【相撲】「悔しい限りです」慶應7年ぶり団体戦Aクラス進出逃す /第96回東日本学生相撲選手権大会

 まさかの初戦敗退だった。相撲の東日本学生相撲選手権大会が行われ、慶大は団体戦初戦の2回戦で大東大に敗れ、Bクラストーナメントベスト8に終わった。慶大がAクラストーナメント進出を逃すのは7年ぶりのこと。午後に行われた個人戦には、慶大から5名が出場し、北原英嗣(政1・慶應)、長谷川大起(総2・木造)が1勝を挙げ、それぞれ3回戦、2回戦進出を果たした。

個人戦2回戦で勝利し、大学初勝利を挙げた北原

6/11(日)第96回東日本学生相撲選手権大会@第96回東日本学生相撲選手権大会

@両国国技館

 

結果

団体戦

Bクラストーナメント2回戦vs大東大 1勝4敗

先鋒 ●大森慎之助(1・東京学園) 寄り切り 堀田

二陣 ●北原英嗣(政1・慶應) 外掛け 佐藤

中堅 ●平野晧大(商4・慶應) 押し出し 小野里

副将 ○長谷川大起(総2・木造) 寄り切り 磯辺

大将 ●時田王右(環4・愛工大名電) 押し出し 平澤

 

個人戦

1回戦

●平野 寄り切り 佐藤(明大)

●時田 押し出し 木崎(日大)

○長谷川 押し出し 村山(専修大)

●胡華興(薬2・慶應) 寄り倒し 前田(明大)

 

2回戦

●長谷川 寄り切り ブレブスレン(日体大)

○北原 寄り切り 近平(中大)

 

3回戦

●北原 突き落とし 菊池(日体大)

 

 東日本大会は、団体戦と個人戦の2本立てで行われる体重無差別の大会である。慶大はBクラストーナメント2回戦から出場した。このトーナメントでベスト4に入れば、Aクラストーナメント進出が決まり、その予選で11位以上に入ると、全日本大学選抜相撲金沢大会への切符を掴むことができる。慶大の目標はこの金沢大会に4年ぶりに出場することだ。初戦の相手は大東大。昨季のリーグ戦では2勝5敗で敗れており、慶大にとっては初戦から正念場となった。

 

 まず、先陣を切ったのは新人の大森慎之助(1・東京学園)。左腕の骨折の影響で先日の新人大会には出ておらず、今回が大学相撲での初陣になった。取組は立合いから互いに突き合う展開になる。途中で大森が左を差したが、相手に絞り上げられ、態勢が浮き上がってしまい、最後は寄り切りにて敗れた。続く二陣の北原も外掛けで敗れ、早くも後が無くなった。迎えた中堅戦、何とか勝利を収めたい平野晧大(商4・慶應)だったが、相手の激しい突っ張りに堪えられず、一気に土俵外に押し出された。これで慶大の敗北は決まってしまったものの、続く長谷川が意地を見せた。「0-5で、しかも学年が下の相手に負けるわけにはいかない」。相手の差し手を殺し、力で押し切る盤石の相撲ぶりで勝利した。大将で出場した時田王右(環4・愛工大名電)は、体格で上回る相手に対し途中まで上手く駆け引きを進めたが、最後は押し切られてしまった。結果は1勝4敗で、団体戦はまさかの初戦敗退に終わった。

力強い相撲を見せた長谷川

 日大と東洋大の白熱した団体戦決勝が終わり、息つく暇もなく個人戦が行われた。慶大からは、平野、時田、長谷川、胡華興(薬2・慶應)、北原の5名が出場した。平野と時田、胡は初戦敗退に終わったものの、長谷川と北原が1勝を挙げた。長谷川は1回戦、立合いで相手の態勢を崩すと、そのまま突っ張りで押し切った。続く2回戦は日体大の選手に寄り切りで敗れてしまったものの、「(相手が)小さかったので、色々変化してくると思ったんですけど、思い切って頭からぶつかって前に行く相撲が取れました」と1回戦の相撲には手応えを口にした。個人戦の前、嶋田翔太元主将(H27卒)から「はっぱをかけられた」という北原は立合いから果敢に攻め、初戦の2回戦を制した。3回戦は逆に立合いで崩れて敗れてしまったが、「もっと早く勝ちたかったですが、強い相手に勝てて、すごく嬉しかったです」と念願の大学初勝利を喜んだ。

 

 団体戦でまさかの初戦敗退に終わり、全体としては悔しい結果に終わった試合だった。特に4年生に元気が無かったのは気がかりだ。平野と時田が団体戦と個人戦の両方に出場したが、いずれも白星を挙げることができなかった。試合後平野主将は「主将として迎えた最初の試合で、今後一年間戦っていく意味でも大事な試合だったんですけど、どちらも初戦で負けてしまって非常に不甲斐なかった。主将として大きな責任を感じている。もう一度気を引き締め直して頑張りたい」と肩を落とした。

 

 次は7月の東日本学生相撲体重別選手権大会。体重別で行われる大会であるため、比較的小柄な選手の多い慶大にとっても、勝ち進むチャンスが十分に残されている。毎年軽量級の下級生が好成績を収めている大会だが、とりわけ今回不完全燃焼に終わった4年生の奮起に期待したい。

 

(記事:江島健生、写真:清野日奈子)

 

選手コメント

平野晧大(商4・慶應)

——全体の総括をお願いします

目標としてはBクラスベスト4に入って、Aクラスの予選で上位11校に入ることで金沢大会という全国の選抜大会に行くことだったんですけど、全然その前にも及ばないというか、まずベスト4に入って目標に挑戦するというところまで行けなかったので、主将として大きな責任を感じています。

——Aクラストーナメントに行けなかったのはずいぶん久しぶり

そうですね。4、5年ぶりですね。もうちょっと前だったかもしれないです。(※7年ぶり)相手が今までの年と比べるとちょっと強いっていうのはあったんですけど、今の実力から言えば勝てない相手ではなくて、それぞれ自分の相撲を取りきって実力を出し切れば勝てる相手だったのかなと思うので、その分余計悔しさはありますね。

——主将個人としては、個人戦団体戦ともに敗れてしまいました

そうですね。主将として迎えた最初の試合で、今後一年間戦っていく意味でも大事な試合だったんですけど、どちらも初戦で負けてしまって非常に不甲斐ないというか、主将として気持ちを改めてもう一度全部やり直したいと思います。ここから新しく、メンバーは同じなんですけど、すごく良いメンバーが揃っているので、これを勝たせてあげるように自分を鍛え直していければと、もう一度気を引き締め直して頑張りたいと思います。

——取組の内容は

取組は全然駄目で、どちらの相撲も守りというか、全然自分からの攻めができなかったので、そこが一番の反省点かなと思います。もっと自分から攻めていく相撲を心がければ、それが勝ちにつながっていくと思うので、もっと積極的な相撲を磨いていきたいとは思いますね。

——全体的に下級生の活躍が目立ちました

そうですね。非常に下級生が頑張ってくれて、その中で4年生の自分と時田がどちらも負けてしまったので、下級生に頼ってしまっている部分はすごく情けないと思います。本当は僕らが活躍して、下級生には気楽に相撲を取ってもらう環境が一番良いと思うんですけど、そこは甘えちゃっている部分があるので、今後の試合では僕らも負けないぐらい力を発揮して、下級生が気楽に相撲を取れるような、そういった存在になろうと思います。

——次は体重別ですが、今のところどの階級に出場する予定ですか

今のところだと100キロ未満にしようかなと思っていて。去年よい一つ下げて、一昨年出た階級なんですけど。体重別は本当に体格の差は無いので、そこを言い訳にできないという点もありますし、(均衡した)相撲にもなりやすいと思います。4年生で最後の体重別になるので、しっかり成績を残せるように頑張っていきたいと思います。

長谷川大起(総2・木造)

——団体戦は初戦敗退に終わりました

チームの負けなので悔しいですね。このチームの一つの目標が、本戦(Aクラストーナメント)の予選に出場して、金沢大会に出場することだったので、悔しい限りです。

——副将として出場しましたが、取組を振り返って

(自分に回ってきた段階で)負けは決まっていたんですけど、0-5で、しかも学年が下の相手に負けるわけにはいかないぞと、そういう強い気持ちで戦いました。

——今日の個人成績としては団体戦と個人戦でそれぞれ1勝を挙げ、2勝1敗という成績でした。全体を振り返って

個人の1回戦は良い相撲だったと思うんですけど、2回戦は大学から相撲を始めた選手でデータが無いなか、何をするか迷ってしまったのが敗因なのかなと思います。もっともっと思い切って個人戦の1回戦みたいな相撲を取ったら、上に行けたんじゃないかなと思います。 

——具体的に1回戦の相撲の良かったところは

(相手が)小さかったので、色々変化してくると思ったんですけど、思い切って頭からぶつかって前に行く相撲が取れました。悩むことをしなかったので、身体が動いてくれたのだと思います。2回戦はちょっと悩んでしまって、立合いで一瞬出遅れてしまったというふうに思いました。

——大学での2年目のシーズンに入りましたが、1年生のときと比較して自身の中で成長を感じるところは

体力面ではもちろん成長していると思うんですけど、技術的なところでも、今までは自分の得意な態勢からは勝てたんですけど、不利な態勢からでも巻き返して得意な態勢に持って行って勝つということが少しずつできるようになってきていて、そこは成長しているのかなと。腰を落とすことが少なくなって、安定した勝ちを拾えるようになってきたのかなとは思います。

——次は体重別ですが、階級はどこで出る予定ですか

135キロ未満で。去年も135キロ未満で出たんですけど1回戦敗退だったので、今年は一つでも二つでも勝って、全国大会出場を決められるよう頑張りたいと思います。

 

北原英嗣(政1・慶應)

——国技館での取組は初めてですか

一年に一回以上の頻度で国技館では相撲を取っていて、今回は去年のインターハイ以来です。

——今日の取組について

団体戦の初戦でダメな負け方をしてしまって、そのあと、元主将の嶋田先輩にはっぱをかけていただいて、「次の一番を勝たないと意味ないぞ」というようなことを言っていただいて、すごく気合を入れて次の個人戦に臨みました。その一戦目は、すごく良い試合が取れて、個人戦で一勝することを目標にしていたので、やはり二戦目では少し気持ちが途切れてしまったのかなというところがあって、上手く二戦目は取れなかったですが、個人戦の一戦目は個人的に良い相撲が取れたと思っています。

——大学入学後初勝利の気持ちは 

もっと早く勝ちたかったですが、強い相手に勝てて、すごく嬉しかったです。

——以前改善点として挙げていた、練習状況の変化はあったか

筋力トレーニングを増やして、腕立て伏せや腹筋を毎日100回はやるようにしています。高校生の頃は、学校が忙しくてできなかった分を、家や道場で練習するようにしています。

——次戦の体重別での出場体重は 

135キロか115キロで出ようと思っています。 

——次戦での目標は

今日みたいにまた一番一番勝てれば良いかなと思っていて、それで結果が出ればなおのこと嬉しいと思っています。

大森慎之助(1・東京学園) 

——大学でのデビュー戦でしたが

正直0点ですね。骨折の手術明けで初めての試合で、調整する機会が二週間しかなくて、そういった中で練習中ではできていたことが本番は緊張もあって自分の思い通りにいかなかったので、そこが悔しいところです。

——けがの回復状況は

骨折は治ったのですが、可動域が少なくて曲がりにくいので、そこが苦労しているところですね。あとは、握力も減っていると思います。

——相撲を始めたのは

小学4年生の時からなので、もうかれこれ10年くらいです。

——高校までの相撲と大学の相撲とで違うところは 

自分自身が相撲を取っていて感じたのは、レベルの高い人たちがどんどん残っている状態なので、高校時代よりも勝つということが難しくなると思います。そこを大学で自分がどれくらい頑張れるかというところにかかっているのではないかと思います。

——国技館での取組は初めてか 

高1のインターハイの団体戦は国技館で取組をしました。3年ぶりだったので、かなり緊張しました。相撲の聖地なので、独特の緊張感ですね。高校時代は、応援団の応援もなかったので、今日は場の空気にのまれたかなというのも多少ありました。

——今後の課題は 

骨折の手術で失ってしまった筋力や相撲勘を、どんどん練習していって取り戻したいと思います。とりあえずは鍛えなおしです。

——次戦の体重別での出場体重は 

先輩方から体重を増やせと言われているので、今は98キロくらいなのですが、100キロ未満で出場したいと思っています。

——今後4年間でどんな力士になりたいか

チームの原動力になりたいです。同学年の北原が頑張っている中で、自分も負けていられないなという思いが強いので、少しでも彼に近づけるようにして、私と北原でチームを引っ張っていけるような力士になりたいと思っています。

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