8月25日(日)、国立競技場にて第75回早慶サッカー定期戦(早慶クラシコ)が行われる。早慶クラシコ開催にあたり、ソッカー部の選手たちを取材した。第5弾は香山達明(経4・慶應志木)と村上健(政4・國學院久我山)、大下崚太(商3・慶應 / 東京ヴェルディユース)。今季の振り返りや早慶戦、趣味の話まで、幅広く選手たちの思いを伺った。
ーーまず、他己紹介をお願いします
香山→大下
大下くんといえば慶應のお調子者で、練習とかゲームのムードメイクは大下にかかっていると言ってもいいぐらいですね。意外と試合中は静かで、そういうかわいい一面もあるんですけど、普段からピッチ内外で明るく楽しく慶應のムードメイクをしてくれていますね。
大下→村上
健くんといえば、ビルドアップ能力でチームを支えているゴールキーパーといっても過言ではないですね。今年のサッカーをやる上でセービングだけでなくて後ろからのビルドアップで支えていくというところは健くんがいないと成立しない部分ではあるので、そういったところが1番の魅力かなと思います。
村上→香山
香山は一言でいえば「天才」ですね。自分自身16年間サッカーをやってきたんですけど、こんな選手は見たことないっていうのが4年目の感想ですね。とういうのも彼の経歴はいまだに不明で、バスケやっていたり、サッカーやっていたり、何をやってきたのかっていうのは全くわかんないんですけど、でもそれを感じさせないほどの才能と技術で相手を圧倒している。4年目にして1番頼り甲斐のある選手ですね。
ーーリーグ戦前期を振り返って
香山:開幕戦から出始めるって言うのは4年間通して初めてだったんですけど、前期で5ゴール2アシストという結果で、こんな活躍できると思ってなかったですね。これは3年間の積み上げと4年生としての自分のやる気っていうのに自分が応えてくれたのかなと思います。まだまだ(シーズン)途中で最近はあんまり結果残せてないんですけど、自分的には出来すぎた結果だったかなと思います。
村上:チームとしてはまずまずの結果だったかなと思います。というのもチームの目標として「2部リーグ優勝」を掲げていて、そのなかで前期をリーグ首位で折り返せたというのはまずポジティブに捉えていいんじゃないかなと思います。その一方で前期の終盤戦で勝ち点を取りこぼしてしまうところは多かったですし、自分たちらしさというのも出せなかったところもあったのでそこは改善点かなと思います。まぁ改善点とか問題点もありますけど、首位で折り返せたというのもあってまずまずの出来だったのかなと思います。
大下:お二人とほとんど変わんないんですけど。開幕から全試合コンスタントに出続けるというのは今季が初めてで、そういったところで個人的には大満足のシーズンでしたけど、毎試合毎試合出てくる課題に対して……。うーん…まぁそうですね。(笑)まぁ大満足のシーズンでした。(笑)
ーー前季で印象に残った試合は
村上:自分は関東リーグ前期の早慶戦ですね。4年間のなかでもかなり印象に残っている試合でした。ゴールキーパーとして試合に出て、初めてのゴールだったのでそういった点で非常に印象に残った試合だったなと思います。また、因縁の相手である早稲田大学相手に自分たちらしさを押出しながら4-1で勝てたというのも良かったなと思います。
大下:僕も同じ前期の早慶戦で、勝ったときにOBや他の部員も含め部全体で喜びを分かり合えましたし、試合に出ている自分たちだけじゃなくて「慶應」として勝つことの喜びを感じられたので非常に印象に残った試合ではありました。
香山:自分は順天堂大学戦が印象に残っていて、今年はやっぱり塩貝健人(政2・國學院久我山)がいるので、周りからチーム塩貝と言われたりもするし、自分自身も「健人がいるから大丈夫」と思ったりしていて、そういう気持ちの中で1節2節3節を乗り切ってきたんですけど、順天戦は(塩貝の)代わりとして自分がフォワードで出て、自分のプレーでチームの勝敗が変わるという責任の重い試合でした。そこで自分の2ゴールでチームを勢いづけて、勝利に導けたというのは、自分の4年間の中でも1番の大きな仕事だったと思いますし、「自分がチームを勝たせるんだ」ということを実感した試合でもありました。
ーーお互いのいいところ
村上→香山
まずプレー面でいうと、体格を活かしたフィジカルの強さや競り合い能力によってチームのマイボールの時間を増やしてくれるという点でまず助かっています。さらに持ち前のドリブルで相手のディフェンス陣を崩していける突破力でチームに貢献してくれているなと思います。プレーの面で以外で言うと…「奇想天外」という言葉があってるのかなぁと思います。自分のやりたいこととか打ち込みたいことに本当に一筋な性格で、その熱がサッカーに向いた瞬間にはチーム力っていうのを何倍にもあげてくれる選手なんで、ピッチ外でも(ピッチ内に似た)良さがあるかなと思います(笑)
香山→大下
まずピッチ内でいうとサッカーIQが非常に高いなと思います。(笑)それこそやっぱり東京ヴェルディユース出身ですし、慶應のサッカーエリートとして僕たちのビルドアップをボールを触らずともポジショニングで相手を崩していくみたいなところは本当に評価できるポイントだなと思います。ピッチ外でいうと、さっきも言ったんですけど、ムードメイクが上手でどこにいても大下の声が聞こえるなというのはあります。だいたい「あーい!」とか「おーい!」とか聞こえてくるんですけど。(笑)まぁ内容はともかくピッチ内外で非常に楽しませてもらっているなと思います。
大下→村上
さっきも話した通りピッチ内でいうとやっぱりチームのビルドアップを助ける卓越した技術ですね。関東全体というか日本全体で見てもチャンスメイクできるキーパーというのは、なかなかいないと思うので、そういう点でJリーグも注目の選手になるのかなと思います。
香山:間違いないね(笑)
村上:お前さぁ(笑)
大下→村上
ピッチ外でいうとまぁ持ち前のルックスというところで、すごくイケメンぶってはいるんですけど(笑)良くも悪くも私生活でルックスを活かす部分もあれば、ルックスに逃げるようなところもあるのかなというのは(笑)健くんの魅力のひとつなのかなと思います。
村上:やばくない?(笑)
ーー村上選手は今年から全試合にスタメンで出場しているが、去年と比べて気持ちの変化などはあるか
村上:そうですね。ほんとにおっしゃる通り、去年だけでなく一昨年も出場機会に恵まれないシーズンを過ごしていて、自分の中でもソッカー部への貢献度であったり、自分の存在意義というのを何度も見つめ直す期間というのが非常に長かったんですけど、そういった中で今シーズンが始まる前にチームの勝利のために自分の武器を活かすというところにフォーカスして取り組んでいたので、そういった姿勢であったりプレーっていうのを評価していただいて、出場させていただいてるというのは感謝しつつも、もっと結果を残していきたいという向上心も芽生えてきているかなというのはありますね。
ーー香山選手はスタメン出場と途中出場が半分半分ぐらいであると思うが、そこに気持ちの違いはあるか
香山:サブで出る時は20分とか30分とか短い時間のなかで、自分のミスとか自分がチームに与えてしまったマイナスを結果で返せるように、いつもより力をグッと入れて頑張ってます(笑)
ーー大下選手は全試合にスタメン出場しているが、モチベーションを切らさないために心がけていることなどはあるか
大下:僕自身まだまだ上のステージでプレイしたいっていうのはあるので、今年から出場機会にも恵まれて、出していただいてるんですけど、試合に出るなかで通用する部分としない部分があって、毎試合毎試合新しい課題が出てくるので、その課題を次の試合までに修正してまた新しい試合に臨むっていういいサイクルが自分の中で出来上がっているので常に前向きに試合には臨めてるかなとは思います。
ーー村上選手は四年生という立場やゴールキーパーというポジションから指示を出す場面が多いと思うが、指示を出す上で難しいと感じる点などはあるか
村上:難しいと感じる点としては自分が発した言葉の内容が適切だったかどうかというのは毎回振り返ったり、反省したりしています。サッカーというのは1つの正解がないスポーツなので、そのなかで自分がゴールを守る上でこうするべきだと思うことを指示として出したり、コーチングしたりしているので時には指示が間違っていることもあるし、逆に言わなきゃいけなかったけど言えなかったということもあります。そういった部分は日々成長しなければいけないと思いつつも難しい部分でもあるなぁと思います。
ーー香山選手は今年から最高学年になったが、4年生として責任感などは芽生えてきたか
香山:責任感あります!(即答)もちろんあります(笑)
村上:与えてます(笑)
香山:やっぱり自分がトップチームで試合に出てるというのは、下級生から見られる立場になったということでもあるので、そういった点は意識するようになりましたね。特に試合の中では自分の闘う姿であったり、チームのために走ったりする姿っていうのは一年生から見てもこういう選手になりたいなと思われるような振る舞いにしたいと思ってますし、自分はあんまり経歴がないなかで関東リーグでトップチームで試合に出れてるというのは、サッカーエリートじゃなくても(笑)慶應に入ってきてくれた後輩たち勇気を与えたいというところで責任を感じて今シーズンは取り組んでますね。
ーー大下選手は3年生ながら試合に出場しているが、3年生だからこその難しさはあるか
大下:いや難しさは正直そんなに感じていなくて、試合には他の3年生も多く出場しているので、試合中気を使うということはあんまりないですね。むしろ練習も4年生が主体で引っ張っていてくれてますし、もちろんチーム全体のことも考えてはいますけど、4年生のおかげで自分のプレーに集中できているという点で感謝しています。
ーーソッカー部の中で仲のいい選手は?
香山:特にプライベートでも関わりがあるなって思うのは、根津拓斗(政4・慶應)であったり、山口紘生(商4・國學院久我山)、川合我空(商4・慶應)とか、藤井壮(政4・慶應志木)とか、共通の趣味があって、オフの日とかみんなで集まって遊んでます。
村上:自分は仲良い友達はたくさんいて、特にアウトドアで、出かけることが本当に好きなので、堀溝大貴(総4・暁星)と、茅野優希(政4・慶應)とは滝行に行ったり、どっか遠出したりということをしていて、荘司慈英(商4・慶應)とか、内藤豪(法4・駒沢大高)とか、千葉俊介(経4・慶應志木)といったメンツとはキャンプに行ったり、結構泊まりでどっか出かけるということはしているので、日頃からソッカー部の選手たちと遊ぶことが多いですね。
大下:僕もプライベートで遊ぶことは多いんですけど、特に誰っていうわけでもなくて、トップチームにいる選手とはオフが重なるとみんなで遠出するし、カテゴリー関係なく、例えば井村広太(経3・慶應)とかと遠出したりします。
ーー好きなサッカー選手は?
村上:エデルソン・モラエス選手が憧れでもあって、常日頃からお手本にしている選手です。世界トップレベルのキック力と、何より左利きの選手なので彼のボールの持ち方、蹴るところのプレー選択っていうのを参考にしています。それに加えてシュートセーブの能力であったり、1対1の局面でのシュートストップとか、そういった部分が本当に長けている選手なので、とても参考にしています。
香山:僕はセルヒオ・ブスケツ選手が憧れで、大学入った時くらいは結構ボランチでブスケツ選手を真似してちょっと試合中歩いてみたり(笑)、緩いプレーをしてみたんですけど、大学サッカーに揉まれて、歩くのを怒られて最近は全く別のプレースタイルになっちゃったんですけど、自分の原点はブスケツ選手のプレースタイルです。
大下:僕はスペイン代表のセサル・アスピリクエタ選手のプレーを高校時代からよくみていて、今年はサイドバックで出してもらってるんですけど、彼は4バック全部できて、ディフェンダーとしてユーティリティのある選手で僕自身お手本としています。
ーーサッカー以外の趣味を教えてください
香山:麻雀も一つの趣味なんですけど、お菓子作りとかも(笑)マカロン作ってみたり、シュークリーム作ってみたり、っていう休日を過ごしています。ケーキ屋でバイトしてます。地元のケーキ屋で3、4年やってます。
村上:4つあって、キャンプ、サーフィン、ドライブ、散歩です。
香山:見かけいいですねー(笑)
村上:それこそ、大学3年時に膝を怪我してからサーフィンは怖くて行けてないんですけど、キャンプは2、3日のオフがあればサッカー部員といきますし、一人でちょっと時間が空いた時とか、試合の前日は必ず散歩したり、あとは地元の友達とドライブをするっていう、アウトドアなことは結構趣味としてやってますね。
大下:僕はゴルフが趣味で、同期にたくさんゴルフ好きなメンバーがいて、オフになればラウンドに行ったりしています。田中雄大(商3・成城学園)はサッカーよりゴルフの方が上手いっていう(笑)っていうところで、僕たちの師匠として彼に習ってます。
ーーちなみにスコアは?
大下:80くらいにしておきましょうか(笑)
香山:だいぶいったなぁ(笑)
ーー4/29のリーグ戦で受けた早稲田の印象を教えてください。
大下:チームとしてってわけではないんですけど、選手という面では、中盤の左利きの伊勢航(社4・向陽台)、FWの駒沢直哉(スポ4・金沢桜丘)とか、あとは山市秀翔(スポ3・桐光学園)など個々で能力の高い選手がいて個々の技術とかも特徴的な部分かなと思います。
村上:自分も結構似てるんですけど、早稲田大学さんには自分たちが入部する前から素晴らしいキャリアを歩んできた選手たちが入ってくるような名門大学で、その分やっぱり個々の能力であったり、一人で打開する力っていうのはすごくあるなという印象は前節でも変わらずありました。その中で結果的には4−1というスコアで終われたんですけど、個の能力に圧倒されて作ってしまったピンチも数多くあったので、そう言った意味で4−1というスコアほどの実力差はないなという風に思いました。
香山:名前とかあんまりわかんないんですけど、早稲田ですよね。ちょっと記憶力があんまりよくなくて(笑)そこまで印象に残っているわけではないんですけど、前線の選手で攻撃で順当に行くのではなくて一つ違いを出してくる予想外のプレーが多くて…うーんそうですね…驚異的な攻撃をしてくるなと思いました。すいませんあのサッカーあんま詳しくなくて(笑)
ーー8/25早慶戦でキーマンになる選手は?
香山:僕は副将の茅野優希選手で。今年の慶應は例年に比べて少し自由な感じがあって戦術に関してもそこまでルールを設けずにかなり自由なサッカーをしているところではあるんですけれども、その中でもチームとしてのまとまりであったり、規律が必要になってくる中で、責任感を一人で背負って、みんなの心の拠り所というか、茅野が一番頑張ってるからみんなも頑張ろうと思えるような存在ではあると思うので、茅野は「小さな巨人」と揶揄されたこともありますが、国立の舞台で大きい背中を見せてくれるんじゃないかと思っています。
大下:僕は山口紘生で。4年間慶應を支えてきたCBというところで、前季のディフェンスラインは紘生に助けられていますし、やっぱり最後の早慶戦で4年間の集大成を見せてくれるんじゃないかなと思っています。
村上:自分はソッカー部全員で。というのも、8/25に国立で早慶戦ができる舞台を作ってくれたのは僕たち選手じゃなくてマネージャーであったりOBの方々であったり本当に多くの関係者の支援のおかげで成り立った試合っていうのがあって、当日は試合に出る20人だけでなく、スタンドで声を枯らしながら応援してくれる部員であったり、それこそソッカー部以外の、應援指導部とか、そういった観客を巻き込んでいくっていうソッカー部一人一人の役割を全うしてくれるっていう部分でソッカー部全員がキーマンになるのかなと思います。
ーー早慶戦への意気込みをお願いします
村上:自分は人に感動と夢を届ける試合にしたいと思っています。というのも、早慶戦という試合だったり、国立競技場での試合という部分で自分が幼少期に抱いていた憧れとか夢っていうのを今プレイヤーとして体現できる立場になれたので、今度はこういった舞台に憧れを持っている選手だったり、将来の慶應を担っていく選手たちに夢とか感動を与えられるようなプレーをしたいと思っています。
香山:僕はもう一人で楽しみたいなという風に思っていて、自分のサッカー人生であったり、サッカー以外の人生でも、国立競技場での早慶戦っていうのは一番大きな舞台で、自分でも未知の挑戦というか本当に大きな挑戦の中で今までの自分の人生通りに試合を楽しんで、その楽しんでいる姿を見て、誰かしらが勇気を貰えればなと思っています。
大下:国立を笑顔に(笑)国立っていう舞台はもちろん初めてですし、なにより早慶戦っていうこと自体僕にとっては初めてなので、そういったところでワクワクしているんですけど、やっぱり僕はムードメーカー的なところもあるので、僕が何かいいプレーだったり、ことあるごとにスタンド、応援部員が湧いてくれるところもあるので、そういったところでチームを勇気づけたりだとか、少しでも力になれればなという風に思っています。
――インタビューは以上です。ありがとうございました!
(取材:塩田隆貴)
【試合情報】
第75回早慶サッカー定期戦−早慶クラシコ− presented by アミノバイタル®
2024年8月25日(日)18:00KO @国立競技場
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