晴天の霹靂(へきれき)、急な雷雨が隅田川を襲うも対校エイトの開始時刻が近づくと雨脚は弱まり晴天が戻った。対校エイト終了後には再び雨が降り、まさに両校クルーのためともいえる一時の晴天のもとで行われた早慶レガッタ。慶大はプラン通り序盤から優位に立ち、その後も粘り強い漕ぎでリードを保つと中盤さらに相手をつき離し、見事4艇身もの差をつけて早大に勝利した。
2023年4月16日(日)第92回早慶レガッタ @隅田川
〈クルー〉
C:中島祥貴(経3・慶應)
S:朝倉慶明(経3・慶應)
7:中村想人(商4・慶應)
6:森本修平(法4・慶應)
5:竹峰颯健(経3・慶應志木)
4:山村瑛(法3・慶應)
3:岸本共平(商3・慶應志木)
2:神代泰生(法3・慶應)
B:野村瑛斗(総4・Claremont Secondary School)
〈タイム〉
1着 慶大対校エイト 13:11:57
2着 早大対校エイト 13:25:68
〈艇差〉
4艇身
50センチという僅差の末に惜敗した昨年、慶大は怒涛のラストスパートでそれまでに開いた1艇身以上もの差を詰めるもあと一歩追いつけなかった。一方今年はスタートから早大の前に立つことに成功した。いい形でスタートを切ると最初の両国橋を1秒差で通過。橋付近は大きなカーブがあり舵取りが難しいポイントだが、慶大はインコースを有効に活用して次の蔵前橋では差を2艇身に広げる。
直前の雷雨で荒れる隅田川だが、慶大のクルーらは息の合った力強い漕ぎで船を進め続ける。2300m地点の駒形橋では早大がオールを水中に潜らせてしまうアクシデントが発生。順調に漕ぎ進める慶大は9分3秒で橋を通過すると間隔をさらに広げ、ついに15秒もの差がついた。
レートでは追いかける早大が上回るものの、慶大は安定した漕ぎのまま浅草駅目の前の吾妻橋を通過する。3000m地点・言問橋の通過タイムは慶大が11分15秒、早大が11分29秒。レースも終盤にさしかかり両校とも船を漕ぐオールに一層の力がこめられる。桜橋上の多くの観客の声援に背中を押されながらラストスパートをかけ、大差で慶大がゴール。2年ぶりの勝利を手にし、選手らは歓喜や安堵の表情を見せた。
4年ぶりに帰ってきた川沿いや橋からの声援。隅田川に集まった観客を前に慶大クルー9人は雄姿を見せつけた。今後のインカレ、全日本での活躍にも期待だ。
(記事:五関優太、撮影:岡澤侑祐)
以下、コメント(早大漕艇部との共同記者会見より抜粋)
小仲正也監督
――はじめに
この素晴らしい場を作っていただきました両校OBの方々、それから好敵手である早稲田大学漕艇部に御礼申し上げます。レースとしては我々が普段考えていたプラン通りのレースを遂行することができました。スタートでしっかりとついて出て、中盤粘って最後まで漕ぎ切るというようなレースができました。
練習以上のいいリズムで最後までずっと漕ぎ切ることができました。とてもいいレースができて嬉しく思います。
――監督に就任して初めての早慶戦でしたが、感想を教えてください。
昨年の9月、今の4年生に代が交代した時に監督に就任させていただいて、森本をはじめ幹部の皆といろいろな場面で話をしてきました。なかなか自分の考えていることと学生が考えてることがうまく折り合わない時もありました。ただ学生が考えたこと、これを彼らが後悔のないように活動させようというところを基本として置いてここまでやってきました。彼らとしても悔いなくレースをできる環境を整えられたことはすごく良かったと思います。
森本修平主将(法4・慶應)
――はじめに
まずは早慶レガッタを開催するにあたりご尽力してくださった皆様、本当にありがとうございました。雷雨ということで予期せぬことでトラブルはあったのですが、その中でもクルー全員が気持ちを切らさずレースに向かって気持ちを切り替えて臨むことができました。その中でも強い気持ちを持って最後まで自分たちが考えたレースプランを遂行することで勝てたと思っています。本日はありがとうございました。
――中盤以降、有利にレースを進める中でどのような心境で船を進めていましたか。
中盤以降、蔵前橋から吾妻橋までの区間を僕らは勝負の区間だと捉えていました。やはり漕ぎにくいゾーンが多いのですが、そこで漕げるゾーンまで待つのではなくて、その漕ぎにくいゾーンも漕いでそこで勝負を決めていくということを意識して漕いでいました。そのレースプランをうまく実行することができたと考えています。
選手コメント C・中島祥貴選手(経3・慶應)
うれしいです、勝てて良かったです!応援してくれた皆様やOBの方々、保護者の方々も冗談抜きで応援していただいて、本当にありがたかったです。