東海地区の強豪2校に勝利し、苦しみながらも4回戦に進出した慶大。西の強豪・甲南大には辛くも勝利したものの、続く準々決勝の相手・早大には第2セット以降力の差を見せつけられ敗北。2年連続で全日本インカレ決勝の舞台に立つことはかなわなかった。
12月6日(金) 第66回秩父宮賜杯全日本バレーボール大学男子選手権大会
4回戦 慶大×甲南大/準々決勝 慶大×早大 @大田区総合体育館
4回戦 慶大×甲南大
得点 | ||||
慶大 | セット | 甲南大 | ||
3 | 25 | 1 | 20 | 1 |
40 | 2 | 38 | ||
18 | 3 | 25 | ||
25 | 4 | 20 |
第2セットはサーブやスパイクでミスが目立ち、第1セット同様追いかける展開になる。だが稲田(環3)のクイック、ブロックを含めた3連続得点で追いつくと18-18の場面で岡田のサーブから丸谷(環3)がダイレクトをきっちり決め慶大に勢いをもたらす。このままセットを終わらせたい慶大はピンチブロッカーとして成尾(環3)を投入。スパイクを打つ場面もありしっかりと役割を果たす。だが24-22の場面から2連続失点で試合はデュースとなる。ここから両者譲らない展開へ突入する。慶大は持ち前の攻撃力で得点を重ねるものの、ミスが少なく粘り強い相手に2点差をつけるまでには至らない。30-29でも岡田が決めきれず同点とされたところで相手のサービスエースが決まりセットポイントを握られる。ここで野口(環3)の冷静な2アタックが決まり再び同点に。その後も攻撃陣が踏ん張り、くらいついていく。だが相手のバックアタックが決まり、37-38とされこのセット6度目のセットポイントを取られてしまう。ここから岡田のスパイクを含め怒涛の3連続得点。このセットを40-38でものにする。
第3セットもこの流れのまま行きたいところであったが、序盤で苦しみ一時追いつくものの、相手のクイックを意識してか両サイドに1枚で打たせてしまう場面が目立つようになる。一度もリードを奪えずにいると、ここで慶大のレセプションが乱れる。すぐさま丸谷に代え佐藤(環2)を投入したが、勢いに乗った相手の流れを断ち切ることができない。この間に9連続得点を喫してしまい12-22まで点差が開いてしまう。ここから攻撃陣が奮起。丸谷のサービスエースや両エースのスパイクで点差を詰めていくものの、時すでに遅し。18-25でこのセットを落とすものの、終盤の攻撃は次につながるものであった。
第4セットは柳田を中心として攻撃を組み立てていき、中盤以降は疲労の色が見える相手に対して一度もリードを許さず試合の主導権を握る。その後も危なげなく試合を進め最後は星谷(理4)のクイックで勝負あり。25-20で取りセットカウント3-1で勝利した。
準々決勝 慶大×早大
得点 | ||||
慶大 | セット | 早大 | ||
1 | 27 | 1 | 25 | 3 |
20 | 2 | 25 | ||
20 | 3 | 25 | ||
14 | 4 | 25 |
第1セット。序盤はスパイクを連続でシャットアウトされリードを許したものの、丸谷のスパイクで勢いに乗ると、各選手がそれぞれの持ち味を発揮しリードを奪う。丸谷、柳田のサービスエースも飛び出し、早稲田のリズムを崩した。しかし12-9としたところで早稲田に3連続でスパイクを決められると、両者譲らない展開に。ここで岡田、星谷の4年生2人が気迫のこもったスパイク、クイックを決め意地を見せたものの、サーブミスが連続で飛び出しリードを奪うことができない。17-17とされたところで早大にサービスエースを決められると、早大の強烈なスパイクにも対応できず逆にリードを許してしまう。それでもこのセットをものにしたい慶大はここから猛追を見せる。丸谷のスパイクを皮切りに、星谷が早大のスパイクをシャットアウトすると、これまでほとんどサーブミスのなかった早大が2回のサーブアウト。稲田のクイックで26-25と逆転に成功すると、最後は岡田が冷静にスパイクを決め第1セットを奪った。
勢いに乗りたい第2セット。岡田のスパイクと柳田のサービスエースが決まり順調な滑り出しを見せた慶大であったが、その後はサーブやスパイクのミスが度々見られるようになり、第1セットでは好調に見えた柳田もミスを繰り返してしまう。また早大の速い攻撃にブロックもレシーブもついていけず、大きく差を広げられることはないものの早大のペースに持っていかれてしまう。レシーブが乱れることで攻撃パターンが崩されてしまう慶大を前に、早大は確実にレシーブを上げ、鋭いスパイクやクイックは止まらない。ここで岡田が連続でスパイクを決めなんとか早大の流れを止めようと奮闘を見せたが、最後は力尽き第2セットは20-25で落とす。
第3セットも序盤から早大の勢いにのまれてしまう。秋リーグ王者の貫禄を見せる早大の多彩な攻撃に対応できず、岡田のスパイクも決まらない。3-9とされたところで慶大は流れを変えようと佐藤を投入。ここから調子を取り戻し始めた柳田が連続でスパイクを決め、11-14まで追い上げる。その直後に5連続得点を決められ、一時は13-22まで差を広げられたものの、ここで柳田が放った気迫のこもったサーブに刺激を受けた慶大は各選手が意地を見せ再度4点差まで追い上げる。それでも一度開いた差を埋めることはできず、このセットも20-25で落とす。
後がなくなった第4セット。悪い流れを断ち切りなんとしてでも準決勝に駒を進めたい慶大は早い段階で佐藤を投入したものの、これまでと同様フェイントや隙をつかれるスパイクなど様々な攻撃に翻弄され、柳田の強烈なスパイクも封じられてしまう。このままずるずるいくかと思われたが、ここで稲田が3連続でクイックを、「勝たないと次に進めなかったので何かしたいと思った」という佐藤も2連続でスパイクを決め9-12まで追い上げる。しかしその後は早大の攻撃に圧倒され、第4セットを14-25で落とし試合終了。昨年は48年ぶりに全カレ決勝の舞台に立った慶大であったが、今年は準々決勝で姿を消した。
選手、宗雲監督ともに「完敗」と口を揃えた準々決勝。オフェンス面、ディフェンス面ともに力の差を見せつけられる結果となった。また、全カレ全体を通して本来の姿が見られない場面が多く、全カレという大舞台で「力を出しきれなかった」(野瀬)ことも敗因であろう。
今年のチームは「攻撃主体のチーム」(柳田)であった。主軸である岡田、柳田に加え星谷、稲田もそれぞれの持ち味を発揮。そして今年最も大きな成長を見せた丸谷もスタメンとして活躍し、攻撃力では他校に劣らないチームとなった。その中で課題となったのはレシーブであった。レシーブが乱れ、慶大が理想とする攻撃パターンに持ち込めなかったことで敗北を喫した試合も多い。
攻撃の要であった岡田、星谷は抜けるが、今年のスタメン5人は残る来年のチーム。「今年よりももっと強くなる」と柳田は力強く語る。課題として取り組んできたレシーブを強化し、この試合でも第4セット序盤から出場していた佐藤、今年途中出場の機会が多かった吉田(環2)、上野(文1)らのさらなる成長が見られれば今年のチームを超えることも難しくないはずだ。「今日の雪辱を果たして欲しい」(岡田)という4年生の想いに来年こそは応えてくれるだろう。
(記事 岩井邦夫、杉本理沙)
監督・選手コメント
(今日の試合を振り返って)完敗です。1セット目はたまたまで、劣勢だったのですが柳田のサーブで盛り返しただけで内容はガタガタした点の取り方で、早稲田さんの方がボールをセッターのところからちゃんと展開していって、それが2セット目以降露呈してしまったので、守備、ブロック、オフェンス全部まったく大人と子供ぐらいの差でしたね。完敗です。(具体的な早稲田との差はどこにあったか)まずは守備力。レセプションが全然違うので、冷静に見たら早稲田がレセプションが8割以上返っているのに、慶應はたぶん20%くらいしかネット際に返っていないと思うんですね。だからうちには196cmの選手がいるのに全然それが有効に使えないという、宝の持ち腐れで、結局柳田と岡田との両エースにきっちりブロックにつかれて、苦しい試合をするという、一番ありきたりな感じですね。そこの差がまずありますね。もちろん組織力もありますけど、まずはレセプションの差が全然違いますね。(試合中は選手たちにどんな声をかけていたか)具体的に声をかけるというのは劣勢の時で、何とか気持ちが切れないような言葉をかけるしかないんですよ。こういう試合は。ただ早稲田さんの方がセンターの打数が多いのはわかっていて、それを1セット目押さえたら、今度は中に切れ込みながらそれを時間差と見せかけて、またセンターや中の時間差が出る。で、七里君が打って今度はまたパイプが入ってくるといったいろんな攻撃パターンに翻弄されていたので、ブロックが全くついていけてなかったですね。(4年生の代を1年間振り返って)一言では言いづらいですね。マイナスなことを言うと4年生の批判になってしまうのでそうではなくて、もうちょっと最初の段階から守備重視の練習をするべきだったのかなと言うのはあります。4年生どうこうではなくて。4年生がそれをとらなかったのでそれを尊重していたのですけどね。でも最後の1カ月はいい練習でいい組織でいいチームになっていたので、練習はすごく楽しかったですよ。(この結果を来年以降にどうつなげていきたいか)来年またパワーバレーができないので、今年の明治さんみたいなバレーを目指して、守備から入ってまた違ったスタイルのバレーをやりたいと思います。
(今日の試合を振り返って)一言で表すなら、完敗だったというのが正直な感想です。僕たちが100%の力を出せたとしても(早稲田に)勝つのは5分5分ということは以前からわかっていたので、自分たちの力をどれだけ出せるかというのが今日の勝負の鍵だったのですが、それが出せなかったですし、向こうはコンスタントに自分たちの実力を出せるだけの練習を今までしてきたということが最後の試合で表れたんじゃないかと思っています。(甲南大戦では40点までもつれる白熱した試合となりました)早稲田に照準を合わせていた中で、甲南大戦は自分たちの油断が出た試合だったと思いますが、そこはやっぱり関東1部でやっているんだという意地を持ってぶつかっていって打ち勝つことができたので、そういう意味では40点までもつれて勝つことができたのは、僕たちの負けたくないという気持ちが表れた結果だと思っています。(今日の自身のプレーを振り返って)チームが100点じゃなかったですし、実際結果も残っていないので、僕も自分のプレーが100点だったとは言えないと思います。でも、悔いの残るようなプレーをしたつもりはないので、そういう意味では自分が納得のいくプレーはできたと思っています。(全て終わった今、4年間を振り返って)バレーに対するやる気を失った期間もあったのですけど、最後はこういう風に悔しいという気持ちをもてるぐらい一生懸命にやってこれたので、良かったなと思います。(後輩に向けて残す言葉は)今回こういう結果でしたが、この大会の勝ちとか負けとかは4年生の責任ですし、僕らのものなので、下級生は何も考えずに、逆にこの1年間やってきて、もっとこうすれば良かったのにとか、もっとこうできたはずだというところを来年は真っ先に直して、今日の雪辱を果たしてほしいと思います。
(今日の試合を振り返って)僕がブロック止められなかったので、そこが申し訳ないですね。(甲南大戦は一進一退の攻防でしたが)いやー、実際はサーブでもっと攻めるべきシーンがあったので、そこで打ちきれていなかったというのが要因だったと思います。今日は全体的に引いている部分があってそういう展開になったと思います。(早稲田戦は、1セット目を先取しました)1セット目は途中ブロックが出て逆転したという展開だったのですが、そういうことを全部のセットでやらなければ勝てなかったので、その1本が他のセットでは出ませんでした。早稲田は本当に強いチームなので、まぐれな感じでもやっていかないと勝てないと思っていたのですが、ラッキープレーというか、ファインプレーがなかなか出なかったのが、やっぱり引いていた部分だったのかなと感じます。(4年間を振り返って)最後の試合がふがいない試合だったので後輩には申し訳ないし、自分自身もまだ引退した気分になれないというか。終わってしまったのですが、今は引退したという実感はなく、何も考えられないというか、ただ時が進んでいるという感じです。(星谷さんは今後もバレーを続けられますが、この4年間の経験はいかがでしたか)先輩はじめ後輩、監督に良い経験をさせていただいたので、その人たちに強くなった星谷を見てもらって、恩返しできる時が来れば良いと思っています。(最後に後輩に向けた言葉をお願いします)本当に、ありがとう。
(今日の試合を振り返って)自分たちの力が出せなかったです。(全カレの結果については)インカレに向けてチームがいい状態にあったので、その流れでいけると思ったのですが・・・。力が出せなかったです。(4年間のバレー経験についてはどう思われますか)ちょっと今は整理がついていないです。
(今日の試合を振り返って)完敗ということで、力の差がついた結果だったのかなと思っています。(早慶戦ということでプレッシャーを感じていたか)インカレなので、相手がどこだとしても全力でやろうという思いでした。(全カレ全体を振り返って)どちらかといえば悔いが残る方が大きいんですけどそれでもその中でここまで戦うことができたのは、4年生には申し訳ない形になるんですけど、良かったです。これを来年に繋げられればいいかなと思います。(今年のチームはどのようなチームであったか)攻撃主体のチームだったと思います。早稲田も攻撃型だったので、同じタイプが戦ったら力の差でこのような形になってしまったのだと思います。(来年は最上級生となるが)4年生になってみないと分からないと思うんですけど、今年よりももっと強くなると思うので、下級生にも気合を入れて、自分自身も熱いバレーが出来たらいいなと思っています。
(今日の試合を振り返って)本当に4年生には申し訳ない気持ちと、悔しいという一言に尽きます。(まず、甲南大戦を振り返って)どこのチームもインカレということで気持ちも入っていたのですが、ああいう接戦を制すことができたのも岡田さんのおかげだし、4年生では岡田さんと星谷さんがメインで試合には出ていましたが、その他の4年生の方々もすごい助けてくれたので、感謝しています。(早稲田戦を振り返って)本当に完敗というか、こっちがしたいことが何もできていなくて、逆に早稲田は思うように展開していて、僕たちの方がまだ甘かったのかなと思います。(この1年間を振り返って)4年生の一人一人がチームのことを一番に考えてくれていて、それがこの1年間すごい伝わってきたし、僕たちも最上級生になるのでそういったチーム作りをしていかないといけないと思いました。(来年に向けて、この悔しさはいかがですか)去年は決勝で負けて、今年も最大限を発揮できたという試合ではなかったので。その悔しさを今の1、2、3年生は持っているはずなので、僕らも最後になる来年こそは優勝したいと思っています。
(今日の試合を振り返って)早稲田に完敗だったかなー、と感じています。(どのような心構えで試合に臨んだか)どこが相手であっても勝つつもりでいましたし、早稲田とは何回も試合をしていたので、それなりに対策はしていました。(試合の敗因は)こちらの攻撃が上手くいっていないというか、早稲田に対してボールを拾い負けたという感じがします。(自身のプレーを振り返って)あんまり覚えてないです。(インカレを振り返って)予定よりも苦戦する場面が多くて、想像していたようにいかないことも多かったんですが、結局試合に出る力がそのチームの力だと思うので、あの試合をしてしまったのも僕らの力かな、と思っています。(冬に向けて)まだはっきりと来年のことを考える段階ではないんですけど、スタメンの4年生2人が抜けるのでまずはそこの穴を埋めることからだな、と思います。
(今日の試合を振り返って)第1戦も第2戦も自分がサーブカットをやらないといけないところでミスをしてしまって、攻撃のリズムができなかったのでそこがダメだったかなと思います。(どのような気持ちで試合に臨んだか)勝って明日に繋げるという気持ちでいっぱいでした。(全カレ全体を振り返って)どの試合もうまくいかなくて、自分たちの力が出せなかったので悔しかったです。(今年のチームはどのようなチームであったか)今年はスパイカーが全員強い人で、最初よりも全然チーム力が上がって勝てる自信があったので、勝てなくて残念です。(来季に向けて)今年は4年生たちが悔しい思いをしてしまったので、僕たちがその思いを晴らすことができるように頑張りたいと思います。
(今日の試合を振り返って)力を出しきれなかったっていうのが正直な感想です。(今日のチームの雰囲気は)自分達では雰囲気は良くしようってことになってたんですけど、やっぱりミスが出てしまったりして乗れなかったのかなって思います。(インカレを振り返って)そうですね、やっぱり力を出しきれなかったというか、今までの練習で出来なかった甘さとかが出てきたり、知らない相手とやったときに自分のチームのスタイルを出せなくて慶應のバレーがあまり出来ないまま終わってしまった感じはありますね。(2試合目は早稲田が相手でしたが)早稲田とは今年4回戦って2勝2敗で五分できていたので、早慶戦っていうのもあるし、思いきって全部出し切れる相手だと思ってたんですけど、向こうの方が上だったというか僕たちが甘かったというか、あの場でいつも通りのプレーが出来なかった自分達が弱かったなって思います。(自身のプレーを振り返って)課題のジャンプサーブはそんなに崩れはしなかったんですけど、もっと出来たのかなって思います。(来年に向けて)次は上級生になるのでチーム運営にも関わっていかなきゃいけないし、試合中にへこんでるようなことも出来ないので、一回り大人にならないといけないなって思っています。
(今日の試合を振り返って)勝たないと次に進めなかったので何かしたいと思ったのですが・・・。負けて残念です。(インカレの結果については)去年準優勝したし、絶対決勝には残るつもりでいたのですが、そこまでいけなかったので残念です。(来年以降チームの主力となられますが)まだ途中出場でしか出たことがないので、しっかり来年からは最初から出られるように頑張りたいと思います。
甲南大戦、早大戦出場選手
サイド | 柳田将洋(環3・東洋高) |
セッター | 野口剛志郎(環3・東福岡高) |
センター | 星谷健太朗(理4・渋谷幕張高) |
サイド | 岡田拓巳(商4・熊谷高) |
サイド | 丸谷将大(環3・東筑高) |
センター | 稲田聡典(環3・日向学院高) |
リベロ | 野瀬将平(環2・東福岡高) |
途中出場
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成尾陸(環3・高松一高) |
上田悠貴(総2・生野高) | |
佐藤凜太郎(環2・東北高) | |
吉田純(環2・東亜学園高) | |
上野素希(文1・甲陽学院高) |
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