開幕直前特集第３弾は陸の王者が誇る左右のスラッガー、谷田成吾（商３）と横尾俊建（総３）。１年時から出場を続け早くも大学野球の半分が過ぎ、折り返し地点に突入した。３年目を迎える今年、いざ猛打爆発へ。両者の現在の想いを伺った。
「自分のバッティングが勝利につながる」（谷田）
「ガツガツ攻めていきたい」（横尾）
―昨シーズンを振り返っていかがですか
谷田 昨春初めてレギュラーになったことで、オープン戦から飛ばし過ぎて終盤ガス欠してしまったんですが、その中でも自分なりにつかんだものがありました。秋はシーズンを通して戦うことに対し慣れもあってゆっくり調整しようと思うことができて、中盤打てなかった試合もありましたが盛り返せましたし、活躍できたと思っています。
横尾 もう少しで優勝争いできるところまでいっていたので悔しかったです。
―昨シーズンで印象に残った試合は何ですか
谷田 早慶戦で有原投手が先発だった試合です。１安打完封されたことで、有原投手はすごいと思いました。
横尾 明大２回戦で、２－１で勝っていたのに逆転されてしまった試合です。優勝が消えてしまった瞬間でした。
―優勝するために足りなかったものは何でしょう
谷田 単純に実力が足りませんでした。優勝が狙える位置まで行きましたけど、運良く勝てた試合も何試合かありましたし、たまたまそこまで行けただけで単純に優勝するに値する実力がなかったと思っています。
横尾 チームの勝ちに対するこだわりがないというか、戦う集団ではないという感じがしました。それが慶大の良いところかもしれませんが、スマートな野球をしていたので今シーズンはもう少しガツガツ攻めていきたいです。
―練習において重点を置いていることはどこですか
谷田 江藤監督代行がバッティングを中心にやっていくというお話をされていたので、打ち勝てるようにバッティングを強化しています。
横尾 ウエイトです。まだまだ体が戦えるレベルではなかったので、体を強くして基礎体力を上げています。
谷田 今シーズンは冬からチーム全体でウエイトに取り組んでいて、みんなスイングも速くなってきましたし、成果は出ていると思います。横尾は特にそれプラス自主的に練習しています。
―春季キャンプはどうでしたか
谷田 大きい室内練習場でバッテングしたり、広いメイングランドでたくさんバットを振ることができたりと、とても良い環境でやらせてもらえました。
横尾 暖かかったです。寒いとバッティングできないし、良い気分の中で野球のことだけ考えて取り組めたのでプラスになりました。
―キャンプで自分が成長したと思うところはどこですか
谷田 長打を打てる確率が上がりました。石垣島でのオープン戦４試合でホームラン含め４本長打を打てているので、そういうところが成長したと思います。
横尾 僕も長打だと思います。去年ホームランを１本も打っていなかったこの時期に紅白戦で３本打てているので、シーズンを通して狙っていなくてもボールを強くたたけば自然とホームランが出るようになれば良いと思います。
―今のチーム状態はいかがでしょう
左のスラッガー・谷田
谷田 新体制になって勝利にどん欲なチームを目指すということを佐藤旭主将（商４）がよく仰っているので、僕たちも勝ちにこだわってやっていきたいと思います。チームの雰囲気も良いです。
横尾 新体制になって、オープン戦も勝ちにこだわっていこうという空気があったので、僕としては去年よりも手応えを感じています。
―佐藤旭主将からは何か声を掛けられたりしますか
谷田 昨シーズンが終わった後に「お前の成長がチームの成長につながる」と言われて、努力していかなければいけないという気持ちになれました。
横尾 「お前は試合にずっと出ているから、学年関係なくやって良い」と言われたので、自分の思い通りに好きにやらせてもらっています。
―２人から見て佐藤旭主将はどんな主将ですか
谷田 まわりをとても見ていますし、２００人近いチームを上手くまとめて後輩にも積極的に話しかけたりとコミュニケーションを取って下さるのでありがたいです。練習も自分から率先してやっている姿を見て、背中でチームを引っ張ってくれているという印象を受けました。
横尾 とてもキャプテンらしい性格ですし、練習も朝早くから１人でやっています。個人的には同じ部屋で面倒を見てもらっています。
―クリーンアップを打つことについていかがですか
谷田 昨シーズンから打たせてもらっていて、自分が打てなくて負けた試合がたくさんあったので、自分のバッティングが勝利につながることを自覚してやっています。
横尾 人生においてずっとクリーンアップを打ってきたので新鮮さはありませんが、チャンスで回ってくれば打つという気持ちを持って打席に立っています。
「横尾の存在がとても励みになる」（谷田）
「谷田は六大学の中で唯一認めている打者」（横尾）
―打者として自分のアピールポイントは何でしょうか
谷田 打率も高くてホームランを打ててチャンスに強いバッターになろうと努力している点です。
横尾 今シーズンから三振を気にせずすべてフルスイングをすることを心がけています。2ストライクとか関係なく自分のスイングをして、バットにボールが当たればあとは結果は気にしません。フルスイングが自分の魅力になれば良いと思っています。
―お互いの打者として良いところはどのようなところですか
谷田 調子の浮き沈みもなくコンスタントにヒットを打っていて、さらにホームランも増えていて頼りになります。
横尾 学年も一緒で僕が六大学の中で唯一認めている打者なので、良い刺激になっています。谷田を見て僕は成長しているし、谷田も僕を見て何か感じてくれていると思うのでとても良い関係です。六大学の中で一番良いバッターが慶應には２人いると思ってもらえるようになりたいです。今シーズンもアベックホームランが１回あって、それがとても嬉しかったです。
谷田 横尾がホームランを打つと僕も打ちたいと思えるので、横尾の存在がとても励みになっています。
フルスイングで魅せる横尾
―野球を将来の進路として考えていますか
谷田 もちろんプロ野球を目指してやっています。
横尾 ドラフトでは何位指名でも良いのでとにかくプロの世界に入りたいです。
―同じくクリーンアップを打っている藤本知輝選手（環４）についてはどうですか
谷田 藤本さんは人一倍努力していますし、石垣島でも１番バットを振っていて、朝から晩まで練習している姿を見ているので自分もやらなければと思っています。
横尾 言葉より背中で引っ張る人です。1つ上なのであまりベタベタすることはありませんが、ランナー二，三塁の場面で藤本さんが犠牲フライを打った後に「あとは宜しく」と言われたり、藤本さんが打てなかった時に「今日ランナー全部返して」と声をかけられたりと、試合中にもラフな感じで接して下さいます。
―注目している他大学の投手はいますか
谷田 早大の有原投手と明大の上原投手です。有原投手はストレートとチェンジアップに昨シーズン手が出なかったので冬からずっと意識して練習してます。今シーズンは打てるようになっていると思います。
横尾 高校時代同じチームだった明大の山﨑投手です。恐らく今年のドラフト１位だと思うので、そういうピッチャーを打てるようになることで僕の評価も上がると考えています。良いピッチャーと対戦することで、自分が今どれくらいのレベルなのか分かるし、右バッターなので山崎投手のような左腕と対戦していきたいです。早大の吉永は気にしてはいますが、まだ本気を出していないと思うのでノーケアです。
―チームで一押しの選手はいますか
谷田 原田直道（商３）です。去年ベンチに入れそうだったのにケガしてしまって、試合に出てこれずにいたんですが、ケガが治ってから一生懸命練習してベンチ入りしています。試合では１番声を出していて、そこは監督も認めるところだとは思うんですが、元気にチームを盛り上げてくれて代走や代打で試合に出ています。高校時代に一緒にセンターとライトを守っていて、良い選手だというのはわかっていたんですが、なかなか大学で活躍できていなくて、やっと今チャンスが巡ってきたので頑張って欲しいと思っています。
横尾 山本瑛大（商２）です。外国から来て最近試合に出始めているんですけど、全部フルスイングするんです。それを僕も今見習っているので、試合に出たら何かやってくれそうな気がします。
―今シーズン個人としての目標は何ですか
谷田 １年間を通して４割５本２０打点を達成することが目標です。
横尾 逆方向にヒットを量産できるようになりたいです。ポイントを見極められるようになったので、逆方向に強い当たりを打てれば良いバッターになれると思って意識して練習に取り組んできました。試合でもそれが発揮できれば自分の状態のバロメーターにもなるので、それを目標にやっていきたいです。
―応援して下さる方へメッセージをお願いします
谷田 僕が大学に入ってから不甲斐ない成績しか残せていないので、今シーズンこそはという思いが強いです。いつも応援して下さっている方に優勝や勝利している姿を見せたいと思って頑張っているので応援宜しくお願いします！
横尾 優勝するために全力を尽くすので応援して下さい！
―お忙しい中、ありがとうございました！
（取材 河合 美紀）
コメント