春秋連覇に向け、落とせない法大との3回戦。2回に先制した慶大だったが、追加点は遠く、1点差のまま試合は終盤へ。二度の満塁のピンチに見舞われても、月曜日の応援席は揺らがなかった。「いざ月曜第3戦の招集がかかれば!」−−平日に神宮へ駆けつけた観客を巻き込む声が響く。部員たちは笑顔と声援を絶やさず、8回裏、待ち続けた勝負どころで『朱雀』を鳴らした。
10月5日(月)慶應義塾大学○3―0●法政大学
~試合概要~
1勝1敗で迎えた法大3回戦。慶大は2回裏、吉野太陽(法4・慶應)のソロ本塁打で先制する。しかし、その後は好機を生かせず、1点を守る展開が続いた。先発・渡辺和大(商4・高松商業)は6回表の2死満塁を空振り三振で切り抜け、7回無失点の好投。8回表には2番手の鈴木佳門(経2・慶應)も2死満塁の窮地を遊ゴロでしのぐ。その裏、2死二、三塁から吉野が適時三塁打を放ち、待望の2点を追加。最後は法大打線を零封し、慶大は今季3つ目の勝ち点を手にした。
昨年は春も秋も4回戦までもつれた法大戦。今春も勝負は月曜日の3回戦に持ち込まれた。今季の慶大は、月曜日の試合で負けていない。坪井樹音代表が秋への意気込みを語った際にも口にしていた、「月曜なら絶対勝てる、勝たせてみせる」という言葉。この日の応援には、接戦の中でもそれを貫こうとする強さがあった。

まず応援席を沸かせたのは、3回裏の攻撃前。壇上に立った3年のI.Hさんは、TBSドラマ『VIVANT』に登場する諜報部隊「別班」に、月曜日の観客を重ねた。
「普段は真面目に会社で働いたり、大学の授業を受けているけれども、いざ月曜第3戦の招集がかかれば、全国のどこへでも応援に行っているだろう!」
平日にもかかわらず神宮へ集まった一人一人が、この日の“別班”である。ユーモアを交えた呼びかけから『三色旗の下に』へ。応援席に笑顔と声が広がった。

空模様さえ、声かけの材料になった。序盤から小雨が降り、降っているのかやんでいるのか、はっきりしない天気が続く。5回裏、壇上の部員は「この、降ってんのか、やんでんのか、分かんない天気が、大嫌いだー!」と叫ぶと、「ここから晴天にさせるぞー!」と続けた。響き始めたのは『Blue Sky KEIO』。雨を嘆くのではなく、応援席から空気を変えようとする声だった。

だが、グラウンドでは簡単に流れをつかめない。慶大は3回、5回と走者を得点圏へ進めながら、追加点を奪えずにいた。6回表には法大に2死満塁の好機を作られる。それでも渡辺和が空振り三振で切り抜けると、部員から「ピンチの後、気持ちを切り替えましょう。笑顔を大事に、ここで応援席全体で勝負をかけましょう!」と声が飛んだ。続く『Blue, Red and Blue!』。1点差の緊張を抱えたままでも、応援席は下を向かなかった。
8回表、今度は鈴木佳が2死満塁の窮地をしのぐ。迎えたその裏、先頭の今津慶介(総4・旭川東)が安打で出塁し、相手のミスも重なって無死一、二塁。そこで、満を持して流れ出したのが『朱雀』だった。

そして『突撃のテーマ』からの『ダッシュケイオウ』へ——畳み掛けるメドレーに、応援席の声は一段と大きくなった。2死後、吉野の打球が右翼手の頭上を越える。走者2人が生還し、スコアは3―0に。待ち続けた追加点を、部員たちは観客とともに喜んだ。
慶大はそのまま最後までリードを守り切り、今季3つ目の勝ち点を手にした。3回の遊び心ある呼びかけも、満塁のピンチの後に促した笑顔も、8回の『朱雀』も。1点差の時間を耐え抜いた応援席だからこそ、待望の追加点に沸いた声は、いっそう大きく響いた。

次戦は明治戦。昨年も3回戦までもつれた手強い相手。応援も決して侮れない。確かな手ごたえを胸に、明大応援部員に向けて言い放とう——「やっぱり慶應が日本一!」と。
〜試合後インタビュー〜
ーー今日の試合を振り返って
序盤に1点を先制したものの、その後はなかなか追加点を奪えない展開が続きました。正直、少し不安な気持ちもあったのですが、最終的には終盤に2点を追加することができました。ただ、本音を言えば、もう少し早い段階で楽な展開に持ち込みたかったです。
ーー3回裏の攻撃前の声かけに込めた思い
自分自身、『VIVANT』が本当に好きでよく観ています。ちょうど前日の日曜日にも放送があったので、その話題で応援席を盛り上げたいと思ったのがきっかけです。応援席にもドラマを観ている方が多いと思いましたし、その勢いを伝えることで、皆さんがより笑顔になり、雰囲気も盛り上がるのではないかと考えました。2回に1点を取っていたので、3回はさらに得点できるような勢いを生み出したいという思いで声をかけました。
ーー終盤のピンチで、応援席に向けて意識したこと
月曜日なので人出が少ないのではないかと心配していたのですが、本当に多くの方々がスタンドに駆けつけてくださいました。皆さんがしっかり声を出して応援してくださっていたので、その声は絶対にグラウンドの選手にも届いていると信じていました。だからこそ、応援席の皆さんにさらに声を出していただけるようなコールを意識しました。「せーの!」と声を合わせて選手の名前を呼ぶなど、応援席の皆さんと一体となって声を届けられたと思います。
ーー次戦への意気込み
明大は決して簡単に勝てる相手ではありません。春のリーグ戦でも月曜日の神宮までもつれ込む苦しい戦いになりました。まずは2連勝で勝ち点を決められるよう、しっかり準備したいです。1週間の空き週があるので、その間にチームの雰囲気を高め、初戦の初回から勢いを持ち込めるように全力を尽くします。
(取材、記事:竹腰環 取材:小野寺叶翔、神谷直樹)

