慶應スポーツ新聞会

【カヌー】世界大会出場!渡辺悠介選手インタビュー

カヌー部門副将 渡辺悠介選手

今年、慶大には2つの世界大会に出場を決めた選手がいる。それは端艇部カヌー部門の渡辺悠介副将(理4・慶應湘南藤沢)だ。実は大学からカヌーを始めた渡辺だったが、この4年間のうちに、日の丸を背負い世界で戦う選手となった。8月中旬にハンガリーで開催された世界大学選手権2018では初めての世界大会を経験し、トップレベルとの差を知った大会となったが、間髪入れずに8月29日からはインカレ、そして9月6日からはポルトガルで行われる世界カヌーマラソン、さらに9月29日からは国民体育大会が控えている。4年間カヌーを続けた集大成をどのように飾るか、意気込みを伺った。

 

 

 

—まず、渡辺選手が大学からカヌーを始めたきっかけは

カヌーを始めようと思ったのは、動画を見て、一目惚れして、4年間やってみたいと感じたからです。動画を見たのは友人に体育会も考えてみたらというふうに勧められて、大学でも始められる部活を探して、という流れです。当時カヌースプリントという競技は全く知らなかったのですが、水しぶきやスピード感がど迫力で格好いいと感じました。

 

—実際に入ってみて練習を始めてからはいかがでしたか

カヌーは初心者だと水の上で安定することも難しくて、転覆を繰り返していたんですが、その中でも楽しさはありました。競技レベル的には、当時一緒に始めた山田(山田健一朗主将/政4)が着々と速くなってきて少し焦っていた時期がありました。大学始めの選手はその年のインカレへの新人部門での出場が初めての試合になります。それでもあんまりいい結果が出なくて、初めの成長度みたいなところでは苦戦していました。

 

—慶大のカヌー部で大学から始める人はどれくらいいるんですか

ほぼ全員です。49人中47人が大学から始めています。慶應の体育会のなかでは珍しいほうだと思います。

 

—全員が同じスタートラインに立って始めていったわけですが、渡辺選手自身が成長したと感じたきっかけはありますか

運の良さはあったかなと思います。競技的に悩んでいた時に、いい出会いがあってそこで得たチャンスをしっかり掴めたのが成長するきっかけだったと思います。

慶應は僕が入部する少し前から、戦績が奮わない時期があったのですが、2年の時に2個上の先輩がインカレでB決勝(順位決定戦)まで残ったんです。身近でいつも一緒に練習していた先輩が大会で上位に食い込むのを見て、自分も「大学初めでもできるのかもしれない!」と自信に繋げられました。その先輩とは練習のときに並んで競り合うこともあったので、「もしかしたら!」という気持ちが湧いてきました。

また、2年の冬に、僕らと同じ荒川を拠点にしているカヌーの名門の大正大学に僕の2個上の選手がいました。その人は積極的に慶應にカヌーを教えに来てくれていました。大学、日本でもトップレベルの選手なのに、僕らの親身になって教えてくれて、そのときに、僕の競技人生の指針みたいなものが立った気がします。

それまでの練習では、ただがむしゃらに距離を漕いでいたんですが、その人に陸上でしっかり身体を動かして鍛える大切さだったり、トレーニング方法を教えてもらいました。

そうした出会いが今につながっていると思います。

 

—そうした先輩方の教えをもとに、いま渡辺選手が練習のときに大切にしていることはありますか

一回一回の練習に目的意識を持つようにしています。これは、大正大学の先輩がそうやっているというのを又聞きしたんですが。(笑)でもその先輩と他選手の違いを考えたときに、練習に目的意識を持って、練習の意味を考えながら取り組んでいるところが先輩の強さの秘訣なのかなと感じました。

カヌーはタイム競技なので、多少練習が単調になったり、ひたすら距離を漕いだりということも多いですが、常に目的と意味を見出しながら練習するようにしています。それによって練習の質も上がってくるかなと考えています。

 

—渡辺選手は、練習開始時間よりもかなり早くから練習場に来て、準備を念入りにすると聞きましたが

(笑)そういうときもあります。僕は練習に向けての気持ちを作るのに時間がかかるタイプなので、人よりも早く練習場に行って、船の準備をして、練習の目的とかを確認しています。そうやって集中力を高めています。

 

4年間のカヌー生活について振り返る渡辺

 

 

—今はインカレ(8月29日〜9月2日)と世界カヌーマラソン(9月6日〜9月9日)に向けて、どんな練習をしていますか

カヌー部門としては1年間をインカレに向けて活動しているので、大会前の最後の追い込みとして個人で調整しているという感じです。水上のスポーツで天気に左右されてしまうので、水上に乗れなかったりするんですけど、そういうときは陸上での追い込みのための練習メニューを作っています。

 

—練習メニューは渡辺選手自身で作っているんですか

それぞれのチームにつき一人メニューを作る人がいるんですけど、男子のAチームの練習メニューは僕が作っています。高い競技力を持った強い先輩やマスターズで世界一になった経験値の高い外部コーチの方がついていてくださるので、相談に乗って頂きつつメニューを作っています。

 

—カヌーは個人競技だけれど、副将の立場として全体を見ないといけないという点で苦労はしませんか

苦悩はありました。最終学年になるまでは自分のやりたいようにやれていたんですが、最終学年になってもその癖が出てしまって、自分本位のメニューを作っちゃったり、周りが見えなくなったりしました。

意識しているというと大袈裟なんですが、なにか自分が行動を起こす時には全体を考え、統括している人間なんだという自覚を忘れないようにしています。自分にとっても最後の年で、自分も頑張らないと達成しないような目標を部として立てたので、自分の実力を伸ばし、他の選手の実力も同じかそれ以上に伸ばさないといけない。そういうところでかなり悩みはありました。

 

—インカレに加え、今年は個人として世界大会の出場もあると部全体へのケアのバランスが難しかったですよね

そうですね。主将の山田と副将の僕がペア日本代表として選出された世界大学選手権2018(於・ハンガリー)の日程と関東インカレの日程が被ってしまい、チームの大黒柱としての主将と副将が関東インカレにいなくていいのかということで、世界大会の出場自体も考えたこともありました。

 

—そういった話し合いのなかで、出場を決めたのは

やはり大学世界選手権に出場できることは、カヌーというマイナー競技でもそうそうできることではなくて、監督や同期、後輩が貴重な機会だからと言って背中を押してくれました。一時期うまくいっていなかったなかで、先輩方の尽力によりカヌー部は人数的にも実力的にも大きな組織になってきています。それで、個人的には、自ら世界大会出場という事実を残すことで、チームが力をつけてきた証明をしたいと思い、出場を決めました。

 

—慶大カヌー部の良いところを教えてください

学生自治でやっているのが良いところだと思います。他の体育会ではあまりやっていないと聞いているので、学生主体で部を舵取りして目標作ってやってることを誇りに思います。ただ、それを今の人数で維持しつつ、よりステップアップしていくためには、部員の自覚が必要だと思いますし、後輩への教育が大変になると思います。

 

—学生自治を部員に促すためにどんな仕掛けをしてきましたか

僕は練習メニュー係の統括をやってきたんですけど、今年は各チームのメニューについて指示や指摘をあえてしないようにしていました。後輩がどう思ったかわからないですが、来年からはそれぞれが自分の担当するチームの練習メニューを作らないといけないので、自分たちで考えられるような機会を作ろうと思いました。

それで、後輩たちは予想以上にしっかりやっていてくれていたので、メニュー作りに関しては安心できるかなと思います。

 

2018大学世界選手権では、山田健太朗主将とペアを組んだ(カヌー部門提供)

 

—世界大学選手権2018には参加していかがでしたか

かなり未熟さを実感した大会でした。持ちタイム的にもどれだけ戦えるかわからなかったんですけど、世界の選手との差を感じたので、ちょっと修正して、また次の選手権に向けて準備していかないといけないなと。危機感が募る大会でした。もちろん、滅多にない機会なので、楽しかった部分はあったんですが、それ以上にレース内容は危機感を感じました。

 

—例えばどんなところが

正直ペアでの練習で、競り合うことができていなかったので、いざ、大会で格上の選手と競り合う場面になったときに、かなり自分たちのペースを乱されて、後半に崩れることがありました。そのため、レースペースの改善をしないといけません。

単純にピッチに頼って漕ぐペアなので、そこも改善しないとインカレでもよくない結果に繋がってしまうなと思いました。

 

—先日の世界大学選手権からまた次のインカレ・世界カヌーマラソンに繋げられることは

世界大会って大抵、現地で船を借りるんですけど、結構使いにくいものを渡されたりするので、そういうことがあっても、自分に合ったセッティングに調整して準備していかないといけないなと思いました。あと、言葉ですね。僕は英語とかあまり得意ではないので、そういったところでストレスを感じないようにしないといけないです。自分をうまくコントロールして試合に集中できるようにしていかないといけないと思いました。

 

—9月の世界カヌーマラソンへ向けた準備は

カヌーマラソンは普段ぼくらがやっているカヌースプリントとは、こぎとは同じだけど、全く違う競技で、船を乗降する場面があるので、それをスムーズにやるテクニックが必要です。なので、練習してます。

 

—カヌーマラソンで食らいついていくために求められる技量はなんだと思いますか

去年の11月に今回の大会の出場権をかけた全国長良カヌー長距離選手権大会というものがありました。その時よりも今回は距離が2倍(26.2km)になっていますが、やることは同じかな、と思います。

カヌーは一回後ろに下がって前にいる船の波をくらうと、なかなか前に復帰できないんです。世界のトップレベル選手相手に難しいかもしれないんですが、スタートはかなりしっかり上げていかないといけないなと思います

そして去年の長距離選手権では、かなり遠慮してしまったレース展開でした。前に出るチャンスのときに、前にいる選手のペースで終盤乗り切れるかを考えてしまって怖気付いた部分がありました。今回の大会は一回きりのチャンスなので、後のことは考えず強気に食らいついていきたいです。

 

—渡辺選手の持ち味は

インカレの種目であるカヤックシングルの1000m競技って大抵後半体力が落ちてきてしまうんですが、僕は後半まだ体力が持っているほうではないかなと思います。慶應のなかでは後半が強みなんですが、全日本ではざらにいるので、まだまだかなと思います。(笑)

 

—4年間やってきて、感じるカヌーの魅力は

全部です。ただ強いてあげるとしたら、4年間やってきて世界大会にも運良く出場することができ、それでもまだまだ伸びしろを感じられるところがカヌーの醍醐味だと思います。国体が終わって一区切りついた後、カヌーとどうやって関わっていくかは決めていませんが、ハンガリーに行って世界の選手と試合をし、「まだまだ自分は速くなれるんだな」と感じられました。自分の可能性を常に感じられること、それがカヌーの魅力だと思います。

 

—これからインカレ・カヌーマラソンと大会が続きますが、意気込みをお願いします。

まずインカレは去年、以前と比べればそれなりの結果が出他と思います。今年はそれ以上を掲げているのでかなりプレッシャーも感じているんですが、そのプレッシャーに潰されないように、目標達成に貢献したいです。やはりシングルではメダルを狙いたいですし、ペアでも世界大学選手権では良い結果ではなかったですが、しっかりやれば戦える実力はあると思うので、上位を目指していきたいです。

カヌーマラソンは、毎年の傾向を見ると日本人はかなり苦戦しています。しかしそのかなでもやる前から弱気にならず、チャレンジャーとしての気持ちを大切にしたいです。

 

—ありがとうございました!

(取材:佐野ちあき)

 

試合情報

*8月29日〜9月2日

第54回全日本学生カヌースプリント選手権大会 カヤックシングル 1000m/カヤックペア 1000m・200m/カヤックフォア 1000m/カヤックリレー 500m×4 出場予定

*9月6日〜9月9日

世界カヌーマラソン選手権大会2018 カヤックシングル 26.2km 出場予定

*9月29日〜10月3日

国民体育大会2018 カヤックシングル 500m・200m 出場予定

 

 

 

 

選手プロフィール

(カヌー部提供)

渡辺悠介(理4・慶應湘南藤沢)

第53回関東学生カヌースプリント選手権大会 カヤックシングル 1000m 6位

第53回全日本学生カヌースプリント選手権大会 カヤックシングル 1000m B決勝進出

2017全日本長良川長距離選手権大会 カヤックシングル 15km 学生5位

2017全日本カヌースプリント選手権大会 カヤックペア 1000m 4位

2018カヌースプリント海外派遣選手最終選考会 カヤックペア 1000m 優勝 

2018カヌースプリント海外派遣選手最終選考会 カヤックシングル 1000m B決勝2位

FISU世界大学カヌースプリント選手権大会2018 カヤックペア 1000m 準決勝5位

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