関東リーグも残り2試合となり、1部昇格を目指す上で勝利が絶対条件となる慶大は今節、日本航空高と対戦した。慶大は序盤からボールを支配し、攻撃的な姿勢を見せる。すると、開始早々の8分に左サイドバックを務める佐藤幸恵(総1・十文字高)のリーグ戦初ゴールで先制に成功。42分には右サイドバックの足立智佳(環1・大阪桐蔭高)もゴールを決め、前半を2-0で折り返す。後半こそ相手の反撃を受けたものの、62分には松木里緒(環2・常盤木学園高)、63分には再び佐藤のゴールで立て続けに追加点を獲得。無失点で最後まで守りきり、次週より開幕する大学リーグに向けて弾みをつけた。
第23回関東女子サッカー2部リーグ 後期第2節
2017/8/27(日)15:30KO@慶應義塾下田グラウンド
慶應義塾大学4-0日本航空高校
【得点者(アシスト者)】
〔慶〕8分 佐藤幸恵(鈴木紗理)、42分 足立智佳、62分 松木里緒(勝木日南子)、63分 佐藤幸恵(小川愛)
〔日〕
◇慶大出場選手
GK野村智美(総4・作陽高) |
DF佐藤幸恵(総1・十文字高)→79分 齋藤宇乃(理4・慶應義塾湘南藤沢高) |
DF加藤楓琳(総2・常盤木学園高) |
DF熊谷明奈(総1・十文字高)→58分 奥本くるみ(環2・浦和レッズレディースユース) |
DF足立智佳(環1・大阪桐蔭高) |
MF松木里緒(環2・常盤木学園高) |
MF中島菜々子(総3・十文字高)→79分 石川結菜(総1・静岡高) |
MF鈴木紗理(総1・十文字高) |
MF小川愛(総1・神村学園高) |
FW山本華乃(理1・山手学院高)→81分 内山純(薬2・吉祥女子高) |
FW志鎌奈津美(環3・常盤木学園高)→46分 勝木日南子(総2・大和高) |
前の試合では、尚美学園大相手に力負けを喫した慶大。現在関東リーグ3位と昇格のために勝利が必要不可欠となるなか、今節の日本航空高戦を迎えた。引き続き主力の工藤真子(総2・日テレ・メニーナ)がユニバーシアード日本女子代表に帯同中で不在の中、熊谷明奈(総1・十文字高)と山本華乃(理1・山手学院高)がスタメンに入り、1年生が半数以上を占めるメンバーで勝利を目指す。
前期対戦時、慶大は日本航空高の極端な守備に苦しみ、試合を思うように運ぶことができなかった。しかし、今節の相手は序盤から高い位置で攻撃姿勢を取る。引いてくるという予想は覆されたものの、「やることは変わらない」(足立)と慶大はビルドアップを中心に落ち着いて主導権を握っていく。すると8分、左サイドでスルーパスを受けた佐藤幸恵(総1・十文字高)が切り返しからニアサイドに鋭いシュートを突き刺し、さっそく先制に成功した。この日抜群のキレを見せた佐藤のリーグ戦初ゴールを機に、攻撃に勢いがついた慶大。佐藤、足立智佳(環1・大阪桐蔭高)の両サイドバックが積極的に前線に絡み、ワイドかつ柔軟なボール裁きでリズムを作る。そして42分、右サイドの高い位置でボールを奪った足立が自らシュートを蹴り込み、点差を2点に。個人技が光る2得点でリードし、前半を折り返した。
後半、慶大は志鎌奈津美(環3・常盤木学園高)に代えて勝木日南子(総2・大和高)を投入。序盤こそ相手の反撃が熱を帯び、GK野村智美(総4・作陽高)の出番が増えるものの、迅速なカバーで対応していく。59分には負傷した熊谷に代えて奥本くるみ(環2・浦和レッズレディースユース)が投入されるが、前線の攻撃とうまく噛み合わせることができない。しかし62分、再び決定機は訪れる。PA付近から勝木がシュートを放つと、こぼれ球を松木里緒(環2・常盤木学園高)が決め、追加点を挙げる。直後の64分には右からのクロスが逆サイドに流れたところを上がってきた佐藤がボレーシュートで合わせてこの日2点目。ゴールラッシュで相手を大きく突き放すと、慶大は安定感を取り戻し、その後もチャンスを量産する。終盤は相手にゴールを脅かされる場面も見られたが、野村を中心に最後まで失点を許さず試合終了。大量得点・無失点での完勝となった。
前節、黒星を喫したことで1部昇格が厳しい状況となった慶大だが、今節の4得点での勝利は昇格争いの上で価値あるものとなった。12月の関東リーグ最終節までは期間が空くが、9月3日にはいよいよ第31回関東大学女子サッカー2部リーグ(通称:大学リーグ)の開幕を迎える。「大学リーグで1部に昇格することが自分たちの最大目標であり使命」(野村)。今節の勝利を弾みとして、その目標に向かって大きく羽ばたいてほしい。
(記事 髙橋春乃)
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試合後コメント
伊藤洋平監督
(試合を振り返って)大学リーグが始まる1週間前の公式戦で無失点で大勝できたのが良かったかなと思います。(前期対戦時はかなり引いて守られて苦戦したが、今日は異なる戦い方をしてきた)監督が代わっていたんですね、先方の。知ってはいたんですけど、まあどういうサッカーをしてくるかは分からないんで、とりあえず前期のサッカーに対する対策というのを今週はやってきました。(両サイドバックがかなり高い位置を取っていたが)引いてくるんで、相手の5-4-1のウイングバックを引っ張ろうという役割でそういう形になったんですけど、まあ結果的に相手にとっても嫌なポジションだったのかなと思います。(その両サイドバックが4点中3点を挙げる活躍)そうですね、そのポジションが高いことが結果につながったのかなと思います。(今日は試合開始から前線に山本選手と志鎌選手を配置したが、今後のオプションとしても考えられる起用か)そうですね、FWが3人、4人いる中で、まあ組み合わせの問題もありますけど、その週に良いコンディションで戦えている選手を使っていきたいと思うんで、競争も増えてきたし良い状態だと思います。みんなも。(ビルドアップの場面ではまだ不用意なミスも見られた)良くなってきてはいるんですけど、まだやっちゃいけないミスがあるんで。やり続けることですね。(ボランチの鈴木選手が今日はすごくやりやすそうにプレーしていたがその辺りは修正したところか)そうですね、ボランチの2人の位置を微調整して徐々には良くなってきていると思います。(大学リーグ開幕に向けて)今シーズンの2つの大きな目標のうちの1つである「大学リーグ1部昇格」に向けた戦いがまもなく来週から始まるので、一戦一戦本当に最後の試合のつもりで、必ず昇格したいと思います。応援よろしくお願いします。
野村智美(総4・作陽高)主将
(試合を振り返って)大学リーグを1週間後に控えた中で、チームとしてもそこを見据えて勢いに乗っていこうという試合だったのが結果にはしっかり現れたのかなっていうのがあって、でもその中でもっと突き詰められるところとか合わせられることはまだまだあったので、まずは無失点で勝てて良かったなというのはあるんですけど、もっともっと精度を上げていかないとなという印象です。(前期対戦時に引いてきた相手に対してどのような狙いで臨んだか)前期は結構前だったので、引いてくるパターンもありつつどう出てくるかはわからないっていうのがチームとしての読みで、その中で自分たちはしっかり下から作って攻撃の形を作っていこうというのを徹底してやっていたので、相手がどうくるか以上に自分たちのやりたいことをしっかりできるようなゲーム運びをしようと入って、それは結構形として現れたかなという感じです。(ディフェンスラインをかなり高く取っていたが)両サイドバックが高い位置に行けるのはうちの強みで、両サイド2人の良いところでもあるんですけど、それを序盤でしっかり得点という結果で示してくれて、だからこそ後ろが多少のリスクを負ってでも前に枚数をかけようとか強気で行こうっていうのはチームで最近ずっと思っていたことで、それがこの試合でできたのはすごく大学リーグにもつながるかなというふうに感じています。(後半は前半に比べGKとしての出番が多かった)後半、自分たちも交代選手を切った中でかなりバタついてしまうシーンが多くて、でもその中で優先順位、ゴールから守っていくこととかの共通理解はすごく持てていたので、奪われた直後とかは結構バタついていたんですけど、最後シュートを打たれる場面までには落ち着いて対処できたかなという感じです。(次の試合に向けて)関東リーグは12月までまた期間が空くので、そこは大学リーグを通して成長した結果を関東リーグにつなげたいなと思っていて、それよりまず来週に始まる大学リーグで1部に昇格することが自分たちの最大目標であり使命だと思うので、一戦一戦の勝ち点を積み重ねて最後の結果に結びつけていきたいなと思っています。
佐藤幸恵(総1・十文字高)
(試合を振り返って)前節負けてしまって、1部昇格が本当に厳しくなってしまった状況で、みんなで気持ちを一つにして勝てたのはすごく良かったと思います。(2得点について)慶應のサッカーは右で作って左へ大きく展開という形が多くて、(鈴木)紗理は左足で飛ばしてくれるし、(中島)菜々子先輩もよくこっちを見てくれるので、練習でもサイドバックは幅をとって大きく展開されるのを待って、ボールが来たら確実に点に絡もうと決めていました。(今日は右サイドバックもかなり高い位置をとっていたが、押している試合では今日くらいガンガンいくのが理想か)前節の日本航空との試合を分析したとき、日本航空が引いて守る形だったので、今回はサイドを幅広く使おうとしていました。相手の監督が代わっていたみたいなんですけど、結果的にうまく練習でやったことが出せて良かったなと思います。(次節に向けて)次節は絶対に勝たなきゃいけないと思うので、次節もどんどん得点に絡んでいけるように頑張ります。
足立智佳(環1・大阪桐蔭高)
(試合を振り返って)今日は大学リーグの前の最後の試合だったので絶対に勝って終わらないといけないと思っていましたし、大学リーグに弾みのつく試合にしたいとは思っていました。(相手が前から来るというのは想定していたのか)今週の練習は引いてくるという想定でやっていたんですけど、相手のアップの様子とかから試合直前に前から来るかもしれないという話はしていました。(その中で前半うまく戦えた要因は)今週は相手が引いてくる想定で練習をしていたんですけど、相手が前から来ても引いてきても、やることは変わらないので、そこをチーム全体でブレずにやれたことが得点につながったと思います。(足立選手自身も今日は得点したが)今日は早い時間に点が取れれば楽になると分かっていたので、ディフェンスラインからもどんどん点に絡みたいと考えていました。(自身でボールを奪ってからのゴールだったが、自分で打とうと決めていたのか)角度的にクロスもあったんですけど、GKの位置を見て打とうと思いました。(同じサイドバックの佐藤選手が得点している中で意識していた部分はあったか)ありました(笑)。同じサイドバックですし自分も行こうと思いました。(次の試合に向けて)大学リーグは一つ一つ絶対に落とせないですし、今日の試合でもまだミスが目立っている場面もあって、大学リーグではその一つのミスで結果も変わってくると思うので、本当に一つ一つのプレーに神経を使って本当に全員で勝ちに行かないといけないなと思います。