【野球】土壇場からの逆転劇。総力戦で激戦を制す 立大①

10月15日(土)東京六大学秋季リーグ戦 立大1回戦

勝ち越しの四球を見極めた倉田

優勝に向けて、ひとつの取りこぼしも許されない慶大。試合は中盤にリリーフ陣が崩れ5点差とされ、暗雲が立ち込めた。しかし今季の慶大は諦めない。7回に4点を奪い1点差とすると、9回に河合大樹(環3)の適時二塁打で同点に追いつく。一進一退の攻防となった延長戦、勝負を決めたのは倉田直幸(法4)だった。12回裏二死満塁の場面で押し出し四球を選び、勝ち越すと。その裏を関根智輝(環1)が三者凡退に抑え、ゲームセット。4時間を超える大熱戦を制し、貴重な勝利を手にした。

 

10

11

12

慶大

立大

慶大:津留﨑、髙橋亮、石井、佐藤、○関根―郡司

立大:田中誠、比屋根、中川、●手塚―藤野

 

◆慶大出場選手

 

ポジション

選手名(学部学年・出身高校)

[9]

天野康大(環4・智辯和歌山)

 

中村健人(環2・中京大中京)

[5]

瀬尾翼(理4・早稲田佐賀)

 

H

明渡稜(政4・桐蔭)

 

髙橋亮吾(総1・慶應湘南藤沢)

 

石井雄也(商2・慶應志木)

 

小原和樹(環2・盛岡三)

 

内田蓮(総3・三重)

[8]

柳町達(商2・慶應義塾)

[7]

岩見雅紀(総4・比叡山)

 

R7

杉本京平(理2・中央中等教育)

[3]

清水翔太(総4・桐蔭学園)

[4]

倉田直幸(法4・浜松西)

[2]

郡司裕也(環2・仙台育英)

[6]

照屋塁(環4・沖縄尚学)

[1]

津留﨑大成(商2・慶應義塾)

 

H5

宮田皓(商2・慶應義塾)

 

植田清太(総3・慶應義塾)

 

小原徳仁(文4・慶應義塾)

 

佐藤宏樹(環1・大館鳳鳴)

 

河合大樹(総3・関西学院)

 

関根智輝(環1・城東)

 

清水翔はリーグ首位の打率5割を誇る

前カードで首位・明大に2連勝をし、勢いを取り戻した慶大。勢いそのままに初回、清水翔太(総4)の適時打で幸先よく先制点を奪う。しかしその裏、立大・山根に2点適時二塁打を許し、あっさり逆転を許し、序盤から追う展開となる。同点に追いつきたい慶大だったが、チャンスこそ作るものの拙攻が目立ち、得点が奪えない。一方の慶大先発・津留﨑大成(商2)も毎回のようにピンチを招くが、追加点は許さない。

試合が再び動いたのは5回だった。1死から岩見雅紀(総4)が四球を選ぶと、続く清水翔が左中間を破る二塁打を放つ。ここで一塁走者岩見が激走。一気にホームまで生還し同点とする。しかし5回裏、悪夢が待っていた。二番手の髙橋亮吾(総2)が1死二、三塁のピンチを招くと、適時打を許し1点の勝ち越しを許してしまう。ここで慶大は三番手・石井雄也(商2)にスイッチ。だが、石井も踏ん張れない。2死満塁とさらにピンチを広げると、押し出し四球と走者一掃の適時打で4点を奪われ、5点差とさらにリードを奪われる。

小原和は代打でヒットを放った

自力優勝に向けて暗雲が立ち込める中、慶大打線が奮起する。7回、先頭の代打・小原和樹(環2)が安打で出塁したのを皮切りに、柳町達(商2)、清水翔、倉田の適時打で一挙に4点を奪い、1点差とする。しかし続くチャンスでは後続が倒れ同点にするまでには至らない。7回裏には四番手・佐藤宏樹(環1)が2死一、三塁のピンチを招く。ここで立大・藤野が右中間への飛球を放つが、この打球を天野康大(環4)がダイビングキャッチ。球場全体が大歓声に包まれるファインプレーが飛び出し、失点を防ぎ反撃ムードをさらに高める。

ファインプレーをし笑顔でベンチに戻る天野

そして9回、先頭の倉田が内野安打で出塁。無死一塁と同点のチャンスを迎える。しかし続く郡司裕也(環2)、照屋塁(環4)が倒れ、二死となり、敗戦の気配が漂ってきた。ここで代打・河合が送られる。この場面で、河合が左翼線に二塁打を放つと、倉田が生還。崖っぷちからの奇跡の同点打となる。

河合のタイムリーで同点となった

こうなると試合の主導権は慶大のものとなる。その裏から関根がマウンドに上がると、期待に応え三者凡退とする。10回表の1死二塁のチャンスは走塁ミスもあり、勝ち越しとはならなかったが、裏の1死一塁の場面では郡司が盗塁を刺す一進一退の攻防を見せる。

途中出場で2打数2安打の杉本

そして12回、歓喜の瞬間が訪れる。二死から柳町が四球を選ぶと、途中出場の杉本京平(理2)、清水翔と繋ぎ2死満塁とし、打席には倉田。ここで押し出し四球を選び、喉から手が出るほど欲しかった追加点を奪うことに成功する。その裏も関根が長打力のある立大打線を三者凡退に抑え、ゲームセット。5点差をつけられ、敗色濃厚のゲーム展開をひっくり返して、自力優勝への弾みをつける1勝となった。

中盤でリリーフが崩れ大量得点を許し敗戦。というのは今までで何度となく見た光景だ。しかし、今日の慶大は一味違った。打線が意地を見せ、また土壇場でも踏ん張り抜く強靭なメンタルも見せた。また、9回以降をほぼ完璧に抑えた関根の好投も光った。華やかなスタメンだけではなく、ベンチメンバーも含めた総力戦の末の勝利は、自力優勝に向けての大きな一歩となりうるはずだ。

 

 

 

This is YOUR day!!帰ってきた大物ルーキー 関根智輝

関根の快投でチームを勝利に導いた

春のリーグ戦で2勝を挙げ、一躍注目株となったルーキーだったが、今季は登板機会に恵まれなかった。ようやく巡ってきた今季2試合目のチャンスで、この男の真価が発揮された。もともと多彩な変化球には定評があったが、トレーニングの成果もあり真っすぐの球威もアップ。9回以降を危なげなく抑え、12回の勝ち越しまでの流れを作った。今日の試合、控えも含めた打線の活躍に目がいきがちだが、1点も許すことが出来ない場面での圧巻のピッチングを見せた関根こそ、勝利の真の立役者といっても過言ではないだろう。今後、チームに欠かせない1ピースになるであろうこの男の成長と活躍から目が離せない。 

記事:天野 拓真

 

◆打撃成績

  

10

11

12

[9]

天野

中安

四球

 

四球

 

遊ゴロ

空三振

 

左飛

  

二ゴロ

中村

            

[5]

瀬尾

空三振

左飛

          

明渡

 

  

遊併

        

髙橋亮

 

           

石井

 

           

小原和

 

     

中安

     

内田

 

      

左飛

 

四球

 

空三振

[8]

柳町

右安

 

左安

 

逃三振

 

左中2①

逃三振

 

投犠打

 

四球

[7]

岩見

空三振

 

遊併

 

四球

 

四球

死球

    

R7

杉本

  

 

      

右2

 

中安

[3]

清水翔

右安①

 

左安

 

左中2①

 

右線2①

中飛

 

敬遠

 

敬遠

[4]

倉田

遊直

 

逃三振

 

一ゴロ

 

右線2②

 

二安

空三振

 

四球

[2]

郡司

 

三ゴロ

 

四球

空三振

 

投飛

 

右飛

 

三ゴロ

三邪飛

[6]

照屋

 

左安

 

遊失

 

遊安

二ゴロ

 

空三振

 

遊ゴロ

 

[1]

津留崎

 

投犠打

          

H5

宮田

   

捕ゴロ

 

遊ゴロ

      

植田清

      

四球

     

小原徳

            

佐藤

            

河合

        

左線2①

   

関根

          

空三振

 

 

◆投手成績

 

打者

球数

安打

三振

四死球

失点

自責

 

津留崎

14

66

 

髙橋亮

11/3

23

 

石井

12/3

37

 

佐藤

10

41

関根

12

49

 

 

◆監督・選手コメント

 

大久保秀昭監督

(試合を振り返って)負けなくてよかったです。引き分けでもなく、勝ち切ったことに意味があったなと思います。引き分けだと疲労感だけで反省だらけになってしまうけど、お互い色々なミスがあった中で、最後勝ててよかったです。(総力戦となったが)みんな頑張ってくれたと思う。河合にしても杉本にしても、各々役割を全うしてくれた結果かなと思います。(5点差を引っくり返したが)誰がヒーロというよりも、みんなが本当に諦めずにやってくれたことが、最後ちょっとしたところで味方してくれたのかなと思います。練習のときからいい意識を持ってやれているので、それを体現しようとしたことがいい方向に繋がりました。(明日に向けて)チーム全体もいい状態にはなってきましたが、負けられない状況には変わりないです。これでホッとするのではなく、明日も勝つための準備を一丸となってするだけです。

 

照屋塁主将(環4)

(今日の試合を振り返って)勝ち切れてよかったです。(今日の試合前にどんな話をしましたか)負けられないことは変わっていないので、とにかく最高の準備をして試合に臨もうという話をしました。(2安打を放ちました)調子というのはないです。もう少し得点に絡む打席を作れればいいかなと思います。(3盗もありました)あの盗塁も結果的に点が入ってないので、どうだったかなと思います。(試合は5点差から逆転しました)今までの試合でもビッグイニングを作っている試合というのが結構ありました。そういうイニングをこのチームは作れるということをみんな信じてやっていました。(次の試合に向けて)明日も勝つしかないので、しっかりいい準備をして臨みたいと思います。

 

天野康大副将(環4)

(今日の試合を振り返って)なかなかチャンスを作れてもランナーを返せなかった状況で、(慶應と立教の)少しの差が最終回に出たんだと思います。(第一打席は初球でヒットが出ました)先頭バッターとして初回に塁に出て、チームに勢い付けたいという気持ちがあるので、それが結果にでて良かったです。(7回にチームを救うファインプレーもありました)1年生が投げていて、最上級生としてどうにかして助けてやりたいという思いだったので「入れ!」と祈りながら飛びました。(今日は終盤にかけてどんどんと投打が噛み合って行きました)相手も同じ(絶対に負けられない)条件で絶対に粘ってくるところだったので、こういう試合展開は想定内でした。1球で流れを変えてしまったり試合を決めてしまうと思ったので終盤勝負を意識していました。明日もこういった試合になると思うので1球1球悔いの残らないように頑張っていきたいです。(5点差をひっくり返せた要因はなんだと思うか)それだけうちは練習やってきたからだと思います。今までの努力の賜物だと思います。練習でコーチの方々や学生スタッフから「練習でやってることしか出ない」と言われているので、練習からしっかりやってきたことが試合に結果として出てると思います。(明日に向けて一言)明日につながったので、ここで明日勝たないと意味がないから初回から気合い入れて頑張ります。

 

倉田直幸(法4)

(今日の試合を振り返って)なんとか勝てたという感じで、とてもしんどい試合でした。(7回の適時二塁打について)みんなが繋いでくれたので、なんとか次に繋ぐ気持ちで打席に入りました。(9回には同点への狼煙をあげる内野安打を放った)先頭が出たらなんとかなるかなという感じで、打球も良い所に飛んでくれて良かったです。(最終回にはどのような気持ちで打席に向かったか)満塁だったので、アウトにならなければという気持ちで、ストライクを振ってボールは振らないという今までチームが徹底していた事を意識して打席に立ちました。(結果、押し出しの四球。ガッツポーズも出た)勝ち越したという気持ちはありましたけど、一塁についてからは気を引き締めていかないと、と冷静になりました。(明日に向けて)明日も厳しい試合になると思いますけど、勝てるように頑張ります。

 

清水翔太(総4)

(今日の試合を振り返って、4時間を超える試合となったが)まぁ粘り勝ったなっていうか、よく9回で追いついて、今まで練習やってきてよかったなっていうか、不思議な勝ちじゃないですけどそういうところで勝ててよかったなって思います。(特に最近粘り強さをみせる試合が多いが、チームの雰囲気は)日頃緊張感もって練習しているので、いくら劣勢に立たされてもまぁいけるんじゃんないかな、絶対勝てるって、ベンチの雰囲気も例えば7対2になりましたけど、すごいいい雰囲気で出来ています。(今日は打撃面に関して好調のようにみえ、首位打者の現実味を帯びてきたが)それに関しては意識したら打てなくなるんで、気にしないようにしてます。明治1回戦で打ってから意識したら、2回戦で打てなかったので(笑)あれでヒット1本1本、一打席一打席大切にやっていこうって思いました。(敬遠を2回もされたが)敬遠自体人生でされたことが無かったので、結構ビックリです。敬遠ってわかって、倉田頼んだ!俺はもう知らん!って(笑)まぁ今日は杉本と河合のおかげですね。(優勝とタイトルを目指して頑張ってください)まぁタイトルは本当頭の片隅において、まず勝てるように頑張ります。

 

河合大樹(総3)

(今日の試合を振り返って)序盤良い感じで点を取れましたが、中盤あれだけ点を取られて苦しい展開でした。ですが、今のチーム力というか、全員で点をつないで点を取って勝てる、という試合ができたのではないかなと思います。(今シーズン初出場でしたが)リーグ戦が始まる前に少しケガをして出遅れましたが、しっかりここに合わせてやってきて、結果が出たということは本当に良かったです。(点が入らなければ試合終了の場面、どのような気持ちで打席に入りましたか)試合が終わるという風には考えずに、自分の力を出そう、思い切ってやろうという気持ちで立ちました。(2死から値千金の二塁打でした)オープン戦通して長打は1本も出ていなかったのですが、あの場面で1本出て良かったです。(明日に向けて)優勝するにはまだ連勝しないといけないので、明日もしっかり一戦必勝で頑張りたいと思います。

 

杉本京平(理2)

(今日の試合を振り返って)今日はチーム全員が出場して代わりがいない中で自分はレフトで途中から出ました。その中でチャンスで打順が回ってきて、また打つことができたのは周りの全員が練習の手伝いなどしてくれたおかげだと思います。(大事な場面での打席。どのような気持ちで打席に立ちましたか)自分にできることは振ることだけなのでとりあえずストライクをどんどん振っていこうと思いました。(ヒットを打った時の率直な気持ちをお聞かせください)一打席目は変化球を振りぬいて、本当に抜けてくれという思いで走っていました。二打席目は少し先端に当たってセンターフライかと思いましたが落ちてよかったです。(今日の勝因は)今日は慶應のシンボルである“粘りの野球”というのができたことが勝利につながったと思います。(明日に向けて意気込みを)明日も勝てるよう頑張ります。

 

柳町達(商2)

(今日の試合を振り返って)色々乱打戦でしたが最後は勝ち切れてよかったなと思います。(自身の打撃面を振り返って)左ピッチャーから自分のバッティングができたというのが収穫かなと思います。(逆に反省点はありますか)守備がですね。初回取れる打球を取れなかったのでそこが取れるようになればいいなと思います。(今日の勝因は)全員で一丸となって勝利に向かってあきらめずに戦ったことが勝因かなと思います。(明日に向けてひとこと)明日も勝ち点を取って優勝に繋げるように頑張りたいと思います。

 

 

関根智輝(環1

(ナイスゲームでした。チームの雰囲気は)最初ブルペンにいてベンチの雰囲気とかは分からなかったのですが、9回行くぞとベンチから言われた時は雰囲気がすごく良くてみんな諦めてないなと思いました。4年生を中心にそういう雰囲気があって、4年生のために優勝を途切らせてはいけないなと思いました。(1点も取られてはならない場面での登板でした)最初は結構力んでしまったのですが、9回2アウトを取ってから思ったように投げられて落ち着けました。(明日に向けて)優勝に向けて負けられないなかで、まだ1つ勝っただけなので、引き続き気を引き締めて明日の試合取りに行きたいと思います。

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