【競走】若い力が躍動する熱き4日間  全日本インカレ

200mに出場した谷口

残暑厳しい暑さの中、9月9日~12日にかけて、日本全国の若き精鋭たちが集う天皇賜盃 第81回日本学生陸上競技対校選手権大会(全日本インカレ)が国立競技場で行われた。

 

9月9日~12日 天皇賜盃 第81回日本学生陸上競技対校選手権大会(全日本インカレ)@国立競技場

 

オリンピックを経験して、一回り成長したエース山縣亮太(総2)は、100m予選を組1位の10.42(-1.4)と好タイムで順調に通過。準決勝も10.31(-1.7)という全体1位のタイムで通過したが、レース中に以前から痛めていた右太もも裏を肉離れし、決勝は無念の棄権となった。また、100m予選6組に出場した本橋秀章(経4)は10.84で8位となり、自身の目標であった予選通過はならなかった。

男子1500mでは予選2組で坂庭大輝(総3)が前半から積極的な走りを見せるも、2周目後半から3周目前半にかけてスピードが落ち、決勝に進むことはできなかった。また、男子400mHでは、春山真寛(総3)が最後までスピードにのることができず、52.96で予選敗退に終わった。

四継のバトンを受け取り走る野村 

男子4×100mRは1走・本橋、2走・谷口文也(経3)、3走・岩見隆裕(理2)4走・山縣のオーダーで臨み、予選を39.23の全体1位で通過する。これは塾新記録を更新するタイムとなった。決勝ではけがによりエース山縣が欠場し、選手交代で4走を野村隆太が急遽走ることにはなったものの、前半からスピードにのったレース展開。3-4走間でのバトンミスがあり、40.12で8位入賞という結果とはなったが、2年生2人を含むメンバー構成を考えると、次につながる良いレースとなった。

 

 

大会最終日には、辻彩美(商1)が出場。女子100mH ではスタートをうまく成功させたが、最後までスピードにのりきれず、14.44の予選5組7位で、惜しくも予選敗退した。辻は女子200mでも組6位となり、準決勝進出は逃した。また女子400m、800mには志比菜津実(総3)が出場したが、終始周りの速さに圧倒され、どちらも予選突破はならなかった。

 

笹村は800mで6位入賞 

男子800mでは笹村直也(政3)が予選で1周目から4番手といい位置につけ、2周目中盤で首位に立つと、そのまま1位でゴール。1:53.48というタイムで予選を通過。準決勝でも自分のスタイルを貫き2周目後半の粘りの走りで、1:51.95の好タイムで予選1組3位に入り、みごと決勝進出を果たした。迎えた決勝。笹村は1週目に良い位置につける。しかし徐々に先頭に差をあけられる。そのまま差を埋められずに6位でゴールした。表彰台は逃したものの、「今までにないレース」(笹村)で入賞を果たした。また櫛田貴茂(法4)は2周目に必死の追い上げを見せるも予選敗退となった。

男子200mでは谷口がスタートからスピードに乗ったレース展開で組2位となる21.34のタイムで予選を突破。準決勝では良いスタートを切ったものの、その後失速。「納得のいくレースでは全くなかった」(谷口)と言うように、決勝進出は逃す悔しい結果に終わった。 また、男子砲丸投げでは秋元壯樹(総4)が14.97mで10位、三段跳では平井優季(総4)が11.98mで12位と共にベスト8進出を逃した。

 

女子4×400mRは、1走・町野あかり(商3)、2走・志比、3走・村井南(文1)、4走・原知穂(法4)という編成。序盤から強豪チームにしっかり着いていく意地の走りを見せるも、3走から4走にバトンが渡った時点では7位。しかし全日本インカレが最後の大会となる4走の原が4年間の集大成を見せる素晴らしいスパートで1人をかわし、最終的に6位の3:52.73というタイムでゴールした。予選敗退とはなったものの、この大会にかける思いが伝わってくるレースであった。

マイルリレーのアンカーを務めた茅田

男子4×400mRでは、1走・室伏基(理1)、2走・内芝基樹(総1)、3走・壁谷智之(総2)、4走・茅田昴(理2)というオーダーでの出場。室伏が順調なスタートを切り、首位で2走の内芝へとバトンを渡す。内芝は1位を守りきり、壁谷が中盤に中大にぬかされたが、2位で4走の茅田へ。茅田はラストで順大に迫られるもねばりの走りで順位をキープし、3:09.31で予選2位。0.03秒差で決勝に進めず、「本当に悔しい」(室伏)レースとはなったが、1、2年生で編成されるこのチームのこれからには大いに期待できるだろう。

 

連日の真夏日という厳しい戦いが強いられる大会であったが、真夏の日差しに負けない熱い戦いを見せてくれた慶大選手たち。山縣の負傷など不安材料はあるが、この大会で特筆すべきは若い選手たちの活躍であろう。1年生ながら2種目に出場した辻や、1、2年生で構成されたマイルチームなど、若い力の躍動は目覚ましい。彼らが慶大競走部の今後を担っていくことで、その展望は明るいものになるだろう。

 

                            (文:十枝内佑香、原直生)

 

◆選手コメント

本橋主将

(100m予選のレースを振り返って)個人的には、今年3回目の100mだったので決勝進出を狙っていたのですが、結局けがの影響もあって上手くスタートが切れずに蛇行するような形になってしまいました。(けがというのは前のものが再発したのか)今しているのは再発ではないのですが、右足を7月頃からずっと痛めていて、それが治りきりませんでした。(今のけがは)四継の決勝のバトンを渡す直前くらいでやってしまいました。(四継の予選のレースについて)まずはタイムが、39秒23と塾新記録が出せたのはすごく良かったです。自分の走りも、今大会1本目ということでまずまずと走りができたと思います。あとは、練習してきたことが3区間それぞれで出せたので、それが良い結果につながったかなと思います。(決勝では山縣選手が欠場したが)もちろんエースの欠場はショックだったのですが、そこはしっかり切り替えて、自分がやるべきことは変わらないので、自分の力を発揮するようにしました。後輩たちもしっかり切り替えてくれて頼もしいなあと思いました。このメンバーでも表彰台、優勝を狙ってがんばろうと臨みました。(若いメンバーが中心だったが、4年生の本橋選手にとってどのように感じるか)春からずっと4年生は僕以外いなくて、後輩たちと一緒にやってきたので、僕が引っ張っていこうという気持ちがあったのですが、それでも最近これくらいの時期になっていくと、僕が引っ張っていくというよりかは、僕が後輩たちに引っ張られるような形で切磋琢磨してきました。また、リレーメンバーだけではなく、短距離全体で切磋琢磨して上を目指していくすごく良いチームだったと思います。(最後の全カレだったがどのような気持ちで臨んだか)最後ということはあまり意識せずに、今までの4回すべてがそれぞれのインカレだったと思っていて、なので最後だということは意識せず、自分の力を出そうと思っていました。(暑さの中での体調管理は)日頃の練習から、アイシングだったりストレッチだったり、水分補給というのはチーム全体で徹底するようにしていました。(けがも影響で早慶戦出場は厳しいか)そうですね、まだ何とも言えないですが厳しいかもしれないですね。(では今後に向けて)とりあえず学生のうちはまだ日本選手権リレーが残っているので、しっかりけがを治してそこに集中していきたいというのと、あとはまだまだ思いつけないかなあという感じです(笑)来年以降も普通に就職するのですが、しっかり練習して陸上の自己ベスト目指して頑張っていきたいと思います(笑)

 

笹村

(全日本インカレを終えて)昨年は5位入賞したので今年は表彰台を狙って走ったんですけど、残念ながら6位と昨年より順位を落としてしまいました。でも全体的には、新しいことに挑戦できた良い試合だったと思います。(その新しいこととは)いつも僕は後ろの方からだんだん相手を抜いていくというレースのワンパターンだったんですけど、今回の予選では2周目のバックストレートで仕掛けて、決勝の前半は前の方でレースを進められました。結果は決勝では6位だったんですけど、今までに無いレースができたと思います。(その決勝のレースを振り返って)前半はいい位置につけたんですけど、ちょっと昨日の疲れがあって1周目を通過したところできつくて前につけなくて、何とか最後に二人は抜いたんですけど、スタミナ不足を感じました。(スタミナが今後の課題になりますか)スピードはだいぶ上がってきているんですけど、3週間前くらいまではすごく調子が悪くて、全力で走っても1分53しか出ませんでした。何とかよくここまで戻ってきたと思うんですけど、ちょっと戻すのに精一杯でレベルアップというところまでは追いつかなくて、3本目もたなかったところが残念です。(今後に向けて意気込みを)今年は記録を狙いたいレースが何本かあるんですけど、そこで来年につながるような良い記録を出して、来年は関東インカレ、全日本選手権、全日本インカレと表彰台を狙って走れるように頑張りたいと思います。

 

 

谷口

(200mのレースを振り返って)自分の納得のいくレースでは全くなかったです。後半失速してしまったので、200をしっかり走りきれなかったということで、悔しい結果になってしまいました。(四継(4×100m)のレースを振り返って)僕的には四継のほうが内容は良かったかなと思います。怪我をして、走り込みが足りなかったというところで、それが失速につながってしまったのかなと思います。怪我をしたのは8月中です。左足を捻挫してしまって、二週間くらい走れない時期があって、それがちょっと影響したのかなと思います。バトンの受け渡しは、決勝に関しては割とうまくいったのかなと思います。練習はずっとやっていました。(大会に対する意気込みはどうだったか)四継はもちろん優勝を目指していて、200mも決勝で勝負することを目標にしていたので、悔しい結果に終わってしまいました。(春から調子を上げているが)練習のスタイルは1年の時からずっと変えていないので、自分の中でそういう練習をしなきゃいけないというのもあるんですけど、それをしっかりやってきたつもりではいました。(早慶戦に向けて)早慶戦で一区切りで、あとは来シーズンに向けてという感じです。多分100mと八継(4×200m)に出ると思うので、もちろん100mは一番を目指して、八継も早稲田に勝てるように頑張りたいと思います。

 

茅田

(今日のレースを振り返って)100分の3秒の差で決勝に進めなかったので、残念です。(暑い中のレースだったが)アップ場が日陰だったので、そんなに影響はなかったです。(バトンの受け渡しは)バトンは結構練習していたので、良かったと思います。(マイルのアンカーとしての意気込みはどうだったか)緊張して、昨日は夜ご飯を食べられませんでした。自分で順位が決まるので、一着を取りたいと思っていました。(今日のレースをどう次に生かすか)本当は決勝に残って次に生かしたかったんですけど、それができなかったので、個人個人のレベルが低いということだと思うので、全員がもっと速くなって、決勝で勝負できるようにしたいです。(久しぶりの大きな試合だったが)記録が思ったより出なくて、けがの間プレッシャーだったんですけど、大会に出れて、また頑張ろうと思えましたし、手ごたえも感じました。(次の試合に向けての意気込みは)早慶戦か関東新人に出場します。個人の力不足を感じたのですが、調子を上げて、自分の力で結果を残せるように頑張ります。

 

室伏

(今日のレースを振り返って)結果が出なかったという意味ではチーム目標の優勝を達成できなかったので、悔しいです。(1年生ながらマイルの1走目で、プレッシャーはあったか)陸上はそんなに自分がやることに変わりはないので、そこまでプレッシャーは感じなかったのですが、周りが応援してくれたという点でも全力を出し切ろうとは思っていました。(1位でバトンをつなげたという点ではとてもよかったのでは)結果的によかったですが、まあもうちょっと、あと0.03秒で決勝にいけたので本当に悔しいです。(このレースに照準を合わせて練習してきたのか)そうですね、しばらくはずっとみんな狙う大会なので、合わせて練習してきていました。(大学陸上での目標)まず、この借りは必ず返したいです。次は、いつになるかは分かりませんが、1つ1つの試合を頑張っていきたいなと思っています。

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