【ラグビー】王者相手に奮闘も、最後引き離される/招待試合 帝京大戦

前半は、激しい雨が降り続いた

前半は、激しい雨が降り続いた

飯田市総合運動場にて、帝京大との招待試合が開催された。「打倒帝京」を掲げる慶大蹴球部。彼らにとってこの試合は招待試合といえども、今後の試金石となり得る重要な一戦だ。前半は雨が降りしきるなか行われ、No8岩本の先制トライ含む3トライを奪うなど健闘した。しかし雨が止んだ後半は帝京大のパワー、スピードに圧倒され最終的には22―52と、大差をつけられ敗戦。王者帝京大との距離を改めて感じさせられる結果となった。

 

 

 

招待試合 vs 帝京大

 

2015/6/21(日)12:00K.O.@飯田市総合運動場

 

得点
慶大 帝京大
前半 後半 前半 後半
PG
DG
17 小計 19 33
22 合計 52
 

得点者(慶大のみ)

 

T=鈴木、岩本、佐野2

 

G=青井

 

出場メンバー
ポジション 先発メンバー 交代選手
1.PR 堀切 厚輝(環3・國學院久我山) →17細田 隼都(商2・慶應)
2.HO 末永 晃二(商4・慶應) →16山田 康介(法4・流経大柏)
3.PR 出口 桂(商4・明善)
4.LO 佐藤 大樹(総2・桐蔭学園)
5.LO 松村 凜太郎(商2・慶應)
6.FL 廣川 翔也(環3・東福岡) →20徳永 将(商4・慶應)
7.FL 鈴木 達哉(環3・茗渓学園)
8.No8 岩本 龍人(政4・國學院久我山)
9.SH 中鉢 敦(経3・慶應)
10.SO 青井 郁也(商2・慶應)
11.WTB 清水 祐輔(環3・明和)
12.CTB 染原 健人(理3・修猷館)
13.CTB 田畑 万併(環4・桐蔭学園)
14.WTB 佐野 航太(政4・慶應)
15.FB 金澤 徹(商2・慶應)
 

 

 

長野県に位置する飯田市総合運動場で行われた帝京大との招待試合。慶大と帝京大、共にラグビーの名門校でハイレベルな試合展開が期待されたのか、会場は多くの観客で賑わった。しかし天気には恵まれず、試合は大粒の雨が降りしきるなか開始された。

 

気迫のこもったプレーを魅せる染原

気迫のこもったプレーを魅せる染原

先制点を奪ったのは慶大。前半3分、相手の反則から速攻を仕掛け、最後は密集からNo8岩本が飛び込み、トライに成功する。その後2トライを奪われ逆転を許すものの、「帝京大さんが自分のラグビーを出来ていなかった」(廣川)と振り返るように、降り続ける雨の影響で、帝京大はハンドリングエラーを重ね、良いリズムで攻撃をすることが出来ない。それに対して慶大は低く刺さるタックルを繰り返し、ターンオーバーに成功する場面が見られるなど、ディフェンスが機能。次第に試合の流れは慶大に傾く。23分、相手のペナルティをきっかけに帝京大陣地に侵入すると、マイボールラインアウトからモールを形成。そのまま押し込み、FL鈴木がグラウディング。屈強な帝京大FW相手に、慶大のパワーを見せつけた。そして30分、またも効果的なディフェンスでターンオーバーに成功すると、SO青井がハイパントを蹴り上げる。ボールは捕球されずそのまま地面に転がると、WTB佐野が素早く拾い上げ、相手ゴールに向かって猛ダッシュ。追いすがるディフェンス陣を振り切りトライ、スコアを17-12とし、見事逆転に成功する。リードを保ったままハーフタイムを迎えたい慶大だったが、34分にトライ、コンバージョンキックを決められ、再び逆転を許してしまう。それでも、2点差と勝利を十分に狙える位置につけ、前半を終了する。

 

金澤・佐野の連携が上手くいった

金澤・佐野の連携が上手くいった

後半に入ると、それまで降り続けていた雨がピタリと止む。「後半は入りで一本取ろうと」(佐野)前半同様、先制点で主導権を握りたい慶大だったが、天候が良くなったことで本来の力を発揮し始める帝京大の前に防戦一方となってしまう。FW陣を中心に粘りのディフェンスを継続していたものの、9分、スクラムから相手FLに抜け出されてしまいトライを決められる。これ以上は点差を広げられたくないところだったが、「コンタクトフィットネスなどで体力が削られてしまった」(岩本)ことで、前半繰り広げていた組織的な守りは影を潜め、次々とトライを決められてしまう。39分、FB金澤のビッグゲインから佐野がこの試合2トライ目となるトライを決めたが、後半に慶大が挙げた得点はこれだけ。結局22-55と30点差もの大差をつけられノーサイド。「打倒帝京」の夢は打ち砕かれてしまった。

 

 

雨に味方された面もあるが、前半は帝京大を十分に苦しめた。特筆すべきは春季大会では課題とされていたディフェンスの成長だ。低く刺さるタックルを繰り返し、ターンオーバーから得点に繋げる場面や、自陣深くまで攻めこまれても簡単にトライを許さず、相手のオフェンスファウルを誘う場面が見られた。だが後半引き離されてしまったように、このディフェンスを一試合通して出来なかったことは課題だ。それを克服するには、この夏で、スタミナ、基礎体力をどれだけ向上させられるかが鍵になるだろう。「打倒帝京」。その高い壁を乗り越えるために、慶大蹴球部は一つ一つ歩みを進めていく。

 

 

 

 

【ケイスポ的MOM】脅威の身体能力 FB金澤

華々しく復帰した金澤

華々しく復帰した金澤

後半終了間際、自陣深くでボールを持った金澤は「スピードでは負けない」とランプレイを選択。その言葉通り、驚くべき走力で見事ビッグゲインに成功しWTB佐野のトライに繋げた。身体能力の高さを買われ、去年の早慶戦では1年生ながらスタメンで出場するなど、周囲からの期待は高い。ところが今季は故障に見舞われ、「ほぼプレー出来なかった」という。そんな中でも「ウエイトは毎日欠かさずやった」と決して努力を怠ることはなかった。そういった日々の積み重ねが好結果を呼び込んだ。主将の矢川もその存在に一目置くほど、金澤の秘めるポテンシャルの大きさは計り知れない。「打倒帝京」を達成するためにはこの男のさらなる飛躍が不可欠だ。

 

 

(記事・小沢光市)

 

コメント

廣川翔也

(前半を振り返って)雨というのもあって、帝京大さんが自分のラグビーを出来ていなかったということがあって、慶大はそこに上手く入り込んで行けたという感じです。ブレイクダウンに成功したことが多かったのと、BKが大きくゲインしてくれたことも要因の一つです。(帝京大と戦った感想は)やっぱり強かったですが、ゲインできたシーンもありましたし、スクラムの重圧感も強く重かったですが、全く持って対応出来ないというわけではありませんでした。ただ、裏を突くプレーには圧倒されました。真っ向からぶつかるだけでなく、裏で取る技術もとても高かったです。勉強になりました。(後半を振り返って)前半の課題を修正されたことと、帝京大さんの一人ひとりの前に出る強さに押され負けました。(これまで課題としてきたDFの出来は)やはり回を重ねるごとに安定してきたと思います。今日は、いつもより抜かれるシーンは少なかったかなと思います。(関東大学ラグビーオールスターゲームに向けて)出場出来たら、勝利に貢献出来るように頑張ります!

鈴木達哉

(今日の試合を振り返って)前半は雨の影響もあって、向こうがボールを回さず蹴ってきてくれたおかげで、こっちも自分たちが練習してきたカウンターアタックとかディフェンスもうまく出来たのでよかったです。後半は向こうがボールを蹴ってこずに回してきたのと、あとはやっぱりフィジカルの差がだんだん出てきて、向こうのペースで試合をさせてしまったなという感じでした。(ご自身のトライシーンを振り返って)ボールを味方が上手く組んでくれて、味方のおかげでとれたトライだったと思います。(今年の帝京大の印象は)例年通り、強くて上手い、自分たちとしてはチャレンジしていく存在だなと思いました。(今日の自分たちのトライ数は予想通りか)チームとしてはいつも自分たちのラグビーをすることを目標としているので、トライ数は特に考えていなかったんですけど、自分たちのラグビーをした結果、このトライ数が生まれたのかなと思います。(次節は早慶戦だがどのような点にフォーカスしていきたいか)チームとしては春シーズンやってきたことをしっかり試合で出すということを目標にやっていきたいと思っていて。個人としては、やはりまずは試合に出れるように、出れたらラインブレイクとタックルの面でチームに貢献できるように頑張りたいです。

岩本龍人

(前半攻め込んでいた要因は)全員が低いタックルができていて前に持ち込めていたということが一番の要因なのかなと思います。(前半は激しい雨だったが)雨だとやることは多少変わると思うんですけど、キックを多く使ったりだとか。ただ僕らのラグビーとしての低いタックルで前に出ることとボール展開にしていくということはそこまで変わらないので問題はなかったです。(後半は圧されてしまったが)後半になってくるとコンタクトフィットネスなどで体力が削られてしまって受け身になってしまったのでそこは課題ですね。(ディフェンスを振り返って)特に前半はみんなで前に出て低いタックルができたので良かったです。ただ後半になるとそれを継続できないというところが僕らの課題だと思うのでしっかり秋に向けて練習したいと思います。(アタックでは人を余らせてゲインできたシーンもあったが)自陣からでもチャンスがあればボールをどんどん回していこうというスタンスなので、つらい時間帯でもみんなでボールを回してトライできました。(早大戦に向けて)自分たちのラグビーのスタイルとしての低いタックルとボールをどんどん動かして展開していくというラグビーを貫いて、春シーズンをいい形で終えられるように一丸となって頑張ります。

佐野航太

(今日の試合、前後半に分けて振り返って)前半は雨で相手の展開力がハンドリングミスによって無くなっていたところで、僕らも今日の試合前から言っていた前に出るディフェンスができたのでそこはある程度よかったと思います。後半は入りで一本取ろうとハーフタイムで話していたんですけど、ミスをつかれてしまってそこから失点してしまい、流れが相手に向いてしまったなと思います。天候が良くなって相手のハンドリングミスも減ってから、どんどん前に出られてしまった点は反省です。帝京戦は毎回後半の入りでやられてしまうので、そこの差をどう詰めていくのかを今後意識してやっていきたいです。(前半は押せ押せの展開となりましたが、その要因は)僕らの前に出るディフェンスが機能していたので、ターンオーバーしてそこから速いテンポで攻撃できていました。春からずっと意識していたことができたのでよかったと思います。(先制点を奪うなど、試合への入りが良かった)今シーズン一番意識している相手なので、最初に一発食らわせたいという全員の共通意識があったので、それが最初の先制トライにつながったと思います。(打倒帝京を掲げていますが、実際に戦ってみて)相手がフルメンバーでないこともあると思うんですが、昨年より少しは差を詰められていると思うので、これに甘んじず自分たちの日々の練習のレベルを上げて帝京よりいい練習をして毎日成長していきたいと思います。(佐野選手個人は、前後半共にランを生かした素晴らしいトライを決めた)一本目は(前半)は相手が見ていなかったということもあるんですけどそこをうまくついて、自分のスピードを生かしたランができたのでよかったです。後半も金沢に渡して、そこからつなぎでもらったボールをトライしたんですけど、一瞬のスピードをとても意識して今シーズン練習しているので、その中でトライをとるという結果を残せたのはよかったと思います。(この試合での収穫と課題は)収穫は春から取り組んできた前に出るディフェンスができたことです。課題は後半の入りの部分で受け身になってしまったところです。いかに自分たちのラグビーを最初からできるかというところを、僕ら4年生が声を出して意識させて修正していきます。(早慶戦に向けて)早稲田は特別な相手ですけど、春は慶應のスタイルのラグビーをしようと話をしているので、相手どうこうではなく、春やってきたことを出せるようにここから1週間練習していきたいです。絶対勝ちたいと思います。

 

金澤徹

(今日の試合を振り返って)慶應はチャレンジャーだという気持ちで臨んで、色々出来たことや出来なかったこともあったんですけど、今日出た課題を持ち帰って練習していきたいと思います。(前半を振り返って)雨が降っていたということにも助けられたんですけど、前半は相手の攻撃に対してうちのディフェンスがはまっていたので、後半ほど1対1の場面で抜かれてたりもせず、よく守れたと思います。(後半に得点を重ねられてしまった要因は)1対1で粘られたのと、相手のボールをつなぐ技術が上手かったことですね。あとはどんどんゲインされてディフェンスを崩されてしまいました。(先週の筑波大戦が復帰戦となったが、試合に出れない間はどのような練習を行っていたか)毎日ウエイトは欠かさずやっていました。フィットネスも2日に1回くらいはやっていました。(その成果は)リハビリ中も体重は落とさないようにと決めていたので、(成果は)少しはあったと思います。(後半には佐野選手のトライに繋がるランプレーがあった)相手の外の選手に対して、フィジカルでは負けていたんですけど、「スピードでは勝てる」と思っていて。もっと外に回していけば良かったかなと思います。(早大戦に向けて)来週はもっと外にボールを回して、勝負していきたいと思います。

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