【野球】陸の王者、逆襲ならずも皆笑顔 来年に向け新たな船出 早大②

11月3日(日)  早大―慶大  2回戦

最後は握手でしめた慶大バッテリー

最後は握手でしめた慶大バッテリー

今年で110周年を迎えた早慶戦。早大に先勝を許し、Aクラス入りのためにはもう負けられない一戦のマウンドにはノーヒットノーランを記録した加嶋(商2)があがる。しかし序盤から早大打線に捕まり6失点。頼みの打線も初回の2得点以降奮わず、今年の早慶戦は4連敗という結果になり、東京六大学秋季リーグ戦を慶大は4位で終えた。

   
早大
慶大
早大:内田、吉野和、○吉永―土屋

 

慶大:●加嶋、加藤、三宮、鈴木貢、白村―小笠原、手錢、藤井

 

 

ポジション

選手名(学部学年・出身高校)

[7]

佐藤旭(商3・慶應)

 

大坪(総4・佐賀西)

[6]

山本泰(環2・慶應)

 

H

牧野(商4・千葉東)

[3]

松本大(環4・桐光学園)

[9]

谷田(商2・慶應)

[5]

横尾(総2・日大三)

[8]

藤本知(環3・慶應)

 

春山(商4・慶應)

[2]

小笠原(環2・智弁和歌山)

 

H

渡邊暁(商4・慶應)

 

手錢(環4・大社)

 

藤井(環3・郡山)

[1]

加嶋(商2・慶應志木)

 

加藤(政1・慶應)

 

H

須藤(環1・創志学園)

 

三宮(商2・慶應)

 

近藤(環3・國學院久我山)

[4]

堀野(理4・掛川西)

 

R

荒川(商4・慶應)

 

鈴木貢(理4・下妻一)

 

白村(商4・慶應)

 

H

植田(商4・慶應)

 

 

初回から早大打線に捕まった加嶋

初回から早大打線に捕まった加嶋

早慶1回戦は1安打完封負けと早大エース有原に完璧に抑え込まれた慶大。Aクラス入りのためにはもう負けられない試合のマウンドには加嶋があがる。その加嶋は初回、先頭に四球を与える不安定な立ち上がり。犠打でいきなり一死二塁とピンチを招くと、迎えるは早大の主砲中村。勝負にいった球を上手く拾われ中前適時打を浴び、いきなり失点する。さらに続く4番小野田にはレフトスタンドに突き刺さる本塁打を許し3失点目。その後、投手内田にも適時打を許し初回4失点と試合の主導権を握られる苦しい展開に。

食らい付きたい慶大は初回、先頭の佐藤旭(商3)が早大主将、守備の名手東條の失策を誘い出塁すると、2年生クリーンアップの谷田(商2)、横尾(総2)の連続適時二塁打で早大先発投手内田を早くもマウンドから降ろす。2点を奪い反撃の狼煙を上げた。初回に早慶先発投手とも失点するという荒れた試合の入りになった。

2回は両校無得点に終わるも3回。またも加嶋に早大打線が襲い掛かる。先頭の中村に投じた3球目は快音を残しレフトポールに直撃。高めに浮いたボールを上から叩かれ今日2被弾。その後、代打の石井にも適時打を打たれ、試合を作れないまま加嶋は降板する。先発投手が両校とも早い回に降りる波乱の早慶戦に。

意地を見せたい打線だったが、3回裏からリリーフした吉永の前にチャンスは作るもなかなか得点には結びつけることができず、6―2と早大にリードされたまま終盤に突入する。

終盤に入っても早大打線の攻撃を止めることができない。7回から登板した三宮(商2)はテンポ良く二死を奪うもそこから連打を許し1失点。8回から

神宮初登板の鈴木貢

神宮初登板の鈴木貢

登板した神宮初マウンドの鈴木貢(理4)は連続四球でピンチを作るとその後マウンドを引き継いだ白村(商4)も打たれ、この回2失点。9―2となり試合を決定付けられてしまい試合終了。連敗で勝ち点を落とし、一時は首位を走っていながらBクラスの4位に転落して秋季リーグ戦全日程を終了した。

今の4年生の代は今まで神宮で実績を残してきている選手が少なく、そういうチームが実績のあるチームに勝っていくためにはどうすれば良いのか。その答えを今季の慶大の戦い方で見つけられたような気がする。

それは「流れ」だろう。試合の流れというものは恐ろしい。たった1回のミスで流れが変わり試合を落とす。その負けた試合の流れを引きずり、そのリーグ戦不本意な結果に終わる。またその逆も然りだ。台風が味方し相手の失策で勝ち点を奪った立大戦、意地の粘りを見せ苦手石田を攻略し久しぶりの勝ち点を手にした法大戦と流れは最高だった。試合内容も最高だ。1年生加藤(政1)が先発投手として台頭し、試合を作ると白村が試合をしめる。4年生野手の活躍があったと思えば、3年生以下の選手の重要な一打が出るなど、何でも上手くいく空気を作り出すことが重要なのだと思わせられた。

 

では来季はどうだろうか。キャプテンシーあふれるリードオフマン・佐藤旭(商3)、当たれば即スタンドインが期待できる藤本知(環3)など核となる選手は残っているので、打線は大幅には今年と変わらないだろう。そして課題をあげるとすればまずは投手陣の確立。それに加え、小笠原(環2)の捕手としての成長に期待がかかる。捕手としての配球、ストッピングの成長は著しいものがあり、強肩を生かしたセカンドスローも魅力である。足もかなり速いのだが問題は打撃。捕手として投手陣のリードに手一杯なことは百も承知だがもう少し粘りが欲しい。思い切りの良いスイングが持ち味だが、今季は速球に振り遅れるケースが多く、塁打5に対し三振11は少々多め。正捕手として出場ながら打点が0というのもそれに比例しているか。「名捕手あるところに覇権あり」というだけに、小笠原の成長が来季の慶大の順位に大きく関わってくると言っても過言ではないだろう。

 

最後はお互いの健闘をたたえあって早慶戦を終えた

最後はお互いの健闘をたたえあって早慶戦を終えた

最後に、今季の慶大の戦いでは4年生の活躍が光った。昨年まで安打が一本も打てなかった松本大(環4)が打率リーグ2位。佐藤旭のケガの穴を埋め、その後スタメンとして活躍をした渡邊暁(商4)。試合途中から出場し、好守備で慶大をピンチから救った牧野(商4)。あげればキリがないほどに4年生のプレーは随所で慶大を勝利に導いてきた。主将就任時、堀野が話していた「勝つためには何をすれば良いのか」ということ。1年を通して答えを探し出せたのではないだろうか。そして優勝は叶わなかったものの、後輩たちに大きな財産を残せたはずだ。スポーツでは結果が重要視されがちだが、後輩の育成に必要なのは結果ではなく、勝つために必死に努力してきた先輩達の背中、プロセスだろう。先輩達が流した涙を糧にして来季優勝することができるか。もう一歩で届かなかった優勝旗を来季は是非奪回し、歓喜の涙で春の早慶戦を締めくくってもらいたい。(記事 渡邉拓磨)

 

 

 

 

以下、選手のコメント

 

DSC_0708堀野 真主将(理4)

(引退ということで、4年間を振り返って)優勝したかったですし、早慶戦勝ちたかったですけど、思い通りいかないのが野球だと思いました。

 

 

DSC_0243市村 哲也学生スタッフ(商4)

(4年間を振り返って)あっというまでした。楽しかったです。野球続けてよかったと思いました。

 

 

DSC_1036白村 明弘(商4)

(4年間振り返って)4年間振り返ると山あり谷あり、という感じでしたがこういう形で終われて良かったと思います。負けましたけど勝利に向かっていけて、春よりも良い形、姿勢でした。負けてしまったのは残念ですけど、最後みんなで試合に向かえていたので良かったと思います。

 

DSC_3244牧野 恭法(商4)

(早慶戦のラストバッターだったが)この声援を受けて打席に立つのはこれが最後の最後だと思ったので、絶対に忘れないようにしようと思って、悔いがないようにしようと思って打席に入りました。結果はダメでしたけど、あれだけの声援を受けて自分の精一杯のスイングが出来て、幸せでした。(4年間の思い)結果的にこうやって見ると、本当につらかったことしかなくて、失敗とかばかりだったんですけど、でもだからこそこれからの人生を頑張らなきゃいけないのかなと。自分の尻を叩いてくれたような4年間でした。

 

DSC_0977植田 忠尚選手(商4)

(4年間を振り返って)色々ありましたけど、無事に引退できて良かったと思います。(最後に一言)とりあえず今は、ゆっくりします

 

 

 

DSC_1011永島 龍太主務(政4)

(4年間を振り返って)あんまり楽しい思い出よりもつらい思い出の方が正直多いんですけど、やっぱりそれを一緒に乗り越えてきた仲間を得られたことが、何より良かったというか、本当に一生の宝物だなっていうふうに思います(最後に一言)監督が怖かったです(笑)

 

DSC_0745松本 大希(環4)

(今後の野球人生の意気込み)慶應4年間で、苦しいことも嬉しいことも本当に色々経験してきたので、この4年間の経験を糧に、また一から頑張っていきたいなという思いが強いです。

 

DSC_0836荒川 健生(商4)

(今日の試合の感想は)負けたことは残念でしたが、出場させていただきましたし、最後たくさんの声援の中でプレー出来てよかったです。(4年間を振り返って)なかなか上手くいかなかったこともあったし、もっと打席にも立ちたいなっていうのもあったんですけど、最高の仲間とプレーできた、最高の野球人生でした!

 

DSC_0779手錢 大(環4)

(慶應での4年間を振り返って)辛い苦しいしかなかった4年間でしたけど、最後こうやってたくさんの方に応援していただいて、負けてしまって申し訳ない気持ちと感謝でいっぱいです。(試合後のクールダウン終わりに白村投手と握手されている場面もあったが)4年間やってきた仲間だし、バッテリー組んできたピッチャーだし、まあ最後組めて良かったなというのと、ありがとうというのと、これからも頑張ろうという思いで握手しました。(後輩に伝えたいことは)今年のチームは主力を張っていたのが3年生以下の選手たちで力は僕たち以上にあると思うので、あとは個性豊かな選手ばかりだし先頭に立つ人がうまくまとめてチーム一丸となって優勝してほしいなと思います。(これからの野球人生の意気込み)いつかまた白村とバッテリーを組めるように頑張っていきたいと思います。

 

DSC_0926春山 凌(商4)

(4年間振り返って)最後の最後で打てて、神様が少しご褒美をくれたかなと思います。本当にここでは説明できないいろいろなことがあったんですけど、最後はいろんな人の協力がないとこういうことはできないんだなと実感しました。

 

 

DSC_0551佐藤 旭(商3)

(今の心境)勝って今の4年生を送りだしたい、という気持ちでこの早慶戦に臨んだんですけど、結果が伴わなくて4年生に申し訳ないなという気持ちと早慶戦まで、これまでお疲れ様でした、と言いたい気持ちです。(来季に向けての抱負)一段落して、また新チームが始まるんですけど、この秋、一年間通して出た課題というものが明確になったので、この秋、冬の間にしっかり練習して、来春には、今年結果が残せなかった分僕たちが結果を残して、そういうかたちで4年生に恩返しをしていきたいと思っています。

 

ベンチ近藤近藤 俊(環3)

(シーズンを終えて今の気持ちは)4年生が最後ということで、すごく4年生にはお世話になったので何とか勝って送り出したかったですけど、それができなくて残念でした。(来年に向けて)セカンドの4年生が抜けるので、セカンドでレギュラーを取れるよう頑張ります。

 

DSC_0918藤本 知輝(環3)

(来季に向けて)勝たないと今日みたいに4年生が悲しい顔してたから、自分の代で笑って終われるように頑張りたいです。

 

 

DSC_0489竹内 惇(商3)

(来季への一言)先輩が成し遂げられなかった優勝をちゃんとして、神宮大会も優勝します!

 

 

DSC_0808三宮 舜(商2)

(今季を振り返って)すべてが納得いく内容ではありませんでしたが、最後早慶戦で投げることができて良かったです。(来季に向けて)今季は途中まで優勝前線にいたのに最後脱落してしまったので、来季は優勝前線にずっと残って、そのまま優勝したいです。

 

DSC_0272小笠原 知弘(環2)

(シーズンを終えて今の気持ちは)不甲斐なかったというか、自分もそうですけどチームも結局優勝争いしていたんですけど最後4位という結果に終わってまだまだだなと思いました。下級生の力がまだまだ足りなかったかなと。(来年に向けて)バッテリー中心に強いチームを、点を取るのもそうですけど点を取られないチームを作ることが目標です。

 

 

DSC_0542加嶋 宏毅(商2)

(来季に向けて)僕の実力不足で今日負けた部分もあるので、絶対に打たれないようなピッチャーになりたいと思います。

 

 

 

DSC_0761加藤 拓也(政1)

(今日の試合を振り返って)4年生とやれる最後の試合なので出番がどういう形であれ全力でやろうと思っていて、自分がやるべきことは出来たかなと思います。(ロングリリーフになったが)監督からも早い展開から行くぞと言われていたので準備もしていて、ロングリリーフに対して苦手意識もなかったので大丈夫でした。(先発登板では無かったが)1戦目、2戦目に先発から外れたことが本当に悔しくて、結果で返すしかないという気持ちで投げました。(来年に向けての抱負は)早慶戦は僕が入学してから負けているところしか観ていないので、来年からは全部勝つ意識でやっていきたいと思います。

 

DSC_3097齋藤 大輝(商1)

(今日は出番がなかったが、試合ではどのような起用を想定していたか)代打で出るとしたら、チャンスの場面だと思っていたので、集中力をそこに持っていけるようにしていました。(早慶戦に向けてどんな練習を二週間積んできたか)調子を維持しようというよりは、少しでも上手くなろうという気持ちで練習していました。(今季うまくいった部分とうまくいかなかった部分は)春よりは、自分の印象としてはうまく打てたと思うんですけど、一流のピッチャーになるとまだまだ対応できない部分が多いので、ここから来年の春に向けて改善していけたらと思います。(今日が4年生の最後の試合となったが、その点については)4年生にはお世話になったので、勝って終わりたかったんですけど、負けてしまって本当に残念です。(次のシーズンに向けてレベルアップしたいところはどこか)とにかく土台をつくるというか、この冬はしっかり体を大きくして、もっとしっかりバットを振れるようになって、春はとにかく打ちまくりたいと思います。

 

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