【バスケ】見せた成長の証!接戦制し価値ある1勝! vs大東大

 

「自分もプレーで引っ張りたい」と語った田中は、副将らしい姿でチームを勝利に導いた。

「自分もプレーで引っ張りたい」と語った田中は、副将らしい姿でチームを勝利に導いた。

 

今年度の第62回大会から始まった、9~16位決定戦。昨季まではなかったこの順位決定戦のお陰で、慶大は残り3試合を戦うことが出来るようになった。この先に控える早慶戦、そしてリーグ戦を見据えている慶大にとっては、1部・2部の強豪校達と鎬を削り合える絶好の機会だ。その大事な順位決定戦初戦の相手は、1部リーグに属する大東大。強豪校相手に自分達の力を見せ付ける為。そして、2年前の同大会で敗北を喫した相手に、同じ舞台でリベンジを果たす為。負けられない一戦は、最後の1秒まで予断を許さない、息も尽かさぬシーソーゲームとなった。

2013/05/09(木) @国立代々木競技場第二体育館
第62関東大学バスケットボール選手権大会 vs大東文化大
  1Q 2Q 3Q 4Q 合計
慶大 14 17 18 17 66
大東大 18 6 20 19 63
慶大スターティングメンバー
  選手名(#背番号・学部・学年・出身校)
PG #19 福元直人(環2・福大大濠高)
SG #4 蛯名涼(法4・洛南高)
SF #10 矢嶋瞭(総4・福大大濠高)
PF #11 権田隆人(政3・慶應高)
C #7 本橋祐典(環4・佼成学園高)

ファウルこそ立て込んだものの、エースとして序盤のチームを支えた矢嶋。

ファウルこそ立て込んだものの、エースとして序盤のチームを支えた矢嶋。

より強い相手と戦い続ける為にも、負けられない戦いの連続となる9~16位決定戦の初戦は、1部校である大東大。先日の東海大戦で得た良い感触を自分達のものにするためにも、チームにとって大切な一戦だ。開始9秒で矢嶋がファウルを犯しての立ち上がりとなるが、序盤はその矢嶋がチームを牽引する。ドライブインから慶大の最初の得点を記録すると、その後も速攻からのレイアップやジャンプシュートでチームをリード。その矢嶋に引っ張られるようにして権田の速攻が飛び出すなど、得意の堅守速攻で自分達のリズムに持ち込む。だが、4分が経過した所で流れを作り出していた矢嶋が2つ目のファウル。ベンチに退いてからは、その勢いは完全に沈黙してしまう。プレッシャーを強めた大東大のディフェンスの前に、ネットを揺らすことが出来ない慶大は、ディフェンスでも、相手にほぼノープレッシャーでシュートを打たれるシーンが目立つことに。18-14と相手のシュート確率に助けられながら、1Qを終える。2Qは互いのディフェンス力が光る静かな展開となるが、その流れの中で慶大が均衡状態から1歩抜け出す。開始から3分40秒の間、両チーム共に凍っていたスコアを再投入された矢嶋が動かすも、互いにフリースローを決め切れなかったことも影響し、得点版の数字は中々動かない。だが、この流れを打破し慶大に追い風を吹かせたのは、「自分が出てどうにかしたい」(田中)という強い意思を秘めていた途中出場の副将、田中貴啓(環4・福大大濠高)だった。田中がトップから相手ガード陣にプレッシャーをかけて大東大のリズムを狂わせると、チームのディフェンスが息を吹き返す。5人で足を動かすディフェンスで大東大を術中にはめると、権田のスティールから抜け出した田中がレイアップを沈めて逆転。これでペースを掴んだ慶大は、堅いディフェンスで相手のターンオーバーを誘発すると、蛯名・権田・大元と4連続速攻。一気に大東大を突き放し、31-24で試合を折り返すことに。

今大会、慶大のインサイドを支える獅子奮迅の活躍を続ける本橋(写真: 左)と権田(写真: 右)

今大会、慶大のインサイドを支える獅子奮迅の活躍を続ける本橋(写真: 左)と権田(写真: 右)

先日の東海大戦でも佐々木HCが反省点として挙げた後半の入り。「後半のスタートがもたもたする」(佐々木HC)課題を解消して試合を優位に運びたい慶大だったが、またしても受身に回ってしまう。矢嶋も3つ目のファウルを犯すなど、出鼻を挫かれてしまった慶大に2Qでの勢いは見られず。開始4分を経過した時点で、対照的に勢い付く大東大に逆転を許してしまう。しかし、このまま黙って終わらないのが今大会の慶大。蛯名が1対1からスコアしてすぐさま同点とすると、大元孝文(環2・洛南高)のこの日初となる3ポイントで逆転に成功する。その2分後に大元が再び3ポイントを決めると、終了間際には田中が、「思い切り打てて良かった」と振り返る渾身の3ポイント。相手のスコアが動かない間に畳み掛けた慶大が、49-44と5点のリードを奪い返して4Qを迎える。黒木亮(環2・延岡学園高)のゴール下シュートで幕を開けた最終Q。追いすがる大東大はゾーンディフェンスを仕掛けてくるが、慶大は落ち着いて対処。蛯名のアシストから権田が3ポイントを沈め、追う大東大を振り払いにかかる。だが、2桁差を付けてセーフティリードを獲得したい慶大の尻尾を、大東大は掴んで離さない。早攻めからの権田のゴール下や黒木・矢嶋のフリースローなどで加点していくが、大東大も精度の高いジャンプシュートで反撃。ジリジリと点差を詰められると、残り30秒となったところで黒木が連続でファウル。このフリースローを決められ、遂に2点差にまで詰め寄られてしまうと、直後のプレーで痛恨のターンオーバーを犯してしまう。だが、高まる会場のボルテージとは裏腹に、慶大は落ち着いていた。タイムアウト明け、突っ込んで来た相手選手のレイアップを3人がかりのチェックで外させると、ルーズボールでの競り合いにも勝利。残り2秒でファウルゲームに移行した大東大を本橋のフリースローでかわし切り、66-63。シーソーゲームを見事モノにして見せた。

心臓がヒリヒリするような接戦を勝ち切り、1部校である大東大を下した慶大。先日の東海大戦に引き続き、佐々木HCが「4年が頑張らないと」何度も言い続けている、その4年生が奮起しての勝利だ。「昨日の良い試合を勝ちに繋げたかった」と田中も語る通り、良い試合をブツ切りにしてしまうのではなく、続けること。昨季欠けていた『継続性』が形になっての勝利。チームで掴んだ勝利だった。この2日間で1部のチーム相手にも互角に渡り合えることを証明した慶大。次にやらなければならないことは、同じ2部リーグのチーム相手に勝利を収めることだ。幸いにも、次の相手は2部の国士舘大。相手を叩くには絶好の機会だと言えよう。1大会を通して、1試合を通して。自分達のバスケットを継続性を持って徹底することさえできれば、自ずと結果は付いて来る筈だ。

(記事: 大地一輝)

佐々木三男HC

一部のチームに競り勝てたというのは大きな収穫かなと思います。(勝因は)蛯名がポイントで得点もしたし、リバウンドもルーズボールも取ったので、それが大きかったですね。(田中選手をはじめ、4年生が活躍していたが)実は4年の頑張りが僕にとっては物足りなくて、言われていることを実践出来ないということと、チームを引っ張り切れないということがありました。やっぱり4年が頑張らないと伝統は作れないので、そういうこともあって、東海戦は4年の一部をメンバーから外したんです。そうしたら、そこで外されたメンバーと田中、それから下級生が日吉で目的を持って練習をしたということでした。そういう意味で言ったら、今日はそうした練習の成果を実践の中でどれだけ表現出来るか、ということが課題でした。下級生も一緒に練習する中で、試合に出た人が1人でもいい結果を出せば、表現の仕方が下級生に伝わっていくし、チームとしても結束が高まるんです。だから、今日は田中がミスをしないでよく頑張ったので、それはチームとしては非常に大事なことです。あとは大木や長命や平石がもう少し頑張れるようになればと思ってます。(点差を縮められた3Q序盤での指示は)少しスペーシングが悪いので、5人広がった状態から、45度にいる4、5番がしっかりとダッシュをして、1・2・3番がボールを受けやすいようにする、ということでやりました。結果あそこで蛯名がドライブを2本決めたのは大きかったですね。いつもそうなんだけど、後半のスタートがもたもたするので、それは課題です。(国士舘大戦に向けて)国士舘も同じリーグなので、しっかりとしたゲームをすることと、サイズが大きいので、そこをチームで守れるかを試したいと思います。

[G] 田中貴啓(環4・福大大濠高)

昨年までの反省として、良い試合をしたけど負けたっていう試合の次が悪かったので、今回どうしても昨日の良い試合を勝ちに繋げたかったので、自分が出てどうにかしたいという気持ちで、先ずはディフェンスから頑張って行きました。(相手ガードとのマッチアップについて)28番の選手とは高校の時からずっとマッチアップしてたんですけど(笑)速い選手は付くのが苦手なんですけど、周りがカバーしてくれて、でもやっぱり、最後にリバウンドだったり得点を取られたということで、まだまだ反省する所は多いので、修正して行きたいと思います。(副将として)主将と副将を決める時にも役割っていうのがあって、蛯名はプレーで引っ張る、僕は練習の雰囲気とかってなってたんですけど、やっぱり自分も試合に出る為にバスケットをやって来たので。主将が頑張ってる分、自分もプレーで引っ張りたいっていう気持ちが、今日は良い形でプレーに出たので。これを自分自身が継続出来る様に、明日の試合も気を引き締めて臨みたいです。(3ポイントを決めたが)先生も昨日の試合から、強い相手とやる時には思いっきりシュートを打てとおっしゃっていたので。自分は個人練習ではシュート中心にやっているので…これは長谷川智伸(2012年度,拓大卒)さんに言われたんですけど、シュート練習をしているなら試合中に打たないと意味ない、っていう風に言われて。そういうのが頭にあったので、出た時は1本でもいいんでシュートを打とうという風に、思い切り打てて良かったです。(チームへの声掛けについて)去年から蛯名とか矢嶋はベンチにすら入れなくて、自分も試合に出るまでには至らなかったので。去年からベンチの雰囲気だったりプレー外の所でも引っ張って行ければな、とは考えていました。ここで4年生がチームを引っ張れる存在になれるかなれないかというのは重要だと思うので、今日も大事だったんですけど、明日はより一層、上位に行く為にも絶対に勝ちにこだわりたいと思っています。

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