慶應スポーツ新聞会

【ロンドン五輪特集】第1弾 慶大が誇るスプリンター 山縣亮太

山縣亮太選手(総2)

オリンピック特集第一弾は、慶大が誇る若きスプリンター・山縣亮太選手(総2)。山縣選手は陸上男子100mでロンドンオリンピック出場を決めている。人知れぬスランプを乗り越えた先での記録更新、オリンピックに懸ける思いなどを語っていただいた。陸上短距離界の未来を背負う若武者が、世界に飛躍する姿に注目だ。

(この取材は5月20日に行いました。)

――織田記念のレースで10秒08という記録を出したが、そのタイムをどう思うか

オリンピック標準記録Aを突破することを目標に織田記念には臨んで、それを実際に切ることができて、実感として近づいてきたなと思います。

――織田記念のレースを振り返って

レースの内容は、いつもそうなんですけど課題が残る内容だったので、満足はもちろんしていないんですけど、次につながると思うので、これからどんどん良くしていけるなと思えるレースでした。

――残った課題とは

まず、予選はタイムは出たんですが、スタートで失敗してしまい、身体が浮いた形になってしまいました。後半もスピードが出ているんですが、感覚として身体がバラバラになって走っていたなと思います。そういうレースだったのでタイムが出て非常に驚きなんですけど。そういう課題が残っていますね。スタートを上手く決めて、スムーズに加速に乗って、後半走り切るっていう目標があります。

――タイムが出た決め手は

3月に日本陸連の合宿があって、そこで教えてもらった走りの技術っていうのがタイムになって出てきたと思います。

――開催場所が地元広島だったが

地元なので応援に来てくださる方がとても多くて、僕のレースを楽しみにしてくれる人が広島には多いです。そういう人たちに少しでも面白い試合を見せられるように、自分の力にして走るように心がけました。

――それがタイムが出たひとつの要因でもある

そうですね。広島で走れることは僕にとって、非常に気持ちの面で支えになるので、広島でタイムが出たのは、出るべきときに出たなという感じがします。

――10秒08というタイムは男子歴代5位だが

タイムは出てしまった、という感じが非常に大きいので…。でも歴代5位っていうのは、自分がやっと歴代の日本の歴代のスプリンターの先輩方に肩を並べることができたという意味では光栄に思います。でもまだまだこれからだと思っているので、歴代5位というのに満足することなく、さらに上を目指していきたいと思います。

――A標準を切るタイムが出たときの気持ちは

風が追い風2mで、公認記録になるギリギリだったので、まずそこでほっとしました。A標準を切ったってなって、オリンピックが近づいてきたという実感ですかね。タイムを見たときは、やっと出られるかもしれないという思いが現実味を帯びてきたと、そういう印象を受けました。

――決勝では無風の状況で、やはり標準記録Aを切るタイムを出している

織田記念で記録を出すっていうのが自分の目標でしたし、それに合わせて走ってきていたので、2本連続でAを切れたっていうのは、自分の中で大きな自信になりました。今後日本の短距離界を、今までは追う立場だったんですけど、追われる立場の選手になるんだなという自覚が生まれました。

――織田記念に向けてトレーニングをしていたのか

織田記念というのはやはり、自分にとって一つの大きな舞台でありますので、そこに向けて体調を合わせて記録を狙っていくというのは、自分がオリンピックを考えたときに必要になってくることなので、もちろんそのあとの静岡、川崎、日本選手権と続いていくのでレースを良くしていきたいと思っているので。織田ではそのときの自分ができる一番のレースができるように最大限の努力をしました。

――2月に取材をしたときには、不調から抜け出せないと言っていたが

今はかなり晴れ晴れとしていますね。きっかけはさっきも言ったように陸連合宿の敬虔だったりするんですけど、2月までは本当に何かきっかけを探すという意味でもやもやしていました。このまま去年と同じように走っても何も変わらないと思っていたので、そういった意味で2月は実感として、不調を抜け出せていない、きっかけをつかめていないという思いがあったのだと思います。

――陸連合宿では具体的にどのようなことを学んだのか

走りのギアをあげる、意識を変えるということですね。スタートを出て、そのまま100mを走ってしまっていたんですが、身体が起き上がってからの意識を変えるようにしました。身体が起きてから今までは普通に走っていたのを、身体の下に足を下ろすような意識を持って、もう一つ新しい走りをすることによって中盤から後半の伸びというのがでてきました。それが去年と違うと思います。

――以前はスタートが課題だと言っていたが

スタートは色々考えた結果、言うほど悪くないというか。スタートはそれでも速いと言われるし自分の武器でもあるので、自分が思うほど悪くないということだったので、スタートをいじるのはやめました。特に中盤から後半の、減速しない走りを心がけたほうがタイムにつながると思ったので、スタートよりもそちらに意識を置くようにしました。

――その走りに手ごたえをつかんだのはいつ頃か

練習の段階からタイムとして出てきていたので、それこそ3月終わりから4月頭くらいは非常に良かったですね。六大学対校戦が15日にあって、そこでも結果として現れてくれたので、形になってきていると思います。

――六大学対校戦では100m10秒25というタイムだった

今年の冬やってきたことや自分の取り組みが、きっと間違っていなかったんだってことを思えた試合でした。

――今はオリンピックについてどう考えているか

前は、オリンピックには手が届かないって言ったかもしれないんですけど、今はそんなことは思っていないので。まずはしっかり日本選手権を走れるように、今の足の状態のこともありますし、自分ができることっていうのをやって、日本選手権をしっかり後悔のないレースにできるように、今はできることをやっています。

――足の状態については

大丈夫です。そんなに重くないということだったので。関東インカレは走ることができなかったのですが、気持ちはもう切り替えて次の日本選手権に向けたいと思っています。

――オリンピックはやはり特別なものか

オリンピックは、もちろん出たいですし、周りからも出られるってことは幸せなことなんだよって言われますし僕もそう思います目標です。でもまだ僕はオリンピックというものを経験したことがなくて、本当の意味での大切さや事の大きさというのをまだ実感したことはないので。もちろん大事なものには変わりはないですが、正直一番優先すべきことではないと考えています。でもやっぱり非常に大切なものだと思います。

――一番優先したいこととは何か

この話は非常に長くなるので嫌なんですけど…(笑)僕は、自分だけでなく周りの人たちがいて強くなってこれたっていう経験がありますし。オリンピックだったり日本選手権だとかは個人の戦いなので、そこで結果を出すことで喜んでくれる人もいますし、自分が競技をやっていく上で目指すことではあるんですけど、僕が一番大切にしたいのは、周りの環境とかそういうものを考えながらやっていくことなので。一番大事にしている大会とかはもちろんなくて全部大事だと思っています。えーと、なんて言ったらいいか分からないんですけど…やっぱり自分の成長を大切にしたいですね。

――そこで支えてくれる人たちのこと考えたい

そうですね。そういった人たちのことを考えながら競技するっていうのが、僕が一番したいことなので、それを忘れずにやっていきたいです。

――今後は一般の人々からも注目される選手になるが

もちろん、一般の方々とか、色々な人たちが期待してくださると思うんですけど、その期待っていうのは別にどんどんしてくれて構わないし、その人たちの期待っていうのが僕をまた強くしてくれるので、求められていることっていうのを出せる強さを僕は身につけたいのでどんどん期待してほしいと思います。

――プレッシャーになることはないか

プレッシャーに感じて嫌だと思って、逃げることは絶対にしたくないので。期待されている以上はそれを受け止めて、そこでいかに結果を残せるかというのが僕に求められていることだと思います。それを自覚して良い意味で期待を裏切れるように、そんな選手になりたいと思います。

――強化している部分は

今ちょっとケガをしているので、それを治すことを念頭に置いています。でも考え方ですかね。身体のどこかを鍛えているというのはないんですけど、ものの考え方というのは常に意識しています。

――その考え方とは

僕は成長したいって言ったんですけど、究極はどこまで自分を犠牲にしてそういう人たちに尽くせるかだと思っているので。色々な欲が取り巻くわけですけど(笑)例えば、朝起きるのが辛いとか、学校行くのが面倒くさいとか、そういうのがあるんですけど。それを打ち破る強さというか、自分がどういうふうに行動できるかというのは常に考えています。

――世界と戦う上で伸ばしたい部分は

スタートの速さはもうちょっとないと戦えないなと思います。世界は、後半の伸びというのは桁違いなので。今の自分に満足することはなくて、もっともっと伸びれるように色々な手段を考えていきたいと思っています。

――今の調子は

メンタルは非常に前向きになったので、多分どんなに嫌なことが起こっても大丈夫です。身体のほうは走っていないので分かりません(笑)

――今後の意気込みは

きっともっともっと強くなれるので、僕のことを頭の片隅にでも入れておいてもらえたら嬉しいなと思います。

山縣選手、お忙しい中ありがとうございました!

(取材・原直生)

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