慶大の体育会を深掘りしていく連載企画、「 What is 〇〇部?」。第32回は山岳部!今回ケイスポでは日吉近郊のクライミング施設を訪れ、練習に励む様子を取材した。また、主将の山本絋太郎、福田空雅の2選手にお話を伺った。
日吉駅から徒歩約20分の場所に位置するクライミングジム「ビッグロック日吉店」。充実したクライミングウォールがそろうこの場所で、山岳部は日々練習に励んでいる。慶應義塾山岳部は1915年に「慶應義塾山岳会」として創設され、1919年に体育会へ加入。100年以上の歴史を持つ伝統ある部活として、現在もその歩みを続けている。
山岳部は、週に2回、火曜と木曜に朝練習を実施している。主な練習場所となっているのは日吉近郊のクライミングジムで、充実した設備のもとで専門的な技術の習得に励んでいる。練習内容は一律に決められているわけではなく、各部員が自らの課題や目標に合わせてメニューを構成。ボルダリングを中心に、それぞれが主体的に練習へ取り組んでいる。
また、ジム練習にとどまらず、実際の山をフィールドとした活動も積極的に行っている。学期中は遠征が難しい時期もあるが、八ヶ岳、山梨、長野方面を中心に山行を実施。東京西部の沢登りや、神奈川県・丹沢エリアでのトレーニングなど、バリエーション豊かなフィールドで技術を磨いている。さらに、重い荷物を背負って長距離を歩く訓練も取り入れ、本格的な登山に必要な持久力や判断力の養成にも力を注いでいる。

山岳部の活動は年間を通して計画的に組まれている。月に2回ほどのペースで山行を行い、学期中も継続的にフィールドに出て経験を積んでいく。春から初夏にかけては、夏山シーズンに向けた基礎体力づくりやトレーニング山行が中心となり、徐々に活動のレベルを引き上げていく。
夏季には活動の本格的なピークを迎え、長期間の山行や難易度の高いルートに挑戦する。主なフィールドは日本アルプスや東北地方の山々で、実践的な経験を重ねている。秋になると授業開始に合わせて活動形態も変化し、クライミング練習の比重が高まる。その時期に応じた日帰りや短期の山行を並行して実施するのが特徴だ。
冬は冬山登山を中心とした活動にシフトし、雪山での行動技術や安全技術を磨いていく。一方で、全員が冬山に参加するわけではなく、参加しない部員はクライミング練習などを中心に技術向上を図る。こうしたサイクルを通して、山岳部は年間を通じてほぼ途切れることなく合宿や山行を行い、継続的なレベルアップを目指している。

山岳部の雰囲気は、一言で表すなら「アットホーム」だという。上下関係はあるものの、過度に厳しい雰囲気はなく、意見を言いやすい環境が大切にされている。山の中では些細な異変や気づきを共有することが安全に直結するため、日頃から風通しの良さが意識されているという。
練習中も学年の隔てなく、部員同士が互いにアドバイスを交わしながら取り組む姿が印象的だ。フォームや足の運び、ホールドの取り方などについて自然と声が飛び交い、先輩・後輩の垣根を越えて切磋琢磨する空気がチーム全体を支えている。体育会に所属しながらも、硬すぎない温かな雰囲気が、山岳部ならではの魅力となっている。

後編では主将の山本絋太郎、福田空雅の2選手にお話を伺いました。
こちらもお楽しみに!

