【ソッカー(男子)】4失点で完敗 全国大会の厳しさを痛感/第49回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント1回戦 VS京都産業大学

ソッカー男子

早慶クラシコで4年ぶりに勝利を収め勢いに乗る慶大は、脳震盪から復帰した斎藤大雅(文3・立命館宇治/京都サンガF.C.U-18)をスタメン起用。万全の布陣で総理大臣杯初戦、京都産業大学戦に臨んだ。序盤こそ相手ゴールに迫るも、徐々に相手にボールを握られ、12分にコーナーキックの流れで左サイドからクロスを上がり、これを頭で決められて先制を許す。その後は一進一退の攻防が続くも、0-1で前半を折り返す。1点を追いかける慶大は朔浩太朗(理3・学習院高等科)と石田航大(政3・慶應/ブリオベッカ浦安U-18)に代えてオノノジュ慶吏(政1・前橋育英)と小野翔大(経2・慶應)を投入。後半開始から攻め込まれる展開となったが、GK洪潤太(政4・東京朝鮮中高級学校/三菱養和SCユース)がビッグセーブを連発しゴールを許さない。しかし68分の失点を皮切りに71分、76分と立て続けに失点を許し、大きく突き放される展開となった。反撃に転じたい慶大は79分、齋藤真之介(経4・桜修館/FC町田ゼルビアユース)に代えて藤井漱介(商3・静岡学園)を投入し左サイドの突破からゴールを目指すも、相手の堅い守備を崩せず0-4で試合終了。全国大会の厳しさを痛感する一戦となった。

 

2025/9/3(水)14:00キックオフ@WACK女川スタジアム

 

【スコア】

慶應義塾大学0ー4京都産業大学

 

【得点者】

12分 京産大 小野成夢(皿良立輝)
68分 京産大 皿良立輝(大倉慎平)
71分 京産大 山村朔冬(高川諒希)
76分 京産大 皿良立輝

 

【慶大出場選手】

ポジション

背番号 選手名(学部学年・出身高校)

GK

1 洪潤太(政4・東京朝鮮中高級学校/三菱養和SCユース)

DF

2 大下崚太(商4・慶應 /東京ヴェルディユース)

 

4 斎藤大雅(文3・立命館宇治/京都サンガF.C.U-18)

 

29 三浦成貴(商3・浜松開誠館)

 

16 藤平一寿(法4・桐蔭学園)

 

→ 34分 28 秋元心太(法2・駒大高)

MF

7 齋藤真之介(経4・桜修館/FC町田ゼルビアユース)

 

→ 79分 33 藤井漱介(商3・静岡学園)

 

8 田中雄大(商4・成城学園/三菱養和SCユース)

 

24 石田航大(政3・慶應/ブリオベッカ浦安U-18)

 

→ HT 25 小野翔大(経2・慶應)

 

10 角田惠風(商4・慶應/横浜F・マリノスユース)

 

19 朔浩太朗(理3・学習院高等科)

 

→ HT 30 オノノジュ慶吏(政1・前橋育英)

FW

11 立石宗悟 (法4・桐蔭学園)

 

→ 69分 13 三浦大其(経2・慶應)

 

立ち上がりから最終ラインからのビルドアップで攻撃を組み立てようとする慶大は6分、ゴールキーパーの洪潤太(政4・東京朝鮮中高級学校/三菱養和SCユース)から縦パスを受けた石田航大(政3・慶應/ブリオベッカ浦安U-18)が右サイドハーフの朔浩太朗(理3・学習院高等科)へ浮き球のパスを送り、ダイレクトでクロスを上げるが、惜しくもゴールラインを割ってしまう。

スピードを活かしてチャンスを生み出した朔

直後の7分、ハーフウェイライン付近でボールを奪った大下崚太(商4・慶應 /東京ヴェルディユース)から再びボールを受けた朔が右サイドから中へ切り込んだことで相手のファールを誘い、ゴールに近い位置でフリーキックを獲得する。両足のキックに絶対の自信を持つ慶大の心臓・角田惠風(商4・慶應/横浜F・マリノスユース)が右足を振り抜くも、僅かにゴール上に外れる。

角田のFKは惜しくもゴール上へ

徐々に相手にボールを握られ押し込まれる展開が続く中、12分に相手のコーナーキックの流れで左サイドからクロスが上がり、これを頭で合わせられ先制を許してしまう。反撃に転じたい慶大は15分、主将の田中雄大(商4・成城学園/三菱養和SCユース・横浜F・マリノス内定)からのコーナーキックのこぼれ球を大下が頭で押し込むも、相手の好守で決められない。その後は相手の激しいプレスに捕まり縦パスがなかなか通らなかったり、空中戦に勝てずセカンドボールも回収されたりするなど厳しい展開が続く。しかし飲水タイム明けの28分、早慶クラシコに引き続きセンターバックに入った三浦成貴(商3・浜松開誠館)が最終ラインでのパス交換から相手のディフェンスラインの裏にセンターフォワードの立石宗悟(法4・桐蔭学園)へ一気に浮き球のパスを送り決定機を迎えるが、相手ゴールキーパーのスーパーセーブに阻まれてしまう。

立石が決定機を決め切れず

このまま流れを掴みたい慶大は34分、藤平一寿(法4・桐蔭学園)に替えて秋元心太(法2・駒大高)を投入。秋元を左センターバック、三浦成貴を右サイドバックへ、斎藤大雅(文3・立命館宇治/京都サンガF.C.U-18)を右センターバックへとポジションを変更した。一進一退の攻防が続く中、45+1分にはペナルティーエリア外からミドルシュートを打たれるもここはゴールキーパー洪潤太が難なくキャッチ。0-1で前半を折り返す。 

脳震盪から復帰した斎藤

1点ビハインドから巻き返したい慶大は、後半から右ウィング朔に替えてオノノジュ慶吏(政1・前橋育英)、右インサイドハーフ石田に替えて小野翔大(経2・慶應)を投入。小野が田中と共にダブルボランチを務め、角田がトップ下、立石が右ウィング、オノノジュがセンターフォワードを務める4-2-3-1にシステムを変更した。後半最初のチャンスを作ったのは京産大だった。49分、右センターバック田代がセンターフォワード妹尾に絶妙なスルーパスを供給すると、一気にゴール前へ迫られるが、慶大の守護神・洪が素早く距離を詰めてセーブし、追加点を許さない。

メンバーを入れ替え後半へ

早々に同点に追いつきたい慶大は53分、洪と小野のパス交換で京産大のプレスを引き付けると、田中が京産大のプレスラインを超えた位置でフリーの状態でボールを受け、プレス回避に成功。田中から大下、齋藤真と繋がり左サイドからファイナルサードに侵入すると、齋藤真がファーサイドに走りこんだ立石へアーリークロスを供給する。これは精度を欠きゴールキックとなったが、システム変更の成果として京産大の強度と連携に優れるハイプレスを搔い潜り、チャンスを作ることに成功。反撃の狼煙を上げた。

チャンスを生み出す齋藤真

しかし直後の56分、同じように洪から小野へ探りのパスを送ったタイミングで、小野が京産大の選手に素早く距離を詰められ、ボールを奪われる。パス交換のためゴールマウスを空けていた洪の状況を踏まえ、京産大は素早くミドルシュートを選択するが、これも洪が掻き出し、窮地を脱した。慶大が新たな前進ルートを開拓すると、京産大も素早く適応するという、全国大会らしいハイレベルな攻防が繰り広げられた。

途中交代の小野と秋元

続く59分、洪と秋元が存分に相手を引きつけてからパスを出したことで大下がフリーでボールを受けると、角田が左サイドに流れてボールを引き取る。角田に対して京産大ディフェンダーが迎撃に向かった瞬間、その背後に生まれたスペースに齋藤真が抜け出し、角田がすかさず浮き球のスルーパスを齋藤真に提供。齋藤真がゴール前に突っ込んだオノノジュにクロスを送るが、オノノジュのシュートはディフェンダーに阻まれ、同点弾とはならない。慶大は左サイドでの連携を活かし、京産大の屈強な3バックをゴール前から動かすことで決定機を作り、同点、逆転への期待を膨らませた。

ゴールを脅かしたオノノジュ

前線からのハイプレスを剥がされてピンチを招いた京産大は重心を下げてゴールを守ることを最優先事項とし、同時に前線にスピードに優れる選手を投入することでロングカウンターで追加点を狙う方針に切り替えた。これにより活用できるスペースを奪われた慶大は、ボールを握りながらも決定的なシーンを作れず、カウンター対応で長い距離を走らされることで疲弊し、徐々にペースを落としていく。すると69分、ロングカウンターを起点に右サイドからゴールに迫られ、ペナルティエリア内に殺到する京産大の選手たちにシュートを浴びせられ続けると、洪、三浦成らの必死のブロックも虚しく、痛恨の追加点を許してしまう。

この日スタメンの大下

苦しい状況に追い込まれた慶大は、失点直後に右ウィング立石宗悟に替わって三浦大其(経2・慶應)を投入。狭いスペースを苦にしないドリブラーに望みをかける。しかし続く72分、敵陣ペナルティエリア付近で再びボールを奪われると、少ないタッチでのパス交換から一気にDFライン背後への突破を許し、最初のシュートは洪がファインセーブで凌いだものの、再びゴール前に殺到する京産大にセカンドボールを拾われ、ダメ押しの3点目を許す。京産大のゴールラッシュはこれで終わらず、76分にはDFライン背後へのロングボールの処理で秋元と洪が交錯し、洪のクリアが短くなると、セカンドボールを拾われ屈辱の4失点目を喫する。

久々の復活を遂げた藤井

小刻みな選手交代でスタミナを回復し、高い練度と集中力を持つ京産大のゾーンディフェンスに対して慶大は目立ったチャンスを作ることができず、スコア変わらず0-4のまま、無常にも試合終了のホイッスルが鳴り響いた。チーム始動時に「全国制覇」という目標を掲げた中で、総理大臣杯で1回戦敗退に終わった慶大。しかし、下を向いている時間はない。9月20日から後期リーグ戦が再開される。前期リーグ戦終了時点では最下位に沈んでいる慶大だが、アミノバイタルカップ、早慶クラシコで得た収穫と、総理大臣杯で感じた悔しさをバネに、捲土重来を期す。

(記事:甲大悟、髙木謙 取材:愛宕百華、塩田隆貴、小野寺叶翔、重吉咲弥、甲大悟、髙木謙)

 

【選手インタビュー】

◇藤井漱介(商3・静岡学園)

――今日の試合を振り返って

チームとして全国制覇を目指していたのですが、初戦で結果、内容ともに完敗してしまってとても悔しいです。

 

――約1年ぶりの復帰で今季初出場になるがどういうことを考えて試合に臨んだか

0-4の展開だったので1年ぶりというのはあまり考えてなくて、思いっきりやろうと考えていました。

 

――ビハインドの状況での出場だがどんなことを意識して試合に入ったか

中町監督からは一対一の仕掛けの部分を結構買われていて、ビハインドの状況や後半疲れている中で仕掛けるというところを求められていると思ったので、自分の求められているところを存分に発揮できるように準備していましたし、ゴール前での仕掛けを意識していました。

 

――後期リーグに向けて意気込みを

全国制覇を掲げている中で、リーグ戦は今の順位だとインカレに出場できないので、まずはインカレの出場権を狙えるような準備というのをチームとしても個人としてもしていきたいと思っています。

 

◇洪潤太(政4・東京朝鮮中高級学校/三菱養和SCユース)

――まず今日のプレーを振り返ってみていかがですか

この1ヶ月、早慶戦を経てアミノから準備してきたものが、自分自身を含めチーム全体として出なかったなという印象です。

 

――京産大がハイプレスで積極的にボールを奪いに来る中で、ビルドアップのところで意識していたことはありますか

相手の矢印を折ることは常に意識していて、実際に何回か矢印を折れた部分はありました。ただ、プレッシャーにビビって素直になってしまった部分だったり、味方と意図が合わなかったりしたシーンがあったので、そこは後期に向けて精度を上げていきたいなと思います。

 

――何度か1対1の場面で好セーブがありましたが、そのあたりに夏のトレーニングの成果が表れていたと感じますか?

夏の成果というよりは、1対1を止めることは自分自身の強みなので、これまでのサッカー人生を通して培ってきた部分が、少なくともそのいくつかのシーンで出たのかなと思います。

 

――最後に秋のリーグ戦に向けて意気込みをお願いします

この夏は不甲斐ない結果で終わってしまいました。もちろん自分たちは優勝するつもりで女川に乗り込んできましたし、後期も上位やインカレを目指す中でこの結果だったので、もう一度自分自身の立ち位置や驕っていた部分を削ぎ落として、後期開幕から良い結果を残せるように頑張りたいと思います。

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