【バレーボール】惜敗も手応え掴んだ開幕戦 vs日体大

バレー戦評

ブロックポイントを決め喜ぶ選手たち

「あそこから立て直したということは評価できると思います」――ついに開幕した春季リーグ。守備力の強化を掲げて挑んだ開幕戦だったが、第1セットはその守備が大崩れして大敗してしまう。だが、少しずつ守備が安定すると、自分たちのプレーができるように。第4セットを紙一重で落とし敗戦を喫したが、新たなスタイルで強豪にも対抗できると証明してみせた。

 

 

4月7日(土)春季関東大学男子1部バレーボールリーグ戦第1戦 慶大×日体大

@日本体育大学健志台キャンパス米本記念体育館

 

得点

 

 

慶大

セット

日体大

12

25

20

25

25

20

24

26

 

体育館に響く靴の音、応援の声。この季節がついにやってきた。7日に開幕を迎えた春季リーグ。開幕戦は日体大とのマッチアップだ。昨季は3位と宗雲監督も「勝つことは簡単ではない」と語るそつのない強敵だ。

 

スタメンにはサイドに小出奈暉(環1・駿台学園)、リベロに永田将吾(総1・高松)と2人のルーキーが並び、新たに、センターに片波見和輝(文3・成田)が入る布陣となった。

 

新戦力の小出

小出のサーブから試合が始まった。しかし、タッチネットのミスが相次ぎ、日体大にリードを許す展開となる。富澤太凱(経3・慶應)を起点に得点を重ねていくものの、連携がうまくいかずお見合いしてしまうなど、6連続失点を喫してしまう。終盤に小出がレフトからスパイクを決め大学初得点を挙げて盛り上がったが、反撃もここまで。大差で1セットを落としてしまう。

 

1年生リベロの永田

切り替えて挑んだ第2セットは片波見のクイック、富澤のバックアタックが決まるが、サイドアウトの応酬となる。しかし中盤に永田がレセプションを決めて良い雰囲気を作ると、マルキナシム(総3・川越東)を起点に得点を挙げていく。さらに富澤と樫村大仁(環2・茨城高専)のブロック、樫村と小出のブロックなどで4連続得点し、リードを奪った。しかし、相手も攻撃に対応を見せていくと6連続得点を返されてしまう。直後に3連続得点で迫るも、立て続けに3連続得点を2度許し、振り切られた。

 

クイックを打つ片波見

後がない第3セットはマルキと富澤の両エースが得点を積み重ねていき、徐々にリードする。吉田祝太郎(政2・慶應)がツーアタックで得点するなど、流れも引き寄せていく。ピンチサーバーの浦部漣太朗(総3・高松第一)も相手を崩すサーブを放ってみせた。サーブレシーブの安定とともに、攻撃にもリズムが出るようになり、最後は富澤が2連続で得点を決めてついに1セットを奪い返した。

 

この日はブロックが好調だった

調子が出てきた第4セット。片波見のクイックが冴え渡るも、序盤はサイドアウトの取り合いとなった。相手のサービスエースでリードを奪われると、ここで慶大がタイムアウト。ここから、富澤のスパイク、マルキのバックアタックが決まって同点に追いつく。しかし、直後の日体大のタイムアウト明けから、自分たちのミスが出て再びリードを奪われてしまう。この試合高さで存在感を見せた樫村と富澤のブロックで得点して追いつくも、サーブミスで流れを引き戻せないうちに相手に連続得点を許してしまう。22ー24と失点が許されない場面でサーブを任されたのは吉田。センターへの力強いサーブは2回連続で相手のスパイクミスを誘い、デュースに持ち込んだ。雰囲気は上々ではあったが、次でサイドアウトを取られると、次の場面では富澤のスパイクを拾われ、センターからの強打はブロックで捉えられず万事休す。開幕戦を落とすこととなった。

 

第1セットの序盤は「硬かった」と皆が振り返るようにサーブレシーブで乱れてしまい、繋ぎの面でも全く連携が合わなかった。それが攻撃にも波及し大差でセットを落とす要因となってしまった。

しかし、切り替えて臨んだ第2セット以降は攻撃にリズムが生まれ、強みであるブロックも効果的に決まるようになっていった。敗戦したものの、強敵相手に1セットを取り、デュースにも持ち込んだことは自信に繋がるはずだ。春季リーグはまだ始まったばかり。昨季リーグ上位の相手との試合が続くが、未来の自分たちを信じて、精一杯のプレーで応えてほしい。勝利を勝ち取る時はそう遠くないはずだ。

 

(記事:尾崎崚登 写真:津田侑奈)

 

以下、コメント

 

宗雲監督

 

――試合を終えての感想

1セット目に全部悪いことが一気に出ましたが、あそこから立て直したということは評価できると思います。

 

――試合に臨むにあたっての手ごたえは

相手は守備も固く、繋いできますし、ハイボールを打ってきます。相手が勝手に崩れることはないので、ウチが100%出せないとダメだと思っていました。(勝つことは)簡単ではないと思ってはいました。

 

――立て直せた要因は

1セット目はサーブレシーブがみんなパニックになっていました。そこがこれまでと同じように慶應の悪いところなので、合宿の時はサーブレシーブをコートの中央に集めるように取り組みました。それが合宿では出来ていたので、コートサイドで、ずっと見ていたら少しずつ戻ってきました。それが好不調の要因だと思います。

 

――守備が安定してからは攻撃にもつながった

そうですね。1セット目も慶應の一部分であるので、これで終わるのか、また出てしまうのかわかりません。でも、徐々にマルキも立ち直って、小出も落ち着いて合宿通りにできていました。パスが落ち着くと、本来の打力が生かせます。それを目指して行きたいと思います。

 

――ルーキーの小出選手、永田選手はどんな選手か

小出はバレーをよく知ってるし、動き方も理にかなっています。守備の要として安心して見ていられます。永田はとてもいいセンスがありますが、今日は少し緊張感があったかなと思います。慣れてくれればもっと持ち味が出ると思うので、引き出していきたいです。

 

――やりたいことはできたか

相手を自由にさせなかったので、ブロックでワンタッチを取って、切り返して、という自分たちが目指している形か何回も出たので、紙一重で負けたのは悔しいですが、自分たちの今までやってきた練習通りのものが出ていたので、良かったと思います。

 

――選手自身の手応えにも繋がっているか

本人たちもいい意味でやれると思ったのではないでしょうか。

 

――最後に意気込み

学生にも話しましたが、周りはみんな強豪で勝つのは簡単なことではないけど、せっかくだから慶應の力を100%出せるように準備して怯まずやってもらいたいです。明日もまた期待したいですね。

 

 

伊藤祥樹主将(総4・清風)

 

――今日の試合を振り返って

最初は動きがかたくて、自分たちの力が出せなかったんですけど、後半にかけて少しずつ動けてきて、ブロックは良かったんじゃないかなと思います。

 

――ベンチではどんな声掛けを

基本的にやってきたことを徹底しようということを言っていました。

 

――チームスタイルについて

ディフェンス面では機能していて、良かったんですけど、サイドアウトが切れなかったです。今後はそこが課題なのかなと思います。

 

――ブロックとレシーブの連携について

ワンタッチはとれてたんですけど、レシーブがちょっとできなかったところがありました。レシーブしてから攻撃に繋がらなかったケースが多かったですね。

 

――明日に向けて

自分たちの力を出すことが一番大事です。それができれば、良い試合をすると思いますし、勝ちにも繋がると思います。まずは、自分たちがやってきたことをきっちり出すことが一番大事だと思います。

 

 

片波見和輝(文3・成田)

 

――今日の試合を振り返って

ブロックをシステマティックにやろうとしていたのですが、1セット目に硬さが出てしまい、ブロックが徹底してできていなかったのは痛かったです。1セット目がその調子でずるずる取られてしまったのですが、2セット目からはちゃんと切り替えてできたのが良かったです。

 

――ブロック練習の成果は出たか

結構出ていたと思います。2枚(ブロックを)しっかりつけて、ワンタッチを取るのができていたと思うので、もうちょっと徹底できれば、次に生かされるのかなとも思います。

 

――クイックがよく決まっていたが

去年の夏の合宿で祝太郎(吉田)と合わせて練習していて、形になっていたので今日はそれが決まって良かったと思います。

 

――新入生も交えたチームの雰囲気は

雰囲気はいいと思います。みんな明るく楽しくできています。1年生も強張らずというか、柔らかくできているので、そこは上級生がもっと馴染みやすくできたらいいなと思います。

 

――試合後はどんな話をしたか

やはり1セット目の硬さがもったいなかったということなんですけど、みんな悔しい思いをしたのでそこは伸びしろかなと思います。

 

――明日の筑波大戦に向けて

3月の初めに筑波大と試合をさせてもらいましたが、まだ自分たちはチームとしての形ができていませんでした。合宿を通して、(チームが)形になっていているので、それがちゃんとうまくはまれば、強くない相手ではないですけど、勝てない相手ではないと思うので、明日も頑張りたいと思います。

 

 

富澤太凱(経3・慶應)

 

――今日の試合を振り返って

勝って波に乗りたかったところですけど、やっぱり相手どうこうではなく自分たちが崩れてしまったので、良くない負け方であると感じています。

 

――初戦の硬さは感じたか

まだまだ自分たちでできたことはあったので、1日2日でどれだけ自分たちの硬さが取れるかはわかりませんが、明日に向けて鋭意準備したいと思います。

 

――久しぶりの公式戦出場だったが

ずっとワクワクしてました。久しぶりに(試合に)出てみると、コートの中はやはり独特なものがあって、この部の代表として出ているんだという気持ちが締まって、嬉しいような、そんな気持ちでした。

 

――新しいチームスタイルは体現できたと思うか

もっともっと見せられると思います。まだまだできます。

 

――新チームの雰囲気は

選手一人一人が常に考えて、発言して、チームを回そうと努力しているので、去年以上にチームの回りは良いと思います。

 

――明日の筑波大戦に向けて

もっと自分たちのプレーができるように頑張ります。

 

 

小出捺暉(環1・駿台学園)

 

――大学初めての試合だったが

序盤からちょっとチームがかたくて、どうなっちゃうのかなと思っていました。終盤は立て直したのもありますが、もうちょっと詰められるところがあったんじゃないかなと思います。

 

――緊張は

なかったですね。

 

――サーブレシーブについて

サーブは序盤から攻め込まれてて、後手後手になってしまったんですけど、終盤しっかり返して攻撃に繋げることができてよかったです。

 

――チーム内での連携は

終盤につれて接戦になる感じだったので、調子が悪くても連携をとって、そこから逆転するくらいの気持ちでやりたいと思います。

 

――ブロックアンドレシーブについて

ブロックもちょっと揃ってなかったり、レシーブもまだ上げられるボールもあったりしたので、そこを修正して明日に臨みたいです。

 

――春リーグの意気込み

できるだけ多く勝って、春リーグ終わった時に、チームがしっかり完成に近づいている形にしていきたいです。

 

 

サイド

小出捺暉(環1・駿台学園)

センター

樫村大仁(環2・茨城高専)

オポジット

富澤太凱(経3・慶應)

サイド

マルキナシム(総3・川越東)

センター

片波見和輝(文3・成田)

セッター

吉田祝太郎(政2・慶應) 

リベロ

永田 将吾(総1・高松)

途中出場

浦部連太朗(総3・高松第一) 

 

【訂正とお詫び】

この試合のTwitter速報で「ルーキーの加藤と永田が出場」とお伝えしましたが、正しくは「ルーキーの小出と永田が出場」でした。皆様に謹んでお詫び申し上げ、ここに訂正いたします。

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