7月6日(土)に開催された関東大学ビーチバレーボール選手権。波の音漂う鵠沼海岸で、小出捺暉(環2・駿台学園)・安達龍一(環1・洲本)ペアが躍動した。初戦は桜美林大ペアとの対戦。初めて組んだペアとは思えないコンビネーションを発揮して、2-0でストレート勝利を収める。続く、準々決勝で対したのは昨年の全日本大学選手権3位に輝いた国士舘大ペア。小出・安達ペアは、圧倒的な相手に対し一時は流れを掴みかけたものの、相手の多様な技に翻弄され、0-2のストレート負けを喫した。しかし、経験の浅いペアとして、見事な健闘を見せた小出・安達ペアはベスト8で今大会を終えた。
2019年7月6日(土)
関東大学ビーチバレーボール選手権
第1日 ~準々決勝
@鵠沼海岸サーフヴィレッジ
出場選手 | |
番号 | 名前(学部学年・出身校) |
1 | 小出捺暉(環2・駿台学園) |
2 | 安達龍一(環1・洲本) |
1回戦 vs田中・新井(桜美林大)ペア
得点 | ||
慶大 | セット | 桜美林大 |
21 | 1 | 13 |
21 | 2 | 9 |
ビーチバレーボールは、体育館で行うインドアのバレーボールとは環境やルールが大きく異なる。今大会の舞台は、鵠沼海岸。風や日光への対応も必要であるうえ、砂の上でのジャンプは、インドア以上に体力を必要とする。また、コートに立つのは2人のみ。インドアでは6人で9メートル四方のコートを守るのに対し、ビーチでは2人で8メートル四方のコートを守らなければならない。普段スタメンとして出場している小出にとっても、新しく難しいことの連続だっただろう。
そんな中迎えた初戦の相手は桜美林大ペア。慶大は初めて組んだペアとは思えない試合運びを見せた。第1セット、初得点はビーチバレーの経験が浅い小出のスパイクで挙げる。そこから、安定しない桜美林大のプレーにつけ入り、流れを一度も渡さなかった。20-13からのセットポイントから最後も小出がスパイクを決め、第1セットを21ー13でものにする。
続く第2セットも序盤に小出が好レシーブを披露するなど、テンポ良く試合を進める。そして何よりも、このセットで目立ったのはU21世界選手権に出場した安達だった。高さを武器に強烈なスパイクを見せつけ、桜美林大を圧倒。結局、一度も桜美林大を寄せ付けることなく第2セットを21-9で奪い、初戦でストレート勝ちを収めた。
準々決勝 vs伊藤・黒川(国士館大)ペア
得点 | ||
慶大 | セット | 国士舘大 |
16 | 1 | 21 |
10 | 2 | 21 |
準々決勝は昨年の全日本大学選手権3位に輝いた、国士館大の伊藤・黒川ペアと激突。挑戦者として挑んだこの試合、素早い展開を仕掛ける相手のペースに飲まれ、小出・安達ペアは5連続失点からスタートする。しかし、小出のスパイクが決まり出すと、その差は徐々に縮まっていく。安達の高い打点から放たれる強烈なスパイクや、小出のコースを突いた鋭いスパイクで得点を連取し、中盤には14-16まで追いつめる。実力者を相手に互角の戦いを繰り広げる小出・安達ペアだが、これには相手も一段階ギアを上げてきた。息の合った相手の連携プレーに慶大ペアは手も足も出ず終盤のスコアを突き放されると、16-21で第1セットを取り逃した。
続く第2セットはペースを上げてきた伊藤・黒川ペアに苦戦を強いられた。高いコートカバーリングを披露する相手からなかなかポイントを奪えず、慶大ペアは序盤から連続失点を喫する。随所で安達のブロックや小出のスパイクなど光るプレーも見受けられたが、その後のポイントに繋げられず。終始相手のペースに持ち込まれた第2セットを10-21の大差で落とし、小出・安達ペアの挑戦はここで幕を閉じた。
2日という短い練習時間で迎えた今大会。準々決勝ではスパイクやレシーブ等の技術面で世界レベルの選手を相手に通用する点も多々見られたが、急ピッチで仕上げた連携面でやはり大きな差が出てしまった。しかし、高さある攻撃とブロックで確かな実力を見せた安達はもちろん、ビーチ初心者の小出も回を経るごとに適応していき、2人の大きな伸びしろを感じさせた。安達も「もし、もう一回小出さんと出る機会があるのなら、もう一回、伊藤・黒川ペア(国士舘大)と勝負して勝てるように頑張りたい」と2人での再戦を望んだ。
今大会の結果を受け、小出・安達ペアは8月の全日本ビーチバレーボール大学選手権への出場権を獲得した。もちろん、夏の強化期間、チームの練習も本格化する中で迎えることになる。インドアでもスタメンとして活躍中の小出だが、初挑戦となったビーチについて、「駆け引きとかそういった部分は生かしていけるし、どっちが取るかなどの声掛けの部分も(インドアに)生きるのではないか」と語っていた。2人のビーチでの活躍は、彼ら自身にとって新しく貴重な経験となるほか、他の部員にとっても良い刺激となっているだろう。小出・安達ペアの挑戦に、今後も注目だ。
(記事:菊池輝・堀口綾乃 写真:藤澤薫・林亮佑)
以下、コメント
小出捺暉(環2・駿台学園)
――初めてのビーチでしたが
脚が疲れました。ふくらはぎがキツかったです。
――難しかった部分は
まず2人でやるっていうのが難しくて、連携とか、2試合目のチームを見て、こうやってやるんだと。
――安達選手とのペアは
ビーチに関して僕は素人なので、彼は高さがすごくあって、世界を経験している選手なので。ルールの面から分からないこともあって、不安とかあったんですけど、そこはカバーしてくれたので良かったです。
――インドアに生かせそうな部分は
ビーチは2人なんですけど、インドアでも駆け引きとかそういった部分は生かしていけるし、あと相手を見ていて思ったんですけど、どっちが取るかなどの声掛けの部分も生きるのではないかなと思いました。
安達龍一(環1・洲本)
――今日を振り返って
1試合目は相手のブロックもなくて自分らのペースでできたんですけど、2試合目の伊藤・黒川(国士館大)ペアは相手が上手く、なかなか自分たちのペース作れなくて、練習も2日くらいしかする期間なかったので、自分たちのバレーができなくて負けた感じだったので、もし全国に出られる機会があるのなら、自分たちのバレーができるような雰囲気作り、ゲーム作りをできれば良いなと思いました。
――小出選手とのペアは
レシーブも上げてくれるしセットも打ちやすいので、やりやすいです。インドアのバレー自体も上手いので、とても見習いたいと思いました。
――伊藤・黒川(国士館大)ペアの印象は
ビーチバレーに慣れていて、こちらの動きを見て打ってくるのでレシーブが難しく、そこで切り返しができなかったなと思いました。
――今後に向けて
もし、もう一回小出さんと出る機会があるのなら、もう一回、伊藤・黒川(国士館大)ペアと勝負して勝てるように頑張りたいと思います。