【野球】9年ぶりの東大戦敗北。慶大まさかの開幕戦黒星スタート 東大①

9月16日(土)東京六大学秋季リーグ戦 東大1回戦

初先発でタイムリーも放った中村

衝撃的な敗戦だった。2008年秋季以来連勝してきた東大を相手に、試合開始前から誰もが開幕戦を勝利で飾るだろうと確信していた。しかし、慶大先発の髙橋佑樹(環2)が初回から味方の失策をきっかけに東大打線に捕まってしまう。対する慶大も3回に中村健人(環2)と柳町達(商2)の適時打で一時は1点差まで追い上げたが、東大先発の宮台投手を前に勝負所で力を発揮することができず、終始リードを許したまま完全敗北を喫した。

 

東大

慶大

 

東大:○宮台―三鍋

慶大:●髙橋佑、関根、佐藤、川端、菊地―郡司

 

東大:新堀1号ソロ(6回)

 

◆慶大出場選手

 

ポジション

選手名(学部学年・出身高校)

[9]

中村健人(総2・中京大中京)

[5]

瀬尾翼(理4・早稲田佐賀)

[8]

柳町達(商2・慶應義塾)

[7]

岩見雅紀(総4・比叡山)

[2]

郡司裕也(環2・仙台育英)

[3]

清水翔太(総4・桐蔭学園)

[4]

倉田直幸(法4・浜松西)

[6]

照屋塁(環4・沖縄尚学)

[1]

髙橋佑樹(環2・川越東)

 

関根智輝(環1・城東)

 

佐藤宏樹(環1・大館鳳鳴)

 

H

明渡稜(政4・桐蔭)

 

川端康司(政4・慶應志木)

 

H

小原和樹(環2・盛岡三)

 

昨季は惜しくも優勝を逃し、2位に終わった慶大。今季初戦の先発は自身初の開幕投手となる髙橋佑。しかし立ち上がりから安定せず、本来のピッチングができない。先頭打者を味方の失策で出塁させてしまったことをきっかけに初回から1死一、三塁のピンチを招くと、ライトに犠飛を放たれ先制点を献上してしまう。また、2回にも四球で先頭打者の出塁を許す。続く打者の犠打失敗に助けられはしたものの、その後連打を浴びるなどしてさらに2点を追加されてしまった。

 

2つの盗塁を決めた照屋

東大先発の宮台を前になんとしても反撃したい慶大打線は3回、照屋塁(環4)が死球を受けて出塁すると、その後見事に盗塁を決める。次の髙橋佑も四球を選んで2者連続出塁を果たすと、続く中村への初球の間にもさらに照屋が三盗を成功させ、1死一、三塁とチャンスを作る。積極的な走塁でチームを引っ張る主将に呼応するように中村もセンターへの適時二塁打を放ち、慶大に待望の1点目が入る。3番の柳町にもレフトへの適時打が出るなど慶大はこの回に2点を奪い、東大にあと1点差まで迫った。

しかし5回、髙橋佑が東大のテンポの良い攻撃に再び捕まり1点を奪われると、2死一、二塁とされたところで降板。粘り強い東大打線に苦しみながらも4回2/3で95球を投げた。ピンチの中、次にマウンドに上がったのは、春季で開幕投手を務めた関根智輝(環1)。最初の打者にストレートの四球で出塁を許してしまったものの、続く打者を右飛に打ち取りこの回を終える。

打たれた打球を見送る髙橋佑

しかし6回、1番打者の新堀に投じた初球はレフトスタンドに吸い込まれ、この本塁打によって点差を3点まで広げられてしまった。7回に登板した佐藤宏樹(環1)は2者連続三振を含む三者凡退。8回にリーグ戦初登板を果たした川端康司(政4)も走者を出さない安定したピッチングを披露し、共に存在感を見せつけた。9回一死からはエースナンバーを背負う菊地恭志郎(政3)が登場し、打者2人を遊ゴロに打ち取った。

逆転するために1点ずつでも返していきたい慶大打線だったが、4回以降も毎回走者を出してはいたものの、勝負所でのあと1本が出せないまま試合終了。優勝しか見えていない慶大にとって、手痛い敗戦となってしまった。

初戦を終えて課題も多く見受けられたが、リーグ戦初スタメンを果たした中村が5打数3安打の活躍を見せるなど、明るい材料もある。「今日の敗戦をあとで振り返って笑いながら話せる日が来ることを信じて頑張ってほしい」と大久保監督が話すように、チーム全体でこの負けを乗り越え、次に向けて切り替えていかなければならない。リーグ戦はこの先も続く。悲願の天皇杯奪還へ、慶大の秋はまだ始まったばかりだ。

 

記事:川下 侑美

 

 

◆打撃成績

  

[9]

中村

右飛

 

中2①

 

中飛

 

左安

 

右安

[5]

瀬尾

捕邪飛

 

二ゴロ

 

四球

 

左飛

 

四球

[8]

柳町

左飛

 

左安①

 

遊直

  

二安

一ゴロ

[7]

岩見

 

右飛

三ゴロ

  

左安

 

一飛

 

[2]

郡司

 

遊ゴロ

 

三直

 

二飛

 

遊飛

 

[3]

清水翔

 

三ゴロ

 

中安

 

右飛

 

遊安

 

[4]

倉田

  

二ゴロ

遊併

 

空三振

 

三直

 

[6]

照屋

  

死球

 

三失

 

遊失

 

右飛

[1]

髙橋佑

  

四球

      

関根

    

投犠

    

佐藤

         

明渡

      

三併

  

川端

         

菊地

         

H

小原和

        

遊ゴロ

 

 

 

◆投手成績

 

打者

球数

安打

三振

四死球

失点

自責

髙橋佑

42/3

24

95

 

関根

11/3

28

 

佐藤

11

 

川端

11/3

17

 

菊地

 2/3

 

 

◆監督・選手コメント

 

大久保秀昭監督

(今日の試合を振り返って)ほぼ良い所がないですね。僕自身、現役の頃を含めて初めて東大に負けましたが、やはり悔しいです。(今季の初戦でしたが)開幕戦は特別な雰囲気がありますね。どのような展開になったとしても最後まで全力でプレーする、ということを選手たちは実行してくれたので、彼らを責める気はありません。ですが、初回からエラーが出たり、簡単に点を取られたり、我慢してほしい所で踏ん張りきれなかったりと残念な所が多かったです。(投手陣については)期待して試合に出している部分もあったので、もう少しゲームを作ってほしいなという所はありましたね。ただ、川端や佐藤はよく凌いでくれたなと思います。(川端投手は最初から回跨ぎでの登板予定だったのですか)点差が縮まるようでしたら、また別の継投になっていました。(照屋選手が盗塁を2つ決めましたが)結果的に勝ちに結びつかなかったので、あまり良くはないですね。(監督からの指示だったのでしょうか)いえ、あれは選手自身の判断です。(打撃については)宮台くんを崩しきれなかったということでしょう。(その中でも初のスタメン起用となった中村選手は5打数3安打の活躍でしたが)調子が良い中で彼にチャンスが回ってきて、きちんと仕事をしてくれました。あとは、それ以外の4年生を含めたリーグ戦経験者の野手たちに頑張ってほしいなと思います。投手陣は若いので、このような試合展開になるのは致し方ないと思います。(月曜日には宮台投手が再び登板する可能性もありますが)今日と同じようにならないように、攻略しなければいけないなと思います。(次の試合に向けて)今日の敗戦をあとで振り返って笑いながら話せる日が来ることを信じて頑張ってほしいと思います。

 

照屋塁主将(環4)

(今日の試合を振り返って)攻撃も守備も噛み合わなかったかなという感じです。(開幕戦独特の硬さはありましたか)硬さというのは無かったと思いますが、やはり僕らにとっての初戦の入りの難しさがあったと思います。相手の方が一枚上手でした。(2度盗塁を決めました)行けたら行こうと思ってました。(ここからの巻き返しに向けて一言お願いします)まだ一敗しただけなので、ここから全勝するつもりでまた明日から挑んでいきたいと思います。

 

川端康司(政4)

(リーグ戦初出場でした)オープン戦から投げる機会をたくさん頂いていたので、リーグ戦でも変わらず一球一球丁寧にいこうと思っていました。負けていたので一人もランナーを出さないように、集中して投げました。(8、9回とまたぎの登板でした)「準備しとけ」と言われていたので、そのまま行きました。(投手に転向されたのはいつですか)三年の秋からです。(きっかけは)打撃投手などでコントロールが良かったので、助監督から「やってみないか」と声をかけていただきました。(今日の反省点は)先に点を取られて悪い流れが続いたので、なんとか明日は気持ちを切り替えて、いい流れを作る働きができるように今後も頑張りたいです。

 

中村健人(環2)

(秋季リーグ初戦、試合に入る心境は)何でもそうですけど、入り、ということで、今年のチームとしても「1」というのを大切にしてやってきたので、勢いをつけたい所だったのですが、僕の入りも悪かったですし、チームとしても初回も守り切れずにという形で、悔しい思いです。(試合全体を振り返って)粘りたい所でホームランが出てしまったり、なかなか投打をかみ合わせることができませんでした。(リーグ戦では初のスタメン、感想は)普段出ていない僕がなんとか勢いをつけられたらなと思って入ったのですが。また明日、頑張りたいなと思います。(今日は3回のタイムリーツーベースを含む3安打)あそこもちょっと点差が離れて、1点欲しい所で、来たストライクにいいスイングを入れるということだけに集中して立ったので、いい結果が出てくれて良かったです。(次の試合に向けて)負けられないことは変わらないので、優勝を目指して頑張りたいと思います。

 

佐藤宏樹(環1)

(今日の試合をチームとして振り返って)打てなかったというよりは、ピッチャーが点を取られたくない場面で取られてしまったと思います。1点差に詰め寄った後にまた1点を追加されたり、ホームランを打たれたりして、最後まで粘りきれずに負けてしまいました。(自身のピッチングを振り返って)あまり調子は良くなかったんですけど、絶対に点をやれないという思いと自分が流れを変えるという思いでやって、抑えられて良かったです。(三振も2つ奪いましたが)狙って、思い切り投げて三振が取れたんですけど、気持ちで勝ったという感じです。(開幕前は変化球も使えるようになりたいと話していましたが、変化球の手応えは)バッターがきついカウントで変化球でストライクを取って、そこから決め球の真っ直ぐで三振を取れたのは、組み立てという部分でもこれからに繋がるかなと思います。(明日以降に向けて)今日負けてしまって、あとは1試合も落とせないという状況なので、一戦一戦を貪欲に戦っていきたいと思います。

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