【ラグビー】被災地・石巻で魂のタックル連発! チーム一丸となりライバルを圧倒/早大戦

強いタックルにも動じない浦野

強いタックルにも動じない浦野 

 
 
 
 石巻で行われた早大との一戦。序盤から慶大が主導権を握り、先制に成功する。その後もFwdで押し切ってのトライや、Bksに展開してのトライが飛び出すなど、各選手が持てる力を出し切り早大を圧倒。7トライを挙げたほか、ディフェンスでもナイスタックルを連発し早大をわずか1トライに抑えた。43−5と「今季のベストゲーム」(浦野・政3)で白星を収めた。
 
交流戦 vs早大
6月2日(日)13:00K.O.@石巻市総合運動公園
  
得点
慶大
チーム
早大
前半
後半
 
前半
後半
PG
DG
17
26
小計
43
合計
 
得点者(慶大のみ)
T=大石、小山田、徳永、三谷、児玉、浦野2
G=宮川4 
 
出場選手
 
 
ポジション
 
 
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三谷俊介(総4・国学院久我山)
 
2.HO
中尾廣太朗(環4・長崎北)
→17.神谷哲平(総3・桐蔭学園)
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青木周大(商3・慶應)
→16.秋田智樹(総4・川越)
4.LO
小山田潤平(経3・慶應)
 
5.LO
野田一宇(商3・修猷館)
→18.定兼輝尚(経4・慶應)
6.FL
木原健裕(総3・本郷)
→19.大塚健太(環2・国学院久我山)
7.FL
徳永将(商2・慶應)
→21.佐藤龍羽(環4・茗溪学園)
8.NO8
森川翼(環3・桐蔭学園)
 
9.SH
南篤志(総2・清真学園)
→20.猪狩有智(経4・慶應志木)
10.SO
宮川尚之(環4・成蹊)
 
11.WTB
服部祐一郎(総3・国学院久我山)
 
12.CTB
石橋拓也(環3・小倉)
 
13.CTB
大石陽介(環4・修猷館)
 
14.WTB
浦野龍基(政3・慶應志木)
 
15.FB
児玉健太郎(環4・小倉)
→22.下川桂嗣(商3・修猷館)
 

南が攻撃のバリエーションを増やしている

南が攻撃のバリエーションを増やしている

 
 被災地・石巻で行われた伝統の一戦。会場となった石巻フットボール場は震災直後から自衛隊の活動拠点となっていたが、このたび改修工事を終え、グラウンドとしての利用が再開されることとなった。今回の早慶戦はその記念すべき第一歩目の試合として行われた。
 
 
 
 
 スタンドに多くの観衆が詰めかけるなか、慶大のキックオフで試合が幕を開けた。序盤から主導権を握ったのは慶大。早大がペナルティを犯す一方で、慶大はパスを回しながら着実にゲインしていく。敵陣深くでフェーズを重ね、最後は「両WTBがいつもトライをとってくれているので、相手のディフェンスがつられて、自分の前が空いたのが見えた」と、8分にCTB大石がトライを挙げた。5−0と先制に成功する。その後も攻めの手を緩めず、Fwdは早大相手にフィジカルで圧倒。23分には敵陣深くでのスクラムを起点にLO小山田がトライを挙げると、35分にはラインアウトからモールで押し込みFL徳永がトライを挙げた。ディフェンスでは各選手がすばやく反応し、低く泥くさいタックルを連発。完全に早大の足を止め無失点に抑える。17-0と早大を突き放して前半を終えた。
 
 

この日、独走トライを決めた児玉

この日、独走トライを決めた児玉

 
 後半も慶大の勢いは止まらない。後半5分にモールからPR三谷がトライを奪う。少しずつ早大も意地を見せ反撃にかかるも、9分にはターンオーバーからボールを受けたFB児玉が独走しトライ。29-0とする。このまま完封勝利かという期待も高まったが、終盤にかけ守りの時間が多くなり、19分にトライを献上してしまった。その後もマイボールラインアウトから流れを変えようとしても、ことごとくボールをとることができない。しかし「キャプテンの宮川を中心に声を出し、劣勢になってもまとまろうとしていた」(和田監督)と言うように、悪い流れを変えようと選手たちが再びディフェンスで奮起する。この日何度もナイスタックルを見せてきたCTB石橋が相手のミスを誘うと、その後のスクラムから右サイドのWTB浦野へとボールを展開しトライを奪う。浦野は持ち前のスピードを活かし、37分にもダメ押しのトライを挙げた。43-5としノーサイド。ライバル校相手に、結果のみならず「内容も伴った、次につながる非常にいい試合」(和田監督)となった。
 
 「ディフェンスがよく、タックルが本当に低く刺さったので勝利につながった」(宮川主将)。慶大の自慢であり、生命線でもあるディフェンスが見事に機能しての勝利だった。”魂のタックル”で幾度となくターンオーバーに成功するなど、ディフェンスから流れを変え、勝利をつかんだ試合と言えるだろう。もちろん今季の慶大の強みであるBksの決定力も存分に知らしめた。そしてそのBksを活かすため前半奮闘したFwdも、フィジカル面での成長を見せつける結果となった。メンタル面においても、主将宮川を中心に悪い流れを一丸となり打破する意識が芽生えており「徐々にチームとしてまとまってきている」(和田監督)。相手の早大は金や布巻といった主力を欠いた状態ではあったものの、各選手が持てる力を出し切り勝利を収めたことに対する価値は大きいはずだ。
 
 
 
 
【ケイスポ的MOM】WTBを活かす、トライの仕掛人 CTB大石陽介

攻守にわたり活躍した大石

攻守にわたり活躍した大石

 
 
 
 
 
 
 強力BK3を擁する今季の慶大。その決定力に目を奪われがちだが、その陰でトライのアシストのために体を張っているのが大石だ。縦方向へ力強いゲインを試み、相手を内側に寄せることで、サイドで余った両WTBに仕事をさせている。その一方で、WTBが警戒され厳しくマークされているときは、相手がWTBにつられて生まれたスペースを見逃さずに自らトライを奪いにいく。パワフルなゲインと、WTBを活かす視野の広さや判断力を併せ持つ大石が、慶大の決定力に磨きをかけている。
 
(記事・大貫 心明)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
コメント
 
和田 康二監督
選手が一生懸命いい動きをしてくれました。(どの辺りが一番良かったか)キャプテンの宮川中心に声も出ていましたし、早稲田相手に自分たちの力を発揮しようと言って臨みました。その通りのびのびと元気よくやってくれたと思います。(走る部分やディフェンスの部分は)それぞれ持ち味を持ったいい選手がいますので、自分の得意なプレー、得意な能力を発揮してくれればいい試合ができると思っていました。まだラインアウトや後半の20分から攻められてしまったことなど課題はありますが、一番は選手たちがチームとしてまとまって、試合中の声や、劣勢になってもまとまろうとすることなど、徐々にチームとしてまとまってきていると感じます。内容も伴った、次につながる非常にいい試合だったと思います。(石巻での早慶戦だったが)あくまで一大学の部活動でのラグビーですから、我々が元気を与えようとか、あんまり上から目線でというイメージはないですね。ただ少しでも役に立てるのであれば、今日試合を見てラグビー面白いなと思ってくれる子供が増えたりとか、ラグビーの普及に関われているのであればいいことだなと思います。(後半流れが悪くなったときに粘れたのは)早稲田の速い展開にがまんして、とにかく反則をしないようにだけ徹底していました。試合の中盤から終盤にかけても運動量やフィジカルでも当たり負けしなかったというのは収穫だったと思います。(早稲田にワンサイドでの勝利だが)向こうも飛車角抜きなので、今日の早稲田が本物だとは全く思っていません。とにかく自分たちのプレーにフォーカスして、それが結果的に早稲田相手にできたというのは選手には自信になったと思います。点差や勝敗に一喜一憂しても秋冬の勝負で勝たないと意味がないので、そこも選手たちと常々話していますが、今日の試合で自分たちが成長できたかという意味ではいいゲームだったと思います。
 
SO宮川 尚之主将
(今日の試合を振り返って)試合は入る前はディフェンスにフォーカスを置いて臨んだんですけどそれがうまくいっていい試合だったなと思います。(早稲田に勝ったのが2年ぶりということで感想は)これを自信にして、それでいてこの事実におごることなくこれからも精進していきたいと思います。(早慶戦ということでどういった気持ちで臨んだか)早慶戦だったんですけど、相手がどこの大学であろうと自分たちのラグビーをしようという形で臨みました。(具体的にプレーで心がけていたこと)まずは縦に縦に行くということを心掛けてそうするとだんだん相手が内側によって来るので、そしたらそこで回していこうという意識で臨みました。(コンバージョンキックの出来は)毎日練習しているんですけど、試合の中で疲れてくると制度が鈍ってきますし、均衡した試合では僕のキックが重要になってくるのでしっかりしなくてはいけないなと思っています。(ラインアウトの出来)そこは想定外だったのでしっかり日吉に帰ってなんで駄目だったのか話し合いたいと思います。(特によかったところは)ディフェンスがよかったと思っていてタックルが本当に低く刺さったので勝利につながったのかなと思います。(来週法大戦に向けて)早稲田大学との試合で後半相手ペースになってしまって自分たちの流れに持っていけなくなったところがあるのであとはラインアウトをしっかり修正してここからステップアップできるように法大戦に臨んでいきたいと思います。
 
FL徳永 将
(今日の試合を振り返って)前半はわりと慶應のペースでできたんですが、後半相手のペースになった時に乗せられてしまったのが次への課題かなと思います。2年ぶりの早大の勝利の感想)単純にうれしいです。(どういった気持ちで臨んだか)自分は早慶戦初めてなので自分からタックルとかで前に出てやるという気持ちで臨みました。あとは楽しむことを忘れずに頑張りました。(早大の印象)一人一人のスキルが高いなと思いました。秋はこれからどうなるかわからないし、秋に勝つのが目標なので自分がレギュラーに残って絶対に勝てるようにチーム作りをしていきたいなと思います。(Fwd全体の動きのできは)次に向けての課題と受け止めて頑張りたいと思います。(法大戦に向けて)次も絶対に勝って秋絶対に勝てるようにステップアップしていきたいと思います。
 
NO8森川 翼
(今日の試合を振り返って)Fwdはラインアウトでミスが多かったです。しかし、ディフェンスとアタックの両面で自分たちの目指すラグビーが出来ました。しかし、個人的にはアタックでしっかりとタックルを入られてしまったのが反省点です。(今日の試合に向けての意気込み)早慶戦なのでとにかく勝ちたかったですが、その中でも内容にもこだわりたかったです。(自身のプレーを振り返って)アタックの面で課題がありましたが、キック処理とかは上手く出来ました。(ディフェンスの安定が収穫か)はい、Fwdが順目にしっかり走れていたので数の面で優位に立てました。(Fwdが前半トライをとったことについて)Bksのゲインもありましたが、特にモールが良かったです。(今後に向けて)今日出てきた課題を修正して臨みたいです。
 
CTB大石 陽介
(試合を終えて)自分たちのやりたいことができました。順目順目にテンポよく攻めたらWTBでとりきることができたし、Fwdを起点に前半から縦に縦に攻めていけたのでよかったと思います。(慶大が序盤から流れをつかんだが、先制のトライを挙げて)外の二人がいつもトライをとってくれているので、相手のディフェンスがつられて、自分の前が空いて、ちゃんとそれが見えて行けたのでよかったです。(ディフェンスではナイスタックルが目立った)両CTBの石橋と声をかけながらやっているので、試合ごとにディフェンスも固くなって、入りやすい形をつくれているので、いいタックルができたと思います。(ここまで春のシーズンの成長を感じる点は)最初は隣が何をしたいか分からなかったんですけど、今は声をかけただけですぐに反応してくれるのでやりやすくなっています。(来週に向けて)法政大学戦でも自分たちのラグビーをして、自分自身は縦に強く、トライに結びつけるような力強いプレーをしたいと思います。
 
WTB浦野 龍基
(今日の試合を振り返って)課題は少しありますが、全体的に今季のベストゲームが出来ました。(今日の試合に向けての意気込み)チームとして最後の遠征を勝って終わるのか負けて終わるのかはとても大きいので勝って終わりたかったです。また、被災地で呼んでいただいて、早慶戦でしたし気持ちの入ったプレーをしたかったです。(自身のプレーを振り返って)サポートが積極的にできたこととFwdを動かしてディフェンスが機能したことは良かったです。しかし、後ろのスペースを埋めるといったところがまだまだ出来ていなかったです。まだまだ走れる場面が多々ありました。(トライシーンを振り返って)味方がチャンスを作ってくれたので、取りきれて良かったです。しかし、あそこで取りきれないようではAチームとして失格なのでプライドをかけてやっていきたいです。(今日の反省点)1つ1つのプレーの制度であったり、Bksのミスからピンチをつくり無失点に抑えられるはずがトライをとられてしまいました。全てこれらのことは気持ちでなんとかなりますので、しっかりと修正していきたいです。(今後に向けて)次の法大は今までやってきたことをやれば勝てる相手なのでこれまでやってきたことを出していきたいです。

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