―昨シーズンは大久保監督になって初めてのシーズンでした
加嶋 優勝以外は意味がないので、勝ち切れなかったという事実は残念でした。
三宮 監督が変わって僕ら選手側からは監督がどんな人なのかわからなかったし、監督も選手がどんな人なのか分からなかっただろうし、監督も難しい部分があったと思います。戦力的には充実していると思いますがそこで勝てなかったのは残念です。
―春季印象に残っている試合はありますか
加嶋 僕は法大2回戦ですね。
三宮 負けた試合全般的にですね。
―加嶋投手は法大2回戦は悔しい登板となってしまいましたが、この春は抑えとしてのシーズンスタートでした
加嶋 正直今だから言えますが、僕が抑えでいいのかなという気持ちはありました。言われたからには言われたなりに頑張ろうと思いましたが、三振が取れる投手じゃないと抑えは厳しいかなと思っていたので不安な気持ちでシーズンインしたのは事実ですね。
―三宮投手も先発、中継ぎ両方を経験しました
三宮 先発には先発の、中継ぎには中継ぎの投球スタイルがあると思うので、うまく使い分けていました。中継ぎは試合の途中から行くので、試合の流れをつかむのが難しいとは思いますね。先発は先発で試合を作らなきゃいけないプレッシャーはありますけどね。
―開幕まで1週間を切りましたが、ここまでの調整を振り返って
三宮 ここまで雨が多かったので、少し難しかったかもしれないです。良くもなく悪くもなくという感じですかね。
加嶋 僕も同じ感じです。
―夏季日程はオープン戦が多いように感じましたが、雨天中止も多かったです。調整は難しかったのでは
三宮 試合で登板が少ないかなという感じは受けますね。
加嶋 僕は風邪を引いていたので、そこで調子を落としてしまったのが不安でしたけど、最近は投げることができているので、徐々に徐々にという感じですね。
―お二人とも実戦練習を多く積みたいほうですか
加嶋 試合が近づいているので、実戦は積みたいですね。8月の前半は投げ込みを多くしたいですけど、試合前は試合で勝てるピッチングの練習になるので。
三宮 そういう意味では投げる試合が少なくなってしまったのは不運です。
―今年はキャンプがない夏となりました
三宮 キャンプがなくて、テストが終わった後すぐ実戦が混んでいたので、実は夏の始めはボロボロでしたね。負けも多かったですし、大変な時期でした。でも最近はやっと慶大らしい野球ができ始めたかなと思ってます。
―お互い新しいことを教え合ったり、取り組んだりしたことはありますか
加嶋 なんかあったっけ?
三宮 お互いピッチングスタイルが違うので、球種を教え合ったりすることはなかったですかね。でも加藤(拓也=政3)とかとはよく僕話すんですけど、投球フォームとかは良く聞いてきますよ。
加嶋 僕も小原(大樹=環3)とか渡邉義(環3)、内村(政2)とかとは意見交換をよくしますね。
―今年の夏は遠征も多いシーズンでした。振り返っていかがですか。
加嶋 僕はずっと体調を崩していたのでとにかくしんどかったですね(笑)
三宮 でもあれは普通に移動疲れがすごかったです。あと暑かった。特に四国。
―四国でのオールスターでの他大との選手との意見交流はありましたか
加嶋 一番の意見交流の場を9時就寝でいられなかったので、残念でした。風邪をうつしてもしょうがないから。
三宮 うつした方がよかったよ(笑)
―そういった中で2戦目投げられましたよね
加嶋 東大の浜田監督にかなり心配されながら(笑)、せっかく来たんだから投げようかと思いまして。
―オール早慶1戦目では加嶋さんが目標とされるOBの竹内大助さん(H25環卒)が登板しました
加嶋 投球を見たり、試合後ごはんに行ったりして、やっぱりかなわないなと思いました。投球スタイルが僕と近いので、そういう面だったり、練習の態度だったりすごいなと思うところが多かったので、今でも尊敬しています。
―三宮投手もプロ野球・東北楽天とのオープン戦で好投されました
三宮 自分のピッチングがどれだけ通用するのかなと思って投げられたので、楽しかったです。あと外国人選手は普通に怖かったです(笑)
―イレギュラーな日程となった夏を振り返っていかがでしたか
三宮 とにかく暑かった。
加嶋 暑かったです。高校球児はすごいな・・・なんて(笑)。暑いしか言ってなくない?
―何か得たものはありますか
加嶋・三宮 暑さに耐えられる体力(笑)
三宮 とにかくあっという間でしたね。
―お互いの長所は何だと思われますか
三宮 僕に無いところだと、コントロールが良いところですね。あと、結構器用で変化球を操るのが上手いなと思います。僕は全然スライダーとか投げられないんで、結構教えてもらうんですけど、「こう投げるんだよ」と言われても全然分からなくて(笑)
加嶋 ストレートが凄いところですね。分かっていても打たれないストレートっていうのは速さだけじゃなくて、伸びとかもあると思うので。あとフォームとかも結構考えていて、「今日はこういうフォームで行こう」って決めたらずっとそのフォームで投げたりしていて。そういった芯の強さとかが凄いなと思います。
―お二人ともフォームは固める方ですか、それとも少しずつ変える方ですか
加嶋 こっち(三宮)は変えてますね。僕はなるべく固めたいというか、監督からはあまり言われないですけど、毎日同じフォームで投げるという努力はしています。
三宮 僕もそうしたいんですけどね。なかなか決まらないというか…
―1年生の時と比べてお互い変わったなと思うところはありますか
加嶋 (三宮投手の方を見ながら)めっちゃ痩せました。
三宮 めっちゃ痩せたなー確かに(笑)
―実際に三宮投手の体重は落ちているのですか
三宮 体重は2、3キロほど落ちました。太っていたんで、足とかお腹とか。スリムになってやろうと思って、4年間野球に取り組んでいました(笑)
加嶋 (笑)
―三宮投手から見て加嶋投手の変わったなと思うところは
三宮 いつも堂々としているなと思うんですけど… 怖いもの知らずというか
加嶋 いや、怖いよ。
三宮 先輩に対してもズバスバ言うし、僕達としても「言ってくれ、言ってくれ」って感じで。そういった役割は1年生の頃から全部任していましたね。変わったところ…ないですね。
加嶋 変わってないか。
―同じ左腕ということでお互い意識しているところはありますか
加嶋 僕はそんなに…どうなんだろ。
三宮 僕は下級生の時とか意識していましたね。(加嶋投手が)先に登板していて、「すげー」と思いながらも同じ左なので負けたくないなと。でも、上級生になるにつれて、僕も一回登板できたら満足しちゃって(笑)、 そこからはあまり意識しなくなりました。
加嶋 タイプが違うんで、ライバル視することとかはあんまりないです。
―ブルペンで二人が隣になる場合は投げている球をチェックしますか
三宮 それはみんなですね。一緒に投げてたら隣の人のボールを見ていたりします。
―プライベートで一緒に出掛けたりということはありますか
加嶋 結構あります。
三宮 結構?(笑)
加嶋 まあまあかな。
―お二人は学部も一緒ということで勉強を共にしたことはありますか
三宮 共にはしないですね。みんなも。
加嶋 勉強は個人で(笑)
三宮 まあ、でも資料とか交換したりはしますね。
―最上級生の二人が投手陣の中心的な役割を担っているんですか
加嶋 みんなが自由に出来るように、ちょっと一歩引いて見てます。
三宮 僕は自由にやってますけど(笑)
―投手陣のリーダーを挙げるとしたらどなたでしょうか
加嶋 僕等の代はいないかな。
三宮 学年自体人数が少ないので…
加嶋 全員がそういった立場になれるように、っていう目標で上級生になったので。決められた誰かが言うというより、その場で気付いたやつがその場で言うという風にやっています。
―大学野球生活3年半を振り返って
加嶋 早いな、と。
三宮 早かったです。
―特に印象的な時期は
加嶋 2年の夏のキャンプに城之内さんという方がいらっしゃって、ずっと走らされたことですね。辛かったですし、楽しかったですし(笑)。 結構高齢の方なので、「投げろ、走れ!」って感じで。まあでもそれを乗り越えたあと、ノーヒットノーラン出来たんで。その経験があったからかなとは思います。
三宮 じゃあもう一回やっとく?
加嶋 いやいや、絶対ムリ(笑)
三宮 僕は優勝出来たときが、印象的というか一番の思い出かな、と。
―今季はお二人にとってラストシーズンとなりますが、どのようなシーズンにしたいですか
加嶋 優勝ですね。
三宮 優勝したいです。
―7年間KEIOのユニフォームを着たお二人ですが、その感想は
加嶋 僕は最初の方はそんなに慶應愛とかなかったので、ついこの間まで全然重みとか感じていなかったです。高校の時から着ていて、慣れていたのもあるんで。でも今終わりが見えてきて、このユニフォームを着れるのも数少ないのかなと思うと、その重みが分かってきましたね。
三宮 慶應で野球が出来て良かったな、と。まあ、まだ終わってないですけど。慶應は他のチームとは違う雰囲気というか、変わった集団で、それが自分に合っていたなと思います。他のところに行っていたらここまで野球を続けていたか分からないですし。
―チーム、個人としての目標は
加嶋 チームとしては優勝で、個人としては負けないピッチャーになることですね。自分を捨ててでもチームの為にしっかり投げられるようなピッチャーになりたいです。
三宮 優勝と、個人タイトルをなんか取りたいかなと思います。ベストナインでも。一番は優勝出来ればいいですね。
―WEBをご覧になっているファンの皆様に一言お願いします
加嶋 神宮に足を運んでください。あと、クリアファイル(慶大應援指導部制作。加嶋投手がモデルとして起用されている。神宮球場にて先着順で配布。)ちゃんと貰ってください(笑)
三宮 みんな優勝に向かって必死にプレーすると思いますし、ぜひ神宮に足を運んで頂いて、僕らの代には僕らの代ならではの慶應らしさがあるので、それを感じて頂けたらと思います。
―お忙しい中、ありがとうございました!
取材:荒川智史・小沢光市
◆加嶋宏毅(かじま・こうき)
1994年3月21日生まれ。178cm76kg。慶應志木高出身。商学部4年。左投左打。投手。背番号19。正確無比な制球力で打たせて取る投球が身上。2年秋の東大2回戦でノーヒット・ノーランを達成した。3年春のケガを乗り越え、再び投手陣を支える存在となっている。不完全燃焼に終わった今春の雪辱を誓う
◆三宮舜(さんのみや・しゅん)
1993年5月30日生まれ。173cm73kg。慶應義塾高出身。商学部4年。左投左打。投手。背番号17。力強い直球で三振の山を築くスターター。3年春は中継ぎとしてフル回転し、リーグ優勝に大きく貢献した。今夏のオープン戦でも好投が続いており、ラストシーズンに向けて期待が高まる