開幕戦で屈した明大へのリベンジ、そして関東王者への戦いの火ぶたが切って落された。しかし序盤に立て続けに失点し、受け身の展開が続く。対する攻撃も明大の鉄壁ディフェンスの前になかなかシュートを放てず、もどかしい展開に。1-3で迎えた後半は両校の意地と誇りのぶつかり合いとなり、出入りの激しいラクロスが繰り広げられた。渡邉ひかり(法2)のゴールで一度は同点に追いつくも、残り試合1分前のところで痛恨の失点。そのまま振り切られ、関東準優勝という結果で廣野マキ主将(政4)が率いたTEAM2014のシーズンに幕を下ろした。
第27回関東学生ラクロスリーグ戦女子1部FINAL vs明大 11/15(土)
14:25ドロー @駒澤第2球技場
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前半 |
後半 |
合計 |
慶大 |
1 |
4 |
5 |
明大 |
3 |
3 |
6 |
慶大スタメン
ポジション | 背番号 | 名前 | 学部・学年 | 出身高校 |
G | 21 | 高橋美帆 | 経3 | 慶應義塾湘南藤沢 |
DF | 4 | 坂本佳子 | 政3 | 都立戸山 |
DF | 22 | 飯豊文香 | 経4 | 慶應女子 |
DF | 31 | 竹内さち | 法4 | 成城学園 |
MD | 33 | 廣野マキ | 政4 | 慶應女子 |
MD | 38 | 細田咲彩 | 経4 | 慶應義塾湘南藤沢 |
MD | 41 | 鈴木智子 | 政3 | 慶應女子 |
MD | 50 | 福井爽香 | 商3 | 慶應女子 |
MD | 83 | 鈴木早紀 | 政4 | 慶應女子 |
AT | 11 | 竹村薫 | 環1 | 桐蔭学園 |
AT | 44 | 渡邊ひかり | 法2 | 慶應女子 |
AT | 88 | 川村真央 | 文4 | 慶應女子 |
慶大得点者 渡邉2、細田、鈴木早、竹村
「一度敗れた明大に対する準備は3ヶ月やってきた」(廣野)と語るように、誰もが衝撃を受けたあの開幕戦での敗戦の記憶を胸に、FINALで明大を討つ時がいよいよやってきた。負ければ全日本への夢は断たれてしまう大一番。それゆえ大観衆が詰めかけた駒澤の地には、興奮とは別に何とも言えない緊張感が漂っていた。
前半が渡邊ひかりのドローによって開始される。お互い優勝への思いの強さから、激しいグラボの取り合いとなる。2分にフリーシュートのチャンスを得るが、これは明大ゴーリーに阻まれる。すると最終ラインから一気に攻勢に出た明大の攻撃を止められず、相手ATに独走を許し、そのままシュートをたたきこまれ失点してしまう。さらに続けてマークが甘くなってしまった隙を突かれ失点。開始3分で2点を追いかけるまさかの展開に、動揺が走る。パスが精彩を欠き、流れある攻撃につなげられない。13分に失点し3点差にリードを広げられ、さらにフリーシュートを外したり、ダウンボールに競り負けたりと重苦しい流れが続く。しかしこの流れを変えたのは1年生だった。竹村薫(環1)がフリーシュートを決め、1点を返す。さらに明大のオフサイドファールにより立て続けに2人が退場し、パワープレーとなる。流れを変えたい慶大にさらなる追い風が吹いたかに見えた。しかし明大のサークル内を固める鉄壁の守りの前に、ゴール前で前を向けず、得点ならず。1-3で前半を折り返す。
後半は開始から慶大がボールを支配する時間帯が続く。廣野や川村真央(文4)がシュートを放つ機会ができ、リズムが出てきた慶大。すると31分、左サイドから駆け上がった渡邉がディフェンスの網をかいくぐり、得点を決め1点差に詰め寄る。直後のピンチも守護神・高橋美帆(経3)を中心に飯豊文香(経4)、竹内さち(法4)らDF陣が何とか防ぐ。後半も半分を超えた時間帯に差し掛かると、両校の意地が激しくぶつかり合う戦いになる。鈴木早紀(政4)の素晴らしいオーバーラップからの得点もあったが、明大の激しい攻めもあり残り8分で3-5の2点ビハインド。もはやここまでかと思われたが坂本佳子(政3)から竹村へ繋がったボールを、最後は細田咲彩(経4)が冷静にシュートを決め1点差。さらに19分には廣野が右サイドからえぐり、サークルトップで待ち構えた渡邉へラストパス。これを渡邉が叩き込み、ついにこの日初めての同点に追いつく。前半の重苦しいムードからは考えられない、まさに執念での同点劇だった。しかし幕切れは呆気なかった。試合時間残り1分に迫った次の瞬間、ディフェンスのわずかな隙を突かれ痛恨の失点。最後の力を振り絞り、相手ゴールに襲い掛かるが、無情にも試合終了のホイッスルが鳴り響いた。
ここ2年、学生女子ラクロス界最強を誇っていた慶大が関東ブロックで姿を消す結末になってしまった。多くの経験豊富なメンバーが揃うTEAM2014は今年も学生チャンピオンに輝くだろうと、見えないプレッシャーが常に彼女たちにのしかかっていた。今季、常にベストプレーで満足いく結果を残した試合は少なかったかもしれない。しかしこの日の後半では、間違いなく全員がベストプレーで奮戦し、試合を見守った多くの者の胸を打った。それを選手たちも一番に感じたのか、敗退が決まった直後も互いに抱き合い健闘をたたえる姿があった。「後悔はない」(廣野)と死闘を繰り広げた選手たちは、涙だけでなく晴れやかな表情にも映った。届かなかった3連覇の夢。この敗戦たちを経験し、先輩たちの背中を追い続けた福井爽香(商3)、鈴木智子(政3)、坂本佳子ら後輩たちが、来季TEAM2015として今後どんな姿を見せてくれるだろうか。王者から挑戦者となった美しき戦士たちが、新たな伝説へ歩みを始める。
※選手のコメントは後日掲載いたします
(記事 荒川智史)
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