【テニス(男子)】掴みかけた王冠 羽澤、あと一歩のところで優勝逃す/全日本学生テニス選手権大会最終日

庭球男子

声援は大きな力となった話す羽澤

インカレ本戦9日目、ついに頂点を決める決勝戦が行われた。栄えある決勝の舞台には、予選から破竹の勢いで勝ち上がってきた慶大が誇る黄金ルーキー・羽澤慎治(環1・西宮甲英)が姿を見せた。対する相手は、準決勝で逸崎凱人(環4・大阪産業大付属)を破った中大の望月勇希。互いのプライドを懸け、両雄が激突した。

全日本学生テニス選手権大会 シングルス準決勝

2018年8月21日@岐阜メモリアルセンター

 

◇男子シングルス決勝

 

●羽澤慎治(環1)

1{7-5,6(7)-7,4-6}2

望月勇希(中大)

第1セット、1ゲーム目をデュースの末キープすると、続くゲームを強気なストロークでブレイクに成功する。しかし、続くサーブゲームをブレイクされてしまい、そこからはブレイクの応酬となる。勝負の12ゲーム目にブレイクに成功した羽澤がまずはこのセットを先取した。続く第2セットも互いの実力が拮抗し、勝負はタイブレークへ。一時は羽澤がマッチポイントまで追い詰めたが、ここで痛恨のダブルフォルトを犯してしまう。ここがターニングポイントとなり、流れを掴んだも相手にこのセットを取られてしまう。運命の第3セット、6ゲーム目のキープに失敗した羽澤は、強気な姿勢で再びブレイクに成功。しかし、その後はあと一歩でブレイクを奪えない展開が続く。そして10ゲーム目、羽澤のサービスゲームで決着の時は訪れた。30-40から羽澤が放った鋭い打球は、ネットに弾かれる。惜しくも戴冠とはならなかった。

 

慶大として惜しくも優勝を勝ち取ることはできなかったが、シングルスでは羽澤が準優勝、逸崎が準優勝と大きな成果を残した。また、ベスト8での敗退となった畠山成冴(環4・湘南工科大付属)は関カレで完敗した川橋(筑波大)相手にストレート勝ちを収めるなど、「今まで負けていた相手に勝つ選手が多くいた」(主将・中村)実りのある大会だったと言える。一方、優勝候補と目されていた逸崎・畠山組が準々決勝で敗れるなど、ダブルスでは満足のいく結果を残せなかったが、単複共に慶大は実力者揃いであることは言うまでもない。シングルスで得た収穫、ダブルスで感じた悔しさをバネにリーグ戦での躍動に期待したい。

 

(記事:内田貴啓、写真:萬代理人)

 

中村進之介(商4・慶應湘南藤沢)

――今大会、ご自身のシングルスを振り返っていかがでしたか

試合自体は1試合しかやらなかったので、正直早々負けてしまって悔しいです。羽澤と当たることが予想されたので、とにかく自分の力を最大限出すことを意識して臨みました。試合の内容としては、先にブレークをしたところまでは力みもなく良かったのですが、そこから簡単なミスが増えてしまい、相手に主導権を握られる展開が多かったです。セカンドセットも出だし数ゲームがそのような展開になってしまい、結局先にブレークをされて負けてしまいました。セカンドセットでリードされてからは、とにかく自分から前に入って打つことを意識した結果、羽澤相手でも自分から主導権が握ることができていたので、自分のテニスは通用するという自信になりました。

――甲斐選手と組んだダブルスはいかがでしたか

甲斐とは1年半以上ダブルスを組んでたので、互いの得意なショットと苦手なショットは分かっています。なので、お互いをカバーし合って戦えた大会だったのかなと思います。予選1回戦では、僕がかなり緊張してしまい、引いたプレーをしていたところを、ファーストセットが終わったところで、甲斐が真剣にどうするべきかを声かけしてくれました。その声かけのおかげで、ある程度吹っ切れてしっかりと相手と戦うことができたのではないかと思っています。本戦では、2回戦でファイナルセット9-11で負けてしまい、チャンスがあったドローなだけに悔しさは残りますが、自分達のやるべきことをやって出た結果なので、落ち込むというよりは次に向かってまた練習をしようという気持ちになれました。

――今大会で手応えを感じた部分、課題と感じた部分はありますか

シングルスに関しては自分の武器である前に入った強気のフォアが、全国上位の選手にも通用することがわかったので、そこはぶらさずに戦っていきたいと思います。逆に、課題としてあるのは、サービスゲームの工夫が必要だと感じています。1発のショットを持っているわけではないので、球種やコースをうまくついて、相手の嫌がるサーブが打てるように考えていきたいと思います。あとは変わらず、1番の武器であるフットワークの良さで、最後まで相手にやらせるテニスを貫いていきたいです。

――シングルスでは、羽澤選手が準優勝、逸崎選手がベスト4、ダブルスでは逸崎・畠山組のベスト8が最高でした。主将として、今大会の部としての総括をお願いします

僕個人の意見としては、全く悲観していません。なんならかなり収穫のあった大会だと思っています。シングルスでは、今まで負けていた相手に勝つ選手が多くいました。これは、今までの取り組みがいい方向に働いていることだと思います。逸崎は、4年になって初めてのシングルスのベスト4に入ることができました。今村や福田に関しても、大会の上位に残っている選手にあと一歩のところで負けてしまっただけで、実力は着実に上がっていると感じています。確かに優勝者を出せなかったことや、ダブルスでいい結果を残せなかった事実はありますが、その悔しさをバネに、リーグに向けてより一層強くなって臨みたいと思います。

――リーグ戦に向けての意気込みは

リーグ戦は、5戦を約2週間で戦います。長期戦にはなるので、まずは部員一人一人の体調管理と怪我の予防を徹底したいと思います。その上で、部員全員が各々の役割を全うし、まずはリーグ優勝を果たしたいと思っています。インカレの結果を見ればわかりますが、今年は多くの大学が力をつけてきています。簡単な戦いにはならないと思いますが、自分達がやってきたことを信じてやると決めたことをやりきりたいと思います。そうすれば、結果は後からついてくるものだと思っています。

 

羽澤慎治(環1・西宮甲英)

 

――今日の試合振り返って

決勝戦という独特の緊張感がある中で、自分もいいプレーが出せていましたし、実際第1セットも取れて、第2セットもマッチポイントまで行きましたがそこでダブルフォルトして取り切れずに相手に息を吹き返されて負けてしまったので、すごい悔やまれます。

――準優勝という結果はやはり悔しいですか

そうですね。

――今大会のシングルスを振り返って

慶應の同士討ちが2回戦から3連続であってやりにくい部分はあったんですが、先輩の壁を越えていかないといけないという風に捉えて、そこで自信をつけて準々決勝、準決勝と自勝ち上がってこれたので、そこは良かったと思います。

――予選から勝ち上がってきましたが体力面での不安はありましたか

予選はロースコアで勝つことができて体力的にもきつくなかったです。大学に入ってからフィジカルを鍛えて体も一回り二回り大きくなったので、体力での問題はなかったです。

――今大会のダブルスを振り返って

予選一回戦で負けてしまって不完全燃焼です。自分たちのやりたいプレーができずに終わってしまいました。慶應全体としても、ダブルスはリーグに向けて鍛え直していかないとなと思いました。

――慶大側の応援は力になりましたか

そうですね。だいぶ苦しい場面で背中を押してもらいました。他大と比べても、ノリとか勢いだけじゃない的確な声掛けや励みになることを言ってもらっていたので力になりました。

――今大会で感じた手応えは

段々、良いテニスができるようになって、ストロークから重い球を打って相手を下げて前で勝負するっていう自分の型が、形になりつつあると思います。

――課題だと感じ部分は

まだ重いボールを打ち続けてチャンスを作らなくてはならないのに、焦ってしまったりとか、連続して自信もって打てているわけではないので、連続して質の高い球を打てる技術をつけていかないといけないなと思いました。

――リーグ戦に向けて

リーグでは毎年2位で、王座でも早稲田に負けて準優勝という感じだと思いますが、早稲田だけじゃなくて他大も力をつけてきているので、全勝して王座に繋げられるようにチームに貢献したいと思います。

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