【野球】新チーム始動特集① 佐藤旭主将 インタビュー

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新主将に決まった佐藤旭

 春季5位、秋季4位と春秋ともにBクラスに沈み不本意な結果に終わった慶大。屈辱を晴らし〝陸の王者〟復権を果たすべく、新生慶大野球部が11月11日に始動した。その主将に任命されたのは佐藤旭(商3)。走・攻・守3拍子揃った外野手だ。チームリーダーとして臨むこの1年、現在の胸の内、想い描く理想とは――。佐藤旭に話を伺った。

 

 

――まずは主将就任の経緯をお聞かせ下さい。

「江藤監督から言われたのは早慶戦2回戦の前で、たまたま試合前にロッカーで2人になる機会があってその時にちょっとぼそっと言われました。正式に言われたのはその試合後の納会の時に部長の方から主将と幹部が発表されて、そこで正式に伝えられました。」

 

――主将就任が決まった時の心境はいかがでしたか。

「自分の中でも主将になる心構えというか、そういう気持ちが出来ていたので、主将になることを伝えられたときにはお前が引っ張って行ってくれと言われて、自分がやらなくてはいけないんだなということを改めて認識しました。最上級になって引っ張っていかなければならない立場なんだなと実感しました。」

 

――納会の際に先輩や同期の方々から声は掛けられましたか。

「前キャプテンの堀野さん(理4)から挨拶があった時に、みんなに向けてなんですけど『旭のことをお願いします』と言われて、僕自身も泣いてしまって。主将って大変なんだろうな、自分が想像している以上に大変なことがあったり辛いことがあるんだろうなということを堀野さんの一言で実感できました。正直まだ新チームが始まったばかりなので分からないことばかりで不安しかないですけど、これから1年間やっていく上でチームの課題であったり問題というものが自分の思っている以上に出てくると思うので、良い意味で周りを頼りながらやっていきたいと思います。」

 

――竹内秀夫新監督からは何かありましたか。

「とにかく熱いチームを作っていきたいという風に言われたので、竹内監督も僕も泥臭くというところですごく共通する部分があって、僕も竹内監督の意見や考え方に共感できたので僕たちも竹内監督を信じて熱いチームを作っていきたいなと思っています。」

 

――主将に就任したことで意識の変化などはありますか。

「今までは4年生という大きな存在があって4年生を見て僕たちもついて行くというか、4年生が引っ張っていくという部分があってくれていました。でもやっぱり僕が主将になったからには誰からも常に見られている立場にあると思うので、僕が本当に率先して先頭に立って何事もやっていかないといけないなという風に新チームの練習初日から取り組んでいます。」

 

――主将として心掛けていきたいことなどはありますか。

「さっきと重複する部分もありますけど、何事も率先して自分からやっていきたいと思っています。僕だけではなくて4年生全員でやっていきたいんですけど、チームの主将という立場をやらせていただいているので、チームを引っ張っていくことが自分に課せられた義務だと思っているので、自分から率先して周りに声を掛けたりプレーでも自分からアクションを起こしたりということをやっていきたいです。」

 

――練習や試合を通して、主将としての姿や存在感をどのように出していきたいと考えていますか。

力強く意気込みを語ってもらった

力強く意気込みを語ってもらった

「結果で引っ張っていくことがベストなのかもしれないですけど、いつでも結果を残せるという訳ではないですし結果が出ないときもあると思います。そういう時こそ練習の姿勢であったり私生活であったりというところで、あいつに主将を任せて良かったなと思われるような立ち振る舞いを下の学年なり同級生に見せていきたいです。ただ僕だけの力では勝つことはできないので、そういう面でみんなに声を掛けてみんなの力で勝ちたいなと思っているので、僕が率先してやっていくんですけど、でも周りに目を向けて気を配って1年生から4年生まで全員の力で勝ちたいなという風に僕は思っています。」

 

――副将には藤井健友捕手(環3)が就任しました。その藤井捕手を含めて同期の方々についてはいかがでしょうか。

「藤井に関しては練習にも熱い男ですし、一本軸が通った考え方をしていて周りとのコミュニケーションも取れる選手なので、僕が目に届かない部分っていうのは藤井がやってくれると思います。同期に関しては僕らの代は真面目な代だと感じていて、すごく練習もしますし自主練も自分たちでする方なので、そういう面ではいい方向に行ってくれるのではないかなと思います。」

 

――慶應高時にも主将を務めていましたが、高校と大学で何か違いを感じる部分や共通する部分はありますか。

「高校の時も150人というかなり大人数だったんですけど大学の方が4学年ということで1年生が入ってくれば200人近くになるので、人数的にも高校の時とは違って難しいのではないかなという風に思っていますし、みんなを同じ方向に向かせるというか、一つの目標に向かって全員を向かせることは口で言うのは簡単かもしれないですけど実際にやってみるとかなり難しいことなのではと思っています。」

 

――総勢200人の大所帯を束ねていくことになると思いますが、それについてはいかがでしょう。

「コミュニケーションを取っていくことが一つの手段であると思っていて、入ってすぐの1年生は先輩に話しかけづらいと思うので僕たちから声を掛けていくという感じで、下の学年から今の4年生を勝たせてあげたいなという風に思われるような僕らの代でないといけないです。とにかく4年生が率先して何かをやっていけば下の学年も付いて来てくれると考えているので、まずは僕たちが先頭に立って引っ張って、それを見て後輩たちが4年生もやっているからやっていかなきゃと思って一つになってくれればいいなと思います。」

 

――先代の堀野真主将やこれまでの主将の方々から受け継いできたい部分、また自分の色を出していきたい部分はそれぞれ何でしょう。

「僕が1、2年生の時の伊藤隼太さん(環卒、現阪神タイガース)や山﨑錬さん(商卒、現JX-ENEOS)のような僕からしたら遠い存在の先輩方はプレーで引っ張る部分が強かったです。堀野さんに関してはプレーで引っ張ってくれているのは勿論なんですけど、そうでない時も声の掛け方とかが僕たちには印象に残っていて、コミュニケーションの取り方に共感していました。僕自身どこまでプレーで引っ張っていけるのか分からないので良い意味で自分の思いを伝えることで引っ張っていけたらなという風に思っているので、僕が練習している姿であったり思っていることを伝えることでこのチームを引っ張っていけたらなと今は思っています。」

 

――佐藤主将にとって理想の主将像とは具体的にどのようなものですか。

「僕の本当の理想の主将像は山﨑錬さんです。僕が慶應高校に入った時も主将をやられていて、すごく熱い方で、自分の思いも前面に出して伝えますし、でもその練習の姿勢であったり練習量であったりはチーム一だったと僕は思っているので、錬さんのような主将になれたらいいですね。」

 

――来年からは背番号『10』を付けての出場となります。

「今はまだ実感が湧いていないですけど10番を付けてきた方々が偉大であるだけに背負っている責任というか、プレッシャーというのは付けてから初めてわかると思うんですけど、それに打ち勝てるように、負けないように来春のシーズンまでの時間をしっかり大切にしてそれだけの練習量をこなしていきたいなと思っています。」

 

――組織のリーダにとって必要な素質は佐藤主将自身何だとお考えですか。

「一言でリーダーシップを取れることですね。言うのは簡単かもしれないですけど、でも僕は自分の意見だけではなくて周りの意見も聞いてそれを反映できる人が組織のトップに立つには重要だと思っているので、自分の意見だけで突っ走るのではなくてみんなから意見を聞いてそれを結集してチームのみんなに反映することが必要だと思います。」

 

――今年の慶大は春季5位、秋季4位という結果に終わりました。今年1年のチーム、個人成績を振り返っていかがですか。

「春は5位に終わって全然勝てなくて、何かを変えなければならないと感じさせられたシーズンだったのに対して、秋は勝ち点3まで取って一時は単独首位に立つことができたんですけど、あと一つ勝ちきることの難しさを痛感したシーズンでした。明治に勝ったら優勝というところで勝ち切れなかったことへの悔しさは今でも自分の中で忘れないでいます。だからこそ今年は勝つことに貪欲であるチームを目指していきたいとみんなの前でも伝えたんですけど、そういうチームを目指していきたいです。チームを振り返ってみると、春から秋にかけてすごくチームが変わったというか、選手として戦わせてもらってそのことを強く感じていて、でもそれはやっぱりチームとしての約束事というのを徹底したことが練習の雰囲気や試合に向かっていく雰囲気を大きく変えてくれて、個人としての意識をすごく高めてくれたものだと思っているので、4年生が残してくださった伝統をしっかり引き継いでいきたいと思います。個人的にはケガがあってなかなか思うような結果が残せなくて苦しいシーズンだったんですけど、あまりチームに貢献できていないことへの申し訳なさもあったので、この悔しさというのはあと1年あるので来年以降にしっかり晴らせるように練習していきたいと思っています。」

 

――秋季は優勝を懸けた大一番の明大戦で連敗を喫してしまいました。明大との差はどこにあると思われますか。

攻守にわたりチームをけん引する

攻守にわたりチームをけん引する

「別に僕たちがあそこで油断したわけではないんですけど、明治の最後の粘りというか、明治の勝ちたいという気持ちが僕たちよりも少し上回ったのかなという風に思います。技術的、力的にはさほど変わらないと思っているので本当に最後どれだけ勝ちたいという気持ちを持てるか、ということが勝負になってくるのでそこが差だったのかなと思っています。」

 

――練習を通して、その差をどのように補っていきたいと考えていますか。

「どんなことにも勝つということに貪欲に、練習試合でもそうですし紅白戦でも何でも些細な事でも、日ごろから格好良くなくても無様でもいいので、最後に相手より勝っていることが勝負の世界だと思うので、そういうことを練習から意識してやっていきたいと思います。」

 

――新チームでは〝How to play, How to win〟というスローガンを掲げていますが、そのこころは。

「その意味自体〝いかにやるか、いかに勝つか〟ということなのですけれども、考えて練習して考えて勝つということが竹内監督の目指している野球なのでこのスローガンを掲げました。考えて勝つことは慶應らしさが表れているスローガンだと僕は思っているので1年間このスローガンを基にもっと一人一人が考えて、今何が必要で何をしなければいけないのかということを考えて行動して、状況判断のできるチームを作っていきたいです。」

 

――佐藤主将にとって理想のチームとはどのようなチームですか。

「考えて野球して、考えて勝つチームです。さらに勝つことにとことん貪欲である集団を作っていくことが僕の理想ですね。」

 

――慶大が目指すべき野球とは何でしょう。

「人数が多いことが他大にはない慶應の最大の強みだと思っているので、一人一人の力を総結集すればすごく大きな力になるはずなので、そこを目指してやっていきたいと思っています。」

 

――最後に応援している方々へのメッセージをお願いします。

「今年1年間応援ありがとうございました。今年はなかなか結果が出ずに応援して下さる方々の期待に応えることができなかったので、僕たちが恩返しできるとしたら結果優勝という形で報告できることが一番の恩返しだと思っているので、優勝という報告を皆さんにできるように日々精進していきます。これからも温かいご声援をよろしくお願いいたします。」

 

――お忙しい中、ありがとうございました!

(取材 山内貴矢)

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