慶大の体育会を深掘りしていく連載企画、「What is 〇〇部?」。今回の体育会は空手部!ケイスポでは、今年の春から新たに主将として同部を率いることとなった岩本遼(総4・高松中央)にインタビューを行った。6歳から空手を始めて15年、彼が語る競技への考え、そして慶大空手部の魅力とは?
――空手を始めたきっかけは?
岩本:幼稚園の頃、幼馴染7人とサッカー教室に通っていました。そのメンバー全員で地元の公民館の空手体験に参加し、みんなが始めると言ったので、単純に友達と一緒にいたくて「じゃあ僕もやる」と始めたのがきっかけです。
――競技者として空手を本格的に取り組みだしたのはいつ頃からですか?
岩本:小学校1年生の時に初めて大会に出てそこで優勝して、そこから2年生の県大会に初めて出場して優勝して、全国大会に出て、という感じで、やっていくうちに本気でやろうって思っていました。
――空手を続けるうえで慶應義塾大学を選んだ理由は?
岩本:高校2年生の終わりの春の選抜大会、その大会で優勝した時に慶應の監督に声をかけていただいて、その後僕の親戚の方に慶應空手部OBの知り合いの方がいて、その人を介して『体験に来てくれないか』って僕に連絡が来たんです。慶應義塾大学で空手をすることがどういうことかは高校生ながらも分かってましたし、純粋に憧れがあったので、挑戦しようかなという風に思いました。
――空手という競技の一番の魅力は?
岩本:日本発祥の競技であることもあり、礼儀や冷静さを重んじるのが特徴です。「形」は華麗さが魅力で、「組手」は技の派手さや相手との駆け引き、格闘技ならではの攻防が醍醐味だと感じています。
――空手において、美しさと強さ、どちらも大切な要素だと思います。岩本主将ご自身の中ではどちらを重要視されていますか?
岩本:僕は「組手」に特化して練習していますが、競技者として美しさと強さの両方が重要だと考えています。強い技でなければ相手に効かず、試合でもポイントになりませんが、技の決まりが中途半端だと得点にはならないため、美しさも求められます。とはいえ、空手は格闘技であり武道なので、やはり力強さの方がより重要だと思います。
――今までの競技人生を振り返っていただいて、空手をやっていて幸せ/楽しかった瞬間は?
岩本:やはり勝った時ですね。勝負の世界では勝てるのは一握りで、大半は負けてしまいます。それでも、勝たなければ今までの努力が報われないと思うんです。結局、勝つか負けるかの世界なので、勝てば楽しいし、負ければ悔しい。その瞬間が一番の魅力ですね。
――新体制が始動し今年は主将として部を牽引する立場となりました。部員たちを指導する上で心がけていることは?
岩本:この部活は初心者が半数以上を占めているため、新しいメニューを教えても最初はできないことがほとんどです。でも、『できないのではなく、ただやったことがないだけ。時間をかけて取り組めば必ずできるようになる』と常に伝えています。また、頭で意識するだけでは難しい部分もあるので、理解しづらい点まで僕の言葉でしっかり補いながら指導するように心がけています。
――今年注目の選手は?
岩本:僕以外に4年生が3人いるのですが、入部当初は即戦力ではなかったものの、3年間の経験を経て最上級生となり、今では試合でチームの命運を握る立場になりました。今年のチームの成績は、僕たち4年生の活躍にかかっていると思うので、特に同期の3人には注目しています。
――個人としての今年一年の抱負は?
岩本:個人としても”日本一”って堂々と言いたいです。それももちろんですけど、16年間今まで空手をやってきて、この先大学を卒業後も続ける気持ちは今はなくて、大学で競技はやめると決めています。個人として後悔のない結果を残したいですし、その上で団体戦でも主将としてこのチームを最後勝たせて終わりたいと思っています。
――慶應空手部の未来の後輩たちに向けて、最後にメッセージをお願いします!
岩本:空手を本格的に続けたい人はもちろん、大学生活で何か一つ成し遂げたい、全力で打ち込みたいと思っている人にもぜひ入部してほしいです。部員同士の仲も良く、厳しすぎる環境ではありません。監督やOB/OGの先輩方のサポートも心強い支えになるはずです。慶應空手部での経験は、充実した大学生活の大きな一部となり、人生においてかけがえのない4年間になると思います。道場でお待ちしています!
(取材:五條理子、竹腰環、野田誉志樹)