長かった春季リーグ戦もついに最終戦を迎えた。入れ替え戦進出に向け、勝利が絶対条件の慶大。そのプレッシャーからか、選手に硬さが見られる。それでも絶対に入れ替え戦へ進もうと、第3セットは追いつめられるも大東文化大を圧倒し3-0のストレートで勝利。その後の法政大×青学大の試合で法政大が勝利を収め、慶大のリーグ戦2位浮上が決まった。実に4季ぶりに、目標にし続けてきた入れ替え戦進出の夢が叶った瞬間である。
5月20日(土)春季関東大学男子2部バレーボール第11戦 慶大×大東文化大@慶應義塾大学日吉記念館
得点 | ||
慶大 | セット | 大東文化大 |
25 | 1 | 20 |
25 | 2 | 17 |
26 | 3 | 24 |
第1セット。立ち上がり特に選手たちに硬さが見られる。「笑顔がなかった」(宗雲監督)というようにスパイクのミスやネット際での細かいミスに加え、ワンタッチを多く取られるなど、慶大らしくないプレーが立て続けに起る。それでも黒田彪斗(環4)の豪快なスパイクや、吉田祝太郎(政1)のサービスエースを含む4連続ポイントで逆転。その後も5連続ポイントなどで確実に得点を重ね、最後は樫村大仁(環1)のクイックで25-20とし、まずこのセットを取る。
第2セット。マルキナシム(総2)のブロックポイントから始まると、このセットは終始慶大のペースで試合が進む。高さのあるプレーから逃れようとしたフェイントを含む、相手の24番小山晟治(スポ2)に苦しめられるも、流れには乗らせない。このセット5本のブロックを決め相手を圧倒した慶大。25-17とこのセットも危なげなくものにする。
第3セット。1、2セットの勢いのままこのセットも押し切れるかと思いきや、一進一退の攻防を繰り広げる。サーブレシーブの乱れや、セッターとアタッカーとの連携ミスなどから失点が相次ぎリードを広げることができない。その後佐藤康平(環4)のダイレクトスパイクなどで5連続ポイントを奪い一度はリードを広げるも、ここまでチームの中心として大活躍を見せてきた富澤太凱(経2)のスパイクにミスが見られる。それでも「後半に追い上げられてきた時でも気持ちを切り替えて青学戦のようにならないように」(黒田)と冷静さを失わなかった慶大。富澤、マルキのサービスエースも決まり、26-24となんとか押し切りセットカウント3-0でリーグ最終戦を白星で飾った。
「人事を尽くして天命を待つ」。増田主将の言葉のもと、やれることはすべてやり通した慶大がついにつかんだ入れ替え戦への切符。本当の勝負はここからである。勢いそのまま自分たちのスタイルを貫き通せば、結果もおのずとついてくるはずである。1部昇格をかけ、慶大は5月27日(土)、1部11位の国士舘大との運命の一戦に臨む。
(記事・太田彩恵、写真・岩本弘之、染谷優真、川下侑美、藤澤薫)
<男子2部最終結果>
第1位 駒澤大学 10勝1敗
第2位 慶應義塾大学 9勝2敗(セット率3.750)
第3位 青山学院大学 9勝2敗(セット率3.000)
第4位 法政大学 9勝2敗(セット率2.636)
第5位 国際武道大学6勝5敗(セット率1.400)
第6位 大東文化大学6勝5敗(セット率1.118)
第7位 立正大学 5勝6敗
第8位 亜細亜大学 4勝7敗
第9位 桜美林大学 3勝8敗(セット率0.536)
第10位 宇都宮大学 3勝8敗(セット率0.370)
第11位 平成国際大学 2勝9敗
第12位 山梨大学 0勝11敗
個人賞では黒田彪斗が敢闘選手賞を、吉田祝太郎が新人賞を受賞した。
宗雲監督
(今日の試合を振り返って)一言で言うと選手が硬かった。私よりも選手の方がたぶん負けちゃいけない、入れ替え戦のこととかちらちら頭にあったのか硬かったですね。
(第1セットの立ち上がりなどが)そうですね。笑顔がなかったので。笑顔が少ないよって途中で言いました。
(第3セットの最後どのような思いで試合を見つめていたか)富澤が失点した後に祝太郎がどこにあげるのかなという思いと、次のセットに行ったらどういう声をかけようかなというのはちらっと頭の中にありました。
(3-0で勝ったことに意味は)セットを取られるよりはストレートで勝った方が気持ちがいいですよね。ただそれ以上に彼らにずっと言い続けているのは、自分たちのスタイルを貫くこと、ジャンプサーブはしっかり強く打つ、フローターの選手はしっかり狙う、そしてブロックをしっかり跳ぶ、ブロックからもれてきたボールをしっかり拾う、基本的にサーブアンドブロックをしっかりやろうと。それが今年の一番の特徴なので。そのスタイルを貫こうとすればおのずと結果か出るよと。今日は良かったですよ。
(時折連携にミスも見られましたが)今日ボールが浮いているときに、瞬時の連携の声が少なかったんですよ。よく言えばアイコンタクトが崩れたという感じなんですけど、そうではなくて喉からあと一言が出ない、事前の声が出ていないというかそれがプレーに出たと思います。
(ピンチサーバーなどを入れることは全く考えなかったか)ベンチからもスタッフからも2セット目にそういう声があったんですけど、今のスタメンのサーブってすごく良くてこの間までは4年生の康平がちょっとサーブ力が弱いかなというのがあったんですけど、彼なりに今日は違うサーブを打って修正していたので、良いサーブの選手がいっぱいいるのに大事なところでそれを変えて、それを超えるピンチサーバーは今のところそんなにいないので、そういう理由でなかなか競り合っているところで使えないというのが本音です。それを超える選手が出てきてほしいという思いで言っています。
(リーグ戦全体を振り返って)あっという間でしたね。負けた試合は本当に悔いの残る駒澤戦も青学戦も勝利を掴んでいたのに、自分たちから勝利を手放したような感じだったので、悔いの残る二戦だったんですけど、それでもリーグ戦の最初に私も思っていたんですけど、自分たちのスタイルを貫けっていうのを通していたのでそれは立派だなと思いました。
増田拓人主将(環4)・黒田彪斗(環4)
(試合を振り返って)
増田)長いリーグの中で目指していたチームの集大成が垣間見れたと思います。
黒田)リーグを通して反省すべき点も出たし、成長してきた点も出た、リーグを象徴した試合だったと思います。成長した点は後半に追い上げられてきた時でも気持ちを切り替えて青学戦のようにならないようにという、1つの経験から学べたことがあったと思います。
(今のチームの完成度)
増田)伸び代が1年生2年生に多いので、この代の最終形で言えば6割位。まだまだ全然あると思います。
黒田)樫村とか祝太郎のコンビが合ってきたら強いと思うし、マルキも太凱にしても伸び代はまだあるのでまだまだいけると思います。
(後輩を見ていて)
増田)マルキと富澤の思っている責任の重さが周りから見ても重くなっている。彼らもそれを自覚してそれに取り組んでくれているところが成長してくれていると感じます。今までは自由にやってもらっていたけど、チームの中心になって責任を持ってやってくれているのが一番チームの成長に繋がっていると感じます。
黒田)今の後輩達は凄くやりやすいです。自分の考えを直接自分に言ってくれるので。しかも、マルキとか、一年生の時に比べると徐々にプレーに自信がついているので、頼れる後輩だなと思います。
(早慶戦に向けて)
増田)早稲田も凄く好調で、1部2位なので、1部と2部に差はないぞと見せたいですね。
黒田)その通りだと思います。
佐藤康平(環4)
(非常に重要な一戦をものにした、今日の試合を振り返って)結果的にはまだ課題が残る部分もあったとは思うんですけど、1・2セット目はすごくいい形が出せていたので、もし入れ替え戦に行けたときのことを考えてしっかり課題を克服していきたいと思います。
(具体的に課題というのは何か)自分たちのブロックが高い分相手が逃げてくるんですけど、その逃げてきたフェイントとかをしっかり繋げられていないので、そういうところを詰めていければより盤石な態勢が敷けると思っているので、そういうところを詰めていきたいと思います。
(今日はサーブとブロックの調子が良いように見えたが、その点は)ジャンプサーブは下級生3人、吉田とマルキと富澤の強力な3人がいるんですけど、その分、フローターの…僕今日結構ミスがあったんですけど、僕とか黒田とか樫村のフローターのミスをなくして効果的なサーブを打てれば、もっとジャンプサーブが攻められると思うので、その辺はまだまだ修正できるかなと思っています。
(先週の試合で自力での入れ替え戦進出の可能性が消えてしまったが、チームでどのような心持ちで1週間練習に取り組んできたか)チームとしては本当に結構落ち込みはなくはなかったんですけど、キャプテンの増田が「人事を尽くして天命を待つ」をテーマに掲げて、最終戦に向けてできることはしっかりやって、あとは結果を待とう、という強い気持ちをもっていました。
(セット率で入れ替え戦進出が決まってしまう可能性もある中、1セットも落とせない試合だったと思うが、そのようなプレッシャーは感じていたか)いや、とくには自分自身は感じていなくて、チームでもあんまり感じていなかったと思うんですけど、とりあえず、先ほど言ったテーマがあったので、その通りしっかりやれば結果はついてくると思っていました。
(長いリーグ戦の最終試合が終わったが、リーグ全体を振り返って)最初のほうはまだまだ形が見えなかったんですけど、リーグ中盤から終盤に向けてはしっかりと自分たちの形が出せるようになっていたので、3月から合宿とか練習試合を重ねてきたものがリーグを通して徐々に形になってきたかなと思っています。
(入れ替え戦、そして来月には早慶戦や東日本インカレが控えている。そこに向けて修正していく点は)先ほど言ったとおり、繋ぎやフローターサーブのミスなどの安易なミスが多かったので、そういったところを修正していきたいと思います。
マルキナシム(総2)
(セットカウント3-0での勝利、試合を振り返って)とにかく、チーム全体で全力でやろう、と決めていました。
(入れ替え戦に向けて絶対に負けられない戦い、プレッシャーなどは感じていたか)大東文化大には同じ埼玉県出身の知り合いが多かったのでやりにくいところはあったのですが、そのプレッシャーには勝てたんじゃないかな、と思っています。
(今日の試合に臨むにあたって意識していた点は)いつも通り、サーブをしっかり打とうということです。
(最も印象に残っているプレーは)最後のサーブです。個人的にはミスをしてしまったと思ったのですが、本当に気持ちで入ってくれたので、良かったです。
(サービスエースも2本決まった、なにか意識していたことは)ただ自分の良いサーブを打つだけだったので、サービスエースを狙おうという気持ちは特にありませんでした。
(長いリーグ戦が終わったが振り返って)ディフェンス面をもっと改善していかないと1部に行っても通用しないと思うので、夏にしっかり練習をして、良い姿を見せられるように頑張ろうと思います。
(入れ替え戦に向けて強化したい点は)全力でやるしかないので、チームの雰囲気を良くすることを意識したいと思います。
(早慶戦に向けて)1部のチームと対戦できる良い機会であり、応援もいっぱい来るので、それを力にしてしっかりやっていきたいと思います。
吉田祝太郎(政1)
(まず、今日の試合を振り返って)基本的にサーブで攻めてブロックで点を取るというこちらのスタイルは出来ていたと思います。悪かったのは、こちらのサイドアウトの時の内側のコンビのミスで相手に点を与えてしまったことです。しかし全体的には自分のやったことは出来たかなと思います。
(今日は入れ替え戦に向けて負けられない試合だったと思うが、今日の試合にかける思いというのはどのようなものがあったか)そうですね、もちろん負けられない戦いということだったのですが相手は慶應との相性はとても良くて戦いやすいチームだったので、この試合に対する特別な緊張というのは無くのびのびプレー出来たかな、と思います。
(今日特に意識されたプレーなどはあったか)先週日曜日の法政戦でサーブが全然入らなかったので、この一週間は特にサーブを意識して練習してきたので、サーブはしっかり打ちたいなと思って試合に臨みました。
(その練習が今日の強いサーブに繋がっていたと?)はい、良かったかな、と思います。
(時折、アタッカーとのタイミングが合わないプレーも見られたと思うのですがその点については)そうですね、カットも少し崩れていたんですけど、ラリー中に自分とスパイカーのコミュニケーションが上手く取れていなかったので、そこは練習していくしかないなと反省しています。
(長いリーグ戦が終わり全体を振り返って)やっぱり(5/13の)青山学院大学戦がとてももったいなかったなと思っていて、結果的には相手が勝ったのですが実力的にはこちらが上回っていて、ほとんどこちらの勝利、という場面から試合を落としてしまって。後悔しても仕方ないのですがその試合を落としたのがもったいなかったな、と思います。
(高校では春高バレーにも出場して色々な経験をされて、大学でもたくさん試合に出られていますが、高校と大学でのプレー面での違いなどはどう感じているか)高校のときは自分がスパイク打って指示たくさん出して、という感じで自分を軸にして試合をしていたのですが、やっぱり大学に入って自分は一年生で周りの先輩方も主体的になってやってくださるので、自分のプレーに集中できるようになったかな、というのはあります。どちらかというとチームの事を考えていた高校の頃とは違って、大学では自分の技術的な面を考えながらのびのびプレーさせて頂いてるなと思います。
(最後に今後大学4年間での目標)まずは一部に上がることですね。一部でプレーしたいと思いますね。
サイド | マルキ ナシム(環2・川越東高) |
セッター | 吉田祝太郎(政1・慶應義塾高) |
センター | 佐藤康平(環4・桐蔭学園高) |
オポジット | 富澤太凱(経2・慶應義塾高) |
サイド | 黒田彪斗(環4・富山一高) |
センター | 樫村大仁(環1・茨城高専) |
リベロ | 長澤翔吾(環4・盛岡第一高) |
| 谷口聡(環2・韮山高) |