慶大の体育会を深堀りしていく連載企画、「What is 〇〇部?」。第38回目は、ソフトテニス部!今回ケイスポでは、日吉下田コートで行われる練習の様子を取材した。さらに、11月に主将に就任した小池賀久(経3・慶應)選手にインタビューを実施!来シーズンへ向けて動き出したチームの現在地に迫る。
後編では、11月に主将に就任した小池賀久選手の単独インタビューを掲載。主将としての意気込みや覚悟、そして新体制が見据える先を掘り下げる。

11月から主将を務める小池賀久(経3・慶應)
ーーソフトテニスの魅力
競技面の面白さで言うと、ボールがゴム製なので打ち方によってさまざまな変化をつけられる点が魅力だと思います。展開やボールの種類が多彩で、相手の崩し方にもいろいろなパターンがあるところが面白いです。さらに、打球の「パンッ」という気持ちいい音が響くのも、自分にとってはソフトテニスの大きな魅力だと感じています。
ーー慶應のソフトテニス部ならではの特徴や強み
他の部活も同じだと思うんですけど、基本的にスポーツ推薦がないので、他大学と比べると入学時点での実力は劣る部分があります。だからこそ、大学でしっかり成長して勝ちたい、という気持ちやマインドを持った選手が多いですし、そういった雰囲気を作ろうという慶應ならではの文化があるのは、良いところだと思います。
もう1つは、組織としてのまとまりです。どうしても他大学に劣る部分がある分、コート内だけでなく、例えば試合の応援や運営体制など、コート外の部分にもきちんと目を向けて、チームが勝つためにどうすればいいのかを考える文化が根付いていると思います。
ーー慶應義塾高・志木高との繋がり
志木高に関しては場所が離れているので、普段から関わる機会はあまりないんですけど、塾高は常に隣で練習している環境なので、日頃から部室などでコミュニケーションを取ったりしています。
またイベントとしては、3月に高校生研修会というものを設けています。慶應に興味がありそうな高校生を招待して、練習試合をする形を取っていて、そこには塾高や志木高も毎年参加しています。そういう形で、3月というタイミングで慶應を知ってもらう取り組みを高校生に向けて行っています。

ーーソフトテニスを始めたきっかけ
ソフトテニスは、小学校だとシングルスがあまりなくて、基本的にダブルスがメインなんですよね。なので、自分だけが強くても、ペアが弱いとなかなか勝ち上がれないという性質があります。そうした中で、ペアを探していた友人に誘われたのが一番最初のきっかけで、小学2年生の時に誘われて地元のクラブチームで始めました。
ーー大学に進学してからもソフトテニスを続けようと思った理由
一言で言うと、高校時代の悔しさと、団体チームで勝ちたいという気持ち、この2つが大きいです。
まず1つ目の高校時代の悔しさで言うと、高校生にはインターハイ、ハイスクールジャパンカップ、国体という3つの大きな全国大会があります。自分はインハイとハイジャパに出場したんですけど、インハイは1回戦負け、ハイジャパは2回戦負けで、県では勝てても全国の壁に阻まれてしまった、というのが一番大きかったです。国体が自分の引退試合だったんですが、本選前に「ミニ国体」という関東の予選のような大会があって、各県総当たりで試合をします。その時に個人としては2勝4敗で終わってしまって、しかも負けた試合のうち2試合はファイナルでした。客観的に見ても、自分の実力なら通用する感覚はあった一方で、「相手は強豪だから」という相手の雰囲気や会場の空気に飲まれてしまって、最後は自分に負けてしまったな、という心残りが引退試合として残っています。だからこそ、自分に打ち勝ちたいという思いがあって、大学でも続けることを選びました。
もう1つは、団体で勝ちたいという気持ちです。自分は中高と強豪校ではなかったので、個人で勝てることがあっても、チームとして団体で勝つのはなかなか難しかったです。ただ、慶應の雰囲気を見ていて、高校生ながら「チームで勝とう」とする空気を感じていました。そういった環境でプレーできるのは面白そうだなと思って、続けようと決めました。
ーー主将に選ばれた経緯
結論から言うと、同期で話し合った結果、自分が立候補して主将に決まりました。そもそも立候補しようと思った理由は、小学2年生から15年間ソフトテニスを続けてきて、これまでの自分のテニスの集大成を、主将としてチームに貢献する形で出したいと思ったからです。
同期で話し合った時も、1年生の頃からありがたくレギュラーとして試合に出させていただいていたこともあって、「実力もあるし、小池ならいけるよ」という後押しもあり、最終的に決まりました。
ーー前の体制からの引き継ぎたいものと、新しい体制になって変えたいもの
前の体制の雰囲気としては、和気あいあいというか、上下関係をフラットにしていこう、という空気がありました。ただ、そのデメリットとして、それが行き過ぎた結果、体育会らしい厳しさが欠けてしまったという反省があります。なので、プライベートでは上下関係をフラットにするのは良い一方で、練習中の雰囲気は上級生を中心に厳しい声掛けをして、試合と同じようにプレッシャーがかかる空気を練習でも作っていこうと思っています。また、練習についても、前の体制では週4日が全体練習でした。それだと練習量が足りていないよね、というのがキックオフミーティングでも議題に上がったので、練習量を週6日に増やして取り組んでいく方針になっています。

左から副将・後藤煌(商3・仙台第一)、主将・小池賀久(経3・慶應)、主務・稗田茉桜(商3・県立呉宮原)
ーー秋季早慶戦を振り返って
結果としては1対4で負けていて、負けた3試合に関しては1ゲームも取ることができませんでした。やはり、実力としては本当にまだまだだなというのが正直な感触です。早稲田相手だと、強豪出身者がAOのような形で入っている選手もすごく多いので、現時点の自分たちの実力ではなかなか太刀打ちできなかった、というのが率直なところです。
ーー今シーズンを振り返って
秋季リーグは3部3位だったんですけど、その前の春季リーグは3部5位で、結構入れ替えギリギリのラインにいました。そこから最終的に3位まで順位を2つ上げられたという点では、チームとして成長できた部分もあったのかなと思います。ただ、目標としていたのは2部昇格だったので、そこに届かなかったのは、自分たちの甘さがまだあったんじゃないかなと思っています。
また、春季リーグは勝ったペアが3ペアだったのに対して、秋季リーグはそこから1ペア増え、小林後藤ペアが貴重な2勝を挙げました。初めて勝つことができたペアも出て、勝つ経験を積めたことは、チームにとって大きな追い風になったと思います。
ーー新体制のチームの目標と個人での目標
新体制の目標は、春リーグでの2部昇格です。インカレやリーグ全体としての目標はまだ決めていなくて、春季リーグの結果を踏まえて決めようという形なので、まずは春季リーグで2部昇格を絶対に達成する、というところを明確にしました。
僕個人としての目標は、全国大会で日本一になることです。今年の春の関東大会では個人で3位になることができたので、次は全国大会という舞台で日本一を狙いたい、というのが次の目標です。
ーー来シーズンに向けての意気込み
主将としては、中学・高校と部長を経験してきて、大学では3回目になりますし、15年間続けてきた競技の集大成でもあります。学生生活最後の部活にもなると思うので、プレー面だけでなく人間性の部分でも成長して、それをチームに還元する形で、自分の最後を示していけたらいいなと思っています。

ーーソフトテニス部に入りたいと思っている方に一言
他の大学のソフトテニスを見ても、ここまで全員が「本気で勝ちたい」と思って取り組んでいる大学は、なかなか数少ないと思っています。高校まで頑張って、大学ではそこまで競技に本気で取り組んでいない選手や大学も多い中で、高校でやりきれなかった分、それぞれが目標を持って本気で取り組める環境は貴重だと思います。
また、OBの方々のサポートも手厚くて、監督やコーチも土日に来てくださりますし、自分がアドバイスを求めればそれに応じてくれる環境があります。そういう点も含めて、環境面では慶應の魅力なんじゃないかなと思います。

新体制となった慶大ソフトテニス部に注目だ
ーーありがとうございました!
(取材:小野寺叶翔)

