先週、早大に大差で勝利した慶大。この日は法大との一戦に臨んだ。前半は自らのペナルティの多さも響き、相手ペースで試合を進められてしまう。リードを許し迎えた後半。両者譲らずトライを奪い合い、差は縮まらない。しかし終盤、ついに慶大が同点に追いつくと、終了間際にPR三谷が決勝トライ。43‐38で逆転勝利を収めた。
交流戦 vs法大 6月9日(日)14:00K.O.@法大G
得点 | ||||
慶大 | チーム | 法大 | ||
前半 | 後半 | 前半 | 後半 | |
3 | 4 | T | 4 | 2 |
1 | 3 | G | 2 | 2 |
0 | 0 | PG | 0 | 0 |
0 | 0 | DG | 0 | 0 |
17 | 26 | 小計 | 24 | 14 |
43 | 合計 | 38 |
出場選手 | ||
ポジション | ||
1.PR | 三谷俊介(総4・国学院久我山) | |
2.HO | 神谷哲平(総3・桐蔭学園) | →17.中尾廣太朗(環4・長崎北) |
3.PR | 青木周大(商3・慶應) | |
4.LO | 小山田潤平(経3・慶應) | |
5.LO | 松野裕大(経4・慶應) | →19.定兼輝尚(経4・慶應) |
6.FL | 木原健裕(総3・本郷) | |
7.FL | 徳永将(商2・慶應) | →18.大塚健太(環2・国学院久我山) |
8.NO8 | 森川翼(環3・桐蔭学園) | |
9.SH | 南篤志(総2・清真学園) | →20.猪狩有智(経4・慶應志木) |
10.SO | 宮川尚之(環4・成蹊) | |
11.WTB | 服部祐一郎(総3・国学院久我山) | |
12.CTB | 石橋拓也(環3・小倉) | |
13.CTB | 大石陽介(環4・修猷館) | |
14.WTB | 浦野龍基(政3・慶應志木) | |
15.FB | 児玉健太郎(環4・小倉) |
前半、ペースを握ったのは法大だった。開始直後から、自陣で守りの時間が続く慶大。5分に自陣でペナルティを犯し、相手にチャンスを与えてしまう。ラインアウトを起点に押し込まれ、先制トライを献上した。さらに10分、自陣でのパスを奪われそのままトライを決められてしまう。0‐12と突き放されるが、慶大はペナルティやミスが重なりなかなかリズムに乗れない。それでも好調なBks陣が流れを引き寄せる。18分、ボールを持ったFB児玉(環4)が自慢のスピードを生かし大きくゲイン。相手を引きつけるとWTB服部(総3)にパスを出す。受けた服部が冷静にトライを決めた。さらに24分、敵陣でマイボールのラインアウトを得ると、つないでいき最後はNo.8森川(環3)が押し込む。続いてSO宮川(環4)が縦への突破でチャンスをつくり、またしても児玉、服部とつなぎトライを奪い逆転。宮川のコンバージョンも決まり、17‐12とした。しかし、ここから流れは再び法大に。ディフェンスをかわされゴールライン直前まで迫られるピンチは服部が食らいつきしのぐが、36分にはしのぎ切れず失点。41分には見事なキックパスからトライを奪われる。17‐24とリードを許し、試合を折り返した。
後半に入ると、慶大は敵陣深くでラインアウトのチャンスを得る。モールを組み押し込もうとするが、ここは惜しくもトライならず。この後もチャンスをつくるがミスなどでうまく生かすことができない。すると13分、法大Fwdに押し込まれ、17‐31と点差を広げられてしまう。しかしこの直後、法大のキックオフのボールをCTB石橋(環3)が取りゲインすると、つないでいき、最後はPR青木(商3)がトライ。再び差を縮める。20分にもトライを許すが、24分には児玉、宮川のゲインで敵陣に攻め込み、密集からLO小山田(経3)が持ち出してトライ。法大に食らいついていく。そして32分、慶大はラインアウトを起点に右に回していきWTB浦野(政3)がトライを決める。この右隅の難しい角度からのコンバージョンキックを宮川が落ち着いて決め、38‐38。ついに同点に追いつく。勝ち越したい慶大はまたも児玉のゲインから服部に回しトライを取りに行くが、ここは防がれてしまう。このまま引き分けかと思われた終了間際、この日再三チャンスをつくってきた児玉がこの場面でもビッグゲイン。ゴールライン寸前まで運ぶと、ラックからPR三谷(総4)が持ち出し「ここで決めないといけない」と決死のトライ。43‐38となり、このままノーサイド。慶大が緊迫した試合を制した。 「前半ミスが多くてそれで相手に流れを渡してしまった」(宮川主将)。ミスやペナルティから失点を重ね、自らを苦しめる展開となった。特に、相手にハイパントを有効に使われ、何度もピンチを招いた。キック処理は今後修正すべき課題と言えるだろう。それでも、「こういう苦しい展開でも勝てるチームになってきたということが一番の収穫」(三谷)。この春の試合を通して、選手たちは厳しいゲームでも最後まであきらめずに戦えるほどの自信をつけているようだ。そして、今回のような試合を経験したことで、「自分たちは全然強くないっていうのが春の時点で改めて気が付けた」(児玉)。次の日体大戦では快勝し、春季大会優勝を決めてほしい。
【ケイスポ的MOM】勝利を呼び込む圧巻のラン FB児玉健太郎
今季からAチームに復帰した児玉。相手を置き去りにするランと安定したロングキックでチームに貢献している。この試合でもその持ち味を存分に発揮。ビッグゲインで何度もチャンスを演出した。試合を決めた最後のトライも児玉のゲインから。「負けたくなかったので、その気持ちが出せた」というプレーで慶大を勝利に導いた。
(記事・吉山祐未)
コメント
SO宮川尚之主将
(今日の試合を振り返って)前半ミスが多くてそれで相手に流れを渡してしまったので前半の入りがすべてだったと思います。(早大戦の快勝から一週間何を心掛けて練習していたか)勝利におごることなくしっかり練習しようということだったんですけど、どうしてもチームの中で浮ついた空気があったかなと思います。ただそれを今日の試合で引き締めることができたことはよかったと思います。(今日のゲームプランは)早稲田の時と変わらず、ディフェンスをしっかりしよう、ディフェンスから流れを作っていこうということでした。(前半からペナルティを重ねてしまっていたが)前半からそのミスやペナルティが多くなってしまって流れが作れなかったなと思います。今後はプレーの中で修正していかなくてはならないので、次出るのであればディフェンスは固く、ゲインを重ねていこうと思います。(Bksのキック処理にも問題あったが)相手のハイパントがものすごくうまかったというのがあるんですけど、そこでもミスが多かったですね。あとはキックオフの時も処理のミスがあったので修正していきたいです。(コンバージョンキックが不調だが出来としては)今日は一本タッチキックのミスがありましたしコンバージョンも全然入っていないので、そこは個人の課題として修正していきたいです。(接戦を制した収穫は)相手に2トライ先制されてとってはとられての嫌な流れだったんですけど、あきらめずに勝利できたことただそれだけが収穫だったなと思います。(来週の意気込み)今日法政さんに気付かせてもらったので今度は同じ過ちをすることなく快勝できるように頑張っていきたいです。
PR三谷俊介
(試合を振り返って)慶應が一番やりたくないゲームだったという印象です。敵陣にハイパントで入られて、リスクの少ないパスで食い込まれていくという試合だったので、それを修正したいと思います。(意気込みは)相手関係なく自分たちのラグビーをやろうということで臨みました。(苦しい展開だったと思うが)相手がハイパントを蹴って競られて相手ボールになってそこから乗られてという試合で、苦しくはあったんですけど、最後勝てたのがよかったです。こういう苦しい展開でも勝てるチームになってきたということが一番の収穫です。(最後のトライは自身で決めたが)児玉が絶対ゲインしてくれるとわかったのでそれについていって、ここで決めないといけないと思ってゴールラインに向かって必死で足掻きました。(Fwdとしての出来は)今日は走れてなかったので、動き出しを早くしたりとか、Bksが食い込まれたときにもうちょっと走れるようにしたいです。そこがFwdの反省点なのでしっかり日吉で練習したいと思います。(次に向けて)相手関係なく慶應のラグビーがどれだけできるかが大事なので、慶應のラグビーを突き詰めて秋に生かせるような試合にしたいです。
PR青木周大
(今日の試合を振り返って)めちゃくちゃきつかったです。今年は先制する試合が多かったんですけど久々に最初2トライ自分たちのミスでとられての展開だったんで最初きつかったですね。(きついなかで心がけていたこと)ラグビーはセーフティが21点といわれているので21点以上差を開かせないというのと、とられた後キックオフを安定させようと心がけていました。(Fwd全体の課題)キックオフディフェンスが全然安定していなくて、個人的にはスクラムで迷惑かけてしまったのでそこらへんのセットプレーの精度を上げていきたいです。(自身のトライシーンを振り返って)トライしたほうがおもしろいですね。久しぶりにトライきめられてうれしかったです。(先週の早大戦の勝利から一週間何を心掛けて練習したか)早稲田に勝ったんですけど向こうはベストメンバーではなかったし、まだ自分も早稲田や帝京に通用するPRになれていないのでしっかり個人のスキルアップを心掛けて練習しました。(来週の日体大戦に向けての意気込み)対抗戦の相手で絶対負けられないですし、今の時期は個人スキルを磨いてチームの勝利に貢献できるように頑張ります。
LO小山田潤平
(試合を振り返って)いつも自分たちのペースでラグビーができていた分、今日は相手のペースで入られてしまってなかなか自分たちのペースに持っていけなかったというのが一番よくなかったことだと思います。相手のキックを多用するラグビーに付き合ってしまって、自分たちが意図する順目に走って走り勝つラグビーができなかったです。(競った展開となったが)きつかったです。でも負ける気はしなかったし、絶対勝ってやろうと思っていたので結果的に勝ててよかったです。(自身の出来は)コンタクトで相手に勝てた部分はよかったんですけど、もっと相手に走り勝てるFwdにならないといけないので、良い所と悪い所と半分半分です。(Fwd全体としては)キックからのカウンターからのブレイクダウンのところで相手に負けてしまったことが今日一番きつかった原因だと思います。ボールをキープするのがFwdの仕事なのでそこを雑にしてしまったのがよくなかったです。(今後に向けて)上級生になったのでできるだけ自分がチームを引っ張れるように頑張っていきたいと思います。
WTB服部祐一郎
(今日の試合を振り返って)最後勝ち切れたことがすべてです。負けなくて良かったです。(トライについて)ボールを繋いでもらって走るだけのところは決められたんですが、後半終了間際に最後一つ取りきれなかったことは悔しいです。(収穫と課題)厳しいゲームを経験できたことは収穫です。課題は前半の入りに自分たちのラグビーができなかったところです。(次に向けて)トライをこのところずっと取れているので今後もしっかり取りたいです。 FB児玉健太郎 (今日の試合を振り返って)早大に勝って、その早大が法大に圧勝してたので軽く勝てるという空気がチームにあってそれが今日の前半の入りに影響したと感じます。(後半追いかける展開となったが)浮足立ったので自分たちのラグビーに戻そうということでその後は自分たちのラグビーである堅いプレーを出来たのでよかったです。(自身は後半大きくゲインするシーンがあったが)負けたくなかったので、その気持ちが出せました。(収穫と課題)自分たちは全然強くないっていうのが春の時点で改めて気が付けたのでよかったです。(次に向けて)秋に向けていい準備をしていきたいです。
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