【野球】春季リーグ戦開幕前特集 ②谷田成吾外野手

開幕前特集第2回は谷田成吾(商4)。昨年、周囲の期待通り慶大の枠を超え、六大学を代表するスラッガーへと成長を遂げた。春秋連覇という大きな目標に向け、谷田のバットがカギを握っているのは間違いない。現役選手最多の9本塁打を放っている主砲に、大学ラストイヤーに懸ける意気込みを伺った。

谷田

現在オープン戦が続いていますが、ご自身の打撃の状態はいかがですか

まだ万全ではないですけど、リーグ戦に向けて順調に仕上がってきていると思います。

―チーム全体の状態はどうですか

僕自身もそうなんですが、最初はキャンプの練習の成果が出てチームでも個人としても調子は良かったんです。ただ試合では負ける日もありますし、僕自身のバッティングも若干下降気味なので、ただずっと調子がいいことはないですしこれも悪い事とは思っていません。開幕に向けてここから上げていけば、ちょうどチームとして上がってきた時に開幕を迎えられるんじゃないかなと思っています。

―谷田選手自身がキャンプから継続して取り組んでいることはなんですか

スイングを安定させることが僕の目標の一つではあるので、しっかりバットを振って数をこなして調子を上げていくことを意識しています。

―その成果はいかがですか

力強さは出てきましたし逆方向のホームランもすごく増えているので、それだけが全てではないですが徐々に成果が表れているなと思います。

―昨季の成績は打率.319、本塁打3本、8打点でしたが、その数字についての評価はどうですか

納得する成績ではないですけど、年間通して3割打てた(2014年春の打率は.320)のは最低限のラインはクリアできたのかなと思います。でも自分がやれると思っているところにはまだ到底及んでいないので、その目標を達成するために今は練習を積んでいる段階です。

―その目標とは昨年におっしゃっていた4割、5本、20打点のことですか

そうですね…。高い目標ではありますが春か秋のどちらかでその目標を達成したいなとは思っていました。それは出来なかったですけど、常に目標に置いている数字ではあります。

―昨季チームは4位でした。早慶戦まで優勝の可能性が残っていながら4位になってしまったのは、何が足りなかったからだと思いますか

やっぱり実力が足りなかったのが第一だと思います。最後大事なところで勝ちきれなかったです。それが実力通りといえばそうですね。

―優勝した春との違いは何か感じましたか

春はチームとしても勢いがありましたし、ずっと連勝で来ていたのでそのまま勢いで優勝までいきました。でも秋はそうもいかなくて負ける試合もありましたし、その中で粘り強く戦ってはいたと思いますが、最後の一番優勝の為に必要な試合で勝つことができなかったです。それも相手も絶対勝ちたいと思っていたわけで、それを上回れなかったと思います。

―秋に印象に残った試合はありますか

個人的には負けて優勝がなくなった早慶戦の1戦目が印象に残っています。最後すごくいい場面までいって粘り強く戦って、あそこまでいって勝てなかったので。そこで何が足りなかったのかを考えました。

―その点では谷田選手が自身の打撃面以外に、例えば他の選手に働きかけてアドバイスをしたりということもありますか

それはずっとやってきています。聞かれたらなんでも答えますし僕が他の選手に聞くこともあるので。チームの雰囲気としてそういったのは昔からあります。自分では分からないことも多いので、「見てもらってどう?」というのは今後も継続してやっていきたいです。

谷田3

―4年生になって野球をやるうえでの心境の変化はありましたか

そうですね。最終学年というのもありますし大学野球最後の年でもあるので。意気込みというか「やってやろう」という気持ちは強いです。

―長くクリーンアップを共に組んでいる横尾俊建(総4)選手の主将としての姿は今までどう写っていますか

すごくリーダーシップを張ってやってくれていますし、内野をまとめてとてもよくやってくれていると思います。

―副将の山本泰寛(環4)選手も内野手ですが、現在の外野のスタメンで昨季から外野を続けているのは谷田選手だけになると思います。他の選手にどのように声をかけていますか

練習の面では僕がちゃんと中心になってやっていこうと思っています。声をかけあって、どんな練習をやろう、外野としてこんなテーマを持ってやっていこうというのを強調しています。試合では、齋藤(大輝・商3)も去年1年間だけファーストでそれまではずっと外野をやっていたので外野ができないわけではないですし、梅野(魁土・環4)も僕より守備範囲が広くて実際僕より守備は上だと思っているので。その面では3人で話し合いながら試合でどのようにやっていくかは常に考えています。僕が声をかけるというよりは、みんなで話し合ってやろうということです。

―新しく監督さんが代わって、チームに生まれた変化はありますか

前まで厳しさがなかったわけではないですが、全力疾走だとか隙のない試合をしようだとかその厳しさを求めて話をして下さっています。それに応えるためにもみんなが全力疾走をやっているので、そういった変化はチームに生まれたと思います。

―谷田選手自身が監督さんと直接話し合って受けた刺激はなんですか

プロでやってこられた方ですしそういった話を個人的にすごく聞かせていただいたりだとか、これからの僕に必要で足りないものをアドバイスしてくださるのでそういうのはすごく助かっています。

―3月は大学日本代表候補の合宿に参加していましたが、代表のやり方やチームメイトには慣れてきましたか

去年とあまり変わる面子ではなかったですしみんな昔から知っている選手が多いので、元から慣れていなくはなかったですが、みんなで話しながら、それでも選考会なので切磋琢磨しながらやっています。

―選考会で「選抜される」という点で少しどういう雰囲気か興味があるのですが…

いや、特にピリピリしてギスギスした感じはないですよ。みんな自分の持てる力を出してあと選ぶのは監督さんなので、みんなこのメンバーで野球をやれることを楽しんでかつ自分の結果を出すことに集中してやっていました。

―慶大との練習試合ではご自身の出場はなかったですが、ベンチからどんな気持ちで見ていましたか

すごくいいチームだなと思っていました。代表に勝ってしまいましたし、どんどん振っていってフルスイングをするのがうちのチームの魅力だと思うのでそれがすごく出ていました。「外から見るとこういうチームなんだな」と、すごくいいチームでした。

―他大の選手には慶大が勝ったことについて何か言われましたか

「みんなすごい振ってくるな」みたいな話はされました。

―その後のJX-ENEOSとの練習試合では代表候補チーム唯一の本塁打を打ちましたが、代表でも求められているのは長打力になりますか

んー、それもありますけどやっぱり確率も大切なので。ほかの打席がいただけなかったなというのはすごく感じています。ただ僕の魅力の一つでもあるのでしっかりホームランを打てたのは良かったです。

―7月のユニバーシアードに向けては何か考えていますか

そこに向けてというよりかはやっぱり春のリーグ戦が大事になってくるので、そこに向けてしっかりやっていった後にそこから考えたいなと思っています。いま先のことを考えても仕方ないので、まずは明日のオープン戦、そこからリーグ戦に向けてどうやって調整するか、そして1カードが終わればその次のカードと一つ一つクリアしていきたいです。まだ先のことは考えていないですね。

谷田2

―では春のリーグ戦、目標をお願いします

目標は日本一です。そのためにはリーグ戦で優勝しないといけないですし、大久保監督も全勝優勝とおっしゃられているのでそれを目標に頑張っていきたいです。個人的にもそのためには活躍しないといけないので、自分の持てる力をしっかり出して自分の出せる最高の結果を出したいなと思います。

―今年は学生野球の最終年、目標とされてきたプロの世界が近づいていますが現時点でご自身の率直な評価はいかがですか

まだまだ全然、去年ちょっと活躍しただけなので。自分が評価できるわけではないですし、評価するのは周囲の方なので自分のできることをしっかりやるしかないと思います。自信を持ってプロの世界に飛び込んでいけるようにまずは自分の実力を上げて、ということしか考えていません。

―しばしば「ヨシノブ2世」と評されていますが、そのことについてはどのように受け止めていますか

そうですね、すごく光栄に思いますしすごく嬉しいことではありますけど、でもまだ到底そのように呼んでもらえるのに相応しいとは思っていませんしそのレベルに達していないと思っています。そこの溝を埋めていけるように、自信を持ってそう呼んでもらえるように活躍して結果を残していきたいです。

―その高橋由伸選手が今年のオフに慶大グラウンドで自主トレをされている映像を見たのですが、何か接触はされましたか

はい。挨拶をしましたし、少しお話もさせていただきました。

―どのような内容の話をされたか、教えてくださいますか

「まあ頑張って」っていう、そんな感じの内容です。

―同じくプロを目標に公言している横尾選手の存在はご自身にとっていかがですか

僕と2人で一生懸命リーグ戦ではチームを引っ張ってやってきたつもりですし、そのことは今後も変わらないと思います。僕がだめでも横尾が打ってくれるので、そのことで僕も安心してバッターボックスに立てます。横尾を助けられるように、主将として大変だと思うので…。でもお互いに自分の力を出すことしか考えていないと思うので、その自分の役割を果たせるように頑張っていきます。

―同じ左の外野手である明大の髙山選手に注目が集まっていますが、ほかにも法大の畔上選手など他大のライバルについてはどのように意識していますか

今までの成績を見て勝っているとは思っていないですし、今年は負けたくないという思いは強いです。でも同じ左の外野手ですけどちょっとタイプは違うと思うので、自分の持ち味を出しつつヒットでもホームランでも負けたくないなという思いを持ってやっています。

―逆に投手で警戒している投手、意識している投手はいますか

そうですね、みんな打ちたいですけど…。やっぱり明治が毎年強いので、そこに勝つには上原投手を倒さないといけないと思っています。そこはしっかり打ちたいですね。

―慶大は昨年立大に苦しんだ印象があるのですが、澤田投手をはじめとした立大の投手陣の印象はいかがですか

澤田投手はリーグ戦で3点より多く取られていないみたいなので、ロースコアでの戦いになると思います。必ず勝つというにはすごく難しいと感じています。それに去年けがで出ていなかった齋藤投手が治って元気にやっているみたいなので、どんどん手強くなってくるなという印象はあります。

―ところで慶大にはいま谷田選手一押しの選手はいますか

一押し…。梅野じゃないですか? いまレギュラーになって自分の持ち味を発揮してやっているので。梅野が機動力を発揮してどんどん活躍してくれるとチャンスで回ってくることも多くなりますし、守備の面でもすごく助かっていますし活躍してくれるといいですね。

―最後に今年一年どのような年にされたいか教えてください

大学野球最後の年で、慶應で高校からやってきて最後7年目の集大成の年なので自信を持って卒業できるように、集大成を見せられるようにしっかり頑張っていきたいと思っています。

 

―お忙しい中、ありがとうございました!

取材:砂川昌輝

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