【野球】明大撃破!3度の死闘の末勝ち点連取 明大③

4月28日(月) 明大3回戦

明大3連戦すべての試合を締めた三宮

明大3連戦すべての試合を締めた三宮

今季の慶大は負けない。昨年王者・明大に1勝1分として迎えた慶明第3戦。2回表に幸先良く先制すると、その後も小刻みに追加点を重ねる。8回表には、谷田(商3)が今季第2号となるソロ本塁打を放ち突き放した。一方先発の加嶋(商3)は、持ち味のコーナーに投げ分ける丁寧な投球が光り、7回まで得点を許さない。8回に3点本塁打を浴びたが、続く三宮(商3)が最後を締めた。追う明大を振り5-3で勝利。昨秋の雪辱を果たし、明大から12年秋以来の勝ち点を挙げた。これで引き分けを挟んで、開幕から負けなしの4連勝。勝ち点を2に伸ばした。破竹の勢いで、6季ぶりの優勝へ突き進む。

 
慶大
明大
 慶大:○加嶋、三宮-小笠原  

 明大:●上原、星、斉藤、柳-坂本 

◆慶大出場選手

ポジション 選手名(学部学年・出身高校)
[7] 佐藤旭(商4・慶應)
[6] 山本泰寛(環3・慶應)
[9] 谷田成吾(商3・慶應)
[5] 横尾俊建(総3・日大三)
[8] 藤本知輝(環4・慶應)
  R8 梅野魁土(環3・福岡大大濠)
[4] 竹内惇(商4・慶應)
[3] 齋藤大輝(商2・慶應)
  近藤俊(商4・國學院久我山)
[2] 小笠原知弘(環3・智弁和歌山)
  [1] 加嶋宏毅(商3・慶應志木)
  三宮舜(商3・慶應)
 
先制打の齋藤はこのガッツポーズ
先制打の齋藤はこのガッツポーズ
 

第1戦、第2戦と共に接戦が続き、まさに総力戦で勝ち点を争う慶明両校。第3戦の先発マウンドには、慶大・加嶋、明大・上原の両サウスポーが上がった。上原は190cmの長身から、150km近い直球を投げ込む本格派だ。

 

1回表、明大・上原は三連投の疲れも見せず、慶大を三者凡退とする。一方の加嶋も、得点圏に走者を背負いながら、1回裏を無得点に抑えた。すると2回表、好調の慶大打線が早くも上原を捉える。2死から、打率5割超と絶好調の6番・竹内惇(商4)が、一塁線を痛烈に破る二塁打を放つ。続くは、自身もスタメン起用を「予想していなかった」という7番・齋藤(商2)。「打った瞬間、越えたと思った」大きな当たりは、レフトオーバーの適時二塁打となり1点先制。ベンチの期待に応える見事な一打で、今日も慶大が先手を取った。

その後は両投手が、相手打線を封じ込める緊迫した展開に。4回は上原、加嶋共に三者凡退に切って取る。ところが5回表、先頭の竹内惇が、追い込まれてからボールを見極め四球で出塁。すると続く齋藤の打席で、ベンチはエンドランを指示。このサインが一発ではまる。齋藤の打球は一二塁間を鋭く抜け、走者・竹内惇は三塁へ。ここで8番・小笠原(環3)は、きっちりライトへ犠飛を打ち上げ、2-0。足を絡めた効率的な攻撃で、追加点を奪って見せた。 打線の援護を受けた加嶋は、試合中盤、圧巻の投球を披露する。4回・9球、5回、6球と連続で三者凡退。110km台の変化球で打者のタイミングを狂わせ、凡打の山を築く。4回から7回まで、要した球はわずか38球。明大のスコアボードに、0行進を並べていった。

今季2本塁打目を放った谷田
今季2本塁打目を放った谷田
 

加嶋の好投が、攻撃のリズムも作っていく。6回表一死、3番・谷田(商3)が四球で出塁すると、4番・横尾が左前へ本日2本目となる痛烈なライナーを放つ。さらに5番・藤本知(環4)は、三遊間をしぶとく抜ける安打を打ち、満塁。ここで慶大は、絶好調・竹内惇の打順に。願ってもない大チャンスに、慶大スタンドの応援はヒートアップする。上原の初球、141kmの直球を振りぬくと、打球は中前へ。まさに乗りに乗っている男の一打で、走者2人が生還した。ここで上原はノックアウト。4-0となり、勝利へ大きく前進する。

さらに8回表には、谷田が3番手・斉藤の2球目をフルスイング。打球は神宮の空に大きなアーチを描き、ライトスタンド中段に飛び込む。「完璧」なソロ本塁打、谷田は早くも今季2本目の一発だ。これで5-0となり、試合の大勢は決したかに見えた。

 

しかし相手はリーグ連覇中。過去2試合がそうであったように、明大にはリードを許した展開でも、相手に食い下がるしぶとさがある。8回裏一死、1番・福田に死球、2番・糸原に右前打を打たれる。ここで加嶋が迎えるは、すでに2安打を許している3番・高山。その4球目だった。コンパクトに振りぬかれた打球は、右方向へライナーでぐんぐん伸びていく。歓声と悲鳴が交錯する中、ライト最前列へスタンドイン。この3点本塁打により、5-3と一気に詰め寄られてしまった。加嶋は8回途中3失点の好投で、マウンドを降りる。

後続を迎え撃つは、三連投となる三宮。第1戦89球、第2戦45球を投げ、かなり疲れはあったに違いない。しかしこれまで同様、気迫のこもった強気の投球でしのいでいく。9回は3人で締め、ゲームセット。連日の接戦を制し、明大から勝ち点を挙げた。

打撃絶好調の竹内惇。現時点で打率、打点でリーグトップ
打撃絶好調の竹内惇。現時点で打率、打点でリーグトップ
 

相手の明大は三連覇を目指している強豪。慶大にとっては、昨秋に優勝を阻まれた、因縁の相手でもあった。そんな相手との試合は、4-3、5-5、5-3と、いずれも手に汗握る好ゲームに。その中で奪った勝ち点は、非常に価値がある。江藤助監督も「最高」、佐藤旭主将(商4)も「粘り強く野球ができた」と評価した。3試合を通して見えたのは、慶大打線のチャンスでの強さだ。今日もエンドランを2度、一発で成功させている。こうして得点圏に進めた走者を、後続がきちんと返す。中でも竹内惇は、今日全打席出塁と好調を維持。序盤から小刻みに追加点を重ねることで、常に先手を取る野球ができていた。相手にプレッシャーをかけ続け、慶大に優位な展開に持ち込んだ。

また投手陣の踏ん張りも大きい。強力な明大打線相手に、先発がロースコアに抑え続け、試合を作っていった。特に3試合続けてリリーフした三宮。ピンチの場面で、よりキレのある直球を投げ込む強気の投球を、チームメイトも絶賛。明大からの勝ち点は、この男の大車輪の活躍が呼び込んだと言っても過言ではない。防御率は、現在リーグトップの0.87だ。投打ともにヒーローが現れ、「すごくいい雰囲気」(佐藤旭)の慶大野球部。強豪との試合が続くが、明大戦のような粘り強い野球ができれば、おのずと優勝が見えてくる。

 

【Keispo pick up】緩急生かした圧巻の投球  加嶋宏毅

持ち味を生かした投球で2勝目を挙げた加嶋

持ち味を生かした投球で2勝目を挙げた加嶋

昨秋の東大2回戦で、ノーヒットノーランを達成した加嶋。しかし、結局昨秋はその1勝のみと、物足りない内容に終わってしまっていた。真の左エースへ、加嶋は持ち味のコーナーを突く丁寧な投球に磨きをかけた。130km台後半まで伸びてきた直球で、内角をえぐる。加えて今日の試合では、110km台の変化球を効果的に生かした。緩急と巧みな制球により、相手打者は全くタイミングを合わせられない。8回に被弾するまで、無失点の完璧な内容だった。江藤助監督も、「最高だね」と手放しで褒めた。序盤に失点した1回戦から、見事に立ち直った加嶋。早くも今季2勝目を挙げている。ただ本人は決して満足せず、「残り試合全部完封」を宣言。力強い速球が持ち味の加藤拓(政2)や三宮に加え、進化した技巧派左腕・加嶋の活躍は、慶大を頂点へ導く大きな力になる。

(記事 砂川昌輝) 

  ◆打撃成績
[7] 佐藤旭 空三振   四球 空三振 見三振   四球
[6] 山本泰 空三振 二併打 右飛 右飛 中安
[9] 谷田 右飛   二ゴ   四球 右本① 見三振
[5] 横尾 左安 空三振 左安 見三振 三ゴ
[8] 藤本知   遊併打 三ゴ 左安
R8 梅野     中2
[4] 竹内惇 右線2   四球 中安②   四球  
[3] 齋藤 左中2① 右安 二ゴ 遊飛
3 近藤  
[2] 小笠原 空三振 右犠飛① 見三振 三ゴ
[1] 加嶋 空三振 一犠打 見三振
1 三宮 空三振
◆投手成績
投球回数 打者数 球数 安打 三振 四死球 失点 自責
加嶋 7 1/3 30 110
三宮 1 2/3 12 26

◆監督、選手のコメント

江藤省三助監督

(明大から勝ち点を取りました)明治から、最高じゃないですか(打線が小刻みに追加点を挙げましたね)打線はずっと3試合とも打っているわけでね(エンドランが2回決まったが、狙いは)成功すると思って、(サインを)出したよ(先発の加嶋投手は)最高だね、最高(次の試合に向けて)とにかく頑張っていって、トップを走ります。

 

佐藤旭主将(商4)

(試合を終えて今の率直な心境は)すごくホッとしているというか勝てて良かったなと率直に思いますし、みんな本当に粘り強く野球をやってくれてたなと思います。(今日の試合を振り返って)序盤から終盤にかけて自分たちのペースで試合を運べたと思いますし、8回に3点は取られましたけど特に焦りもなくじっくり粘り強く守り切れたかなと思います。(連日の3時間近くに及ぶ大熱戦だったが)明治とはタフな試合になると思っていたので、想定内だったかなという感じです。(3連戦を終えて改めて明治というチームの印象は)この3試合やって簡単には終わらせてくれませんし、ほんとに粘り強いなと改めて感じました。(2週間後の法大戦に向けチームとして、個人としてどのようにもっていきたいか)チームに関してはすごくいい雰囲気で来ていますしこのまま勢いに乗って法政戦に向けて進めていけたらなと思います。個人としては全然結果を残せていないので、何とか法政戦には間に合わせて調整して、個人としてもチームの勝利に貢献していけたらなと思います。

 

竹内惇(商4)

(今日の試合を振り返って)昨日のこともあったので出来るだけ点を取ろうというのをチームで言ってたので良かったです。(今日の試合に臨む心境は)とにかくピッチャーを楽に投げさせようと思っていました。(満塁の場面で初球から適時打を放ったが)相手も四球は出したくないだろうと思ったので初球から思いっきりいきました。(全打席出塁など打撃面でも貢献が光るが)ラッキーなヒットも多いんですが、チームに貢献できているかなと思います。(次の法政戦に向けて)この勢いのままいって、2タテ出来るように頑張ります。

 

藤本知輝(環4)

(今日の試合を振り返って)負ける気はしなかったので、当然かなという感じです。(6回は得点機を広げる安打)後ろにいいバッターがいて、繋げば何とかしてくれると思ったので、繋ぐ気持ちで打席に立ちました。(無敗で勝ち点連取、チームの雰囲気は)最高なので、このままもっともっとチーム全体で盛り上がっていって、次に繋げていければいいなと思います。(自身の調子)調子はいいですし、まだまだ良くなると思うので、これからもっと上げていきたいと思います。(次カードに向けて)また厳しい試合になると思いますが、チーム全体で、勝ちにこだわってやっていきたいと思います。

 

梅野魁土(環3)

(今日の試合を振り返って)本当に勝てて良かったと思います。(ベンチではどのような準備を)どこで出るか分からないので、常に体を動かして、いつでも行けるように準備をしていました。(8回では駿足が生きたが、振り返って)打った瞬間、二塁まで行けると思ったので、迷わず行きました。(法政戦に向けて意気込みを)明治戦でいい流れができたので、一週間空きますが、また調整してレベルアップして法政に勝てるように頑張ります。  

 

小笠原知弘(環3)

(今日の試合を振り返って)昨日引き分けてしまって、第一回戦と同じく加嶋が先発だったので、なんとか勝たせてあげたくて、いろいろと研究して試合に臨みました。(相手先発は上原投手)明治は投手力があると思っているんですけど、一昨日昨日で相手投手に結構投げさせることができていたので、明治の投手力を意識することなく、誰がきても打てるんじゃないか、という雰囲気だったと思います。(5回には大きな追加点となる犠牲フライ)打てたら良いなと思っていたんですけど、あんまり難しく考えても打てないので、振りぬくことができて良かったかな、と思います。(先発の加嶋投手、後を受けた三宮投手はどのようにリードしましたか)加嶋はこの前の試合、僕のせいで打たれてしまったので、よく三点に抑えてくれたと思いますし、三宮も代わってすぐだったんですけど、ちゃんと投げて最後も一点に抑えてくれて、ピッチャーが今日は良かったかな、と思います。(次の法政戦に向けて)いろいろと、やらなければいけないことがあると思います。バッティングは常日頃から練習しているんですけど、バッテリー間で連携をとれるように頑張っていきたいと思います。(今後の意気込み)この明治に勝った意気込みをそのまま法政にぶつけることができるようにして、どんどん勢いに乗って、最後早慶戦で優勝決定戦ができるように頑張ります。

 

加嶋宏毅(商3)

(まずは勝ち点おめでとうございます)ありがとうございます。(今日の投球を振り返って)今日はかなり良かったと思います。(相手の投手は意識していると以前おっしゃっていた上原投手でしたが)このカード中も結構メールとかLINEとかしていて、お互い連絡取り合っていて、負けたくないなという気合いは結構ありました。(1試合目の投球からどう切り替えたか)おとといのことは一回リセットして切り替えて、自分の投球だけをしようとしました。(4回以降は加嶋さんらしい緩急とコーナーをついた投球でした)今日は打線が点数を取ってくれたので、気楽に投げられたのがいいテンポにつながったと思います。(完封を意識したか)今日は完封しようと思って投げていたので、そこは悔しいです。( マウンドで監督に何と声をかけられたか)3点までは大丈夫だからと言われたんですけど、本当に3点入れられてしまったので、申し訳ないなと思います。(次の法政戦に向けて)リーグ戦前に全試合完封って意気込んでいたので、残りの試合は全部完封でいきたいと思います。 

 

谷田成吾(商3)

(昨秋苦しんだ明大戦での勝ち点奪取。今のお気持ちは)本当に勝てて、連勝できてよかったです。(6回の得点の足掛かりとなる四球を選んだが、上原投手の状態は)あまり絶好調というわけではなかったと思うのですが、ボール自体はすごく良いので、最後、打てるボールを待とうと思って結果的に四球になりましたけれど。感じはそんなに悪くなかったです。(代わった齊藤投手から本塁打。初球と同じ変化球だったが狙っていたか)そうですね。(変化球が)続くかなと思って、ちょっと意識していたのですが、うまく芯に当たりましたね。(1塁を回った付近ですでにガッツポーズをしていたが)そうですね、完璧でした。(4回には難しいフライを捕球する場面も)昨日ちょっとやっちゃったので。集中してというか、しっかりやろうという気持ちが入っていたので取ることができました。(同級生の加嶋、三宮両投手の好投について)加嶋がすごかったですね。高山に(本塁打を)一本打たれましたけれど、それ以外はほとんど抑えていて。加嶋はいつも高山に打たれているんでしょうがないかなと。本当にいいピッチングでした。三宮は気持ちで頑張ってくれました。三連投だったんですけれど、すごくタフなピッチャーでよかったです。素晴らしかったです。(法大戦への抱負)1週空くので、僕の調子自体もそんなに良くないので、ここでしっかり練習して上手くなって、法政にしっかり合わせていきたいと思います。

 

山本泰寛(環3)

(今日の試合を振り返って)昨日は同点に終わりましたが、今日はしっかり粘り強い野球をしようとチームで徹底しました。最後までそれができてよかったです。(積極的にバットを振っていたことについて)今日は初球から どんどんいこうという気持ちで振ってきたので、それが9回でのいい結果に繋がったと思います。(次の試合までの調整は)今週はしっかり休んで 体調を整えて、次の法政戦に向けてやることをやっていきたいです。(次の法政戦にむけて)法政も強いと思いますが、僕らも自信をもって戦って2連勝して、またいい雰囲気でやれたらと思います。

 

横尾俊建(総3)

(試合を振り返って)勝てたので最高です。(打撃の調子は)もう1本打ちたかったです。(高校の同級生だった明大・高山の存在は)仲が良いので「今年はお互い頑張ろう」というやり取りもしていて、競い合えていることに刺激も受けますし、そういう相手がいることが幸せです。明大の中で1番活躍しているので、きちんとやることをやっているという印象を受けてます。(次の試合まで2週間あるが)毎日試合したいくらい野球が好きなので、間が空く分しっかり調整して、結果に繋げられるように意識を変えていきたいと思います。(次は石田投手を擁する法大との試合だが)今年の目標が「山﨑さん、有原さん、石田さんから打つこと」なので、自信を持ってフルスイングしていきたいです。

 

斎藤大輝(商2)

(スタメン起用に応える活躍)そうですね、今日本当は僕がスタメンって思っていなかったんですけど、スタメンって言われた時は、絶対打ってやろうっていう気持ちでやりました。(第1打席の適時二塁打の感触は)打席では、そんなに何も考えていなくて、来た球を打とうという感じで、打った瞬間「越えるな」と思いました。(第2打席はエンドランを成功させた)サインが出て、絶対決められるって思ったので、決められて良かったです。(明大から勝ち点を取れたことは)明治が本当に山だと思っていたので、本当に取れたことは良かったです。(ファーストのスタメンに近づいたのでは)そうですね、頑張って(スタメンを)取りたいと思います。(次の試合に向けて)次の試合も、自分たちのやることをしっかりやれば、結果は出ると思うので、しっかりやることやって勝ちたいです。

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