【女子ラクロス】初優勝に一歩手が届かず… /立大戦

 歓喜の日体大戦勝利から1週間。その余韻に浸る間も無いままに、11月12日駒沢第2球技場にてラクロス関東学生リーグ女子のFINAL・対立大戦が行われた。慶大にとって初の関東優勝がかかった試合だったが、結果は3-7で慶大の敗戦。残念ながら今年も頂点へは手が届かなかった。

関東優勝の夢は来年へ

関東学生女子ラクロスリーグFINAL VS立大

2011/11/12(土)14:00ドロー@駒沢第二球技場

チーム 前半 後半 合計
慶大 1 2 3
立大 3 4 7
 

終始豊富な運動力を誇っていたMD谷北副将

 序盤から慶大は敵陣での攻撃を展開する。AT佐藤副将(法3)の相手選手を惹きつけてからの突破やMD小嶋(経3)の堅実なグランドボール処理などいつも通りのプレーがグラウンドにはあった。しかし、立大の強固なディフェンス陣の前になかなかシュートを打たせてもらうことができない。すると、9分に一瞬の隙から相手ATに慶大ディフェンスの攻略を許し失点。慶大の時間が続いていた中で、まさかの先制点を許してしまう。そして12分にも自陣で相手にボールを展開され再び失点。0-2と点差をずるずると広げられる。ただ、慶大もだまってはいない。15分にFSのチャンスをつかみこれをMD廣野(政1)が落ち着いて決め、スコアを1-2として反撃の狼煙を上げる。この得点を機に何とか流れをつかみたいところだったが、慶大は知らず知らずのうちに「決勝の雰囲気に飲まれていく」(石川HC)。初めは簡単に通していたパスがだんだん繋がらなくなる。ずっと制圧し続けていたグランドボールでも相手にボールを奪われてしまう。何かがおかしい。選手、コーチ、観客の全てがもどかしさを感じていた。すると、前半終了間際の28分、ドローからすぐにゴール前まで持ち込まれ失点。流れをつかめないまま1-3で前半を終える。

ドローで攻撃のリズムを作ったMD山本

「アタックは相手ディフェンスの目線を振ることを意識して攻め急がずに行こう」(戸花主将)と全体で意思統一をして迎えた後半。狙っていた攻撃はすぐ形になった。0分、最初のドローをMD山本(文4)がキープし、パスを受けたMD谷北副将(環4)が速攻でゴール前まで持ち込みそのままシュート。これが決まり2-3と点差を縮める。幸先良い後半のスタートを切ったものの、その後も慶大は波に乗れない。4分に失点を喫すると、6分にもゴール前にきれいにパスを通されて連続失点を許してしまう。こうなると、慶大は前半同様負のスパイラルに陥る。「パスをすると失敗するからパスをしなくなる、自分だけで走ってしまう」(石川HC)ことで、相手ディフェンスのプレッシャーがボールキャリア―に極端に集まってしまってしまう。その局面で相手ボールになることで、自陣でボールを回されて時間を使われるという更なる悪循環を招いてしまい、11分に後半3点目となる追加点を許してしまう。何とか意地を見せたい慶大は19分に自陣でのインターセプトでボールを受けたMD廣野が右サイドを駆け上がり、最後は逆サイドにいたAT戸花主将(経4)へパス。これをしっかりと沈め3-6と必死に追いすがる。そして何とか同点に追い付くために攻撃のラインを押し上げて勝負に出たが、その裏を突かれてしまい試合終了間際の28分にも追加点を決められ万事休す。決勝の舞台で涙を飲む結果となってしまった。

 手が届きそうで届かなかった優勝。ただチーム状態をここまで持ってくるのには大変な苦悩があった。4年生が少ない中で始まった今季。当初はチーム作りが上手くいかず「2部入れ替えに回るんじゃないかとさえ言われるほどの落ちこぼれ集団」(山本)とも評されてしまうこともあった。そんな中でも日々の厳しい練習に耐え抜いた中で、徐々に「お互いを信頼する部分が成長」(石川HC)することでチーム力も上昇。リーグ戦を負けなしで終え、宿敵日体大にも勝利。これほどまで「最後まで進化を続けた」(谷北)慶大は過去最高ではないのだろうか。最後こそ決勝の舞台で力を十分に発揮することができなかったが、その夢の続きも必ず下級生がかなえてくれるはずだ。来年こそは「今年果たせなかった日本一を取りに行きます」(谷山副将)。

By Kazuhiro Takai

 コーチ、選手のコメント

石川HC

ラクロスが出来ませんでしたね。その一言。(その要因は立大のディフェンスが)立教さんを最大限リスペクトしたらそうなるが、自爆ですね。うちの攻撃に関して言えば、もう少しボールを動かして一人が持つ時間を短くして一つのボールにたくさんの人が絡むといったラクロスを展開したかった。ただこの試合の緊張感と失敗から入ってしまった点が自分達のプレーを臆病にさせた。パスをすると失敗するからパスをしなくなる、自分だけで走ってしまう。それが負のスパイラルに入ってしまった。(最初の攻撃でもう少し点が入っていれば展開は変わっていたか)そうですね。最初のボールが取れていただけに、点を取りたかった。ただ、自分達のところにボールが落ち着かない展開になることはわかっていた。試合を通じてそれが修正出来ないとは正直思っていなかったです。それが立教のディフェンスのせいなのかこちらの気持ちのせいなのか。自分達側にあると思いますが。(ハーフタイムで修正していた点は)自分達がリスクを恐れないパス中心のプレーになっていた。もっとボールを動かせと。その上でゴールにむかえと。いつも言っているんですが、頭を働かせて足を動かしてボールを動かせということを確認していた。リスクを冒さないからゴール前にも入れない。ミスをしてミスがターンオーバーになって相手ボールになって点を決められることを恐れるなと。その修正が谷北の2点目にあらわれました。(一旦相手に行った流れを引き戻せなかった)それもあるが、相手がずっとボールをコントロール出来ていたかというと(そうは思わない)。残り15分で点差が3、4点の中でリスクを冒さないようなボール回しは見られた。ただその中にミスはあって、うちのディフェンスが相手から8回ボールを奪っているんですよ。それを繋げたのは1回だけ、7回はボールを相手にあげてしまった。焦りもあったとは思うが、強いチームだと奪ったボールを繋げていたと思う。パスの回数を増やせれば良かったんだが、責任感の強い選手達なので自分で崩そうとしてしまった。(パスを回して冷静に行くのが)慶應の良いところだと徹底していたはずだったが、それ以前の部分でもミスはあった。勝利を掴めるぐらいの力が無かったと言うしかない。(点差がビハインドの状態だとパスにも乱れが出てくるのか)リードされていたからパスの精度が落ちていた訳ではない。完全に決勝の雰囲気に飲まれた。パスをするだけでこぼしてしまったりしたので、決勝に向けてのメンタルのコンディション、メンタルフィットネスがうまく行って無かったのかなと。若いチームならではの弱さが出たのかなと思います。(ディフェンスに関して)前半3失点、後半3失点は想定の範囲内。うちのディフェンスは全くやられているという感じでは無かった。また、やや引き気味だから前に出ていこうと選手の中で確認していました。選手のボールを持たない部分に関する頭は働いていたと思います。(後半の失点は攻めていく上で致し方なかったか)そうですね。リードされていて残り15分で追い付かなければいけない中で、じっと相手がボールを回しているのを見ている訳にはいかない。15分で4点以上取らないと勝てないという中では、相手に中にボールを出させてG中曽根のセーブに賭けた。(4年生が少ない中、今年のチーム作りは大変だったか)大変ではあったんですが、選手の成長力を信じていた。最初の頃は焦りがあったと思うが、結局若いといっても4年生になって初めて試合に出る選手もいる。別に1年生が出ていることがチームの若さに繋がる訳ではない。今日まで厳しい戦いをリーグ戦7試合戦った中で、年齢だけの若さが出たことは無かったです。4年生がドンと上に居座ってプレーでチームを落ち着けさせる選手がいなかったという部分で若さはありましたかね。(試合は)前半、大したプレッシャーがかかっていないのにボールをほうり込んでしまう、今まで取れたボールが取れない、クリアがうまく行かない。落ち着いた選手がいればディフェンスラインでボールを逆サイドに回して自己修正出来たはずだと思う。(1年間で一番伸びた部分は)お互いを信頼する部分が一番成長したなと思います。最初は技術レベルが低かったが、時間を重ねるにつれて一人一人が頑張って信頼関係を築けていけた。メンタル的な成長はあった。試合を重ねて勝っていく中で本当の武器を見つけていけた部分でも成長はあった。今日の試合は自分達の武器を出せなかった。(もしもう一度やれるなら勝てるのではないか)日体大戦で史上最高の試合をした中で、こんなはずじゃなかったという経験値ともう1試合となると、選手のメンタル的な準備は変わってくると思います。ただ強さを前面に出す戦い方は変えないですね。(新しいチーム作りに向けて)やっぱり攻撃的なチームにしていきたい。一番考えているのはラクロスの質ですね。個人の力に頼らない、ボールゲームはこうしたら点が取れるんだよと、こういう風にしたら守れるんだよということを理解してもらい、日本の学生の上を行くレベルでチームを作って行きたい。今年の経験を踏まえて、目指すラクロスは出来つつある。周りのチームが真似したいけど出来ないようなチームにしたいですね。来年はもっと皆が見ていて楽しいラクロスが出来るようなチームにしたい。

戸花主将

結果が全てなので、まだ優勝には届かなかったチームなのかなと思います。(対策していた点は)戦術的なことはやったんですが、最終的に相手がどうというよりは自分達が何が出来るかというところでした。(序盤もう少し点が取り切れていればと思ったが)チームとしてまだ未熟だったのかなと思います。(ハーフタイムで修正していた点は)アタックは攻め急がずにディフェンスの目線を振る。ディフェンスはあれだけ攻められて3失点しかしていなかったので引き続きやっていこうと。(アタックが自分で行き過ぎていたのではないか)それも紙一重だと思うし、自分で行こうという意識を持っていたことは良かったです。頭を使ってパスを使っても良かったかもしれませんが。(3点目を振り返って)いいパスくれたなって感じです。(個人として出来は)ゲームを変えきれなかったことはこれまでとは違った。勝ちきれなかったので0点です。(ケガの影響はあったか)ケガをしているなりのプレーの準備はしていましたし、フィールドに立つ以上ケガは言い訳にならないので、余り関係ないかなと思っています。(4年間を振り返って)今は感謝の気持ちでいっぱいです。(一番印象に残った試合は)この前のFINAL4ですね。日体に勝つという特別な気持ちがありました。(下級生に向けて)今まで戦ってくれてありがとうと伝えたいです。

谷北副将

(今日の試合を振り返って)決勝とはいえラクロスなので単純に相手に負けたところは大きかったです。グランドボールをとりきれなかったり、決められるところで決められなかったところが最後の結果に現れたと思います。(特にうまく行かなかったところ)DF面とかではもう少し外にプレッシャーが行けたかなと思います。プレッシャーをかけきれなかったから最後中に入れられたと思います。アタックでは突入意識をもってこれで攻めようというのが前半はうまく行かなかったが後半はそれで点を取れました。(相手の対策はしていたか)アタック面では立教のディフェンスがマンツーでくるということもあって、いままでの相手と同様に自分たちが1v1を強く仕掛けてその次からの仕掛けを中心にやってきました。ディフェンス面では相手が1v1を強く仕掛けてくるというのもあって次の展開を狙ってたので無駄に引き出されずに次のところでいこうというのをしていました。(生かされていたか)割とアタック面でもいまどういうことをするのか声でやりとりできていたし、ディフェンスでは無駄に引き出されずに次やることは意識できていたのであとは外にプレッシャーをかけることを修正できればよかったなと思います。(今シーズンを振り返って)見てのとおり、下級生が多く出ていて、確かに最初はボロボロだったんですけど戦う中で成長していって後輩もがんばってくれて、最後まで進化し続けたチームだったと思います。(4年間をふりかえって)周りの支えには感謝していて、副将になってOGのおもいとか後輩の頑張りがすごく見えて、慶應の良いところをすごく感じました。4年間つらいことも多かったけど、ここまで一緒に戦って支えてくれた人には本当に感謝しています。

谷山副将

(今日の試合を振り返って)クリアに苦戦している間に すぐ前半が終わってしまった。前半は点を入れられて沈んでいたが、コーチに「守って試合をするのか」と質問され、それは私たちのスタンスではなく、攻め合 いの試合をしようということを再確認した。どんどん行こうという感じだったが立教のディフェンスが強かったのでやりたいことをやらせてもらえなかった。(優秀選手賞を受賞されたが自身の出来は)今日は全然何もできなかった。賞には値しないと思う。(決勝に向けての準備はしたか)特に立教を意識せず、 自分たちにできることをやった。(今シーズンを振り返って)初戦と前回のFINAL4,そして今日の FINALを比べた時には全く別のチームだと思う。成長率でいったら全大学の中で一番だと確信していて、素晴らしい進化を遂げたな、と思った。(来シーズンに向けて)今年果たせなかった、手が届きそうで届かなかった日本一を必ず取ります。

山本

(今日の試合を振り返って)私たちは4年生が少なく後輩たちに託してしまう部分があり、なにもできなかったという風に感じているのですが、チーム全体として今日の試合は、下級生達が本当によく私たちについてきてくれて、良い雰囲気で試合ができたと思います。これで終わってしまったんですが、ここまで練習してきて良かったと思えるような試合だったと思います。(この試合の対策は)今日はここまで来れたことに感謝して、試合を楽しもうということを言っていて、相手を意識しすぎずに、自分たちのラクロスをしようということを意識していました。(今シーズンを終えて)私たちの代は本当に下手くそで、2部入れ替えに回るんじゃないかとさえ言われるほどの落ちこぼれ集団だったんですが、1年生もたくさん入ってくれて、後輩達がすごく頑張ってくれました。4年が中心に作ったというわけではなく、全員で作り上げたチームという点ですごく良かったと思います。(ラクロス部としての4年間はどのようなものだったか)本当にうまくいかないことだらけで、何度もやめようと思ったし、なんでやっているのかも分からないときもあったんですが、今日になってやってきて良かったなと思いました。ラクロス以外のものもたくさんあったんで、本当に続けていって良かったと思います。(後輩達に向けて)試合に出ていた子たちというのは、本当に上手く尊敬もしていて、今年1年間でとても仲良くなれて思い入れがとても強いので、来年はぜひ皆で優勝して欲しいなと思います。

 

中曽根

(今日の試合を振り返って)最初から強くプレーすることを意識してたんですが、結果的に自分たちのプレーというものが出し切れなかったから、最終的に負けてしまったのかなと感じています。(自身の出来について)常に平常心でいて、最初のシュートをセーブして流れに乗ろうという目標を持っていて、最後の負けている時間帯でも練習通りにできていて、負けていても落ち着いてできていたというのは、試合を通して成長を感じています。もう少し、ディフェンス陣に声を出して、ディフェンス陣を引っ張って行くことができれば良かったかなと感じています。(相手オフェエンスに苦しめられていたが)相手にボールをある程度持たれてしまうというのは想定内で、 その後ゴールまでというのは自由にやらせていなかったので、そこのところは良かったのかなと思います。(今年1年振り返って)最初の方は、去年の中心メンバーである4年生達がごっそり抜けて、2部に降格するのではないかとか、言われていたんですが、今年のチームというのは成長率という面では、他のチームには負けていないとも感じていました。結果、この準優勝というところまで来れて、これは皆が一生懸命に努力したというのが、大きいなと感じます。(来シーズンへ向けて)負けるつもりではなかったので、今はあまり考えられないのですが、この負けた悔しさというのをどれだけ長く持ち続けられるかというのが、次のシーズンへつながっていくと思うので、この負けというのを負けたというだけにしないで、しっかりとここから得たものを次のシーズンに生かしたいと思います。

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