【男子テニス】ライバル・早大に完敗 課題の残る一戦に 関東大学リーグ早大戦

春に続き、早慶戦シングルスで安定感がある髙田

春に続き、早慶戦シングルスで安定感がある髙田

 

昨日、王座への第一関門と見られていた法大戦を制し王座出場に前進した慶大。2日間の連戦の2戦目となった相手は、長年のライバル・早大だ。関東リーグ優勝、そして悲願の王座優勝に向けてここで叩いておきたいところだったが、蓋を開けてみると9試合で1勝。奪ったセット数はわずか3。ライバル相手に実力差を見せつけられたと共に、「それぞれ違う面での課題が出た」(坂井利彰監督)伝統の一戦となった。

 

2013/09/07 関東学生リーグ第4戦@有明テニスの森公園

●慶大1-8早大

 

ダブルス

  勝敗 慶大 スコア 早大
D1 志賀・近藤 4-6、5-7 田川・遠藤
D2 矢野・高田 5-7、6-4、2-6 古田・今井
D3 井上・谷本 5-7、1-6 大城・小堀
 

シングルス

  勝敗 慶大 スコア 早大
S1 志賀正人 0-6、1-6 田川翔太
S2 近藤大基 1-6、3-6 遠藤豪
S3 髙田航輝 6-3、6-1 松崎勇太郎
S4 矢野隆志 0-6,0-6 大城光
S5 谷本真人 2-6、0-6 今井慎太郎
S6 権大亮 2-6、3-6 古田陸人
 

 

見せ場をつくれず敗れた志賀(右)・近藤(左)

見せ場をつくれず敗れた志賀(右)・近藤(左)

最初に3面展開で行われたダブルス。ダブルス1では志賀主将(政4=秀明八千代高)・近藤(環3=湘南工科大付属高)組対田川・遠藤組が実現。この対戦は春の早慶戦、春関準決勝、そしてインカレ決勝でも行われ、田川・遠藤組が3連勝している。しかしながら、直近の2試合はフルセットまでもつれている。雪辱を晴らし、勝利が期待された志賀・近藤組だったが、序盤から動きが硬い。田川・遠藤組のスピーディーなダブルスの前に防戦一方な展開となり、いきなり0-4となる。第1セットはこの序盤のビハインドが響き4-6で落としてしまった。第2セットも序盤にブレークを許す苦しい立ち上がりとなる。志賀・近藤組も徐々に得意のストロークでリズムをつかんでいったが、最後までリードを奪うことができずにストレートで敗れてしまった。

ガッツあふれるプレーで序盤リードを握った井上(右)・谷本(左)

ガッツあふれるプレーで序盤リードを握った井上(右)・谷本(左)

 

逆に序盤で流れをつかんだのがダブルス3の井上(経3=慶應義塾高)・谷本(環2=名古屋高)組だった。2人の雄叫びと共に、谷本のストロークと井上のネットプレーがかみ合い5-3とリードし、第1セット奪取は目前だった。しかし早大も簡単にはポイントを取らせてくれない。デュースの続いた慶大のサービスゲームでブレークを許しそのまま4ゲーム連取され、第1セットを逆転で落とすと、一気に流れは早大へ。結局第2セットは1ゲームしか奪うことができなかった。

 

試合を経るごとに調子を上げている矢野(右)・髙田(左)

試合を経るごとに調子を上げている矢野(右)・髙田(左)

ダブルス2の矢野(環3=出雲高)・高田(環2=湘南工科大付属高)組は昨日の法大戦で快勝し勢いに乗っていた。第1セットこそ奪われたものの、「本当に今日の早慶戦のためにやってきたといっても過言ではないくらい準備してきた」(矢野)という2人の闘志あふれるプレーが古田・今井組のミスを誘い始める。またラリー戦でのポイント取得率が次第に上がっていった。イーブンで迎えた第2セット第10ゲーム、リターンで積極的に仕掛けていくと、最後は矢野の好リターンが生んだチャンスボールを高田がフォアで叩き込み、ついにセットカウントを1-1のタイに持ち込んだ。しかし第3セットに入ると気持ちを切り替え、勝負所で「チャンスボールだったり、きつい体制でもねじこんできた」(高田)古田・今井組のパワーが再び炸裂し始める。矢野・高田組も必死に足を出しボールにくらいつく姿勢を見せたが、あと一歩及ばなかった。

 

競ったダブルスを落とした直後のシングルスで浮上できずに苦しんだ矢野

競ったダブルスを落とした直後のシングルスで浮上できずに苦しんだ矢野

矢野・高田組の奮闘でシングルスに向けて僅かな光が見えかけていた。ところが、ここからスター軍団・早大が慶大に牙をむく。3面展開で始まったシングルスの下位の試合。シングルス4の矢野はダブルスの激闘の疲労からか思うように体が動かない。声を出し自らを鼓舞しようとするが、大城相手にブレークはおろか1ゲームもサービスキープすることができずに12ゲームを連取され完敗。シングルス5の谷本も今井の強力なサーブ、フォアに苦しめられる。得意のフットワークで対抗するも、試合が進むにつれてパワーを増した今井のテニスを止めることができずに完敗。この時点で早大が5勝を挙げ、早大の勝利が確定する。シングルス6の権(総3=秀明栄光高)は、緩急を上手く使う古田との一戦。巧みなストロークを放つ古田に対し、権は得意のバックハンドで応戦。結果は2-6、3-6というスコアだったが、要所で見せた鋭いバックハンドと熱いハートは、今後の戦いに期待が持てそうだ。

そして早大に一矢報いたのが、ここまでシングルスでの白星がないシングルス3の高田だった。高校時代に全日本ジュニアを制したこともある大型ルーキー・松崎との一戦は、序盤から激しいラリーの応酬となる。ハードヒットを得意とする松崎の強烈なストロークが高田を襲うが、「2年生になってディフェンス力が上がってきた」と本人が語る通り、広いコートカバー能力と豊富な運動量で安定したストロークを見せる。すると徐々に松崎にミスが目立ち、気持ちに焦りが見え始めた。4-3で迎えた第8ゲーム、松崎の甘くなったドロップに高田が素早く反応し、フォアウィナーでブレークに成功し第1セットを6-3で奪う。第2セットに入っても高田の勢いは衰えない。第1セット同様ミスの少ないテニスを続けた高田が3度のブレークに成功。最後は松崎のフォアハンドがラインを超える。高校時代の同期であり「今まで本番の試合では自分は勝った事がなかった」(高田)という松崎相手に、大学テニス界で揉まれながらこの1年間学んできた全てをぶつけた高田が快勝をおさめ、慶大に待望の1勝目をもたらした。

 

連戦二日目は精彩を欠いた上位陣(志賀主将)

連戦二日目は精彩を欠いた上位陣(志賀主将)

高田の勝利の余韻がコートに残る中、シングルス2に登場したのはここまでシングルス全勝の近藤。試合開始早々からエンジン全開で、ダイナミックなフォアで攻勢を強める。しかし、インカレファイナリストの早大・遠藤主将の強靭なディフェンスをなかなか崩せない。さらに遠藤のテンポの速いテニスと好機を逃さない攻撃力の前に、次第に離される展開に。遠藤のテニスに最後まで対応しきれず、ストレートで敗れてしまう。

そしてシングルス1は、互いに大学テニス界を代表する志賀と田川のエース対決となった。炎のフォアを持つ田川、強靭なフットワークとミスの少ないテニスを見せる志賀の2人の好ゲームが予想されたが、試合は思いがけない展開となる。田川の強力なストロークの前に志賀がらしからぬミスを連発。田川は得意のフォアで次々ポイントを重ねると、マッチポイントでも志賀の浅くなったボールをフォアでクロスに叩き込む。そのフォアが決まった瞬間、田川は大きく吠えた。志賀相手にわずか1ゲームしか許さない圧勝だった。

 

 

長年「早大を倒して王座優勝」を目標にやってきた男子庭球部。そのためには最初の3本のダブルスの戦い方が鍵となる。しかし今日の試合では「出だしの悪さが2本のダブルスにあり1本のダブルスはリードを守り切れなかった」(坂井監督)。さらに早大は選手層が厚く、選手同士の競争意識が激しい。「そういう層が厚いチームならではのハングリー精神」(坂井監督)の部分での早大との差が1-8という結果に表れてしまった。しかし、早大にリベンジするチャンスは一ヶ月後に行われる王座にまだ残されている。それは同時に、王座優勝を目標にチームを支えてきた4年生が長くても後一ヶ月で引退となってしまうことを意味する。ここまで頑張ってきた4年生を手ぶらで送り出すわけにはいかない。チームを支えてくれた4年生はじめチームのため、そして「早稲田に借りを返す」(矢野)舞台への挑戦権を得るため、チーム一丸となって2日後の日大戦に全てを懸ける。

(記事 飯田駿斗)

 

 

◆試合後コメント

 

坂井利彰監督

(試合を振り返って)ダブルス3の第1セット5-3リードから第1セットを取られたところとか、ダブルス1の入りがいきなり0-4になってしまった出だしの悪さ、ダブルス2も2-5にいった出だしの悪さ、やはりその出だしの悪さが2本のダブルスにあり1本のダブルスはリードを守り切れなかったので、それぞれ違う面での課題が出たと思います。早稲田というのは選手の層が厚いので一回負けた選手は出れないんですよ。慶應は負けても出られる選手層なんですよ。僕らは一回負けたらクビというのをしたくないですし、自分たちの中で「もう負けられない」という執念を持って欲しいですね。早稲田というチームは負けたら次は出られない、4年間チャンスが無いかもしれないというぐらい選手が控えているので、そういう層が厚いチームならではのハングリー精神に対抗するための精神的な強さを、どうやってこの層が薄いチームの中で作っていくのかが課題だと思います。(ダブルスはスコア上競った試合が多かった中、シングルスでは大差をつけられてしまったが)昨日の法政戦の次の日の早稲田戦ということで、相当疲れがある中で臨んだと思うので、選手たちが疲れているというのはよくわかるし、ただ疲れてても負けたら次チャンスはないという気持ちでやっている早稲田と疲れに負けてしまった慶應というところで差が出たかなと思います。(最終戦に向けて)男女共に最終戦に勝たないと王座がないので絶対必勝で最終戦に臨むことは男子も女子も一緒で、最終戦ということで本当に総力戦で、疲れもピークですし心の疲れもピークですけど、夏関から一ヶ月続いてきた試合の最後なので疲れてはいますが、負けてしまうとこの代が終わりなので、明後日でこれだけ頑張ってきた代が終わりということだけは絶対に避けたいので絶対必勝だという風にはっぱをかけて、明日最高の準備をして明後日の試合に臨みたいと思います。

 

 

矢野隆志(環3=出雲高)

(今日を振り返って)本当に今日の早慶戦のためにやってきたといっても過言ではないくらい準備してきたんですけど、こういうような結果に終わってしまって、ダブルスの重要性を改めて感じました。そこを獲れなかったのが敗因であると感じています。自分は下位として出たんですけど、ダブルスでせってしまって試合間のレストが30分しかとれずにシングルスに臨むという展開になってしまったので、自分がいい流れでシングルスに臨むためにもダブルスはストレートで勝って下位という流れを作りたかったです。せって負けるという最悪の展開になってしまって30分のなかで最前の準備をしたのですが、入りが悪かったです。それに加えて相手との実力の差が少なからずあったと感じています。自分のプレーを見つめ直して、次の日大戦も気を緩めずしっかり勝って王座に出場して、早稲田に借りを返すことを心に決めて頑張りたいです。(昨日の試合ではダブルスの最初の勝利をもぎ取り、流れをつかむ役割を果たしたが、それは今日にいい影響を与えたか)法政戦まではあまりいい状態ではなくて、どうしても法政戦でチームに流れをもってきたいと思っていたのでああいう形で終われたのはよかったと思いますし、事実今日自分はいい感じで試合に入れたのでそれだけに今日の結果は悔しいです。団体戦のキーになるのは、どうしても3面展開なので自分のプレーが周りのコートに影響を与えてしまう、それだけに流れっていうものが重要であることで、またそれが団体戦の醍醐味であり怖さでもあるので次にやるときは早稲田に対してもストレートで勝って流れっていうものを持ってきたいと思います。そしてシングルス下位にまわして上位で4対4で志賀主将に託すというような気持ちでやっていきたいです。(日大戦に向けて)あくまで僕たちは、目線を高くということでやっているので油断はせずに自分たちのやることをやればおのずと結果はついてくると思うので、しっかり日大戦に勝って王座進出を決めて、もう一度早稲田に挑戦します。

 

 

高田航輝(環2=湘南工科大付属高)

(ダブルスを振り返って)あのペア(古田・今井ペア)とやるときにいかに早い段階で相手のサービスゲームをブレイクするかが大事になるとは分かってはいたんですけど、相手も最初からスイッチが入っていて僕たちが最初、若干引き気味になって、守りのプレーをしてしまった結果、2-5まで離されてしまって、そこから4-5まで追いついたんですけど、そこで離されてしまった時点で失敗だったなと思いました。それを踏まえて、セカンドセットでは二人でコミュニケーションをとって、先にポーチに出たりして、相手のアタックをふさごうと決めて、相手の状況を確認しながら上手くできたかなと思います。ファイナルセットでは序盤はそのままいい流れでいけたんですけど大事なところで相手の方がチャンスボールだったり、きつい体制でもねじこんできたりで、ポイントを先にとられて、相手を乗せてしまいました。(次にシングルスを振り返って)シングルスの相手が高校時代の同期ということもあって緊張したんですけど、今まで本番の試合では自分は勝った事がなかったので、自分はチャレンジャーとしてやるべきことをやるだけだなと思って、ともかく相手より一本でも多く返すということを意識して、あまり攻め急がずに相手よりとにかく運動量で勝つことを心においてプレーしました。(相手は高校の同級生だったが、変わったことや、自分が成長したと感じたことは)相手はそんなに変わらなくて、プレーは高校時代から変わってなくて、すごいいい球を打つんですけど、自分は高校の時は先に攻められてディフェンスできなくてポイントを落とすという形が多かったんですけど、大学に入ってから練習で結構、その動きの部分というのを重点的にやっていたので自分は2年生になってディフェンス力が上がってきたかなと思いました。(今リーグでは初勝利ですが、感想は)リーグの序盤からなかなか調子も上がらなくて、すごく緊張していたというのもあってこれをもっと早い段階で勝てていれば、同じメンバーにももっと勢いがつけられたと思うので残りの日大戦に気持ちをぶつけてそこでも勝利したいと思います。(最後にその日大戦に向けて一言)相手はいつも勝っている相手なので寄せ付けないプレーで、やることを明確にしてダブルスではコミュニケーションをとっていきたいと思います。

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