【バレーボール】残留に大きく前進!気持ち切らさずフルセットで勝利 国士大戦

残留のためにも貴重な一勝

 慶大に再びのびのびとした勢いが戻ってきた。慶大は国士大との大激戦を制し、通算成績を4勝4敗の五分に戻した。1部を生き残るため、上位進出のためには絶対に負けられない試合が今後続いていく中、この一戦をもぎ取った価値は計り知れない。

10月1日(日) 秋季関東大学1部リーグ 慶大―国士大 @東海大学湘南キャンパス総合体育館 

得点
慶大 セット 国士大
25 21
22 25
27 25
18 25
17 15
 

ストレートスパイクを決める柳田

 強豪相手との戦いが続いたため、また、ケガ人が続出してしまったためになかなか波に乗れない慶大。この試合の相手は昨秋2部リーグを全勝で勝ち上がり、1部挑戦となった今秋も現在3位の日体大を下している国士大であった。両者の対戦は2部リーグ在籍時以来約2年ぶりで、2部時代は慶大と常に激しい上位争いを演じてきた相手。戦いづらい相手だがしかし、そこに一筋の光が舞い降りた。山本(環3)が復帰したのだ。足首のねんざによりここまでのリーグ戦は出場することが出来なかったが、なんとかリーグ終盤に間に合った。またこの試合ではレセプションリベロに前田優(環3)、ディグリベロに中出(環3)を置くというリベロ2枚体制。加えて間宮(政3)と柳田(環1)がレフト対角を組み、オポジットに岡田(商2)が入るというフレッシュな布陣で臨んだこの試合、明らかに慶大の雰囲気は今までとは見違えていた。第1セット、いきなり野口(環1)のサーブで流れをつかむ。サービスエースを含む3連続得点。ここまでのリーグ戦で好調を維持している野口のサーブがまたしても得点源となり、チーム内に一気に「いける」という空気が漂う。ここから慶大は相手に流れを渡さない。「評価している」という監督の言葉通りに中出のディグが冴え、山本のクイックもきれいに決まる。本調子に近づきつつある柳田のスパイクも炸裂。途中4連続失点もあったが、着実にサイドアウトを奪って序盤のリードを守りきる。最後は山本の速攻で締め、25-21でこのセットを取る。

 誰もがこのままの勢いでこれ以降のセットも取れると思ったであろう。しかし、やはり相手はくせ者・国士大であった。第2セット、序盤は点の取り合いとなり、両者譲らず10-10まで拮抗した展開。ここから先に抜け出したのは慶大。間宮の移動攻撃で得点すると、その後も間宮は懸命のディグ、そしてサービスエースなど大奮闘。13-10とし、相手を突き放したかに見えた。しかし、中盤から徐々に慶大のサーブカットが乱れ始める。相手にサーブで崩され、3連続失点で14-14の同点に追いつかれる。ここから一進一退の攻防となるが、終盤にまたしてもサーブカットが乱され連続失点。これが致命傷となり、このセットを22-25で落とす。

ケガから復帰した山本

 迎えた第3セットは国士大に常に先手を許す苦しい展開。慶大も岡田(商2)・柳田の強烈なスパイクで食い下がるが、国士大のクイック攻撃、ブロックのインナーをつくスパイクに手を焼き、なかなか追いつけない。また、2セット目同様にサーブカットミスが目立ち、5連続失点で13-18と大きくリードを奪われてしまう。ここで、この試合調子の上がらない前田優をレセプションリベロから外し、リベロを中出1枚にする。その直後に中出のナイスレシーブから岡田の強烈なスパイクが決まり、ようやく連続失点から抜け出す。しかし、点差を縮めることが出来ずに迎えた15-21の場面。ここで野口にサーブが回ってきたことが慶大にとって大きかった。3連続サービスエースを含む4連続得点で19-21。またしても野口が流れを呼び込み、一気に慶大ペースに。ここから稲田(環1)のクイックや相手のミスもあり、デュースに持ち込んで迎えた25-25。このセットの最後にとどめを刺したのは、頼れる主将・渋谷(環4)だった。間宮サーブ時に野口と交代でワンポイントブロッカーとしてコートに入ると、これが見事に的中。これまで苦労してきた相手の速攻をいきなりシャットアウト。最後はブロックに跳ぶ渋谷のオーラに圧倒されたように、相手のスパイクがアウトとなり、27-25の大逆転で第3セットを奪った。

 第4セット序盤はこのセットからリベロ1枚に固定された中出の活躍や山本のクイック、柳田のスパイクで10-8とリードする。今度こそこのままの流れでいけるのではないか。しかし、そうはいかなかった。もう後がない国士大はタイムアウト後に4連続得点。慶大は10-12とリードをひっくり返されると、その後、相手のクイックを止められずに2度の3連続失点。このセットを18-25の大差で落としてしまう。

大事な場面で仕事をした渋谷

 運命の第5セット。両者共に絶対に負けられないという気迫が伝わってくる立ち上がりであった。慶大は絶好調・野口のサーブからスタート。期待通り、サービスエースなどで2点を先取する。しかし、国士大もすぐさま反撃、2-2の同点となる。ここから両チーム点を奪い合う手に汗握る展開。この場面で、間宮が冷静にフェイントを決め、7-4と3点差をつける。だが、ここから国士大もブロックなどで粘りを見せ、10-10の同点。どちらも一歩も引かないまま、迎えた13-13。慶大を勝利に導いたのは、またしても渋谷であった。渋谷が野口に代わって入ったこの場面、ここがターニングポイントだと両チーム感じるものがあったのであろう。絶対にボールを落とすものかという両者の思いが、凄まじい粘り合いを生む。しかし、ここで渋谷がブロックにいたことが大きかった。相手はブロックを意識して打ち切ることができない。最後は渋谷のブロックで相手の息の根を止め、このポイントを奪った。結果的にこの1点が勝負を分けた。この得点により常にマッチポイントを握ったまま試合を進めることができた慶大は、15-15から柳田が2連続スパイクを決め、17-15でこのセットを取り、勝利。フルセットの激戦を戦い抜いた両者には観客席から惜しみない拍手が送られた。 

 1部に生き残るため、この試合を取れたことは大きかった。何より、ここ何試合かでは見られなかった、慶大らしい良い雰囲気の中で勝てたことはこれからの試合につながっていくだろう。次戦は法大戦。東日本インカレでの対戦時にはフルセットの激戦であっただけに、今回も接戦が予想される。慶大には勝って兜の緒を締め、法大戦に臨んでほしい。

By Takuma Furuoya

コメント

宗雲監督

(今日の試合を振り返って)今日から残りの試合は結果が全てなので、内容というよりは、今日みたいに紙一重でも勝ってくれればいいと思うので、とにかく勝ったことを最大限評価したいです。(フルセットはどのような気持ちでしたか)やっぱりフルセットは誰でも嫌ですよ。しかもこっちがリードして、4セット目に追いつかれて、また5セット目をやり直しか、という気持ちになりますからね。気持ちを早く切り替えて、短期決戦の頭にしとかないとね。感情だけでやっていると選手の交代やタイムアウトのとるタイミングが早くなってしまうので、なるべく気持ちを抑えながらやってました。(渋谷選手が入って流れが変わりましたね)そうですね、渋谷がまた最後に良い働きをしてくれましたね。この前の早慶戦の時のような、本当に良い仕事をキャプテンとしてやってくれてよかったです。(今日は山本選手の復帰戦となりましたが)練習では野口のトスもすごい良くなってきて、とても息が合うようになってきましたね。今日もいいクイックが何本かありましたし。まあ実戦だと練習よりも若干のずれはありましたが。悠登はとてもいきいきとやってくれていたので、ああいう悠登を見られて嬉しかったです。悠登はブロックする時もみんなに能動的に声をかけるので、やっぱりいてくれると助かります。雰囲気もとても良くなりましたね。本当に貴重な選手です。(今日は前田優介選手と中出選手の2枚リベロでしたが)もともと中出のディグを評価しているので、本当は先週から中出を使いたかったのですけれど、ケガをしてしまって使えなかったんです。だから今日は最初から優介にはサーブレシーブを、中出にはディグを期待して使いました。この試合は優介がほんの少し調子が悪かったので、早めに切り替えて、また向こうのサーブもそれほど強くなかったので、中出でも十分通用すると思って作戦を変えました。(野口選手のサーブが効果的でしたね)やっぱり野口のサーブや岡田のスパイク、間宮のサーブレシーブはうちのチームの得点源なので、その子達が活躍してくれたことで向こうより2点上回れました。(次戦の法大戦へ向けて)もちろん勝つことしか考えていないです。でも、法政にも意地があるだろうし、極端にチーム状況が違う訳ではないので、油断せず、もっともっと向かっていく気持ちを前面に押し出していってくれればと思います。

渋谷

(勝利おめでとうございます)どうも、どうも。(今日の試合を振り返って)1セット目を4点差で取ったから、安心して見られるかなって思ったけど、そう上手くはいかなかったね。もともとこのチームはどんな相手に対しても絶対勝てるっていうことはないし、成績を見ても、特に下位は団子状態だから。国士舘も2部から上がってきたとはいえ、いろんなチームを食ってここまで来た訳だから、そう簡単には勝たせてもらえないなとは思ったけど。でも、1セット目みたいな自分たちのバレーを2セット目以降もやってほしかった。勝ったことは嬉しいけど、そこが少し残念。(主将としてどのような指示を)毎試合負けられないのは変わらないのだけれども、この3連戦はしっかりと勝って、5・6勝の状態で最後の筑波戦に臨みたかったから、今日・明日の試合は大事になると思っていた。だから、試合に出ているメンバーにはもちろん、出ていないメンバーにもこれからの試合に勝つための練習をさせてあげられるような雰囲気を作ってあげられるように口うるさく言ってきたつもりです。(ご自身のプレーについて)うーん、50点かな(笑)一応セッターで入っているけど、セッターの仕事ができなかったから。ブロック50点、セッター0点で評価50点だね。第3セット目に出た時は、完全に名前で勝ったというか、もともと以前に戦ったことのあるレフトプレーヤーだから、その時のイメージでスパイクをふかしてくれたんじゃないかと、僕は思う。あと、自分自身のプライドとして、やったことのあるやつには勝ちたいというのは出る度に思っているので。(法大戦へ向け)一戦一戦しっかりと、戦って、今日勝ち、明日勝ち、来週勝ちという風にいきたい。フルセットになろうが、結果が全てだから、とにかく泥臭く勝ってもらいたいし、勝つつもりでベンチも応援もやっていきたいです。

野口 

(今日の試合を振り返って)とりあえず勝てて良かったという感じです。入れ替え戦とかには絶対に行きたくないから、勝ちたいという気持ちは強かったです。(サーブが好調ですね)はい、リーグ戦は調子が良いので、これからも続けられるように頑張ります。(法大戦へ向け)これから残り3試合は絶対に負けられないから、筑波にも立ち向かえるような土台作りを明日からも心掛けたいです。

出場選手

セッター 野口剛志郎(環1)
センター 稲田聡典(環1)
レフト 柳田将洋(環1)
ライト 岡田拓巳(商2)
センター 山本悠登(環3)
レフト 間宮秀太(政3)
リベロ 前田優介(環3)
中出祥平(環3)
途中出場 渋谷隆太(環4)
川村昌平(環3)
前田滉介(環2)

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