【ラグビー 】安定した試合運びで定期戦3年ぶりの勝利!/同志社大定期戦

ラグビー

関西の雄・同志社大との定期戦だ

第102回定期戦

慶大33-17同志社大

10月7日(日)13:00K.O.

@慶大日吉グラウンド

 

 

 

 

対抗戦休止期間に行われた、102回の歴史を数える関西の名門同志社大学との定期戦。試合は先制を許したものの、FL川合秀和(総4・國學院久我山)、FB沖洸成(総3・尾道)のトライなどで前半を21ー5で折り返すと、勢いそのままに、後半も2本のトライを決め、着実に加点。同大にリードを許すことなく、33ー17で3年ぶりとなる定期戦勝利を収めた。

T=川合、高木2、沖、山本 G=中楠4

 

小雨が降りしきる中、同志社大学を迎え、多くの観衆が集まった下田グラウンド。スターターは、Aチーム初スタメンとなるSH五藤隆嗣(商1・慶應)を含む1年生が6人も名を連ねる、フレッシュな面々であった。

Aチーム初スタメンの五藤。SOに定着した中楠とともに1年生ハーフ団で慶大を引っ張った

102回の歴史を誇る、東西で大学ラグビーを牽引してきた両校同士の伝統の一戦は、同志社大学のキックオフで始まった。

3年ぶりの定期戦勝利を目指したい慶大だったが、先手を打たれてしまう。前半9分、自陣付近でラインアウトのミスを犯してピンチを作ると、同大の速いパス回しに掻き回されてトライを許し、慶大は先制を許してしまう。

反撃に転じたい慶大は13分、敵陣のマイボールスクラムでペナルティを獲得すると、クイックスタートでFL川合がトライ。同大の隙につけ込み、SO中楠一期(総1・國學院久我山)のキックも決まり、7-5とすぐに逆転する。

試合後、「勝つために無我夢中」だったと振り返った川合のトライ

さらに18分、CTB栗原由太(環4・桐蔭学園)が力強いゲインを見せると、その後は素早いパスで展開し、今年A戦初スタメンのFB沖がトライ。「拮抗していた場面でトライを決め、流れをつかむことができた」と試合後、沖が話したように流れを掴んだ慶大は、続く30分にもWTB高木一成(商4・慶應)がトライを決め、さらに点差を広げた。

3トライに加え、SO中楠がコンバージョンキックを全て決める活躍を見せて着実に加点した攻撃だけでなく、ディフェンス陣も同大に思うような攻撃をさせない活躍を見せた。慶大がリードを保ったまま前半を21ー5で折り返す。

この秋初めてのA戦で早速活躍を見せた沖

後半も、開始早々迎えたピンチをFL川合のタックルで回避すると、2分、SO中楠の高いキックパスを受けたWTB高木がそのままグラウンディング。前半の流れそのままに慶大が点差を広げていく。

高木のこの日2つ目となるトライ。キックを起点とした攻撃が今後の鍵となる

しかし13分、自陣ゴール前でのペナルティからスクラムに持ち込まれ、そこから展開してトライを許してしまう。今季、後半に失点を許し逆転負けを喫する試合が目立っていた黒黄軍団だったが、この日の勢いはここで止まることはなかった。18分、SO中楠のグラバーキックに反応したFL山本凱(経2・慶應)がトライ、さらにはSO中楠がコンバージョンキックも確実に決めて、流れを決して同大に渡さない。28分に同大に相手ボールラインアウトから独走トライを許すも、その後は安定した試合運びでそれ以上の失点は許さず33ー17でノーサイド。終始試合を支配した慶大が、同大定期戦3年ぶりとなる白星を挙げた。

ダメ押しとなった山本のトライ

歴代の名選手たちも戦ってきた、伝統の同大との定期戦に勝利した慶大。栗原徹ヘッドコーチや、選手たちが話すように、今日の何よりの収穫は「試合に勝利した」ということであろう。終始リードして、相手に流れを許さなかった今日の試合は、1ヶ月後に迫った対抗戦再開に向け、大きな自信になったはずだ。

また、今季目立っているキックパスを有効に使う攻撃は、SH五藤、SO中楠の新たなハーフ団を中心に今日も光り、キックパスからトライを奪う場面があったように、攻撃の幅が広がったと感じる試合であった。さらに、試合終了まで相手にエリアを取らせなかったディフェンスも光るものがあった。

それでも、ラインアウトモールで崩される場面が見られるなど、課題も山積みだ。CTB栗原主将が「この試合で出た課題を克服し、対抗戦にいい形で臨みたい」と話したように、対抗戦に向けて、この試合は糧となるだろう。

選手が入れ替わってからのセットプレーが課題として残った

対抗戦前半は苦戦を強いられた慶大。だが、何度も逆境を跳ね返してきた慶大がこのまま終わるはずがない。1年生の台頭も目立つなど、チーム内での競争意識も高まり、全体としてもレベルアップしている。日本一を目指す彼らの戦いはこれからだ。1ヶ月後、進化した黒黄軍団の逆襲に期待したい。

話題の留学生コンビ、マプスア(写真中央)とエノサ(写真後方)も黒黄デビューを飾った

 

(記事:長谷川健太 写真:川下侑美、萬代理人)

 

 

以下メンバー表、試合後コメント

 

◇メンバー表

Starter

1.PR(プロップ) 有賀光生(総4・國學院久我山)

2.HO(フッカー)  原田衛(総2・桐蔭学園)

3.PR(プロップ) 大山祥平(経3・慶應)

4.LO(ロック) 相部開哉(政3・慶應)

5.LO(ロック) 今野勇久(総1・桐蔭学園)

6.FL(フランカー) 川合秀和(総4・國學院久我山)

7.FL(フランカー) 山本凱(経2・慶應)

8.No.8(ナンバーエイト) アイザイア・マプスア(総1・King’s College)

9.SH(スクラムハーフ) 五藤隆嗣(商1・慶應)

10.SO(スタンドオフ) 中楠一期(総1・國學院久我山)

11.WTB(ウィング) 鬼木崇(法1・修猷館)

12.CTB(センター) 栗原由太(環4・桐蔭学園)

13.CTB(センター) イサコ・エノサ(環1・King’s College)

14.WTB(ウィング) 高木一成(商4・慶應)

15.FB(フルバック) 沖洸成(総3・尾道)

Booster

16. 田中慶伸(総2・桐蔭学園)

17. 松岡勇樹(法1・慶應)

18. 室星太郎(総4・静岡聖光学院)

19. 川端隼人(理4・國學院久我山)

20. 良知健佑(商4・慶應NY)

21. 大谷陸(政3・慶應)

22. 高野倉健生(商4・慶應志木)

23. 佐々木隼(総1・桐蔭学園)

24. 鎌形正汰(商3・慶應)

25. 三木亮弥(環3・京都成章)

26. 宮本恭右(総3・慶應)

選手変更

40分 相部開哉→19 川端隼人

68分 大山祥平→18 室星太郎

70分 イサコ・エノサ→24 鎌形正汰

74分 五藤隆嗣→22 高野倉健生

75分 有賀光生→17 松岡 勇樹

75分 鬼木崇→26 宮本恭右

76分 山本凱→20 良知兼佑

79分 中楠一期→25 三木亮弥

79分 高木一成→23 佐々木隼

80分 アイザイア・マプスア→21 大谷陸

80分 原田衛→16 田中慶伸

 

 

◇試合後コメント

栗原徹HC

――試合を振り返って

まず勝てたということが良かったと思います。選手たちにとって、自信になると思います。

 

――同志社大学に対して、思いはありますか

ずっと切磋琢磨してきた仲間であり、長い間続けてきた定期戦なので、これからもこの歴史を受け継いで続けていきたいと思います。

 

――1年生の台頭について

4月に入学してきて、細かった選手たちが、体も出来上がってチームに馴染んできたことで、自分の実力で今の位置を掴み取っています。ただ、1年生ということでプレッシャーにも弱いですし、これから色んな経験をして成長していってもらえたらなと思います。

 

――キックパスを今日も多く使っていた印象でしたが

キックパスを上手く使えないと相手のディフェンスに的を絞らせやすくなってしまうので、積極的に使っていこうというのがチームの方針ですし、それを実践出来る選手がいるのでたくさん使っています。

 

――1ヶ月後に控える対抗戦後半に向けて

まずフォワードはセットピース、バックスはベーシックなハンドリングというように、お互いにベーシックなところを課題としているので、ベースを高めて、ひたむきな試合ができればなと思います。

 

 

CTB栗原由太主将(環4・桐蔭学園)

──試合を終えて、率直な感想を

全体を通して、相手が嫌がることを結構できたと思います。後半はスクラムで接戦になりましたが、それ以外の部分ではディフェンスでしっかりエリアをとることができたと思います。いい感触をつかめたかなと思います。

 

──「相手が嫌がること」を具体的に挙げていただくと

前半からスクラムやラインアウトでこちらからプレッシャーをかけることができていました。「敵陣でプレーしよう」とはずっと話をしていて、キックを使ってプレッシャーをかけながらプレーできたことが結果的に相手のミスを誘ったのだと思います。

 

──同志社大との定期戦では3年ぶりの勝利となりました

あまり特別感はありません。僕たちにとっては対抗戦に向けた1つの過程だと捉えています。先週に京産大に負けてからしっかりと引き締め直してきた結果もついてきましたし、内容も悪くはなかったのでよかったです。

 

──ご自身のプレーについて振り返って

エリアマネジメントについてはよかったと思っています。あと、個人的にはキャリーの数を増やそうと思っていたのですが、久しぶりに相手に突っ込んで…。「久しぶりに自分らしいプレーができたな」と少しずつ感触を取り戻してきている感じです。楽しかったです。

 

──今後に向けて

この同志社戦で出てきた課題をここから克服し、2週間後の帝京大との練習試合をいい形で終えて、対抗戦の後半戦に進んでいきたいです。準備を怠らず、公式戦のない期間こそより自分たちに厳しく練習していければと思います。しっかり頑張ります

 

 

FL川合秀和副将(総4・國學院久我山)

――久しぶりのA戦でした

(前週、欠場した)京産大(との練習試合)を外から見ていたら、(対抗戦での)筑波の時と同じような負け方をしていて、まだ変わっていない部分があると思ったので、この試合から変えないとなと思っていました。試合への入りの部分、スイッチの部分を変えられたのはよかったなと思います。

 

――今日のゲームプランとしては

フォーカスしている点は色々あったんですけど、選手たちで一番大事にしようと話していたのは、「勝つ」というマインド、当たり前のことですが最初からスイッチを入れて自分たちの流れにもっていくという、みんなが考えを同じ方向にもっていくということがありました。

 

――実際に試合を振り返って

どんな形でもいいから、ひとつひとつ結果を残していかないといけないと思っていたので。どんな形でもトライをとる。がめつくいくというか。相手が下がっていないという判断もありましたが、いい流れを作れたかなと思います。

 

――フォワード戦については

正直、モールはまだまだ課題が山積みです。結局モールで1点もとれていないので。押し切れていない部分や、しっかりと自分たちでコントロールできていない部分がありました。最後は相手に引き倒されてしまう。相手のディフェンスがやりたいように自分たちが組んでしまっていたので。ひたすら練習するだけですね。前へ、前へ。もっと前に押すという意識が足りていないのかなとさっき(試合後)話していました。

あとはスクラムも、後半に相手のメンバーが変わったのかはわかりませんが、組み方が変わってきていたので、それに対してどう対処するのか、また(慶大の)選手が変わったときに前後で合わない部分があったので、準備不足だったということにも気づけたので、そこは今後の課題かなと思います。

 

――ご自身のトライの場面については

勝つために無我夢中でやっていたので。それはそれでよかったのかなという感じです。今日は勝てたのでよかったです。

 

――今日見つかった課題は他にどんなものがありますか

個人のスキルを、バックスもフォワードも上げていく必要があります。最後の部分まで突き詰めていかないといけないです。

ラインアウトはもっと練習、スクラムは準備です。色んな選手が入れ替わった時にもしっかりと合わせるというのがいまいちだったかなと思うので。

あとは常に練習も試合も勝つためにやるということです。中だるみ的なものをなくさないと。そういった部分が試合に出てしまうと思うので。意識改革ですね。

 

 

PR有賀光生(総4・國學院久我山)

――今日の試合を振り返って

ここ3戦負けていて同大に勝てて良かったです。

 

――今日のゲームプランは

先手を打つということを意識しました。コミュニケーションを取るということも大事にしていていました。横としっかりコミュニケーションを取っていい形で前半入れたと思います。

 

――セットプレーの手応えは

スクラムは前半プレッシャーをかけられて、ターンオーバーとかできて良かったです。後半に入るとメンバー変更があってバインドで前に出れなくなってしまいました。1試合通してプレッシャーをかけられるように頑張っていきたいです。

 

――今日の試合の課題と収穫

収穫は勝てたということです。課題はラインアウトモールで崩されました。こっちがスリップしてトライを取りきれなかったので引き続きラインアウトの獲得とモールでトライを取りきれるように頑張っていきたいです。

 

 

SH五藤隆嗣(商1・慶應)

――試合を振り返って

全体的に最初のミスが多くて、前半の終わりにミスを少なくエリアを取って敵陣でプレーしようという流れになりました。後半は、僕たちが呼んでいるゴールドゾーン、15メートルラインとタッチラインと22メートルラインの中にボールを入れようということを皆強くイメージして試合を進めました。

 

――初めてのAチームスタメンでした

すごい緊張して最初の方テンパっちゃったんですけど、ミスしたときに先輩たちが背中を押してくれて、後半は少しずつ立て直すことができました。

 

――最近はキックを多用していますが、どのようなことを意図していますか

なるべく競れるキックというもので僕から蹴っています。大きなキックでエリアを取るときと、高いボールで競るボールを取ってもう一回自分たちのボールにしてから攻めるというのを意識しています。

 

――今日のご自身のプレーを振り返って良かった点と課題となった点は何ですか

良かったのはハイパントの部分で、高さが出ていたんですけど、ちょっと浅かったかなと思います。悪いところはラックでボールを捌くときにボールに近づけてなくて腰が引けていたので、後半はなるべくラックでボールに近づいて捌くことを意識しました。

 

――次戦に向けて

次の試合では今日の反省を生かしてミスが少ない確実なプレーで勝ちたいと思います。

 

 

SO中楠一期(総1・國學院久我山)

――試合を振り返って

今日の試合はいい形で得点も入って、キックも使いながら、エリアマネジメントもして、負けないような試合展開をできたので良かったと思います。

 

――今日はキックパスが多い試合でしたが、その意図は何だったのでしょうか

今日は22mラインの角を狙い、エリアをどんどん取っていこうというマインドがあって、その中でうまく動かしながら、スペースを空いているときに探して、そのスペースに蹴ることができたということと、アドバンテージが出たときに積極的にボールを動かしながら、スペースに運ぼうということで、裏のスペースとかも狙っていこうとした結果、キックパスが多くなった試合になったと思います。

 

――今日の攻撃面が優れていた要因は何だと思いますか

アタックのテンポをしっかり出せたということについて、その中で、縦にいくところは縦にいって、動かすところは動かして、しっかり相手のスペースに対してボールを動かすというところが今日は良かったと思います。

 

――今日の課題は見つかりましたか

今日の課題は、バックスがファーストフェーズのところで結構ミスが多くて、フォワードに迷惑をかけることがあったということと、アドバンテージの使い方という点で、もう少し上手くアドバンテージを使って、もっと楽な試合展開ができるようにやっていきたいです。

 

――今後にむけて

今日は久しぶりに勝てたということがまず一つ良い収穫だと思っていて、その中でいい課題も見つかり、勝って反省できるということはいいことだと思うので、しっかりこの反省を踏まえて、対抗戦後半につなげていきたいと思います。

 

 

FB沖洸成(総3・尾道)

――今日の試合を振り返って

勝利できて良かったです。前半は自分たちのスタイルでプレーできましたが、後半はバックスのミスを突かれてしまったので、対抗戦に向けてそういった点を修正していきたいと思います。

 

――トライのシーンを振り返って

拮抗していた場面でのトライだったので、慶大に流れを持ってこれて良かったです。

 

――今日の試合で意識したことは

アタックでは、チーム全体として相手より先にセットをするということを意識しました。しっかり実行できたと思います。

 

――ディフェンスの際に意識したことは

雨の中での試合ということで、キックでの攻撃が多いと思ったので、そういった点での相手との駆け引きを意識しました。

 

――今後への意気込み

対抗戦で一つでも多く勝利を残せるよう、日々の練習を励んでいきたいと思います。

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