慶應スポーツ新聞会

【ラグビー】これも日本一への試練か ラストプレーで粘りきれず対抗戦初黒星/関東大学対抗戦②VS筑波大

2012年度以来の敗戦を喫した

関東大学対抗戦Aグループ

慶大14ー17筑波大

日(11:00K.O.

@龍ヶ崎陸上競技場たつのこフィールド

 

 

 

ノーサイドのグラウンドには、両者の明暗をはっきりと分ける日差しが差し込んでいた。「悔しいの一言です(栗原主将)」という言葉は、この試合を言い表すのに十分すぎるものかもしれない。

対抗戦第2戦目の筑波大戦。慶大は、副将・FL川合(総4・國學院久我山)の先制トライもあり、前半から優位にゲームを進めていた。しかし、後半に生まれた筑波大のビックプレーから雲行きは一変。試合終了間際に2トライを叩き込まれ、逆転負けを喫した。

 

T=川合、今野 G=中楠2

試合開始早々、慶大はFW戦で優位に立つ。まずは前半2分のファーストスクラムでフリーキックを獲得すると、再度スクラムを選択。このスクラムでも大きく押し込むと、スタンドから大きな声援が飛んだ。ペナルティキックで敵陣22m付近まで前進した慶大は、ラインアウトモールで一気にインゴールを目指す。いい形でモールを押し込むも、ゴール手前でターンオーバーを許し、先制点とはならなかった。

次の好機は前半6分。筑波インゴール前でターンオーバーに成功し、決定機を得る。じわりじわりとインゴールに迫る慶大に対し、粘る筑波大のディフェンス陣。5分以上に及ぶこの攻防を制したのは、青のジャージ・筑波大。慶大は試合開始から立て続けにチャンスを作るも、決定打を打つことができない重苦しい展開が続いた。

この苦境を救ったのが、頼れる副将・FL川合だった。敵陣内ラインアウトからラックを形成すると、ボールを受けた川合がスペースを突破。「みんなが我慢してくれたおかげでスペースができた(川合)」と語るように、チームにとっては我慢の末の先取点となった。青学大戦からSOで出場を続ける中楠一期(総1・國學院久我山)のキックも決まり、7-0。選手たちからは笑顔がこぼれた。

 

川合のトライで先制点をもぎ取った

この先制点で堰(せき)を切ったようにトライ量産、といきたい慶大だったが、筑波の粘り強いディフェンスに阻まれ、追加点が奪えない。もったいないミスもあり、結局7-0のまま前半を終えた。

 

トライこそ1つに留まったものの、終始ゲームを支配し、攻撃の手を緩めなかった慶大。守備面では、筑波大の強みであるBK陣に走るスペースを与えず、完全に封じたといってもよい内容だった。

 

後半開始と同時に、筑波大の壁を慶大BK陣がこじあける。センターライン付近で主将・CTB栗原由太(環4・桐蔭学園)がボールを持つと、ディフェンスを引きずりながら大きくゲイン。これにFB小谷田(経3・慶應志木)が続き、一気にインゴールへと迫る。前半と同様、粘りをみせる筑波大守備陣に対し、慶大FW陣はさらに低いアタックを敢行。これが実り、LO今野勇久(総1・桐蔭学園)の対抗戦初トライで追加点を挙げた。ゴールも決まり、これで14-0。

2本のコンバージョンキックを決めた中楠

前半に苦しんだゴール前での攻防を制し、後半も慶大ペースで試合が展開するかに思われた。しかし、直後に飛び出した筑波大のビックプレーが戦況を一変させる。

後半8分、慶大はペナルティからのクイックスタートに反応しきれず、大きくゲインを許してしまう。インゴール前のラックでもペナルティを犯し、筑波にアドバンテージ。好機とみるやいなや、筑波は逆サイドへ長いキックパスを蹴りこむ。インゴール内に高々と上がった楕円球。押さえたのは、筑波の14番だった。大胆かつ華麗な得点劇に会場は大いに沸き、その時、たしかに流れが変わった。キックも決まり、14-7。

ここから筑波の武器であるBK陣にボールを運ばれるようになり、慶應は守りの時間が増えていく。前半、圧倒的優位に立っていたスクラムでも、わずかながら押される場面が見られた。

 

慶大も負けじと筑波陣内に攻め込むが、肝心の場面でミスが出てしまう。21分にはインゴールを目前にしてノックオン、25分には敵陣内22m付近でのラインアウトでミスが出た。膠着状態の中、31分には敵陣内10m付近からペナルティゴールを選択。しかしこれもわずかに右に逸れ、得点とはならず。依然として14-7。1トライ1ゴール差のまま、試合は残り時間5分を切った。

セットプレーは安定していた

30度を超えようかという猛暑の中、筑波大が粘りをみせる。

後半37分、ハーフウェイライン付近でのラインアウトから順目につなぐと、相手13番が抜け出す。大外14番がスピードに乗ったまま合わせ、ライン際を駆け抜けた。これで14-12。スタジアムが熱を帯びてきた。

直後のプレー、慶大SO中楠が相手の背後をついた素晴らしいキックを蹴りだし、エリアを獲得する。勢いのまま、筑波大陣内22mからのラインアウトを奪取し、一気にチャンスを迎えた慶大。時間も気にしながら慎重に攻めたい場面だったが、ここで痛恨のペナルティ。命運は文字通り、ラストプレーに託された。

 

センターライン付近からの筑波ボールラインアウト。慶大もインターセプトを狙うが及ばず、クリーンな球出しとなる。そこから素早く右に展開し、FWを使って前へ。ここで接点が下がり、ラインには少しギャップができた。結果として、このギャップが致命傷となった。筑波大13番がそのギャップをつき、インゴールまであと5mと迫るビックゲイン。慶大守備陣もさすがの戻りで対応するも、一度始まった筑波の猛攻を止めることはできなかった。悲痛な叫び声と共に、決勝のトライを告げる長い笛が鳴った。

新たな戦術で好機を作るも決め切れない展開が続いた

「(筑波大学は)フィジカルも強いチームだったので、こういう展開になるのは予想していました(栗原HC)」という言葉の通り、慶大のプレーに終始油断はなかったように思える。

しかし、結果としてこの敗戦は重く受け止める必要があるだろう。初戦の青学戦と同様、得点に直結するミスを減らしていくことは、チームにとり喫緊の課題だといえよう。

だが、今日の敗戦は決して悲観の材料ばかりではなかったはずだ。SH上村龍舞(環4・國學院栃木)、SO中楠が見せたキック起点の組み立ては、筑波大に対して攻守にわたり効果を発揮していた。また、春からの課題だったラインアウトも青学大戦からさらに強化され、安定感が増してきた。なによりも、11月からスタートする明大、早大、帝京大といった強豪校との戦いにむけ、この苦い体験はきっと糧になるだろう。次週の成蹊大戦では、後半戦の戦いにむけ、一段と強くなった慶大蹴球部の姿を見せてくれるはずだ。

 

(記事:野田快 写真:川下侑美)

次戦vs成蹊

9月14日(土)15:00K.O.

@秋葉台公園球技場

(以下コメント、メンバー表)

◇試合後コメント

栗原徹HC

──筑波に対しての試合前の意識は

(筑波大学は)フィジカルも強いチームだったので、こういう展開になるのは予想していました。最後のところで勝ちきれなかったのは残念ですが、選手は一生懸命頑張ってくれました。

 

──前半戦、優位に立ちながら決めきれないシーンが多くありました。その要因を挙げるとすればどこでしょうか

ボールは大事に扱うべきなんですけど、その意識が悪い方向に働きましたね。思い切りの良いアタックというより、一個一個確実に確実に攻めたのですが、筑波大学もフィジカルがありますので、そういう形ではなかなか崩しきれなかったな、という印象です。

自分たちのフィジカルもスキルも見直して鍛えていかないと。

 

──後半は筑波のBK陣に走られ、3トライを喫しました。守備面での課題は何だったのでしょうか

特に筑波大学さんのBK陣は、決定力も走力もあると思いますので、その中で前半よく頑張ったと思います。ただ、後半疲れてきて足が止まってしまったのかな。もっと積極的に元気のある選手を入れていくべきだったかな、と思います。今日は暑かったですし、ラグビーは消耗するので、そこらへんの見極め、判断をしっかりすればよかったですね。

 

 

──後半、ショット(PG)を選択し3点を狙いにいくシーンがありました。あのプレーの意図は何だったのでしょうか

7点差あったので、8点差以上にして筑波さんの焦りを誘いたかったということです。僕がショットを選択させて、結果として決まらなかったので、判断を見誤ったかなと思います。

 

──次戦、成蹊大学戦に向けて

成蹊大学どうこうという問題ではなくて、自分たちに今しっかりベクトルを向けて、自分たちのできなかったところをできるようにすることですね。少しでも成長するというところをみんなで目標にやっていきたい。

 

──「できなかったところ」を具体的に挙げるとするとどこでしょうか

FWとBKがアタックで分離してしまったという印象です。ディフェンスは筑波のアタックに対して、非常によく頑張ったなと思います。アタックでもう一本取れれば全然違う展開になったかな、と思うので、アタックの部分でもう少し精度を高めていきたいです。

 

 

CTB栗原由太主将(環4・桐蔭学園)

──試合を終えた率直な感想を

悔しいの一言です。

 

──今日のゲームプランは

筑波大さんの出だしが早かったので、エリアマネジメントをしっかりするということと、オプションを持ってやろうということを話していました。ですが途中でミスをしてしまったりと、流れをつかみきれませんでした。

 

──前半を7ー0というスコアで終えました。ハーフタイム中のチームはいかがでしたか

手応えは感じていたのですが、我慢比べになるなとは思っていました。後半最初のプレーからこだわっていこうという話をしていたのですが、ボールを取られてしまってからは流れを取り戻すことができず、最後まで引きずる形になってしまいました。

 

──ご自身から見たこの試合の敗因は

ゴール前に行ったときなど、要所での精度だと思います。僕自身も最後のタックルを外してしまいました。細かい部分での精度の差だったのかなと思います。

 

──今日の試合ではチームとしてキックを絡めた攻撃が多く見られました

前半が風上だったので、キックを使いながらエリアをとっていこうという話をしていました。来週に向けてさらに調整していきたいです。

 

──次は前半戦最後の成蹊大戦です。意気込みを

今日は負けてしまいましたが、終わったわけではありません。しっかりすぐに切り替えて成蹊大戦をいい形で終え、中休みでもいい形で練習し、明大・早大・帝京大戦で勝ちたいと思います。

 

FL川合秀和(総4・國學院久我山)

──今日の試合を振り返って

前半は、慶大も相手も我慢強く粘り強い戦いをしていて、後半は(慶大が)攻めきれないところがあり、そこでミスをしてしまったことで相手の流れになってしまい、結局その流れを断ち切れず最後相手に押し切られてしまったということが今日の試合の総括です。

 

──惜しくも敗れてしまいましたが、今日の敗因は

取りきる力がなかったということが一番の敗因だと思います。相手陣地に入ってから相手FWとの交戦が多くあり、そこで取りきれなかったことが一つあり、加えて、そこで取りきれなかった時、BKを含めてどういった攻撃をするのかということが足りなかったと感じました。

 

──SH杉山選手を中心とした筑波大の攻撃をチームとしてどのような意識で止めようと心掛けましたか?

筑波大はBKに良い選手が多くいて、コネクトをしっかりしていこうと意識し、一人でディフェンスするのではなく、全員で面を揃えてディフェンスするということを特に意識していました。

 

──攻撃ではボディーハイト、守備ではC3という言葉がベンチからよく聞こえ、合宿で心掛けていることをチームで統一できているように感じました

そうですね、それも特に意識している部分です。加えて、今日の試合では、一人目をしっかり潰していくことと、内側を相手の選手が走ってきた時に抑えることにフォーカスしていて、そういった部分全てが夏合宿で意識していたことだったので、ベンチからそういった声が出ていたことは良かったと思います。

 

──ご自身のトライを振り返って

あそこの場面は相手もかなり我慢強く戦っていて、取りきれなかったんですけど、みんなが我慢してくれたおかげでスペースができたので、トライを取ることができて良かったです。ですが、その後勝ちきることができなかったので、そこをもっと修正していかなければならないと感じています。

 

──次戦の成蹊大戦に向けて意気込みをお願いします

もう本当にここからは負けられない試合が続き、落としてはいけない試合なので、今後は今日の試合を含めて自分達が成長するしかないと思います。

 

 

SH上村龍舞(環4・國學院栃木)

──今日の試合の率直な感想をお願いします

ゴール前まで攻める場面は何度かあったのですが、そこで取りきれなかったのが悔しいです。あと、最後1発で取られたので、そこは課題だと思います。

 

 

──今日はどのような意識をして攻撃の組み立てを行いましたか

自陣は無理せずキックを蹴って敵陣に行って、敵陣に入ったら一つ一つのプレーを丁寧にしてしっかりゲインを取ろうという話をしました。

 

 

──ご自身でも積極的にキックを選択していましたが、どのようなことを意識しましたか

フォワードはセットプレーが勝っていたので、バックスで前に出していこうと話をしていました。

 

 

──次の試合に向けて意気込みをお願いします

今日、課題が色々出たので、チームで話して修正して、次の試合はしっかり準備していきたいと思います。

 

 

LO今野勇久(総1・桐蔭学園)

──今日の試合を振り返って率直な感想を

あらゆる面を通して自分たちの実力不足を痛感する試合になりました。

 

──ご自身を含めスクラムなどは力を発揮していましたね

スクラムはこれまでやってきたことを出し切ることが出来ました。7月からやってきた練習の成果だと思います。

 

──後半相手のBK陣に抜かれるシーンが目立ちましたがその原因は

相手がBKに強みを持ったチームということはわかっていた中で、その事をしっかり共有してカバーしていこうとしていましたが、やはり実力不足でした。

 

──前半最終戦となる次戦に向けて

もう後がないし、終わったことは変わらないので、今日出た課題を反省してまた強く戦っていきたいと思います。

 

◇出場メンバー

Starter
1.PR(プロップ) 有賀光生(総4・國學院久我山)
2.HO(フッカー) 原田衛(総2・桐蔭学園)
3.PR(プロップ) 大山祥平(経3・慶應)
4.LO(ロック) 相部開哉(政3・慶應)
5.LO(ロック) 今野勇久(総1・桐蔭学園)
6.FL(フランカー) 川合秀和(総4・國學院久我山)
7.FL(フランカー) 良知健佑(商4・慶應NY)
8.No.8(ナンバーエイト) 山本凱(経2・慶應)

9.SH(スクラムハーフ) 上村龍舞(環4・國學院栃木)
10.SO(スタンドオフ) 中楠一期(総1・國學院久我山)
11.WTB(ウィング) 宮本恭右(環3・慶應)
12.CTB(センター) 栗原由太(環4・桐蔭学園)
13.CTB(センター) 三木亮弥(総3・京都成章)
14.WTB(ウィング) 高木一成(商4・慶應)
15.FB(フルバック) 小谷田尚紀(経3・慶應志木)

Booster
16. 田中慶伸(総2・慶應)
17. 松岡勇樹(法1・慶應)
18. 室星太郎(総4・静岡聖光学院)
19. 池田勇希(商3・熊谷)
20. 大谷陸(政3・慶應)
21. 五藤隆嗣(商1・慶應)
22. 鎌形正汰(商3・慶應)
23. 佐々木隼(総1・桐蔭学園)

選手変更
50分 今野勇久→19 池田勇希
68分 大山祥平→18 室星太郎
73分 宮本恭右→23 佐々木隼
77分 良知兼佑→20 大谷 陸
80分 小谷田尚紀→22 鎌形正汰

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