慶應スポーツ新聞会

【ラグビー】早慶戦直前特集②学生コーチ対談

左:長井学生コーチ 右:大橋学生コーチ

 華やかな舞台の陰で、チームを支えている人たちがいる。今回は、献身的にチームをサポートし、選手と一緒に戦う大橋秀樹学生コーチ(総4)と長井頼寛(経3)のお二方にお話をうかがいました。黒黄を目指していた選手から、チームの日本一のために選手を諦め学生コーチに就任した経緯や、知られざる苦労話、そして学生コーチとして早慶戦にかける思いなど興味深い話が盛り沢山です!

――まずは自己紹介をお願いします

大橋 総合政策学部4年の大橋秀樹です。学生コーチを担当させていただいております。 

長井 経済学部3年の長井頼寛と申します。僕も同じく、大橋さんの下で学生コーチをやらせていただいています。

――学生コーチの仕事とは 

大橋 練習も見ますし、スケジュールも立てますし、試合するまでのプランも立てて、試合の分析などもして、それを次の週に活かすということをやっています。チームを勝たせるために、自分たちは何をできるのかというのを僕たちで考えて、それを実際に選手に伝えていっています。

――仕事の分担は

長井 全部で6チームあるんですけど、今年は上2チームを大橋さんが担当していて、僕が下チームを担当しています。

――部全体を見るわけではない 

長井 練習が、上から一軍と二軍が一緒に練習をして、三軍と四軍が一緒、五軍と六軍が一緒、という三部編成になっているんです。で、一番上を大橋さんが見ています。 

大橋 そうですね、練習時間も別なので、それぞれトップチームを僕が、セカンドを長井が、三つ目は主に監督と手伝ってくれるスタッフが見ています。結構4年生主体だったりもするんですけど、下2つを長井が見てくれています。

――監督からどのような指示を受けているか

大橋 そうですね、監督からは…どういう指示だろう。

長井 監督からは割と僕たちに任せてくださっている状態です。特にこうしろとかいう指図とかはなくて、たまにこうしたら良いんじゃない、というアドバイスを頂くことが多いです。 

大橋 もう学生主体と言ってくださっています。でも僕らはコーチでありますが学生なので、自分たちで考えてやっていく中で、少し違うなという部分はアドバイスをいただいています。

――学生コーチになった経緯は 

大橋 去年までは監督と、もう一人それをサポートする社会人の方がフルタイムでいたのですが、体制が変わって監督一人になるだろうと。まだ田中監督が就任されるという話はなくて、誰になるか分からない状態の中で、誰か一人学生からコーチを出すという話になりました。一人じゃ部を見切れないということもありましたし、何よりも日本一になるためには学生コーチが必要ということでした。学生コーチが、監督やコーチと学生の間のクッションのような存在になれれば、ということもあって、同期ともとことん話し合って学生コーチという制度は必要だということになりました。そんな中で、僕と長井が出ました。

――大橋さんと長井さんが選ばれた理由は

長井 何でしょうかね?まあ、多分根本にあるものが、「真面目」なんですよね。当たり前っちゃ当たり前なんですけど、僕が買われたのは、ラグビーに対する姿勢が真面目だってことでした。やっぱり適当にやってるヤツっていうのは、選手としても部員としも信頼はされないわけです。日々の取り組む姿勢が仲間からの信頼を得るために一番必要なものだと思うんです。それもあって皆から信頼されてたのかなと思います。

大橋 あと、自分で言うのも変なんですけど、僕ら2人に共通して言えるのが、物を教えられるってことなんです。言葉に説得力があるというか。信頼がない人から言われても多分響かないものだと思うんですけど、真面目に取り組んでるそういう姿勢があるからこそ、教えられても素直に聞けるという、そういう点も大きかったのかなと思います。

――推薦されたということですか 

大橋・長井 そうですね。 

大橋 僕自身もやっぱり、黒黄を着て日本一になりたいって思っていましたし、自分自身がグラウンドに立って活躍したいという思いがありました。そういうイメージをして入部して、それに憧れて入ってきているので。最後は自分で決断したんですけど、やはり同期の強い押しがあって腹を括ったというか。

――その決断をしたときの気持ちは

大橋 そうですね… 

長井 死ぬほど(笑) 

大橋 死ぬほど悩みました(笑) 

長井 もうヤバいですよね、半端じゃないですよね(笑)

大橋 今はもう、こうなっているんで、やるしかないっていう思いでやっていますけど、そのときはもう、真っ暗というか。

――正直やりたくなかった 

大橋 最初はもう嫌でしたけど、でもやっぱりチームが勝ったり負けたりしていくことに関われたり、少なからず影響を与えて勝てたことがあったりすると、みんなからも「大橋のおかげ」「長井のおかげ」とか言ってもらえたりして、自分たちの必要性だったり、やりがいだったりというのは感じますね。実際、僕らは仕事を何もせずに適当に練習とかを組んでやってしまうと、勝つことはできないですし、チームも成り立たないので、そこの役割は感じていますね。 

長井 適当になんてできないですよね(笑)任された以上はね。

――今はやっていて良かったと感じているか

長井 難しい質問ですねえ。

大橋 やってて良かったと思えるのは、やっぱり日本一になったときにしか味わえないと思うので、それまで日々やるしかないのかなと思います。

――学生コーチをやっていて一番大変なことは 

長井 大変なことは、なんか不真面目っぽいんですけど、色々気を遣わなきゃいけないってことですかね。

大橋 ああー。

長井 選手はプレーをしてれば、それ以外の時間は何をしていても良いみたいな感じなんですけど、スタッフは練習をしないわけですし。下手な話、普段はこんな話絶対しないんですけど、例えば翌日練習があっても夜遅くまで遊ぶとか、できなくはないんですよ。絶対にやらないですけど。でも選手のことを考えると… 

大橋 そうそう。選手は身体キツいですし、拘束時間は練習時間だけで僕らのほうが長いかもしれないですけど、やっぱり選手に辛いことを強いたりもする中で、自分らが選手よりも楽というか、温いことをしていたら「あいつら遊んでて、適当なことやってて俺らにはこんな厳しいことさせるのかよ」って、僕らの言うことも聞かないと思うんです。それこそ、僕らから何も学ぼうという気にはならないと思うので、僕らもね。

長井 一つありました、大変なことありました。僕が心がけていることなんですけど、「辛い」とか「眠い」とか「疲れた」とか絶対に選手の前では言わないようにしています。選手のほうが絶対に疲れてるし、選手のほうが大変だし。 

大橋 選手のほうがキツいし。

長井 それは間違いないんで、それを言わないように。僕らも行動時間が長い分、眠くなったり、疲れたりするときはあるんですけど、それは心がけていますね。

――言葉の重みを理解している

大橋・長井 そうですね。

長井 迂闊に発言とか、ケアレスなことは言えないですね。

大橋 立場も微妙な立ち位置ですし。勿論コーチなので主導陣方なんですけど、学生なので。で…ねえ。 

長井 両方ともね。 

大橋 そう、両方ともの要素を含んでいるので。立ち位置っていうのは凄く難しくて、その使い分けというか。プライベートはプライベートで良いんですけどね。難しい。でも全ての行動のもとにコーチというものがあるので、そこを度外視した言動は絶対にできないです。自分がしっかりしていないと、相手に厳しいことは何も言えないので。

――お話が変わるのですが、選手時代、大橋さんはLO/FL/No8で、長井さんはSO/FBでした。FwdとBksという分け方ではないのですか 

大橋・長井 偶然ですね。 

大橋 本当に偶然ですね。

長井 寧ろ2人ともFwdとかだったらどうしてたんですかね?(笑) 

大橋 いやもうヤバかったでしょう。

――練習のときにFwd、Bksという分け方で見ているのかと思いました

大橋 練習は普通に全部でやって、FwdとBksっていうユニットで分かれるときは、僕はBKsは経験者でないので分からない部分は長井に聞いてますね。僕も、3部以下のチームのFwdは見たり。 

長井 もう頼り切ってますよ。ラインアウトとか。

大橋 お互い分からない部分は補い合ってます。 

長井 プライムリーバランスが丁度良いですよね。

――学生コーチをしていて一番やりがいを感じることは

大橋 勝ったときだよね。 

長井 その中でも、接戦ですよね。練習試合でも、相手の方が格下のときとか、90点とか100点とか取って勝ったときはそんなに嬉しくなくて。勿論嬉しいんですけど。最近だと明治のC、D戦は、前半に20点くらい差をつけられて負けてて、あれをひっくり返したっていう、ああいう試合を見ると嬉しいですね。後半に伸びるっていうのは嬉しいです。 

大橋 考えて練習を組んでる中で、それが実際に試合に出て勝ったりするのは良いですね。イメージした通りにそこまでいって勝てたら、抜群に気持ち良いですね。

――選手たちとのコミュニケーションの取り方は

大橋 コミュニケーションか…まあ選手と監督の間にいる立場でもあるので、話しやすさも込みで選ばれているんだと思います。 

長井 がっつり入ってますよ。先輩、後輩問わずコミュニケーションが取れるっていうのが条件でした。

大橋 僕とかは元々人の好き嫌いとかないですし、誰とでも喋れるのが売りっていうか(笑)まあ普通に「最近どう」とか話しますよ。今もお風呂入ってて、1年生と話したりだとか。普通にですよね。グラウンドにいるときは、選手とコーチなので、そこは一線引くんですけど、そこはこっちが絶対なので。こういうグラウンド外のところは近い立場で、それこそどうして評価とかチームが落ちたのかとか、そういう相談も結構受けます。ここをもっとこうしたら上手くできるし、もっと評価してもらえるしっていうのは言いますね。…こんな感じでどうでしょうか(笑)

長井 僕は、変な意味じゃなくて、人によって接し方を分けてます。真面目な選手には強く言っても平気なんですけど、そうじゃない人もいるわけで。そういう人にはちょっとお兄ちゃん口調で言ってみたりとか。

大橋 お兄ちゃん口調(笑)

長井 ふざけてはいないんですけど(笑)上から口調ではなくて、兄貴が子分に話し掛けるみたいな雰囲気で接してみると反応が違ったりします。

――長井さんは上の学年の方にも指示をすることがあると思うのですが、そこで意識することは 

長井 最初はちょっとどこまで言っていいか分からなかったんですけど、最近はもう勝つためなら仕方ないって考えてますね。

大橋 それこそグラウンドとのオンオフの切り替えです。グラウンドでは、誰が上にいようが何歳離れていようが、長井が絶対なんで。長井もね、ちゃんとグラウンドの外だと敬語も使いますし(笑)最低限の礼儀は。

――オフのときには下級生に声をかけて精神的なケアをしたり 

大橋 やっぱりチームが落ちてショックを受けている選手は、相当モチベーションが低くなってしまうので、それで奮起する選手もいますが、そうでない選手もいるので、そういうときはどうして落ちたのかだとか今後どうしていこうかという話はします。ネガティブな気持ちを持ったまま練習には出させないように、切り替えさせます。ネガティブな空気はすぐに伝染するので。 

長井 僕もほぼ同じなんですけど、僕が一番気を遣うのは、試合に出られない選手ですかね。やっぱり部員がすごく多いじゃないですか。だから試合を組める数も限られてくるので、毎回出られる選手と出られない選手がいる中で、選手のモチベーションをどう保つかということには気を遣っていますね。

――理想の学生コーチ像は

長井 おっ。これはもう大橋さん得意じゃないですか。 

大橋 得意ってなんだよ(笑)理想、そうですね。やっぱり、誰よりも努力している人がいいのかなと思います。ラグビーという競技も、学ぶ姿勢を忘れたらそれまでだと思うので、どんなことでも学ぶ姿勢をずっと持ち続けて、何か新しいことだとか何かプラスになることはないかって日々研究していくことをやり続けること、そして誰よりも選手よりも他のスタッフよりもたくさん仕事をするっていうのがベストですかね。勿論最後に結果がついてこないとどうしようもないので、過程はそんな感じで全力を尽くしてそして結果がついてくるっていうのが理想のコーチ像です。

――長井さんいかがですか

長井 こんな良いこと言われたらもう言うことないじゃないですか。何だろう、難しいですね。そういうの考えたことないですけど、現状不満足というか。常に全体を見て、何かを伝えるにしても根拠がないと駄目なので、ひたすら勉強ですね。学んで学んで、常に言葉に説得力を持たせることを意識しています。言葉に説得力があるというのが、僕にとって一番の理想ですね。

――お二方から見た今年のチームの特色は 

長井 多分、上のチームを見ている人と、下のチームを見ている人とで感じていることが違うんですけど。 

大橋 競争力は凄いと思います。監督が変わって、全てフラットに見る感じで。日々セレクション、日々チャレンジなんで毎日アピールするっていうことが凄く特色になっているのかなと思います。

長井 4年生が最近リーダー意識を持ち始めていますね。春までは、僕に任せっきりというか。まあ4年生も自分でやっちゃうと僕の立場がなくなっちゃうっていうので気を遣ってくれたのかも知れないですけど。春はあんまり4年生から行動に出るというのが感じられなくて、僕自身凄くもやもやしていた部分もあったんですけど、最近は4年生が凄く頑張ってくれて、それが今年のジュニアチームの特色かなと思います。

大橋 確かに学生主体と監督が言ってくださっているので、凄く張り切っていますね。

長井 最近は4年生が自分で監督室に来て、ミーティングしようとかビデオ観ようとか言ってきますね。それが凄く嬉しいです。

――秋になって自覚が芽生えてきた

長井 そうです。まあそんなこと言うとなんか凄く偉そうなんですけど(笑)でも4年生らしさというか、4年生のあるべき姿はああいうのかなと思います。

大橋 春が過ぎて、秋に深まって試合が始まってくると段々ね。 

長井 自分たちも勝てないと悔しいですよね。

 大橋 残り少ないっていうのも関係しているんだと思います。

――今のチームの雰囲気は

 長井 最高に良いですね。今週早稲田ってのもあると思うんですけど。 

大橋 やっぱり早稲田っていう相手があるので。

 長井 一つ一つの練習に集中してますし、4年生がそういう雰囲気を作り出してくださるので、みんなもそれに引っ張られていい雰囲気です。僕もなるべく4年生の気持ちに応えようというのは言うようにしています。

 大橋 早稲田っていう相手が雰囲気を引き締めていますね。今Aチームはウエイトトレーニングとフィットネスをしていて、そのフィットネスが一つ一つ凄く辛いと思うんですけど、みんな全力で取り組んでいます。本当に早稲田に勝ちたいっていう強い思いは伝わってきます。僕自身も勿論持っているんですけど、選手から見て分かるくらい伝わってくるんでそれは凄く良いことだと思います。

――お二方にとっても早慶戦は特別なものですか

大橋 もう格別ですね。去年の早慶戦も勿論嬉しかったんですけど、去年の12月25日にB、C、Dで早稲田と試合を組んでもらったんです。その前は負けてたんですけど、B、C、D全部で勝ちまして。しかもそこで4年生が凄く活躍してくれて、最後どうやったら勝てるかっていうのを考えたのが結果として出たので、早稲田に勝つ喜びっていうのは皆特別なものとして持っています。去年それを経験して、今年もそれを持っています。勿論、明治にも帝京にも勝ちたいですけど、早稲だっていう相手には全く別の喜びを感じます。

長井 僕は小学校から慶應なんですけど。早慶戦を昔から観ていて、憧れの舞台だと思っていました。その思いでラグビーを続けているので、格別ですよね。もう半端じゃないですよ。やっぱり、立場は変わってもそれは変わらないものです。

 

――今チームで取り組んでいることは 

大橋 自分らのやるべきこと、何よりタックルですね。そこなくして慶應は成り立たないチームなので、そこをとことんやって、あとプラスアルファで相手よりどれだけ走れるかってことですね。個人個人の能力でいったら相手の方が上回っていると思うんです。それをもう泥臭く、低くタックルして、走って、凄く良い質を持ってくるならこちらは量で越えていきたいです。対策でもなんでもなくて、慶應と早稲田がやるってなったら、そこに行き着くことですね。毎年そうだよね。 

長井 そうですね。毎年よく言われるのがあれですよね、向こうは肩書きを持って集まってくる連中ばっかりで日本代表ばっかりだけど、こっちはそういう選手なんて全然いなくて。個で勝てないなら組織で勝とうっていうことです。やっぱり走ってタックルをして、それを繰り返し繰り返しっていうのがうちのスタイルなので、それを貫くだけです。

大橋 そうですね、原点回帰してそれをとことんやり抜けるかっていうことが、早稲田に勝てるかどうかに繋がると思います。

――最後に早慶戦への意気込みと今後の目標をお願いします

大橋 意気込み…それはもう。

長井 4タテ。ABCD全勝ですよ。(この取材はジュニア早慶戦前に行いました)

大橋 そのためにやってきてますし、何より早稲田に勝つっていう、それだけですよ。

――選手権も控えています 

大橋 それはもう日本一になります。やっぱり日本一になるために学生コーチをやっているので、なるしかないっていうか、そうなるためにこの4年間やってきましたし。それをただもう達成するしかないなって思いますね。

長井 僕はジュニアチーム担当なので、チーム力の底上げですね。下が強くなれば、上もそれに感化されて自然と強くなるので、上に発破かけて全体が強くなって、チームも勝つと。それだけです。

――お忙しい中、気さくに取材に応じてくださってありがとうございました!

 

by Nao Hara

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