2025年11月2日(日) 東京六大学野球秋季リーグ戦 早大2回戦 @明治神宮野球場
初戦を落とし、絶対に負けられない2回戦に臨んだ慶大は3回に2死三塁から、先発・小川琳太郎(経4・小松)の暴投間に先制を許す。6回には2番手・鈴木佳門(経1・慶應)が寺尾拳聖(人3・佐久長聖)に適時打を浴びると、なおも1死三塁から代わった水野敬太(経2・札幌南)が2死満塁から渋谷泰生(スポ4・静岡)に押し出し四球を与え、3点差となった。一方打線はワセダ先発・髙橋煌稀(スポ2・仙台育英)から6回に無死一、二塁の絶好機を作ったが、中軸が凡退。 その後は香西一希(スポ3・九州国際大付)、伊藤樹(スポ4・仙台育英)、田和廉(教育4・早稲田実業)とワセダが誇る鉄壁投手陣の前に決定打を欠き、“チーム外丸”の最終戦は、無念の完封負けで幕を閉じた。
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 慶大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 早大 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | X | 3 |
慶大バッテリー:小川琳、鈴木佳、水野、坂中ー加藤
早大バッテリー:髙橋煌、香西、伊藤樹、田和ー吉田瑞
慶大本塁打・早大本塁打なし
◆慶大野手成績
| 位置 | 選手 | 1回 | 2回 | 3回 | 4回 | 5回 | 6回 | 7回 | 8回 | 9回 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| [8] | 丸田湊斗(法2・慶應) | 二ゴロ | 左飛 | 一失 | 空三振 | |||||
| [3] | 渡辺憩(商2・慶應) | 捕飛 | 見三振 | 中安 | 右安 | |||||
| [7] | 今津慶介(総3・旭川東) | 左3 | 右飛 | 空三振 | 空三振 | |||||
| 1 | 坂中大貴(商4・高松商業) | |||||||||
| [9] | 常松広太郎(政4・慶應湘南藤沢) | 捕邪飛 | 二ゴロ | 左飛 | ||||||
| H | 坪田大郎(商4・慶應) | 投ゴロ | ||||||||
| [2] | 加藤右悟(環1・慶應) | 遊ゴロ | 空三振 | 見三振 | 中安 | |||||
| [5] | 竹田一遥(環1・聖光学院) | 空三振 | 空三振 | |||||||
| H5 | 今泉将(商4・慶應) | 右安 | 二飛 | |||||||
| [6] | 八木陽(法2・慶應) | 二ゴロ | 死球 | 二併打 | 空三振 | |||||
| [4] | 上田太陽(商3・國學院久我山) | 遊安 | 一ゴロ | 一ゴロ | ||||||
| [1] | 小川琳太郎(経4・小松) | 三犠打 | ||||||||
| H | 小原大和(環3・花巻東) | 中飛 | ||||||||
| 1 | 鈴木佳門(経1・慶應) | |||||||||
| 1 | 水野敬太(経2・札幌南) | |||||||||
| H | 吉野太陽(法3・慶應) | 空三振 | ||||||||
| 9 | 横地広太(政3・慶應) |
◆慶大投手成績
| 選手 | 投球回 | 打者 | 投球数 | 被安打 | 被本塁打 | 与四死球 | 三振 | 失点 | 自責点 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 先発 | 小川琳太郎(経4・小松) | 4 | 17 | 76 | 4 | 0 | 2 | 1 | 1 | 1 |
| 2 | 鈴木佳門(経1・慶應) | 1 1/3 | 6 | 22 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 |
| 3 | 水野敬太(経2・札幌南) | 1 2/3 | 9 | 31 | 0 | 0 | 4 | 1 | 0 | 0 |
| 4 | 坂中大貴(商4・高松商業) | 1 | 4 | 16 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 |
前日の1回戦は好投していた先発・渡辺和大(商3・高松商業)が8回に暗転。1-1の同点で迎えた8回表、3四死球で1死満塁のピンチを招きマウンドを降りると、後を託された外丸東眞(環4・前橋育英)が痛恨の4失点。8、9回に1点ずつ返すも追い付くことができず、カード初戦を落とした。一夜明け、背水の陣で挑む2回戦の先発マウンドに上がったのは、小川琳。今季はすでにキャリアハイを更新する8試合に登板し、この日がリーグ戦初先発となる。夏季オープン戦でも何度か先発していた小川琳は、早慶戦前最後のオープン戦(上武大戦)でも先発として登板すると、2回無失点に抑える好投を披露。大学野球の集大成となる初のリーグ戦先発マウンドで、チームを勝利に導けるか。

2回戦のマウンドに上がったのはリーグ戦初先発・小川琳
一方、ワセダの先発は今季全カードで2回戦の先発を務めてきた髙橋煌。自身初の規定投球回に到達すると、防御率はリーグ3位の2.35と飛躍のシーズンを送っている。髙橋煌とは今春のフレッシュトーナメントで対戦し、6回1失点と封じ込まれた。前日の1回戦ではワセダを上回る10安打も3得点、8残塁と決定打を欠いた慶大打線。この日は23年夏の甲子園決勝で髙橋煌擁する仙台育英高校を破り、慶應義塾高校を107年ぶりの優勝に導いた渡辺憩(商2・慶應)、加藤右悟(環1・慶應)ら”V戦士”が先発メンバーに名を連ねる。また、二塁手として上田太陽(商3・國學院久我山)を今季初のスタメンで起用するなど、大幅なオーダー変更を敢行。髙橋煌を早い回から攻略し、投手陣を援護したい。

先発マスクを被った加藤
初回の攻撃は2死から今津慶介(総3・旭川東)が左翼手のグラブを弾く三塁打を放つも、常松広太郎(政4・慶應湘南藤沢)が内角高めの直球を詰まらせ、捕邪飛。3回には先頭打者の8番・上田が遊安打をヘッドスライディングでもぎ取ると、小川琳が三塁線際へ絶妙な犠打を決め1死二塁。しかし、1番・丸田湊斗(法2・慶應)が放った左翼への大飛球は寺尾の好守に阻まれると、続く渡辺憩は見逃し三振に倒れ、得点圏を活かすことができない。

初回に2死から左三塁打を放った今津
小川琳は立ち上がりから毎回安打を許すが、要所を締めて無失点に抑える。だが3回裏、この回も先頭打者の9番・渋谷に中安打を許すと、尾瀬雄大(スポ4・帝京)に四球を与え無死一、二塁。続く石郷岡大成(社4・早稲田実業)を遊併殺打に打ち取って2死三塁としたが、3番・小澤周平(スポ4・健大高崎)への3球目の変化球が引っかかると、この日先発マスクを被った加藤が捕球できず。ボールが大きく後ろに逸れる間に三走の生還を許し、先制点を献上する。
4回にも小川琳は1死から5番・前田健伸(商4・大阪桐蔭)にストレートの四球を与えると、続く田村康介(商4・早大学院)には遊安打を浴び、一、二塁のピンチを背負う。それでもここは踏ん張り、後続を外野フライに仕留めた小川琳は、ガッツポーズを見せた。
なんとか追い付きたい打線は5回1死から八木陽(法2・慶應)が死球を受け出塁。上田の一ゴロ間に走者を進め2死二塁としたが、小川琳の代打・小原大和(環3・花巻東)が中飛に打ち取られる。6回には先頭打者・丸田の一塁への当たりが敵失を誘うと、続く渡辺憩が外角低めの変化球を鮮やかに中前へ弾き返し、無死一、二塁の絶好機を演出。だが3番・今津が空振り三振、4番・常松が左飛、5番・加藤が見逃し三振と中軸が相次いで凡退し、本塁が遠い。

6回に中安打でチャンスメイクした渡辺憩
直後の6回裏、5回を完璧に抑えた2番手・鈴木佳が回を跨いで登板すると、小澤に左二塁打、続く寺尾に右翼線際へ適時打を打たれ0-2。さらに加藤の捕逸間に一走・寺尾が二塁へ進むと、前田の右飛でタッチアップし1死三塁。ここで堀井監督は投手交代を決断し、水野をマウンドへ送る。6番・田村を空振り三振に斬り2死も、次打者が投手のため吉田瑞樹(スポ4・浦和学院)を敬遠。小宮山悟監督はその髙橋煌に代打・黒﨑将太(文4・國學院久我山)を送る勝負手を打つと、水野は四球を与え満塁のピンチを招く。打席には渋谷が入り、これ以上の失点は防ぎかったがフルカウントからの8球目。水野が投じた直球は低めに外れ、押し出し四球で3点差に広がった。

寺尾に適時打を打たれ、ワセダに2点目を献上した鈴木佳

3点目となる押し出し四球を与えた水野
反撃したい打線は7回、先頭の代打・今泉将(商4・慶應)が2番手・香西の変化球を右中間へ安打を放つが、八木が痛恨の二ゴロ併殺打に打ち取られると、上田も凡退。8回は2死から渡辺憩が伊藤樹の直球を捉えて右安打も、後続の今津が空振り三振に倒れるなどアウト3つをすべて三振で取られる。

代打で登場し、意地の安打を放った今泉
8回裏は4番手・坂中大貴(商4・高松商業)が登板。2死から代打・清宮福太郎(社4・早稲田実業)に右前へリーグ戦初安打を許すも後続を断ち、リーグ戦初登板となった法大1回戦から6試合連続無失点に抑える。

防御率0.00で締めた坂中
しかし最終9回の攻撃で、ワセダの守護神・田和に対して1死から加藤が中安打を放つが、今泉が二飛で2死。そして続く八木はカウント2-2から外角低めの変化球にバットが空を切り、空振り三振で試合終了。慶大はワセダの7安打に迫る6安打も、好機であと一本が出なかった。
前年度秋季5位から、スローガン「DOMINATE 〜神宮に熱狂を〜」を掲げて王座奪還を目指した“チーム外丸”は、春秋ともに5位と悔しい結果に終わった。今季はけが人やコンディション不良者が相次ぐ中でも、投げては坂中や小川琳ら4年生投手の好投が光り、打っては竹田一遥(環1・聖光学院)、加藤らフレッシュなルーキーたちがスタメン起用に応えて、確かな経験を積んだ。4年生が示した意地と覚悟は、来季以降チームに受け継がれていくだろう。また若き力は芽吹き、必ずや「リーグ戦優勝&日本一」という大輪の花を咲かせる日が訪れるはずだ。翌日からはフレッシュトーナメントが開幕。平成24年春季〜26年春季で明大が達成して以来、史上2校目となる大会5連覇を懸けて戦いに臨む。新たな精鋭たちが“若き血”を燃やし、六大学に新たな100年を築き上げる姿に期待したい。
◆慶大選手コメント
外丸東眞主将(環4・前橋育英)
早慶戦を2連敗という形でシーズンを終えることになり非常に悔しい思いでいっぱいです。
この悔しさは後輩たちがしっかりと受け継いで晴らしてくれると思っております。たくさんの応援ありがとうございました。今後も塾野球部への温かいご声援よろしくお願いします。

ワセダ主将・小澤と抱擁を交わす外丸
今泉将副将(商4・慶應)
野球人生最後の試合でしたが、全力を尽くした結果なので悔しさはあれど、後悔はないです。応援していただいた皆さんには申し訳ない気持ちでいっぱいですが、来年後輩たちが必ず優勝してくれると思うので、今後とも野球部への応援よろしくお願いします。4年間ありがとうございました。

常にチームを鼓舞し続けてきた今泉
(記事:加藤由衣、写真:河合亜采子、神戸佑貴、鈴木啓護、林佑真)

