【野球】好機を生かせず完封負け 勝ち点落とす 立大③

5月19日(月)立大3回戦

立大・澤田圭に圧倒され完封負け

立大・澤田圭に圧倒され完封負け

早慶戦前最後の一戦はなんとも歯がゆい試合となってしまった。打線は立大・澤田圭の前に13三振を喫し完封負け。8安打を放ちつつも好機であと1本が出ず、6回途中を1失点でまとめた先発・加嶋(商3)ら投手陣の踏ん張りに応えられなかった。今季初めて勝ち点を落とした慶大は2位で最終週の早慶戦を迎える。両チームに優勝のかかった早慶戦は2010年秋以来6季ぶりで激戦は必至だ。

   
慶大
立大 ×
 

慶大:●加嶋、石崎、瀧本―小笠原、須藤

立大:○澤田圭―鈴木

◆慶大出場選手

ポジション 選手名(学部学年・出身高校)
[7] 佐藤旭(商4・慶應)
  瀧本健太朗(商4・慶應)
[3] 羽入田雄大(環4・長野)
  齋藤大輝(商2・慶應)
[9] 谷田成吾(商3・慶應)
[5] 横尾俊建(総3・日大三)
[8] 藤本知輝(環4・慶應)
[4] 竹内惇(商4・慶應)
  梅野魁土(環3・福岡大大濠)
[2] 小笠原知弘(環3・智弁和歌山)
  H7 原田直道(商3・慶應)
[1] 加嶋宏毅(商3・慶應志木)
  石崎佑磨(総4・平塚江南)
  H2 須藤隆成(環2・創志学園)
   R 照屋塁(環1・沖縄尚学)
[6] 山本泰寛(環3・慶應)
 

交代を告げられマウンドを後にする加嶋

交代を告げられマウンドを後にする加嶋

今日の第1試合で勝利し、勝ち点を得た早大と勝ち点4同士での早慶戦を迎えるべく、必勝を期す立大3回戦。慶大の前に立ちふさがるのは澤田圭。1回戦では9回を5安打2失点に抑えられ、今季初の黒星を喫した相手だ。「コントロールがいいピッチャーなので、とにかく積極的に振っていこうと言っていてチーム全員でそう思っていた」(佐藤旭主将 商4)という言葉の通り、初回から積極的な打撃で澤田圭を攻めたてた。今日スタメンに抜擢された羽入田(環4)、谷田(商3)の連続安打で1死一、二塁の好機を作り、打席には今季好調の4番横尾(総3)を迎える。2ボールからストライクを取りに来たボールを叩いたが打球は遊撃手正面へ。遊撃ゴロ併殺打に倒れ、先制することができなかった。

 

慶大先発は加嶋。1回戦では4回途中3失点で降板し、試合を作れなかった。「絶対リベンジしようと、それだけを思って投げていた」と強い気持ちを持ってマウンドに上がる。しかしその気持ちとは裏腹に制球が定まらず、先頭打者にいきなり四球を与えてしまう。2番安田の犠打は三塁手横尾の好守で防ぐも、3番大城に安打を浴び、さらに二塁手竹内惇(商4)の失策も重なりいきなり一死満塁の大ピンチを招く。チーム全体が浮足立っており、今日も先制点が奪われるかと思われた。この嫌な雰囲気を吹き飛ばしたのは中堅手・藤本知(環4)だった。5番我如古の放ったフライを取るとそのまま鋭いバックホーム。三塁ランナーにスタートを切らせず、先制点は許さない。慶大の誇る長距離砲が守備でチームにカツを入れた。藤本知は続く2回にも二塁からホームを狙った走者を本塁で刺し、強肩で慶大を救った。

 

瀧本の投球に安定感が出てきた

瀧本の投球に安定感が出てきた

守備から作った流れに乗ってなんとか先制点を奪いたい打線は4回、谷田・横尾の連続安打などで一死満塁と大きなチャンスを迎える。しかし澤田圭は簡単には崩れない。ここでさらにギアを上げ、140キロ台中盤の直球で押しまくる気迫の投球を見せる。これに対して全く歯が立たず、7番小笠原(環3)・8番加嶋が連続三振に倒れてしまう。5回にも二死二塁とチャンスを作るが谷田は142キロの直球に空振り三振。澤田圭からあと1本が出ず、次第に流れは立大に傾いていく。

 

加嶋は3回以降ボールにキレが戻り、5回まで立大打線を無安打に抑えていく。しかし6回、大城・岡部の連続安打と犠打で1死二、三塁のピンチを背負う。続く6番酒井田は積極的に初球を叩き、打球は右翼へ。右翼手谷田が背走しながら好捕するもこれが犠飛となり、今日も立大が先制する。ここで加嶋は降板し、石崎(総4)が神宮初マウンドへ。持ち味を存分に発揮し、見事に後続を切った。7回からは瀧本(商4)が登板。2イニングを6人で締め、打線の援護を待った。

 

4年生投手の力投に応えたい打線だったが、4回以降調子を上げてきた澤田圭の前にチャンスを作ることができない。ようやく反撃に転じたのは最終回。竹内惇の左翼前安打と7回から途中出場していた須藤の神宮初安打で2死ながら一、三塁と長打が出れば逆転という場面を作る。ここで打席には打撃不振でこの日9番に下がったが、2安打を放っている山本泰(総3)。ベンチの期待を一身に背負った山本泰だったが結果は空振り三振。またもあと1本が出ず、今季初の完封負け。1回戦に続き、再び澤田圭の前に屈した。

 

好機を広げる安打を放った須藤(左)

好機を広げる安打を放った須藤(左)

完封されたものの、全く手が出ないというわけではなかった。立大よりも多い8安打を放ち、得点圏に四度走者を進めた。澤田圭がよく粘った、といえばそうなのだが慶大の攻撃に問題がないわけではなかった。サインミスで走者を失い、ヒットエンドランを行った際にはフライを上げてしまい走者を進められなかった。淡白な打撃も目立ち、好機で簡単に三振に倒れてしまうことが大きかった。ここまでの慶大は少ないチャンスを確実にものにし、得点してきただけに今日の淡白さは目立った。早慶戦では好投手有原を始めとしたリーグトップの防御率を誇る投手陣と対戦する。早大から勝ち点を取るには彼らを打ち崩さなければいけないがそのためには野手一人一人が自分の役割を果たすことが絶対に必要になる。粘って球数を投げさせる、アウトになっても走者を進めるような打撃をする。こうした意識が今日の慶大に見えなかったのが不安である。今日の敗北は優勝争いには関係ない。早慶戦に勝てば優勝である。そう前向きに考えるべきだが、今日の試合を忘れていいわけではない。「今日の敗戦というのをどれだけ糧にできるかということが早慶戦での勝利に関わってくる」(佐藤旭)と語るように、今日のミスを早慶戦にうまくつなげてほしい。打線が点を取れれば早大に次ぐ防御率を誇る慶大の投手陣が粘ってくれるはずだ。歓喜の瞬間へ、宿敵早大との戦いが全てを決する。

 

【Keispo pick up】ピンチを見事に切り抜けた初神宮 石崎佑磨

全試合ブルペン待機が続いていた石崎がついに初登板

全試合ブルペン待機が続いていた石崎がついに初登板

6回裏、先制を許した直後にマウンドに上がり見事に後続を抑えた。神宮での初登板を「正直何も覚えてないですね」と語った石崎はマウンドに向かう姿から楽しさがにじみ出ていた。同じ4年生の瀧本から受けた「開き直ったほうがいいよ」というアドバイスの通り、自分のボールを全力で投げきっているようだった。石崎と瀧本、2人の“フレッシュな”4年生の力は早慶戦で必要不可欠になるはずだ。

 

(記事 松下聖)

 

 

◆打撃成績

   
[7] 佐藤旭 四球   右飛   四球   中飛  
1 瀧本                  
[3] 羽入田 内安          
3 齋藤     二ゴ   一ゴ     中飛  
[9] 谷田 右安     中安 空三振   空三振  
[5] 横尾 遊併打   左安   一邪飛   中飛
[8] 藤本知   空三振   空三振   空三振   空三振
[4] 竹内惇   二ゴ   四球   空三振   左安
R 梅野                  
[2] 小笠原   空三振   空三振      
H7 原田             投ゴ   見三振
[1] 加嶋   遊ゴ 空三振      
1 石崎                
H2 須藤           遊ゴ   右安
R 照屋                
[6] 山本泰     中安   空三振   中安   空三振
◆投手成績                               
  投球回数 打者数 球数 安打 三振 四死球 失点 自責
加嶋 5 2/3 24 75
石崎 1/3
瀧本 22
◆選手コメント

佐藤旭主将(商4)

(今日の試合を振り返って)点を取れるところで取れなかったということが敗因だったと思います。ピッチャーはよく粘ってくれましたけど打たないと勝てないので、チャンスにあと一本が出なかったなという風に感じます。(試合前の雰囲気などは)早慶戦前であるということはともかくとして、とにかく今日の試合を勝ちにこだわっていくという姿勢で臨めました。(1回戦で完封された澤田圭投手に対してチームとしての対策は)1戦目抑えられていてコントロールがいいピッチャーなので、とにかく積極的に振っていこうと言っていてチーム全員でそう思っていました。ただ歯車が合わなかったなと思います。(その中で2つの四球を選んだ)決して調子は良くないですけど、その中でチームへの貢献の仕方というのを考えてそのような選択肢を選んだというか、今日はとにかく塁に出るということを考えていました。この立教戦ではヒットが出なくてだめでしたけど、自分の中では今日の打席は収穫があるものだったかなと振り返っています。(早慶戦が優勝決定戦という形になったことについて)早慶戦で優勝をかけて戦えるということはすごく幸せなことですし、やっぱりここまで戦ってきて勝ってきたからこそ早慶戦で勝たないといけないと思います。たくさんのお客さんも入ってくれると思うので皆さんの前で優勝という瞬間を一緒に味わいたいなと思います。(早慶戦まで1週空くがチーム、個人としていかに過ごすか)今日の敗戦というのをどれだけ糧にできるかということが早慶戦での勝利に関わってくると思うので、今日のミスというか負けた理由をチームとしても個人としてもしっかりと考えて、この残り2週間をモチベーション高く、もう1回りも2回りもレベルアップできるようにやっていきたいです。個人としてはチームに貢献できず結果が出ていないので、早慶戦はチームを何とか勝利に導けるように調整していきたいなと思います。(早慶戦に向け意気込みを)勝ったほうが優勝なんで、勝つしかないので、今まで以上に気を引き締めて勝ちにこだわってやっていきたいです。

 

石崎佑磨(総4)

(今日の試合を振り返って)1点差だったので勝ちたかった、というのが率直な感想です。(ベンチスタートとなったがどのような心境で試合に臨んだか)毎試合そうなんですけど、自分の出番が来たら結果を残せるように、チームの勝利に貢献できるようにと、その準備だけはしてきたので、その気持ちで試合に臨みました。(ピンチの場面での登板となったが)初登板で緊張したんですけど、とにかく思い切ってやろうと。開き直った状態でしたマウンドに上がる前に瀧本からも、開き直ったほうがいいよと言われたので、それを参考にしたわけではないですけど、そういった感じでマウンドに上がりました。(神宮のマウンドの感触は)正直何も覚えてないですね(笑)緊張していたのか、集中していた部分があったのかな、と思います。やっぱり、気持ちよかったですね。(監督からなにか言われたか)特に何も言われませんでした。準備だけはしておくように、といわれているので、その意識だけは毎試合持って臨んでいます。(先発の加嶋投手)結果的に点を取られてしまったんですけど、最少失点に抑えた部分は流石だな、と思いました。(早慶戦に向けて)とにかく、チームとして勝ち点を取って優勝することが目標なので、その力に少しでもなれたらな、と思います。

 

瀧本健太朗(商4)

 (今日の試合を振り返って)今日は、競っていたので、最後何とかして打線が頑張ってくれると思って僕は投げたんですけど、うまくいきませんでした。(自身の調子は)調子自体は非常に良くて、立教戦からベンチに入れてもらっているので、そこでしっかり結果を出して、早慶戦に投げれるように頑張ります。(早慶戦に向けて)早慶戦が優勝決定戦、勝負の早慶戦になると思うので、そこでしっかり自分のメンタルを作って相手のバッターと勝負できるように、自分自身ではなく相手のバッターと勝負できるように頑張りたいと思います。

 

竹内惇(商4)

 (今日の試合を振り返って)序盤の僕のミスで慶應のムードを良い形にできなかったというのは申し訳ないという気持ちです。(9回のヒットについて)1本打てて良かったです。(チームの雰囲気は)全然悪くないと思うのですが、この2週間で早慶戦に向けて良い雰囲気にしていけたら良いなと思います。(早慶戦に向けて)勝ち点とれるように、あと2週間あるので、しっかりまた練習して早慶戦で勝って優勝したいですね。

 

加嶋宏毅(商3)

(今日の試合を振り返って)自分のピッチングとしてはまぁまぁ良かったんですけど、勝つための投球というのができてなかったし、攻撃につなげられなかったので、そこはもっとポンポン投げられたらなと思います。(勝つための投球というのは)やっぱりテンポよく3人で抑えていくことですね。今日はそういう投球じゃなかったで。(相手打線の2巡目以降はすんなりいった印象だったが)そうですね、特に変化があったわけじゃないんですけど、丁寧に投げていこうと意識していました。(第1戦は悔しい投球だったが、どのように切り替えたか)絶対リベンジしようと、それだけを思って投げていました。(早慶戦への調整法は)いつものリーグ戦と変わらず、2週間空きますけど、全然気持ちを切らさずに、優勝できるように頑張ります。(最後に意気込みを)頑張ります。

 

谷田成吾(商3)

(今日の試合を振り返って)ピッチャーが踏ん張ってくれたのにチャンスで1本打てなかったのが悔しいです。(チームとして澤田投手を打ち崩せなかったがその原因は)チャンスはいくつか作れていたのですが、あと1本が出なかったことだと思います。全体的に真っ直ぐに振り遅れていて、次は有原さんで真っ直ぐが速いピッチャーなのでそこに向けて速い球を打てるよう準備する必要があると思いました。(第一戦のあとには澤田投手の制球に対して警戒しているとのことだったが今日の澤田投手は)今日は変化球も真っ直ぐも最初はあまり良くなくて荒れてるなという印象だったんですけど、終盤は力で押すピッチングに押されたなという印象です。(となると序盤の好機で決めきれなかったのが敗因か)そうですね、はい。(途中相手の牽制が頭に当たる場面もあったが)特に痛みはないので大丈夫です。(チームが少し調子を落としているものの、2安打に好守備と好調を維持しているように見えるが)バッティングの調子は悪くないですけど、ちょっと今日は3打席目4打席目と真っ直ぐに振り遅れていてそれにやられてしまったので、有原さんはもっと速い150キロ近い球を投げてくるので、それに振り負けないように練習をするべきだと思います。(ついに残すも早慶戦のみとなったが)勝ち点を取った方が優勝で分かりやすくて良いなと思うので、しっかり勝って優勝したいです。

 

山本泰寛(総3)

(今日の試合を振り返って)打者陣が打てなかったので、それが本当に(敗戦の)要因でした。(今季初めて9番での起用だったが)結果が出ていなかったので、仕方ないなという感じです。(2安打を記録。どちらも初球打ちでクリーンヒットだったが手応えは)悔いのないように思い切りフルスイングで打ったのが結果につながったかなと思います。(調子を取り戻してきた感覚はあったか)だんだんピッチャーの感じなどが分かってきたので、じょじょにですけれど、調子は上がってきたかなと思います。(一昨日に続き敗戦を喫した澤田圭投手の印象は)コントロールがいいので、そこで僕たちが隙をついていけなかったという感じです。(早慶戦への抱負)早慶戦に勝たないと優勝はないので、また新たな気持ちで一戦一戦大事に戦って、自分の持ち味を出していけたらなと思います。

 

横尾俊建(総3)

(試合を終えて)早慶戦に向けて準備していくだけです。(澤田投手の投球は)1本打てて良かったです。(早慶戦に向けて打撃の調子は)良い感じに上がってきてます。有原投手から打ちたいです。(高校時代同級生だった鈴木選手について)捕手なんでリードという面ですごくやり辛いです。(早慶戦に向けて)優勝がかかっていて、ここまで来たら優勝したいので総力戦で勝ちたいです。

 

須藤隆成(環2)

 (今日をふりかえって)最初のチャンスをものにできなくて、全体的に流れが来そうで来なかった、流れを取りきれなかったのが敗因だと思います(7回に代打で出場、いい当たりだったが惜しくも遊撃ゴロ)初球はまっすぐだけ狙っていたので、形的にはよかった。結果として(ヒットが)出なかったのはいいとして自分の中ではいい当たりだったと思います(9回は2アウトから神宮初ヒット)2ストライク追い込まれたのでまっすぐにも変化球にも対応できるよう、三振だけは避けたいと思ってました。インコース気味に来ましたがそれに上手く反応できました。(球種は)まっすぐです。(厳しいポジション争いについて)小笠原さんが調子いいので簡単にはレギュラー取れないですけど、いつでもいける準備はしています。(早慶戦にむけて)早慶戦は個人的なことも大事だが、チームとして優勝したいので自分のできることをやりたいと思います

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