前節の桐蔭横浜大学戦は前半に斎藤大雅(文3・立命館宇治/京都サンガF.C.U-18) のゴールで先制するも追いつかれ、PKから逆転を許し痛い敗戦を喫した慶大。残留、さらには目標とする全国制覇へ向け残された最後のチャンスであるインカレ出場圏となる8位以内への進出へこれ以上勝ち点を落とせない慶大は、敵地RKUフットボールフィールドに乗り込み、1つの上の11位の流通経済大学との6ポインターマッチに臨んだ。前半14分に右サイドの連携ミスから先制を許す苦しい展開になるも、齋藤真之介(経4・桜修館/FC町田ゼルビアユース)のボレーシュートが決まり1−1で前半を折り返す。後半は相手に攻め込まれる時間が続くも、73分に絶好調の齋藤真がこの日2点目となるシュートを決めて逆転に成功。そのゴールを最後まで守り切った慶大が1部残留を賭けた裏天王山を制し、残留とインカレへ望みを繋ぐ勝ち点3を手にした。
2025/10/29(水)18:00キックオフ@RKUフットボールフィールド
【スコア】
慶應義塾大学2ー1流通経済大学
【得点者】
14分 流経大 清水蒼太朗
40分 慶大 齋藤真之介(オノノジュ慶吏)
73分 慶大 齋藤真之介
【慶大出場選手】 | |
ポジション | 背番号 選手名(学部学年・出身高校) |
GK | 1 洪潤太(政4・東京朝鮮中高級学校/三菱養和SCユース) |
DF | 2 大下崚太(商4・慶應/東京ヴェルディユース) |
3 三浦成貴(商3・浜松開誠館) | |
| 6 永澤昂大(政4・國學院久我山) |
| 27 霜田晟那(理1・都立八王子東/FC町田ゼルビアユース) |
| → 64分 16 藤平一寿(法4・桐蔭学園) |
MF | 7 齋藤真之介(経4・桜修館/FC町田ゼルビアユース) |
| → 90+5分 18 石田航大(政3・慶應/ブリオベッカ浦安U-18) |
| 8 田中雄大(商4・成城学園/三菱養和SCユース) |
| 23 岡田朋希(商4・國學院久我山) |
| → 71分 17 辻野悠河(商4・暁星国際) |
| 25 小野翔大(経2・慶應) |
| 30 オノノジュ慶吏(政1・前橋育英) |
DF | → 82分 5 早川太晟(総4・都立駒場) |
FW | 11 立石宗悟 (法4・桐蔭学園) |
| → 90+4分 15 清水皇貴(経4・三田学園) |
10番を背負う副将、角田惠風(商4・慶應/横浜F・マリノスユース)とセンターバックの斎藤大雅(文3・立命館宇治/京都サンガF.C.U-18)を出場停止で欠く慶大は、大幅にスターティングメンバーを変更。左センターバックには4試合ぶりの出場となる大下崚太(商4・慶應/東京ヴェルディユース)を起用し、さらにボランチには小野翔大(経2・慶應)を、トップ下には岡田朋希(商4・國學院久我山)を今シーズン初めてスタメンに抜擢した。

今季初スタメンの岡田
インカレ出場に向けて是が非でも勝ち点3が欲しい慶大は、序盤から積極的に仕掛ける。3分、ゴールキーパーの洪潤太(政4・東京朝鮮中高級学校/三菱養和SCユース)からのロングキックを受けた齋藤真之介(経4・桜修館/FC町田ゼルビアユース)が相手選手を剥がして中央へ侵入。ペナルティエリア付近で待っていたオノノジュ慶吏(政1・前橋育英)へパスを送るもこれはわずかに合わない。

フィジカルで相手を抑えつけたオノノジュ
さらに攻勢を強める慶大は7分、連動したプレスから右サイドでボールを奪うと、田中雄大(商4・成城学園/三菱養和SCユース)がセンターフォワードの立石宗悟 (法4・桐蔭学園)へ一気にスルーパスを送る。立石の折り返しは相手選手に止められたもののこの流れからコーナーキックを獲得。ショートコーナーから岡田がシュートを放つも相手選手のブロックによりゴールを割ることはできない。このまま慶大が主導権を握ると思われたが14分、自陣深くの右サイドでパスミスから相手にボールを奪われると、ペナルティエリア内までボールを運ばれる。そのまま強烈なシュートがサイドネットに突き刺さり先制を許す。

相変わらずのキープ力をみせた立石
切り替えて同点弾を奪いたい慶大は23分、ディフェンスラインのパス回しから小野が左サイドの齋藤真へ展開。齋藤真は少し中へボールを運ぶとアーリークロスを選択する。中で待っていたオノノジュにボールが渡るも相手選手に体を当てられていたため強いシュートにはならず、難なくキャッチされてしまう。

永澤が攻撃の起点を生む
なかなかシュートまでいかないもどかしい展開が続く中40分、ハーフウェイライン付近から田中から左サイドの齋藤真へロングキックを送る。これが相手の頭上を越え、齋藤真がダイレクトで中へ折り返すもわずかに合わずボールは右サイドへ流れる。しかし、右サイドハーフのオノノジュがこれを回収し、相手の激しいマークを受けながらも中へクロスを送り、再びボールを受けた齋藤真がボレーシュートを放ち同点に追いつく。この流れのまま前半のうちに逆転を目指すも相手の守備を崩せず、1-1で前半は終了した。

好調の齋藤真のゴールで同点
前半のうちに追いついて折り返した慶大だが、後半からは流経大の身長を生かしたロングボールに押し込まれる展開が続く。まずは後半キックオフ早々、ロングボールのこぼれ球を拾われると小野が相手に入れ替わられ、慌ててファウルで止めてしまいゴール前でFKを与えるも、シュートはサイドネットに逸れ難を逃れる。慶大の攻めにおいて前半からの大きな変更点はゴールキック。前半は自陣から開いたセンターバックや落ちてくる田中を使って前進していたが、長いボールを強靭なフィジカルで収め続けていた立石へゴールキックでそのままロングボールを蹴る戦い方に後半からシフトした。

角田の代わりに活躍した小野
しかし、流経大の高身長の選手に弾き返され続け、なかなか前進できず嫌なムードとなっていく。それでもディフェンス陣が身体を張った守備で流経大のクロスを弾き返し続けると、慶大にチャンスが訪れる。28分、ハイプレスを受けながらなんとか小野にパスを繋ぐと、小野は目の前の相手選手を剥がした後に左サイドの齋藤真之介への展開を選択する。齋藤真之介はカットインして右脚一閃。「いつも通り振れば入るかなと思った」と本人も語るシュートがゴールに突き刺さり、慶大が逆転に成功する。

齋藤真の2ゴールで逆転
逃げ切りたい慶大ベンチはさらに決断をする。82分、同点ゴールをアシストしたオノノジュ慶吏に変わって早川太晟(総4・都立駒場) を投入、5バックでリードを守ることを選択する。さらに、94分にはDF清水皇貴(経4・三田学園)が立石との交代で今季初出場となるなど、ベンチ入り20人全員で総力戦を貫いた。

見事勝利をおさめた
最後の笛が鳴るまで集中して、流経大のロングボールやクロスを弾き返し続けた慶大。2−1で逃げ切ることに成功し、残留とインカレ出場へ大きな勝ち点3を積み上げることに成功した。

全国制覇へ
(記事:首頭千紘、甲大悟 取材:塩田隆貴、首頭千紘、甲大悟)
【選手インタビュー】
◇齋藤真之介(経4・桜修館/FC町田ゼルビアユース)
—―残留してさらに順位を目指すためには勝つしかない6ポインターマッチ、どんな意気込みで試合に臨み、今はどんな想いか
前回も勝たなければいけない試合で負けてしまったということに対して、全員が中3日でしたけどチーム一丸となって戦うということが体現できた、みんながこの試合に賭けていたので勝ててよかったです。
――試合前、中町監督からはどんな話があったか
このチームを勝たせられるのはピッチに入っている11人でありベンチに入っている20人の選手で、俺たち(試合に出られる選手)が責任持って、チームの思いを背負ってやってこいということは言われました。
――試合としては先制される苦しい展開の中で、オノノジュ選手の折り返しからボレーのような形で同点弾を決めたと思うが、同点弾のシーンについてはどんな感覚だったが
前半、相手の守備にいい形で攻撃できていなかったとは思っているんですけど、その中でどんな形であれ点が取れたというのは大事で、慶吏がいいボールを上げてくれたかなと思います。
――逆転ゴールについて、完璧なシュートだったと思いますが
あそこで持ったらカットインしてシュートというのは思い描いていた中で、中にしっかり慶吏が入り込んでくるとか、みんながやるべきことをやったから生まれたゴールかなと思います。
――ここから残り3試合、意気込みは
みんなわかっていると思いますけど、まだ何も勝ち取ったわけではないし得たわけでもないので、地に足つけて今日のようにチーム全員で目の前の試合に立ち向かっていくという姿勢を続けたいと思います。
――後半戦は好調だが、自分の中でうまくいってると感じる部分は
自分の中でも「型」みたいなものが自信になってきていて、ゴール前でも「いつも通りに振れば入るかな」というのがいい効果を生んでいると思います。
――中2日で迎える次節の東洋大戦の意気込み
中2日で難しいゲームにはなると思いますが、今日も出場停止がある中でみんなで掴み取れたと思うので、次節も同じような試合をすればいいかなと思います。
◇田中雄大(商4・成城学園/三菱養和SCユース)
――裏天王山で主力2人を欠く中、どのような試合を組み立てるつもりだったか
角田惠風(商4・慶應/横浜F・マリノスユース)と斎藤大雅(文3・立命館宇治/京都サンガF.C.U-18)がいないなかでも、チームとしてやることは変わりませんでした。ただ、いつも攻守でハードワークしてくれてる惠風がいないというところで、その分を自分と小野翔大(経2・慶應)でカバーするというか、その役割を全うするということは意識して、小野と相談して試合に臨めたかなと思います。
――リーグ戦勝利への率直な感想
もう次負けてしまったら意味がないというのはありつつも、嬉しい気持ちが一番にあります。ほっとしたというのが率直な感想です。
――後半、1点を守り抜くシーンが続いたが
理屈じゃない部分でハードワークして。フォーメーションも変えて。割り切って相手のやりたいこと、ロングボールに対して、自分たちが気持ちで跳ね返していくというところは、理屈じゃなく体を張って、全員でハードワークして守り抜けたなと思います。
――次節・東洋大への意気込み
今日勝ったのは大きい意味を持つと思うので、今日の勝利に大きい意味を持たせるためにも、ここから這い上がっていかないといけないことには変わりないので、もう一回チーム一丸となって、ホームで、絶対勝ちたいなと思います。
◇小野翔大(経2・慶應)
――今日の試合を振り返って
初めてスタメンで出場して、自分ができることを全力でやろうと思った中で2点目は自分のところから生まれたのでそういうところでチームに貢献できてよかったと思います。
――角田選手が欠場となった中での出場となったがどんな気持ちで臨んだか
かぜ君(角田)の代わりにはなれないと思っていたので自分のできることを最大限やったことがチームの勝ちにつながったと思います。
――相手のプレスを落ち着いて躱す場面が多くあったが、どんなことを意識しているか
中盤でボールを持てるというのは自分の長所でもあるので相手が来たところを剥がすだったり自分のところで少し時間を作れたりすればチャンスが来ると思っていたのでそういうところを意識していました。
――2点目の齋藤真選手の得点は小野選手のパスから生まれたが、その場面について
結構試合を通してしんの君(齋藤真)の背後が空いているなと思っていたので、チャンスあったら狙っていたのですけど、得点シーンはフリーな状態で渡すことができたので得点につながったかなと思います。
――次戦、東洋大戦に向けて
かぜ君(角田)も戻ってくると思うので、自分が出番回ってきたときに全力で取り組めるように日ごろの練習から自分の100%を継続して出せるようにやっていきたいと思います。

