9月26日(火)東京六大学秋季リーグ戦 法大4回戦
届かない。あと1本、あと一球、あと10㌢。勝ち点をかけた運命の火曜決戦は、痛恨の逆転負け。郡司裕也(環2)、岩見雅紀(総4)、明渡稜(政4)に本塁打が飛び出すも、投手陣が粘りきれなかった。4点を追う最終回に一点差まで詰め寄るも、あと1本が出ず惜敗。自力優勝消滅。もう後がない。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
慶大 | 0 | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 6 |
法大 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 3 | 1 | 0 | × | 7 |
慶大:津留﨑、●石井、佐藤、髙橋亮―郡司
法大:長谷川、〇菅野、熊谷―中村浩
慶大:郡司2号ソロ(3回)、岩見4号2ラン(4回)、明渡1号2ラン(9回)
◆慶大出場選手
ポジション | 選手名(学部学年・出身高校) | |
1 | [9] | 天野康大(環4・智辯和歌山) |
2 | [5] | 瀬尾翼(理4・早稲田佐賀) |
3 | [8] | 柳町達(商2・慶應義塾) |
4 | [7] | 岩見雅紀(総4・比叡山) |
5 | [3] | 清水翔太(総4・桐蔭学園) |
6 | [4] | 倉田直幸(法4・浜松西) |
7 | [2] | 郡司裕也(環2・仙台育英) |
8 | [6] | 照屋塁(環4・沖縄尚学) |
H | 明渡稜(政4・桐蔭) | |
9 | [1] | 津留﨑大成(商2・慶應義塾) |
1 | 石井雄也(商2・慶應志木) | |
H | 植田清太(総3・慶應義塾) | |
1 | 佐藤宏樹(環1・大館鳳鳴) | |
1 | 髙橋亮吾(総2・慶應湘南藤沢) | |
H | 中村健人(環2・中京大中京) | |
R | 小原徳仁(文4・慶應義塾) |
1勝1敗1分で迎えた第4戦。慶大の先発マウンドには、今季2勝目を狙う津留﨑大成(商2)が上がった。その津留﨑は立ち上がりからエンジン全開。140㌔中盤の直球と自慢の変化球で、力ないフライの山を築く。3回までに許した走者は一人だけ。わずか31球で3つの「0」を並べた。
テンポの良い津留﨑の投球に慶大打線も呼応する。3回、女房役の郡司が法大長谷川のカーブを捉えレフトへ大飛球を放つ。滞空時間の長い打球は風に乗ってそのままスタンドイン。郡司の2試合連続アーチで幸先よく先手を取った。勢いそのまま続く4回、柳町達(商2)が7球粘り四球を選ぶと、打席には対長谷川3ホーマーと相性抜群の岩見。その3球目、外角低めの直球を無理せず流し右方向へ。ぐんぐん伸びる岩見の打球は、右翼スタンド中段まで届いた。主砲の3試合連続となる通算18号で、試合の流れを呼び込んだかのように思えた。
しかしその裏、先頭相馬の左中間への鋭い打球を名手柳町が取り損ねると、この一打が風雲急を告げる。好投を見せていた津留﨑の球が荒れ始めた。失策が絡み、満塁のピンチを招くと、7番川口の打球は右翼手後方への飛球。これを天野康大(環4)があと少し届かず、走者一掃の同点適時三塁打に。大久保監督がマウンドへ行くも立ち直れず、そこから連続四球を与え再び満塁のピンチ。たまらず投手交代。このピンチで2番手石井雄也(商2)が見事な火消し。逆転は許さなかった。
悪い流れが断ち切れない。昨日のように勝ち越したい慶大だったが、法大2番手菅野の前にチャンスが作れず、流れは完全に法大ペース。6回、先頭毛利にヒットを許すと、続く川口の打球はまたしても嫌なところに飛ぶ。左翼手前方に飛んだ打球は岩見のグラブに収まりかけたが、こぼれ落ち二塁打に。この後、死球と犠牲フライで1点を失い、なおも1死一、二塁。現在、首位打者船曳の打球は高い弾道を描きバックスクリーン手前へ。この打球に柳町は追いつくも捕球をすることができず、2人の走者を帰してしまった。石井、痛恨の3失点。
7回のマウンドに上がったのは、速球派左腕・佐藤宏樹(環1)。最速145㌔の直球で2つの三振を奪うも、2本のヒットであっさり失点。1イニングもたず、髙橋亮吾(総2)にスイッチ。高橋亮は4連投も何のその。ポーカーフェイスで抑え込む。
すると9回、慶大打線が意地を見せる。1死から清水翔太(総4)、倉田直幸(法4)の連打で1点を返し、菅野をマウンドから引きずり下ろした。押せ押せムードの慶大だが、続く郡司が空振り三振に倒れ2死に。ため息交じる3塁側。ここで登場したのは副将明渡。バッティングカウントで迎えた3球目。高めの真っ直ぐを完璧に捉えた打球は、打った瞬間それと分かる本塁打。スタンドに歓喜の渦を呼び込んだ。しかしまだ一点ビハインド、2死。諦めない慶大打線は、さらなる粘りを見せる。代打中村健人(総2)、1番天野の連打で一打逆転のチャンスを演出。ここで迎えるは昨日のヒーロー瀬尾翼(理4)。しかし、ここは三球三振。あと一歩届かなった。
最終回に見せた猛攻は、「慶應のユニフォームを身にまとうプライド」そのものだ。適時打を放った倉田、本塁打を打った明渡は2人とも二浪。4番岩見、主将照屋も一浪して慶大へ。みんな神宮に輝くグレーのユニフォームに憧れてやってきた。優勝争いからは一歩後退した慶大。だけど、今の4年生ならこの逆境をはねのけてくれるに違いない。
記事:若林 晃平
◆打撃成績
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | ||
[9] | 天野 | 一ゴロ | 死球 | 左安 | 一ゴロ | 遊安 | ||||
[5] | 瀬尾 | 中飛 | 三ゴロ | 空三振 | 右飛 | 空三振 | ||||
[8] | 柳町 | 二ゴロ | 四球 |
| 空三振 | 遊ゴロ | ||||
[7] | 岩見 | 右飛 | 右本② |
| 左飛 | 空三振 | ||||
[3] | 清水翔 | 二ゴロ | 三ゴロ | 中安 | 右3 | |||||
[4] | 倉田 | 三ゴロ | 左安 | 遊飛 | 中安① | |||||
[2] | 郡司 | 左本① | 遊併 | 遊ゴロ | 空三振 | |||||
[6] | 照屋 | 見三振 | 空三振 | 左飛 | ||||||
H | 明渡 |
| 左本② | |||||||
[1] | 津留﨑 | 三ゴロ | ||||||||
1 | 石井 | 投ゴロ | ||||||||
H | 植田清 | 中飛 | ||||||||
1 | 佐藤 | |||||||||
1 | 髙橋亮 | |||||||||
H | 中村 | 中安 | ||||||||
R | 小原徳 |
◆投手成績
回 | 打者 | 球数 | 安打 | 三振 | 四死球 | 失点 | 自責 | ||
津留﨑 | 32/3 | 18 | 62 | 3 | 2 | 3 | 3 | 0 | |
石井 | 21/3 | 12 | 31 | 4 | 1 | 1 | 3 | 3 | |
佐藤 | 2/3 | 4 | 22 | 2 | 2 | 0 | 1 | 1 | |
髙橋亮 | 11/3 | 4 | 13 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 |
◆監督・選手コメント
大久保秀昭監督
(今日も本塁打が3本飛び出しました。打撃陣の調子は)よく粘ってくれました。監督の責任です。(最終回、追い上げを見せました)気持ちを出して、最後まで全力で、戦ってくれました。慶應のユニフォームを着る重み・プライドを法大戦の前にキーワードとして強く伝えて、それに応えてくれた。結果として勝ち点を落としたというのが非常に悔しいです。申し訳ないです。(岩見選手、郡司選手の調子は)打つ方に関しては、力を持っている選手なので、この状態を最後まで続けてほしいですね。(投手陣は)もうちょっと僕がうまくやれなかったのが悪いです。ピッチャーは目の前の1個のアウトを頑張って取りにいってくれている。(今日は外野守備で惜しいシーンがいくつかあった)打ち取ったと思った打球だったので、ポジショニングも含めて僕の責任です。(次のカードに向けて)優勝争いはどうなるかわからないですけど、そこを争っている2チームとの対戦を残しているので、きっちりと勝ち点を奪い取って早慶戦につなげたいと思います。
明渡稜(政4)
(今日の試合を振り返って)先制してよい雰囲気だったのですが、相手も強くてこのまま勝てるとは思っていなかったです。やはり相手の力があって、ビッグイニングを作られてしまったので、追いつけなかったのかなと思います。(チームとしての課題は)取られるのが1点1点という形なら食らいつくことができるけれど、ビッグイニングを作られると難しいのかなと思います。点を取られてもできるだけ少なく抑えたり、点を取ってももう1点もう1点というように点を取っていったりすることだと思います。(最終回には2ランを打ちました。バッティングの調子は)ここまできたら調子は関係なく、気持ちだけでいかなあかんと思うし、最後のシーズンで代打なので、代打がある試合もあればない試合もあって、一打席一打席人生最後の打席という気持ちで打つようにしています。(次の明大戦に向けて)最終回の攻撃を見てもチームの雰囲気は悪くないので、下を向くことなく、課題は分かっているので、またしっかり頑張っていきます。
天野康大(環4)
(今日の試合を振り返って)なんとかものにしたかった、なんとか勝ちたかったという気持ちが強いです。(勝ち切れなかった要因は)要因というよりは、あと少しの差がどこかにあってそれが出てしまったかなと思います。(チームとしての課題は)簡単には勝たせてもらえないので、投手をカバーできるようにしっかり点を取らないといけないなと思います。(明大戦に向けて)もう勝ち点は落とせないので、今日のことは切り替えて、しっかり次に向かっていきたいと思います。
岩見雅紀(総4)
(今日の試合を振り返って)ダメでした。(本塁打の打席は)打ててよかったと思います。(4試合連続本塁打の記録については)勝たなければ意味がないので、どうでもいいです。(次の試合に向けて)勝ち点を取るだけです。
倉田直幸(法4)
(今日の試合を振り返って)悔しいです。(ご自身はマルチ安打の活躍でした)結果的に見れば良くも悪くもなかったです。(9回の打席を振り返って)後ろに繋げるために、何とかして塁に出ようと思って振り切りました。(勝ちきれなかった要因は何でしょう)法政の方がうちより少しチャンスで強かったと思います。(次戦に向けて一言)次は空き週なので、残りは全部勝てるように練習頑張っていきたいと思います。
郡司裕也(環2)
(今日の試合を振り返って)できることはやったと思うので、悔しいの一言に尽きます。(守備では、犠打を阻止した場面も見られましたが)守備に関しては、そのように防げるところは防げた部分もありましたが、外野のミスなどもあったので、良いところもあったし悪いところもあったという感じです。(打撃でも、昨日に続いて本塁打が飛び出しましたが)打てたことは良かったですが、最後の打席でもヒットを打ちたかったなという悔しい気持ちの方が強いです。(次の試合に向けて)負けた試合はもう帰ってこないので、次の明治戦に向けて切り替えていきたいと思います。