「攻撃にリズムを作れるかということを意識した」(小原)
「秋はちょっとは成長して打てるようになった」(齋藤)
―お二人の野球歴を簡単にお願いします
小原 小学4年生から岩手県のリトルリーグで始めて、中学校は陸上部とシニアという硬式のチームに所属して、推薦入試で花巻東高校に入学しました。甲子園には2回出場させていただいて、AO入試で慶應大学に入学して、今野球をやっています。
齋藤 小3の時に栃木県の軟式の野球チームで野球を始めて、中学の時は地元の硬式のチームでプレーして、推薦で慶應義塾高校に入りました。内部進学で大学で野球やっています。
―お互い初めて会ったのはいつですか
小原 高3の2月?
齋藤 うん、2月
―その時の印象はどうでしたか
齋藤 僕は小原に先輩だと思われていて、初めて会ったときに「おはようございます」って言われて、ちょっとびっくりしたというか、僕は知っていたんで、「あ、おー」ってなりましたね(笑)。
小原 2週間ぐらいずっと僕は挨拶し続けていて、分かっていたんですけど、次に会ったら「おはようございます」みたいになっちゃって(笑)。(齋藤は)すごい上の人に見えていました。
―小原選手はどうして慶應に入学したのですか
小原 高校の時はやっぱりどっちかというと野球しかやっていなくて、2年生の夏と3年生の春は甲子園出られたんですけど、3年生の夏に県大会の決勝で負けてしまって。その時にあまりいい進路もなくて、そういった中で「野球だけが全てじゃないな」っていうことを改めて知って、慶應大学っていうところは野球だけじゃなくて、もし怪我したときの保険にもなるんじゃないか、ということで入りました。
―大学の野球部に入って、戸惑ったことは何ですか
小原 やっぱりみんな頭がいいので、例えば僕は漢字とかも読むのがあまり得意じゃないですけど。最初「愚問」とかも全然意味わかんなくて、「なに愚問って、疑問と愚問一緒じゃない?」みたいな感じだったんで、自分のIQというか知識の無さに困惑しています(笑)。
齋藤 塾高の野球部っていうのは、先輩とか上下関係もあまりなくて、みんな仲良くやっていたという感じだったんですけど、やっぱり大学生ともなると、大学野球部は厳しいというか、そういうところはしっかりしているな、と思って、ちゃんとしなきゃな、と思いました。
―野球部の寮や練習場の印象は、どうでしたか
小原 今生活している寮は食事もすごくおいしいですし、一番恵まれているので、野球に打ち込むにはもってこいの環境だと僕は思っています。
齋藤 寮は最初、先輩との4人部屋ということで、最初はすごい緊張したんですけど、同じ部屋で時を過ごしていくと、その人のことも知れて、仲良くなったというか、(先輩が)すごく親しい存在になったと思います。
―入部して、一番きつかったことはなんですか
齋藤 きつかったこと…
小原 トレーニングの声出し?
齋藤 あー
小原 ミスしちゃいけないので、ミスするとこういう髪型(坊主)になっちゃうので(笑)。そういうのがきついかな、と思いました。
齋藤 ミスすると罰とかが出たりするので、それを最大限ケアして、それをケアするのがすごくきつかったですね。
―最初に神宮でプレーした時の気持ちは、どのようなものでしたか
小原 去年の春の早慶戦が一応デビューというかたちだったんですけど、緊張してましてや観衆も多かったんで、もうハラハラドキドキのデビュー戦でした。
齋藤 僕は、球場入った時から高校野球とは雰囲気が全然違っていて、打席に入った時もすごく足とか震えちゃって、やっぱり大学野球ってすごいところなんだな、って思いましたね。
―特に早慶戦はどのような雰囲気でしたか
小原 伝統ある一戦ということで、球場の雰囲気というのが独特でした。バックネットから半分が慶應、半分が早稲田ということで、いろいろな歓声が飛び交う中で投げたので、逆に僕としては楽しんで投げられたと思います。
齋藤 僕は高校の時から早慶、慶早戦とか見に行っていて、外野席までファンが入っているのを見て、僕もこんなところに立てたらいいな、と思いながら毎年早慶戦を見ていました。
―齋藤選手は、秋に13打数6安打と好成績を残しましたね
齋藤 そうですね、春に六大学のいいピッチャーと対戦して、まだまだ自分は実力が足りてないなと思って、夏のキャンプとかでしっかり振り込んだので、秋はちょっとは成長して打てるようになったんじゃないかな、と思います。
―小原選手はまだ神宮で点を取られていませんが、そのことをどう思っていますか
小原 僕は中継ぎだったので、いかに3人で抑えて攻撃にリズムを作れるかということを意識した結果が、その防御率0という結果だと思います。今シーズンも多分リリーフになると思うんですけど、引き続き0とかは意識せず、抑えてチームに流れを持って来る、っていう気持ちで(投げて)、結果それが0になればいいな、と思います。
―去年の、お互いの一番のプレーは何だと思いますか
小原 立教戦で、確か船本さんから…
齋藤 法政な
小原 あ、法政か! 法政の船本さんから、(齋藤が)右中間を抜いた打球は、僕は「すごいな」って思いました。
齋藤 春の慶早戦で、小原が神宮で初めて投げたときに、すごい躍動しているというか、いつもと違う小原が見えて、「やっぱすごいやつなんだな」って(笑)、思いましたね。
―お互いの技術で、すごいなと思うところはどこですか
小原 大輝はどんなボールでもしっかり芯でとらえて、ライナーで打てるっていうのが、他の選手よりもいいところかなと思います。
齋藤 小原は、よく紅白戦とかで打席に立ったりするんですけど、他の選手とは違って、独特というか、なんか違うなって… そんな球とか速くないんですけど、打ちづらいな、という印象が強いです。
―去年のリーグ戦で、対戦して驚いた選手は誰ですか
齋藤 やっぱり早稲田の有原投手が、初めて打席に立った時に、やっぱ速いなと。ボールが全然見えなくて、速いなと思ったのと、あと明治の山﨑福也投手が、打席に立った時に全然歯が立たなくて、やっぱりこれが一流のピッチャーなんだな、って感じました。
小原 昨年だったら、法政の河合完治さんが、打席でのオーラっていうのがすごくあって、高校の時甲子園に中京大中京で出ていたときも、雰囲気とかテレビ越しでも伝わってくるバッターと実際に対戦して、心臓を掴まれる感じというか、ちょっと怖かったです。
―目標としている野球選手は誰ですか
小原 僕は巨人の杉内投手が目標で、キレだったり、ピッチャーとしての総合的な能力の高さっていうのをすごく尊敬しています。あとはやっぱり、昨年卒業した山形さん(政卒)の取組み方っていうか、生活から野球につなげようってする取組み方を尊敬しています。
齋藤 僕はヤンキースのイチロー選手が昔からすごい好きで、プレーもそうなんですけど、考え方とかがあそこまでのレベルになると、すごく深いというか、やっぱり僕たちとは違う考え方というか、ああいう考え方をしないと超一流にはなれないんだろうな、と思って影響を受けました。
―2年生になりましたが、『2年生』とはどのような学年だと思いますか
小原 社会人野球やプロを目指す人にとっては3・4年が勝負だと言われているのですが、2年生は逆に変にそういうプレッシャーがないので逆に一番のびのびやれる時期じゃないのかなと僕は思っています。
齋藤 1年生の時はまだ慣れないことも多くて、若々しさやフレッシュさなどを出していければいいなと思っていたのですが、2年生になってちょっと責任なども大きくなってきて、下からチームを押し上げるというか、3・4年生に負けないように、3・4年生を下から支えていけたらいいなと僕は思っています。
―話は変わりますが、普段よく面倒を見てもらっている先輩はいらっしゃいますか
小原 僕は加嶋さん(商3)に、良い意味でも悪い意味でも…(笑)いや、全部良い意味で面倒見ていただいています。
齋藤 よく横尾さん(総3)にバッティングのことやいろいろなことについてアドバイスをもらっていて。厳しいこともたまに言われますけど、それで僕も変わらなきゃな、というか、しっかりしないとなと思うことが多いですね。
―練習がないときは何をしていますか
小原 僕らは寝ています(笑)
齋藤 基本的にこの二人は寝ています。
小原 昼ぐらいまで(笑)非リア充なので(笑)
―同期で遊びに行ったりしないのですか
小原 午後からですね
齋藤 買い物に行ったり、何か食べに行ったり。本当にたまにですけどね。
小原 基本的に寝ているので(笑)
―一番の楽しみは何ですか
小原 楽しみにしていることがあるんですけど、横浜にベーグルのフレンチトーストがあるんですけど、それに二人で行くっていうのが、楽しみにしていることですね(笑)
齋藤 約束していて、なかなか行けなくて。
小原 次のオフ行くよね?
齋藤 よし!
小原・齋藤 (握手)
―2年生になって、お互いの第一印象から変化はありましたか
齋藤 最初はすごい真面目なやつだなと思って小原を見ていたのですが、いざ喋ってみたりすると、おちゃらけているというか、ちょっと抜けているなという所が多くて。漢字も読めないですし(笑)それが面白いのですが、ちょっと変わったやつだなと思いましたね。一緒にいるとすごく面白いので、すごく楽しいです。
小原 僕も最初は(齋藤は)真面目で、堅い感じかなと思っていたのですが、いざ僕がおちゃらけたりすると、しっかり期待以上のものが返って来るので、楽しいです。
「春のリーグは防御率も0のままで行きたい」(小原)
「しっかり打ってチームに貢献しなくてはいけない」(齋藤)
―春のキャンプでは、どのようなことに力を入れましたか
小原 僕は冬に10㎏近く体重を増やしてしまって、太ってしまって動けなかったので、走り込んでしっかり(体重を)落として、体にキレを出すことをキャンプでは意識しました。まだケガをしていて、まだ治っていないのですが、そういった意味では体に負担の少ない投球フォームというものを作るためにキャンプでは意識して取り組みました。
齋藤 僕は役割としてしっかり打ってチームに貢献しなくてはいけないと思っているので、とにかく振り込みました。あと、トレーニングなどをして、とにかく体を大きくしようということを考えてやってきました。
―去年から比べて成長できたと思う点はどこですか
小原 ケガする前にはピッチングをしていたのですが、その時にはボールのスピードやキレはこの冬取り組んできたことがボールに表れていたので、一番変わったと思えるのは球速やボールの質です。
齋藤 僕は去年と比べると振りが強くなったというか、スイングが速くなったなということを感じていて、ちょっと詰まっても思った以上に打球が飛ぶなと思っています。やっぱりウェイトなどの成果が出たのかなと思います。
―後輩ができて、先輩としてどう行動したいと考えていますか
小原 僕はどちらかというと言葉よりも結果や背中やプレーで引っ張った方が一番説得力があると思うので、結果で示していければいいなと思います。
齋藤 僕は試合にも出ているということで、常に見られているという立場なので、しっかりとした行動を取って、後輩のいい見本になれるような選手になりたいと思います。
―春季リーグ戦を戦っていくうえで描いているプランはどのようなものですか
小原 やっぱり全勝したいですよね。
齋藤 僕らは去年の秋も4位ということで、立場としてはチャレンジャーだと思うので、プランというよりは目の前の試合を全力で戦うということをしっかり考えてやっていきたいと思います。
―今シーズンの個人的な目標は何でしょう
小原 僕は、春のリーグは防御率も0のままで行きたいですし、まだ神宮で勝っていないので、春は2勝して、最速145キロを目標としているので、それをマークできたらなと思っています。
齋藤 僕はレギュラーを取れるかどうか分からないのですが、とにかく試合にたくさん出て、今年の春はホームラン1本打ちたいと思います。
―お互いに期待しているプレーはありますか
齋藤 小原が投げてくれれば、多分中継ぎとかだと思うのですが、試合の流れをいい方向にガラッと変えてくれると思うので、それを期待したいです。
小原 僕は(齋藤が)バックスクリーンにライナーでホームラン打つのを期待しています。
―最後に、今シーズンの意気込みをお願いします!
小原 僕は全試合投げて、全試合勝つつもりで頑張りたいと思います。
齋藤 僕は少しでもチームの勝利に貢献して、絶対に優勝したいと思います。
―お忙しい中、ありがとうございました!
(取材 砂川昌輝 堀越ゆかり)
コメント