9月9日~9月12日にかけて埼玉県戸田市・戸田ボートコースで開催されている第88回全日本選手権。大会3日目の今日は、女子シングルスカルと男子エイトの準決勝、男子舵手付きペアの敗者復活戦が行われた。明日の順位決定戦には男子エイトと男子舵手付きペアが出場する。
~レースの結果(11日)~
・女子シングルスカル・準決勝A組、斎藤(看3)→4位
・男子舵手付きペア・敗者復活戦A組→2位、順位決定戦へ
・男子エイト・準決勝A組→4位、順位決定戦へ
9日のレースでは3組中トップで準決勝へと勝ち進んだ男子エイト。1日明けたて迎えた今日のレースではスタートから失速し、レース最下位という結果に終わった。
歯車はレース前から少し狂っていた。「最初のアップの時からみんな堅かった」(高田・経4)。今まで出場経験の無い全日本の準決勝という舞台がプレッシャーとなった。「朝に良い形を1度作れたのだがアップでそこに持っていけなかった。結果、落ち着いてレースに臨むことができなかった」と主将も精神面での敗因をそこだと語る。 準決勝A組は社会人チームの東レ滋賀、トヨタ紡織、強豪の日大と同組。スタートから出遅れた慶大と他のクルーの距離はどんどん開いていった。「最初はスパートをかけて上げていってどんどん長く漕ぐリズムに変えていくのだが、今日は上手くいかず悪い流れでいってしまった」(安部・経4)。「スパートを落としたところを上手く切り替えられなかった」(高田)。後半になると疲れもたまり、個人個人のコントロールも悪くなった。「コンスタントレートで8人がまとまりを作る事が出来ていなかった」(梶尾・経4)。タイムは他と約30秒ほど離されて6‘43“72。「悔しい」(安部)と顔をゆがめる結果になった。 明日のレースは4年生の引退試合。「インカレ、全日本と自分たちの100%がまだ出せていない。悔いが残るレースになっている。明日は自分たちの100%を出し切って悔いのないレースにしたい」(梶尾)。4年生の引退レースともなる明日の順位決定戦では、1位を狙う。
女子シングルスカルの斉藤(看3)は、10日の敗者復活戦D組では4人中2位につける好レース。「500過ぎてからここで伸ばそうと決めて、決めたところでちゃんとできた」と手ごたえを感じる内容で準決勝にコマを進めた。迎えた今日は「自分のやりたいことが出来なかった後悔のレース」と対照的。悔いの残るレースで大会を終えた。準決勝A組はTAKAOドリームチーム、法大、明大選手の組み合わせ。スタートから他の3組に先を行かれた。「相手との距離感をつかみにくい、やりにくいレースだった」。結果は8‘47“50で4位。仕掛けるという場面での判断への反省も口をついた。自身のシングルスカルでのレース出場は昨秋の新人戦以来。更に、今大会は出場決定から1週間で仕上げた。悔しい結果に終わったが、「1年間でだいぶ成長したなというのが自分の中では感じられている」という確かな手ごたえもある。次の照準は来春の早慶戦。まずは対校に乗ることが目標だが、「対校に乗ることだけが目標にならないように、勝てるように頑張りたい」。今後は自分に足りない部分を再考していく。
前日行われた予選で惜しくも5位という結果に終わった男子舵手つきペアであったがこの日は健闘を見せ、敗者復活レースで2位の好結果。最終日に行われる順位決定戦へと駒を進めた。予選は「周りの実力が高く前半に勝負をかけた」(小野・経3)ことで、粘りを出せず失速。5位という結果でレースを終えた。日本で1番を目指す今大会。目標であった優勝に値する実力はまだないと実感するレースとなった。敗者復活戦も格上相手。「インカレでのリベンジ」(新庄・理2)となる京大、一橋大、そしてライバル早大と同グループになった。しかし彼らにとってはある意味で当たりの組み合わせ。絶対に負けたくないという強い気持ちを持って戦うことが出来た。スタートでやや遅れを取り1000m地点までは4位に甘んじるも、「崩れることなく最後まで粘り」(山田・経2)ゴール地点では2位に浮上。早大には敗れたものの見事インカレのリベンジを果たし、自分たちの成長を実感した。
全日本選手権もいよいよ最終日。慶大からの登場は、男子舵手つきペアと男子エイトの2種目のみ。今シーズン最後の公式戦で、ぜひ悔いの残らない戦いを演じてもらいたい。
コメント
男子エイト・梶尾主将(経4)
(レースを振り返って)スタートのところからあまり上手くいかなかった。精神面、技術面どちらにも課題がある。精神面ではアップのところ。朝に良い形を1度作れたのだがアップでそこに持っていけなかった。結果、落ち着いてレースに臨むことができなかった。技術面ではコンスタントレートで8人がまとまりリズムを作ることが出来ていなかった。そこが今日のレースの敗因だと思う。(リズムを作れなかった要因)ドライブとフォワードという2つの状態がある。フォワードの状態で船が進んでいると良いリズムと言えるが、今回はそれが出来ていなかった。フォワードで進むためには8人のまとまりというのが非常に重要になってくる。それが上手くいかなかった。(明日の試合まで改善できる点はあるか)ドライブの終わりからフォワードにかけて試合の中で良いリズムを作る為に、8人のイメージを1つに近づけていこう。ということをミーティングで話し合いました。(明日は最後のレースになると思うが意気込み)インカレ、全日本と自分たちの100%がまだ出せていない。悔いが残るレースになっている。明日は自分たちの100%を出し切って悔いのないレースにしたい。
高田(経4)
(振り返って)決勝レベルに行くクルーの人たち、日大なり社会人のとの差はやっぱりまだあるんだなと感じることのできたレースだった。確かに今回予選で上がれて行けたんですけど、まだ偶然で、組み合わせが良くて行けた、運が良かったなと。まだ実力で行ったんじゃないんだなというのを一緒にレースをしてみて一番感じた。(順当な結果だったと)でも最初の方は結構ついていけてたので、やっている方向性としては間違ってない。自分たちで悪くしてしまった。相手がすごく強くてどんどん離されてしまったのではなくて自分たちでどんどん悪い方にしてしまって遅くしてしまったところがあまり良くなかった。(具体的な敗因と絡めて)ずっとスパートを入れられるわけではないので多少落とすが、落としたところを上手く切り替えられなかったというか浮足立っていた。オールを振り回していたというかばしゃばしゃ水をかき回していた。ただ水を回しているような感じだった。(時間帯や距離でいうと)最初の方で落として行こうと決めたが、最初の方はみんな体力があったので大きく崩れはしなかったが、後半疲れてくると上手く自分の体をコントロールできなくて変な方向に行ってしまった。(そうなってしまった要因は)最初のアップの時からみんな堅かった。今まで行ってことのなかった全日本の準決勝、エイトで行けることはそうはないので、初めて行ったところでちょっと堅くなったかなと思う。(修正点と明日のレースに向けて)さっきみんなで話し合って、スタートから落とすところをもっと精度を高めていけたら大崩しないのではないかというところが修正点。僕はもう4年生なので、どんな結果になっても明日のレースが終わったら引退してしまうので、最後のレースは順位決定だが、その中でも1位を狙いたい。
安部(経4)
(振り返って)悔しいですね。単純に。相手は格上だったが、その中でも最初から攻めて勝ちに行こうと決めてやってきた。僕らの実力がレースで出せなかったので、そういう意味で自分たちがやろうとしていたものも出せなかったし、相手にもぼこぼこに負けて悔しい。(コックスから見て原因は)アップからいまいち良くいかなかった。アップに使う時間の配分などがよく出来なかったところが敗因かなと。(そういう時にコックスとして修正を働く部分というのは)一人一人の漕ぎをしっかり見てやって、こうした方がいいというのを指摘していく。(今日のレースの中では)僕らがやろうとしていたことは、しっかり1枚横に押して、ボートは体重移動なので体重を使ったら戻す、使ったら戻す、そういうリズムを作ろうと思ったが、それが上手く出来なくて8人がだんだんだんだんバラけてしまって、というところ。(修正点と明日のレースに向けて)スタートから最初はスパートをかけて上げていってどんどん長く漕ぐリズムを変えていくのだが、そこの方から今日は上手くいかず悪い流れでいってしまったというのがあったので、今日の午後乗る時にはスパートからリズムを変えるところをしっかり練習して全員で作り上げて、そこでいいのを作ったらそれを長く続けるという風に明日はつなげていければいいと思う。最後のレースなので、僕はコックスなので頭で考えて、冷静にとにかく掛け声を出し続けていきたい。
女子シングルスカル・斉藤(看3)
自分のやりたいことが出来なかった後悔のレースだった。今日はほかの3艇とも速くて、1番近いクルーも1番遠くのレーンにいたので全然把握できず、相手との距離感をつかみにくい、やりにくいレースだった。そこで勝負仕掛けるぞという場面が自分で判断できなくてそこで延ばせなくて…という自分的には納得のいかないレース。(逆に3日間の中で納得のいくレースは)昨日のレースは自分のなかではいいレースだと思っている。スタートで出られたが、500過ぎてからここで伸ばそうと決めて、決めたところでちゃんとできて、終わりの部分もそこを維持したままだんだん休ませていってゴールできたので。メンタル的にも後ろにいるという安心感があって気楽に漕げた。今日は焦りすぎた。(どのように照準を合わせたのか)規定のエルゴの数値を切れたのは1週間前くらいだった。他のクルーみたいに体のケアなどをちゃんと考える暇はなかった。(この大会は自身のなかでどのような位置づけとなったか)スカルでレースに出るのが去年の新人戦以来だが、その時と比べて1年間でだいぶ成長したなというのが自分の中では感じられている。その時点では出られるか出られないかも分からない試合だったが、出られるまでに成長しなければならないという目標を自分の中で達成できた。無理やりによってもエルゴの数値を出して出る、ということが変わり目だった。(次の試合は)早慶戦。自分のクルーを振り返り、自分に出来ることを探していきたい。私の中では対校に乗るということが1番の目標で、乗ってからなんですけど。自分で決めた目標を達成できるようになれば対校にも乗せてもらえるようになると思うので、自分に何が足りないのかというのを早慶戦までに考えていきたい。対校に乗ることだけが目標にならないように、勝てるように頑張りたい。
男子舵手つきペア・小野(経3)、新庄(理2)、山田(理2)
(レースを振り返って)小野:今日のレースは大学生だけだったし、早慶の対戦があったので、全日本選手権としては珍しい組み合わせだった。自分たちも特に早稲田を倒したいという気持ちは強かった。相手はスタートが速いというのは分かっていたので、中盤で良いところを見せて追い付ければと考えていた。ただ早稲田にもあまり隙がなく追い付くことができなかった。しかし、一橋と東大の国立2校に対しては接戦を制して勝つことが出来たので良かった。(2位という結果は明日につながると思うが)新庄:そうですね。インカレの時この2校に負けていたのでそのリベンジが出来たと思う。接戦で勝てた事は自分たちにとって自信になる。明日の順位決定でもインカレで負けた京大が相手なので、そのリベンジを果たしたい。(インカレから成長した点は)山田:インカレ後は荒川で練習をしていたんですが、長い距離でも粘って良い漕ぎを続けるという事に重点を置いていた。今日のレースでは崩さないで最後までしっかり漕げたと思う。そして課題であったスタートでも他大と比べてひけを取らなかった。結果もリベンジという形でついてきたので成長を実感できた。(昨日はあまり順位がよくなかったが改善点はあったか)小野:昨日は相手がかなり強かったので、前半遅れると取り返せないと考え、前半に勝負をかけた。結果、後半にバタついてしまった。今日は前半遅れないで付いていくというイメージ。後半に力を残して粘りを見せられた。後半に意識を置くことで全体を通して良い漕ぎが出来たと思う。(今回の大会での目標、その手応えは)新庄:目標は優勝でした。予選が終わったときもやはり決勝に出たかったというのが正直な気持ち。(良い結果とは言えなかったか)山田:ただ自分たちの中では良いレースが出来たと思うし、今の実力を発揮することは出来たという気持ちがある。優勝という結果を目指すにあたってまわりが自分たちより実力があったということだと思う。(より伸ばしたい部分は)小野:自分はコックスなので、レース中の喝の入れ方ですね。勝負どころで思いきらせるように。みんなでボートを進めているという意識を感じてもらえるようにしたい。新庄:オールを入れるところ、前回りを苦手としているので、それを改善する。あとはエルゴタイムをもっとあげていきたい。山田:技術面の改善はもちろんだが特にフィジカル面の強さ。エルゴなどの根本的なところで大きな差があると感じた。そこが早稲田に負けた大きな要因だと思うので改善していきたい。(明日への意気込み)小野:タイムが近い同士なので激戦が予想される。そこで勝つと力がつくと思うので頑張りたい。新庄:インカレでは良い結果でなかったので、明日本当の強さを見せつけたいです。山田:安定した良い漕ぎをすること、体力の配分に気をつかい、今日以上に満足できるレースをやりたいです。
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