【弓道男子】昨年覇者惜しくも準優勝、二連覇ならず 第29回全国大学弓道選抜大会

この悔しさをインカレへ

 

堂々の準優勝、しかし目標は二連覇だった。6月24日・25日、第29回全国大学弓道選抜大会が明治神宮中央道場で開催された。昨年、同大会で全国の強豪校相手に熱戦を繰り広げ見事悲願の初優勝を果たした。あれから一年、二連覇を目指した戦いは惜しくも最後の最後で敗退、悔しさの残る結果となった。

 

 

29回全国大学弓道選抜大会

624()25()@全日本弓道連盟中央道場

 

ポジション

選手名

予選

1回戦

2回戦

準決勝

決勝

大前(おおまえ)

本郷一輝(法2・慶應湘南藤沢)

二的(にてき)

小林研一郎(政2・慶應義塾)

    
 

加藤和樹(商4・慶應義塾)

 

三的(さんてき)

日野浩明(文4・慶應義塾)

落(おち)前(まえ)

恩田悠暉(政4・慶應志木)

落(おち)

蜂谷康一郎(商4・桜修館)

合計

 

17

18

18

18

16

対戦校

  

筑波大

立命館大

法政大

京都橘大

  

11

15

14

17

※1回の試合で各選手4本矢を放つ。男子団体は5人で構成され、予選では計20本のうち上位16チームが翌日行われる決勝トーナメント戦へ勝ち進む。

トーナメントは2チームが同時に矢を放ち始め、計20本のうち的に中(あた)った本数の多いチームが勝ち進む。的中数が並んだ場合は、各自1本の計5本からなる一本競射が繰り返される。

 

 

 

静寂な雰囲気の明治神宮弓道場、聞こえるのは矢の的中する音と皆中時の観客の拍手の音のみ。全関東の行われた日本武道館に比べ選手と観客の距離は近く、選手陣の緊張感は観客席まで伝わってくる。昨年は悲願の初優勝を果たした全国選抜大会、全国各地のリーグを代表する大学相手に、慶大の二連覇への挑戦に観客の注目が集まる。

 

揃った体配でテンポよく行射する

 

前日雨が降る中行われた予選は17中で難なく通過。後日迎えた決勝トーナメント、初戦の相手は筑波大学。3番日野(文4)の初矢が惜しくも的から逸れるも、気を取り直し2本目はテンポよく全員矢を的に射止める。この流れで3本目も難なく皆中、3本目終了時点で抜いた矢はわずか1本。最後まで慶大のリードは固く、18対11で圧勝した。

 

高い集中力で狙いを定める日野

 

決勝トーナメント2回戦、相手は立命館大。前日の予選で唯一18中を記録し1位通過した強豪校だ。しかし1回戦18中を記録した慶大であれば、焦らず挑めば難なく勝てるだろう。そう思ったが簡単には試合を運ばせてくれなかった。前半、ここまで皆中でチームを引っ張ってきた蜂谷(商4)が初矢を抜いてしまう。続いて大前本郷(法2)の2本目も、的の少し左外側に逸れる。対する立命館大の抜いた矢は合計わずか1本、立命館大のリードで前半を終える。このままでは負けてしまう、そう思ったがここで終わらないのが慶大の強さであった。まだ2回戦、目指す優勝への道はまだ半ばだ。こんなところで負けてられない、そんなチームの強い気持ちが力となり、後半の追い上げは相手に少しの隙も許さずリズムよく皆中。対する立命館大は慶大の勢いに圧倒され後半調子を狂わした。抜群の安定感で見事今回も18中を記録し、3中差で準決勝進出を決める。

 

決勝トーナメント、全ての矢を的に射止めた恩田

 

決勝に向けて着実に試合をこなし、迎えた準決勝。決勝戦に向け、確実に勝ち進みたい試合だ。そんな準決勝の相手は東京都リーグⅠ部の法政大学、黒い胴着が特徴で過去に何度も対戦経験がある。もちろん相手を意識するも、慶大に動揺は全く見られない。慶大の集中力は見ている側にも伝わるほどであった。予選1位の立命館大学に勝利しここまで好調に勝ち上がってきたといえる慶大はまたしても18中を記録。前2人がそれぞれ1本ずつ外すも、ここまで全て皆中の恩田(政4)を含む後ろ3人の安定した中りでカバーされた。完全に慶大のリードで法政大相手に4中差で勝利、見事決勝進出を決めた。

 

今年からポジションを落に変え、柱としてチームを引っ張る蜂谷

 

そしてついに迎えた決勝戦、目標とする二連覇は目前まで迫っていた。相手は今大会初優勝を狙う京都橘大学。二連覇を目指し挑む慶大はここまで全て18中で的中率9割という高的中。この勢いそのままに試合に臨みたい慶大であったがあと1勝というプレッシャーが選手の調子を狂わせる。準決勝で大初矢が入らなかった大前本郷の初矢はまたしても的から外れる。敗因の一つは「大初矢をぬいてしまったこと」と鈴木監督が振り返るように、全員が大きなプレッシャーを抱え強い気持ちで挑む中、よいスタートを切れなかったことはチームの精神面に少し足らずも変化をもたらしてしまったのだろう。しかし前半抜いた矢は1本、対する京都橘大は3本。このままリードを保てば勝ち切ることができる、そう思った矢先だった。2番加藤(商4)と落蜂谷の3本目が入らない。後半、ここまで好調であった慶大の勢いはあと一歩のところで崩れ、相手の追い上げに力負けした。惜しくも1本足りず16対17で敗北、目標とする二連覇を達成することはできなかった。

 

悔しさと共に、銀メダルを胸にする

 

「二連覇を目指して練習してきたので悔しい」(鈴木監督)、「悔しさしかない」(加藤)、「とても悔しい」(蜂谷)。二連覇という目標は手の届く位置まで来ていた。だからこそあと一歩のところで勝ち切れなかった悔しさは計り知れない。準決勝まで18中を連続で記録した慶大は確かに強かった。抜群の安定感と堂々とした射は相手校を精神面からも圧倒しただろう。しかし「悪かったところは勝負強さです」と加藤主将が分析するように、最後の最後で今まで通りの試合ができなかったのは、頂点をとるにはまだ力不足であったということなのだろうか。

次なる戦いは8月に神戸で行われるインカレ。ここで全国優勝すれば王座決定戦出場を果たすことができる。全ては王座を勝ち取るために。慶大の全国優勝は夏のインカレに持ち越された。今回の経験を力に変え、さらに勝負強くなった慶大に期待したい。

 

(記事・写真 國分萌々子)

 

 

監督・選手コメント

 

鈴木清久監督

 

(準優勝という結果を受けた今の率直な気持ちをお聞かせください)二連覇を目指して練習してきたので悔しいです。(今大会を振り返って)それを克服できなかったので、それを克服して、全日、王座に向けて練習をしていきます。(最後の最後に負けてしまった敗因はどこにあるとお考えですか)まず大初矢をぬいてしまったこと、それから結果的に16中という中りではやはり優勝は難しいんだなというところです。18中を常に出していたところで、それを繰り返すことができなかったというところで集中力の欠如や持続性のなさを鍛えていきたいと思います。(昨年の優勝メンバー3人を含み、4年生4人というメンバー構成に関して)2年生が予選で振るわなかったので4年に代えました。4年が頑張ってくれると期待しておりましたし、結果それに応えてくれての準優勝だと思いますのでこの勢いをもって次へ進みたいと思っております。(今後のチームに期待したいことは)チームは今上昇していると思っているのでこれから全日に向けて、勝たないと王座には行けないのでまず全日で勝ち、そしてしっかりと力をつけて新しい道場でⅠ部になれるように、あるいは王座を取れているように頑張りたいと思います。(今後に向けて意気込みを聞かせてください)全日優勝して王座を目指します。

 

 

加藤和樹主将(商4)

 

(準優勝という結果を受けて今の率直な気持ちをお聞かせください)悔しさしかないです。(今大会を振り返って)4中が継続的に出るようになっていて羽分けも予選合わせて2回しか出ていないので、ミスっても3中で止めるということ、また常に4中が安定して2~3人出し続けることができたというところは収穫だったなと思います。逆に悪かったところは勝負強さです、先週の全関東の時から初矢とトメと連抜けをなくそうという意識がずっとあったのですが、最後の試合も初矢とトメを抜いてしまっていますしまだ克服しきれていないと思います。そこは全員意識していても意識するだけでは中てられないのでまだまだ基本に則った射ができていないと思います。(最後の最後に負けてしまった敗因は)準備不足かなと思います。(今後に向けて意気込みをお聞かせください)次のインカレの試合では必ず優勝します。

 

 

蜂谷康一郎副将(商4)

 

(準優勝という結果を受けて今の率直な気持ちをお聞かせください)とても悔しいです。でも手ぶらで帰るよりはましかな、という感じです。また、昨年Ⅱ部落ちしてしまった悔しさもあり、やはり都学中にまだまだ慶應はやれるんだぞということを見せつけられたのが良かったかなと思います。(今大会を振り返って)個人的には予選から4が出たということと、チームで高的中17中18中が続いたというところがやはり普段の立練習以上の結果が出せて良かったところだと思います。結果論になってしまいますが、18中で続いてきたのに最後に16中になってしまったところでまだまだ詰め切れていなかったのかなというところが反省点です。(昨年の優勝という結果から今年はどのような意気込みで試合に臨みましたか)もちろん二連覇してやろうという意気込みでした。やはり自分が落でひくということもあってチームを意識して部を引っ張っていこう気持ちで自分なりの責任を感じながら臨みました。(最後の最後に勝てなかった敗因は)自分に入り込めなかったのかな、というところです。相手を意識してしまったのかな、というところとあとは前の一手がすべて詰まれば高的中も出ますがそこが少し弱かったのかなと思います。インカレではそこを中心的に練習していけばまた優勝を狙えるのかなと思っています。(今日のご自身を100点満点で表すなら?)75点です。計20射ひいて大事なところで3中が出てしまっているところが25点分です。(今後に向けて意気込みをお聞かせください)ここで2位を取ったという悔しさをばねにインカレでは優勝したいと思います。あとやはり全国に慶應はまだまだやれるんだぞということを特にⅠ部校相手にアピールしていって最後リーグに臨みたいなと思います。

 

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