慶應スポーツ新聞会

【野球】コラム”SHOW TIME”⑤ 微笑んだ”神様” 待望の初アーチ 小原和樹

秘めたる長打力をついに神宮の舞台で披露した

10月1日(月)東京六大学秋季リーグ戦 法大1回戦

 

法大

些末なことだが、慶大の試合を見ていて以前から気になることがあった。慶大の守備の終了時、セカンドの選手がベンチに帰る際、誰もいないマウンドに駆け上がり、次に上がる相手投手のためにボールを丁寧に捏ね、プレートの砂埃を綺麗に素手で払い、マウンドの窪みに磨いたボールを置いていく。大学野球では自らのチームのイニング交代の際、ボールをマウンドの近くに転々と転がしておくだけのチームも少なくない。ましてやプレートの砂埃まで素手で払う選手などごく稀ではないか。その選手こそ、今日法大との首位攻防戦という大舞台で試合をひっくり返す大学初本塁打を放ち、一躍ヒーローとなった小原和樹(環3・盛岡三)だ

以前の取材で彼は尊敬する人物に盛岡三高時代の監督である柴田護氏を挙げ、取材の中で今でも強く生きる師のことばを教えてくれた。『野球選手としてではなく、小原和樹という人として戦え』。さらに小原はこう続けた。「野球のプレーだけが試合につながるんじゃなくて、例えばきわどい打球に飛びこんだ時、私生活が良かったら神様が取れるような打球にしてくれたりというのがあると思うんです。」彼のイニング交代時の行動には、このことばが強く影響しているのかもしれない。

堅実な守備で慶大の内野を固める

その高校時代には本塁打を量産。3年間で55本の本塁打を放った。しかし大学進学後は、木のバットへの対応に苦しみ神宮でのアーチ数は0だった。失礼を承知の上でそのことについて問うと「金属とは全然違いますよ。(ホームランは)諦めてます(笑)とにかく僕は塁に出て誰かが返してくれればいい。」と謙虚におどけて答えてくれた。

 

今シーズンは自身初の開幕スタメンの座をつかみ取るもここまで18打数で2安打と打撃は不振にあえいだ。しかし“神様”はこの誠実な小原和樹という“人”を見捨てはしなかった。1点ビハインドで迎えた5回の裏の第2打席、一死一塁。ここまで好調を維持してきた法大の新鋭が投じた内角高めの直球を振りぬいた。「強く打つ」ことを意識したという打球は、台風一過の神宮の青空へと高く舞い上がった。偶然か必然か。風に乗った白球はそのままレフトスタンドに吸い込まれていった。小原和樹の大学初本塁打は、値千金の逆転2ランとなった。ダイヤモンドを駆ける男は一度だけ、小さくこぶしを天に突き上げた。

(記事・新池航平)

☆インタビュー

――リーグ戦初本塁打を振り返ってみていかがですか

打った結果がホームランになったようなものなので。まぐれですね(笑)良かった、嬉しかったなと思います。

 

――打った球種は

内角高めのストレートです。

 

――あの状況で待ってた球はありましたか

特に待ってたというよりは、ストライクゾーンに来た球を強く振った結果がホームランになりました。

 

――打った瞬間はどうでしたか

レフトフライだと思ったので、一塁回って止まってて帰ろうとしたら入ったので「まじか」という感じでした(笑)

 

――ガッツポーズは控えめでした

普通にアウトだと思った結果がホームランだったので。ちっちゃく行こうかなという感じでした(笑)

 

――今シーズンは打撃で苦しい場面も多かったと思いますが、何か変えたところはありますか

変えたところは特にないんですけど、自分には守備があるので守備の自信がバッティングに集中させてくれるのかなと思います。その結果が今日まぐれですけど打てて良かったと思います。

 

――その中で監督からは何か声をかけられましたか

それはとにかく迷わないで強く打つということだけ言われたので、それを朝のバッティング練習から徹底できたのが、いい結果につながったかなと思います。

 

――今シーズンは守備もいいプレーが続いています

内野に来たらピッチャーが打ち取ってくれた打球なので、僕らの中ではアウトにするのは当たり前という気持ちでやっています。それがファインプレーになったのはそれでいいですし、それよりも普通にきた球を当たり前にさばくことを自分の中に徹底しているので、特に難しいという考えはないですね。

 

――それでは明日に向けて一言お願いします

2つ勝たないと勝ち点にはならないので、今日の試合で区切りはつけて明日も1戦必勝で全員野球で勝っていきたいと思います。

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