口芹(総1・仙台大明成)のクロスなどでチャンスを作るも先制ゴールとはならず、前半を0-0で折り返した。
無失点で前半を折り返し、「いい感覚はあった」とGKの野田。粘り強い守備から、後半は開始早々攻勢に転じる。5分、ブラフフェイ、秦野などでボールをつなぎゴール前まで攻め込む。シュートは惜しくも枠外に外れるが、右サイドを起点とした攻撃で得点の糸口を探る。
6分にも高い位置で佐々木ユリア(環1・浦和レッズレディースユース)がボールをカット。秦野を狙うパスは通らない。前線からの集中したプレスから前線の秦野やブラフフェイを狙うシンプルな攻撃で相手ゴールに迫る。
15分、ブラフフェイが右サイドを上がり、佐々木、秦野とつなぎミドルシュート、16分にも右サイドのブラフからグラウンダーのクロスが上がったが枠はとらえきれない。
攻勢を強めていた慶大だったが一瞬の隙を許す。23分、早大に右サイドからの突破を許すとクロスに合わされついにゴールを破られる。この得点から試合は再び早大ペースへ。GK野田が後半も何度もファインセーブを見せたが85分に相手の圧巻の個人技で追加点を許し0ー2。そのまま試合終了の笛が吹かれた。
初めての早慶定期戦勝利はならず。しかし、強豪相手に堂々の戦いを見せた。前半は粘り強く守り抜き、後半の序盤には何度も決定機。どちらに転ぶかわからない接戦だった。試合後、「感覚的に(早大に)勝てる可能性を感じた。自信になった」とGKの野田。粘り強い守備と突破力という慶大の強みを生かしたプレーは早大を十分苦しめていた。20年越しの悲願、強豪撃破はもはや遠い夢ではない。
~試合後インタビュー~
ブラフフェイ選手
ーー最後の早慶戦、強豪早稲田に対してどんな準備、戦術で臨みましたか
早稲田は攻撃で外してくるチームなので、とにかく自分たちは守備の規律を意識して試合に臨みました。
ーー試合前の円陣ではどんな言葉を
「1年間戦ってきた中、今日が最後の30分だったので、とにかく今までやってきたことを信じて、とにかく楽しんでみんなで勝とう」と声をかけました。
ーーブラフ選手自身が攻撃の起点になったり、シュートを放ったりするシーンが多かった。自分自身の攻撃で良かった点は
守備の時間が長かった分、前線の自分とくるみ(秦野選手)の部分が孤立してしまうシーンが多かったのですが、その中でボールをしっかりと収めて攻撃までの時間を作れました。また、後半にシュートを打つ場面が多かったのですが、相手がかなり食いついてきていたのでその裏を狙う動きをしてシュートを打てたのが良かったと思います。
ーー悪かった点は
守備のところで外されてしまったり、中盤のラインのスライドが追いつかなかったりして、自分たちのやりたい守備ができずに崩れてしまうというシーンが多かったかなと思います。
ーー後輩たちはどんな後輩でしたか
自分たち4年生はシーズン当初、ほとんどがけがをしてしまって全然プレーできない状態の中で、ピッチの中で声を出してくれた。自分たちがピッチの外からかけた言葉にも対応してくれてほんとに頼もしい、責任感のある後輩でした。
ーー来年以降の後輩に向けて
今年は「1部昇格」という目標を掲げてやってきたのですが、思うような結果にならなかった。でも、試合に勝つことであったり引き分けることであったり去年、おととしはできていなかったこと。それができただけでも来年につながるなと思うので「勝つ」というイメージを常に持って全力で目標に向かって頑張ってほしいと思います。
秦野くるみ選手
ー-早慶戦振り返って
前半はDF陣が頑張ってくれて何とか0ー0で折り返すことができたのはよかったです。後半立ち上がりチャンスも多く来た中で自分も含め得点力が早稲田に比べて劣っていたなと感じます。DF陣に負担をかけてしまいました。早稲田さんの攻撃力、強さを感じました。
ー-どういう準備で臨みましたか?
とにかく(失点を)ゼロで抑える時間を長くしようというところで、そうすると必然的に自分たちのぺースになると考えていました。そこはプラン通りできましたね。守備でも規律をチームで持っていて、できていた部分も多かったと思います。
ー-試合後後輩から花束を受け取っていました
4年として1年間、ふがいないこともありましたがついてきてくれて、ピッチ上でも下級生のDF陣が必死に守ってくれたり、下級生のみんなに支えられました。最後こうやって花束もいただけて、うれしいです。
ー-後輩へメッセージは
今年1年間初めて2部で戦ってみて、本当にいろんな学び、収穫もありました。1年目でわからないことも多くつまづいたこともあったんですけど今年の経験を糧に来年こそ1部昇格を果たしてほしいです!
福岡愛実選手
ーー今日の試合を振り返って
前半は無失点で終わることができたのですが、後半に失点してしまってから押し込まれる時間が多くて難しい試合になってしまいました。
ーー福岡選手が相手を1対1で止める場面も多かったですが個人の良かった点、ポジティブに捉えられる点は
今日の試合は相手が格上でしたが、ディフェンスラインを上げ下げするのを意識しました。その点に関して、ディフェンスラインで連携を取って上手くできたと思います。
ーー試合の結果は2失点、チーム全体守備面での反省点は
個が強い相手に対して、慶應は組織で守っていかないといけなかったです。誰かが抜かれた場合のカバーという点をもっとこだわりたかったですね。
ーー来年が最後の早慶戦、来年に向けて
3年間今までやってきて全て負けてしまっているので、この3年間だけでなく、これまでの先輩の思いも背負って来年こそは勝てるように頑張りたいと思います。
野田明日香選手
ー-今日の試合振り返って
前半は0ー0で折り返せて、自分たちもいい感触はありました。ただ結果0ー2で悔しさがあります。
ー-ナイスセーブを連発していました。
GKコーチがこの試合をもって女子部からは離れることになるので、やっぱり自分のプレー、結果で恩返し、感謝の気持ちを伝えたいと思っていました。結果としては負けてしまいましたがプレーでは見せられたと思います。
ーー意識した点、準備してきたところは
守備の規律は今年のテーマで、GKとして一番後ろで見ているのでシュートを打たせないようにという意識で臨みました。
ー-来年への意気込み
リーグは、来年こそ一部昇格を達成するというところ、早慶戦は来年で22回目なんですがまだ1勝もできていないので、ただ、今年の感覚的にも可能性はあるという自信につながったので来年こそ勝利をつかめるように頑張りたいです。
(取材・金子 拓登、松田 英人)