【野球】主将・本間の同点打などで宿敵相手に逆転勝ち!「華の早慶戦」2連勝で有終の美を飾る 東京六大学野球秋季リーグ戦 早大2回戦 @明治神宮球場

野球戦評

1回戦では投打共に早大を圧倒した慶大。初回、早大先頭・尾瀬雄大(スポ3・帝京)に右安を許し、その後2死一、二塁のピンチを招くと、前田健伸(商3・大阪桐蔭)に左前適時打を浴び、先制を許す。追いつきたい慶大は4回、1死から四球で走者を出し、捕逸の間に走者を二塁に進めると、4番・清原正吾(商4・慶應)が二安でチャンスを広げる。その後2死一、三塁のチャンスで主将・本間颯太朗(総4・慶應)の右前適時打で試合を振り出しに戻す。次に試合が動いたのは8回。先頭打者・渡辺憩(商1・慶應)が中安を放ち、代打・古野幹(理4・岸和田)の犠打で1死二塁のチャンスを作る。続く水鳥遥貴(商4・慶應)の三安でチャンスを広げると、林純司(環1・報徳学園)の中犠飛で逆転に成功する。最終回は前日127球の熱投を披露した渡辺和大(商2・高松商業)がピンチを招くも無失点で切り抜け、2−1で勝利。見事に春の雪辱を果たし、“チーム本間”の戦いを終えた。

 123456789
慶大0001000102
早大1000000001

◆打撃成績

 123456789
1⑥水鳥遥貴三振・・二飛・・二ゴ・・・・三安・・
2④林純司右飛・・・・一ゴ・・三振・・・・・・
3⑦吉野太陽左安・・・・四球・・・・一ゴ遊ゴ・・
 1広池浩成・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 1渡辺和大・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4③清原正吾一ゴ・・・・二安・・・・二ゴ・・三振
5⑨中塚遥翔・・二ゴ・・遊飛・・・・・・・・・・
 9佐藤駿・・・・・・・・・・・・・・・・死球
6⑤本間颯太朗・・三振・・右安・・・・遊ゴ・・右安
7⑧横地広太・・中飛・・遊ゴ・・・・中飛・・・・
 🈱二宮慎太朗・・・・・・・・・・・・・・・・三ゴ
 🈰8丸田湊斗・・・・・・・・・・・・・・・・・・
8②渡辺憩・・・・遊ゴ・・三振・・・・中安死球
9①竹内丈・・・・三振・・三振・・・・・・・・
 1小川琳太郎・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 🈱7古野幹・・・・・・・・・・・・・・犠打一ゴ

◆投手成績

 投球回打 者投球数安 打本塁打四死球三 振失 点自 責
竹内丈52067501111
小川琳太郎2722001100
広池浩成1423101000
渡辺和大147000000

下馬評を大きく覆す大勝から一夜明け、迎えた2回戦。先発のマウンドを託されたのは、竹内丈(環2・桐蔭学園)。今季は1回を投げ3失点を喫した明大2回戦での登板のみにとどまっていた。しかし竹内は1年春から3季連続で早大2回戦に登板しており、経験値を生かした投球を期待されての登板となった。一方、野手陣は前日に約2ヶ月ぶりの安打を放った本間が打順を1つ上げ、6番に。強力な早大投手陣から二桁安打を放った打線に注目が集まっていた。

慶大先発・竹内は初回、先頭の尾瀬に内角の厳しい球をバットを折りながらも右前に運ばれると、犠打でいきなり1死二塁のピンチを招く。続く吉納翼(スポ4・東邦)を三振に斬るも、印出太一(スポ4・中京大中京)に四球を与え、ピンチが拡大。すると5番・前田が打ち上げた力のない打球は左前に落ち、これが適時打となり先制を許してしまう。

5回1失点の好投を披露した竹内

一方打線は早大先発・宮城誇南(スポ2・浦和学院)の変化球と速球の組み立てに苦しみ、序盤はなかなか走者を出すことができない。しかし4回、1死から吉野が変化球を見極め四球で出塁すると、バッテリーエラーの間に二塁へ進みチャンスを作る。ここで迎えるは前日本塁打含む4安打と大暴れの4番・清原。カウント2−2からの低めの変化球をなんとかバットに当て、この打球が二遊間に転がり内野安打に。その後2死一、三塁となり、打席に入ったのは慶大主将・本間。2球目の内角の直球を振り抜き、詰まりながらも右前へ運び、値千金の同点打を放った。清原の打席は、主砲として本塁打を打ちたい気持ちを抑え、チームバッティングに徹しているように映った。そして打撃不振に陥り、一層主将としての重圧を感じていたであろう本間が放った適時打は、集大成に相応しい、4年生の意地が見受けられた。

早慶戦で見事な復活を見せた本間

初回の失点以降、竹内は走者を出しながらも粘りの投球でスコアボードに0を並べていき、5回でマウンドを降りた。6回からは小川琳大郎(経3・小松)が登板。7回に1死二塁のピンチを招くも後続を断ち、無失点で切り抜けた。

残す攻撃は2回。なんとしても得点が欲しい慶大は、渡辺憩からの攻撃。この回から登板した早大・安田虎汰郎(スポ1・日大三)とは中学時代に同じチームでプレーした経験があり、アンケートでは対戦したい投手に挙げていた。その安田が投じた2球目、高めに浮いた直球を綺麗に弾き返し、中前打で出塁する。応援スタンドではここぞという場面で使われる「朱雀」が流れる中、続く代打・古野がしっかり犠打を決め、繋ぎの役割を果たす。このチャンスで迎えるのは前日本塁打を放った1番・水鳥。変化球にタイミングを外され、打ち取られたかのように見えたが、打球は三塁線際を転々と転がり、内野安打に。続いて打席に立つのは、1年生の林。東大3回戦からスタメンに名を連ねた期待の新戦力だ。カウント2−1からの4球目、チェンジアップをしっかり捉え、中犠飛となり2−1と見事逆転に成功した。

 

その裏、マウンドに上がったのは広池浩成(経2・慶應)。今季ここまで4試合に登板し、第2先発として慶大投手陣を支えてきた。走者を出しながらもきっちり無失点に抑え、役目を果たした。

9回にも守備から入った佐藤駿(商4・慶應)が1死から出塁し、続く本間の右安でチャンスを作るが、後続が倒れ無得点に終わる。その裏、最終回のマウンドを託されたのは前日完投勝利をあげた渡辺和。現在防御率ランキングトップに君臨する正真正銘のエースだ。味方の守備の乱れで先頭打者に出塁を許すも、代わって守備に入った中堅手・丸田湊斗(法1・慶應)の好プレーなどもあり、後続を絶ち試合終了。意地の2連勝で最終戦を締め括った。

最後は渡辺和(奥)が抑え勝利を収めた

昨年は日本一を達成し、連覇の期待がかかった”本間世代”だったが、春3位、秋5位と苦い結果に終わってしまった。それでも集大成となるこの早慶戦で有終の美を飾ることができたのは、間違いなく4年生たちの”意地”だ。それは一人一人がワセダに勝つことだけを考え、必死に練習してきた努力の賜物だ。経験豊富な下級生はこの4年生の勇姿を胸に刻み込み、『KEIO日本一』奪還を達成してくれることだろう。

 

(記事:林佑真、写真:小田切咲彩、河合亜采子、鈴木啓護)

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