【テニス(女子)】悔しい敗戦も、「前を向いて」/第100回早慶対抗庭球試合

両校の意地とプライドを懸けて戦う早慶対抗試合。今年で記念すべき100回目を迎えるは、慶大のホーム・日吉蝮谷コートで行われた。昨年の早慶戦では1―6で敗戦し、力の差を見せつけられた慶大。今年はシングルス・ダブルスで計4人の1年を起用し、フレッシュな顔ぶれで伝統の一戦に臨んだ。

慶大

 

早大

D1 ●押野・西田

1{4-6,6-3,3-6}2

上・大矢

D2 ○黒須・末野

2{6-2,6-4}0

大河・清水

S1  ●押野

0{2-6,6-7}2

清水

S2 ●黒須

0{2-6,1-6}2

S3 ○西田

2{6-3,6-7,6-1}1

大河

S4 ●末野

1{6-3,0-6,2-6}2

大矢

S5 ●平田

1{7-5,1-6,1-6}2

田中

合計       2

5

第100回早慶対抗庭球試合@慶応義塾大学蝮谷テニスコート

2018年5月12日・13日

 

D2黒須/末野

2{6-2,6-4}0

大河/清水


D2に大抜擢されたのは、黒須万里奈(環1・山村学園)・末野聡子(総1・芦屋学園)の1年コンビ。初々しい印象とは裏腹に、積極的なポーチなどでブレイクを重ね、試合を優位に進めていく。6-2で第1セットを奪うと、第2セットでは互いにサービスキープが続く。試合が動いたのは第7ゲーム目。巻き返しを狙う相手より先に攻撃を仕掛け、ブレイクに成功。そのまま黒須のボレーエースなどでポイントを重ね、6-4で第2セットも奪い取った。初めての早慶戦という舞台に臆することなく、慶大に1勝をもたらした。

 

D●押野/西田

1{4-6,6-3,3‐6}2

上/大矢


「4年がチームを引っ張る」(押野)。そう意気込んで臨んだのは押野紗穂主将(環4・つくば国際大学東風)・西田奈生副将(総4・済美)の4年ダブルス。一方早大からも主将・副将ペアが送り込まれ、チームを背負う最上級生らの意地の戦いが始まった。第1セットを4-6で奪われた押野・西田だが、第2セットは流れを掴み、6-3で取り返す。勝負のファイナルセット、隣のD2勝利の波に乗りたいところであったが、相手のボレーに崩されてなかなかゲームを奪えない。2-5の局面では西田がサービスエースを決め、なんとかゲームを繋ぐも最後は早大主将のボレーを食らい、3-6で試合終了。主将・副将対決は早大に軍配が上がり、1-1で初日のダブルス戦を終えた。

 

S●平田歩

1{7-5,1-6,1‐6}2

田中李佳


イーブンで迎えたシングルス戦。S5を託されたのは高校3年次にインターハイ女子シングルス優勝の戦績を持つ平田歩(総1・岡山学芸館)だ。1年同士の新戦力対決となった試合は、両者粘り強いラリーを続け、シーソーゲームを展開させる。第1セット終盤、平田のストロークが冴え、7-5で1セット目を手にした。しかし、続く第2セットでは本調子を出し始めた相手を前に先にミスを連発。ラリーで相手に動かされ、主導権を握れないままに第2、第3セットと取られ、無念にも1-2で敗戦した。

 

S●末野聡子

1{6-3,0-6,2‐6}2

大矢希


前日、黒須とのダブルスで一勝を挙げた末野は、S4で早大主将と対戦した。絶好調の末野は出だしの相手サービスゲームからブレイクに成功。積極的に前へ詰めていき、第7ゲーム目の長いデュースを勝ち取ると、見事6-3で第1セットを奪った。しかし、第2セットでは流れが逆転。相手選手のコースを突くショットに足が追い付かず、0-6で落としてしまう。追い込まれたファイナルセット。ラリーを繋げ、少しずつ調子を取り戻そうと健闘する末野だが、場数を踏んだ最上級生の体力に打ち勝てず。最後はエースを決めこまれ、シングルスでの一勝を挙げることはできなかった。

 

S西田名奈生

2{6-3,6-7,6‐1}1

大河真由


敗戦の続くシングルスで白星を持ち帰ったのは、最上級生の西田だ。持ち前のストローク力でラリー戦を制し、6-3で第1セットを奪い取る。続く第2セットは互いに一歩も譲らずタイブレークに突入。1ポイント目をフォアハンドエースで奪い取るも、ダブルフォルトなどの自責点を重ねてしまい、あと一歩のところでこのセットを落としてしまう。しかし、ファイナルセットは西田が果敢に前へと攻めていき6-1で相手選手を撃破。4年の意地を見せつけ、貴重な勝ち点をもぎ取った。

 

S●黒須万里奈

0{2-6,1-6}2

上唯希


1年ながらS2を託された黒須。ダブルスでの勝利の波に乗りたいところであるが、相手の鋭いサーブに苦しめられ、序盤から打ち込まれる場面が続く。負けじと粘り強くボールを拾いにいく黒須だったが、相手のハードアタックと巧みなドロップショットを前に力及ばす。ストレートでセットを奪われ、白星を勝ち取ることはできなかった。

 

S●押野紗穂

0{2-6,6-7}2

清水映里


女子シングルス、最後の砦となったのは主将・押野。部員全員の思いを背負い挑んだ一戦だったが、序盤から相手の力強いショットに押され、なかなかゲームを奪えない。持ち味である積極的なプレースタイルを封じられ、第1セットを2-6で終える。しかしここで押野が主将の底力を発揮させる。第2セットではエースを決めていき、相手選手から4ゲームを奪い取る。「4-1の後のゲームをしっかり踏ん張れていれば」そう振り返るよう、ファイナルセットへ持ち込みたいところであったが、巻き返しを図る相手選手に引きずられ、気づけば試合はタイブレークに。ラストは相手のストロークが光り、惜しくもこのセットを落とし、敗北を喫した。記念すべき第100回女子早慶戦は、ダブルス1-1、シングルス1-4、総じて2-5と早大の勝利で幕を閉じた。

 

昨年までの団体戦メンバーをガラリと変え、7本中4本に1年選手を置く新たな顔ぶれで臨んだ今回の早慶戦。歴史の節目となる第100回大会での勝利は叶わなかったものの、近年0-2で落としてしまう初日のダブルスで1勝をもぎ取ったことは大きな収穫である。黒須・末野のルーキーコンビの活躍であることも着目したい。次の団体戦は秋のリーグ戦、個々の力を磨き、一段と実力をあげたチームに期待が懸かる。目標の王座に向け、「前を向いて」(押野)進化を続けてほしい。

 

(記事:堀口綾乃、写真:内田貴啓)

 

押野紗穂(環4・つくば国際大学東風)

――まずは昨日のダブルスを振り返って

まず自分たちの試合から言うと、ペアの西田(奈生=総4・済美)は私の唯一の女子の同期なので、今回(ペアを)組めて自覚をもってプレーできたというか、「4年がチームを引っ張るぞ」という思いで戦えた試合だったと思います。それでも負けてしまってすごく悔しいです。でも課題はたくさん見えて、そこを潰していきますが、その中で手応えというのもあって、それは自信にして、変わらなきゃいけない部分で変わって、リーグや夏で結果を変えられるようにしよう、というポジティブなイメージが今あります。D2は1年ペアだったんですけど、本当にフレッシュな気持ちで思い切ってやってくれて、しかも1本取ってくれたので。ここ2年ぐらい、早大と団体戦で試合したときは0-2スタートが多かったんですけど、今回は1-1がついて、そういう少しずつ変わってきたものを次のリーグでは2-0にできるよう、またさらにチーム全体で変わっていきたいと思います。

――次に本日行われたシングルスについて。

昨日のダブルスを1-1で終えて、イーブンでスタートしたんですけど、S5とS4は共に1年が入って、2人ともファーストはすごく良いプレーをしていて、流れというものもあったんですけど、やっぱり1年が下位で出たときに、重圧というか、そこら辺をもっと自分が伝えられることもあったんじゃないかと思って。すごく実力のある1年の2人だったので、負けてしまったけど、今回の早慶戦で大学の団体戦を経験できたのはすごくアドバンテージだと思うのでその経験を繋げてほしいと思います。S3の西田は、本当に気迫のこもったプレーで唯一シングルスを勝利してくれて、同期は2人しかいないので、この2人が絶対に勝つという思いでそれを体現してくれたかなと思います。S2はこれもまた1年で、初めての早慶戦だったのであまり上手くいかなかった部分もあったと思うんですけど、自分でやると決めたことはしっかりと決めてくれたと思うので、また繋げてほしいです。で、最後に自分なんですけど、本当に勝たなきゃいけなかったと思っています。でも負けてしまって、全体的にはセカンドの4-1の後のゲームをしっかり踏ん張れていれば、セカンドをしっかり取ってサードセットという形にできたんですけど、そこを締められなくてズルズルいってしまったのが今日の敗因だと思っています。もっと自分の持ち味をこれから出して行かないといけないので、練習とトレーニングとかで今日の結果を変えたいと思います。

――昨年までと団体戦メンバーをガラッと変えて挑まれましたが

1年は正直結果を求めているわけではなくて、結果は上級生が残して、1年は思い切りやって欲しいという思いで挑みました。今回いつも出ていた選手、向井だったり城間だったり、ダブルスだったら中村、大村だったりが、出られなかった悔しさをぶつけて欲しいと思っています。今言ったメンツも十分に戦えるメンツで、このチームの競争力を高めてやっていくことがすごく必要だと思っています。今日出ていたからずっと出られるというわけではないですし、チーム内の競争力を高めてやっていきたいです。

――今回はホームでの開催となりましたが、力になったことはありますか

すごく力になりましたね。やっぱりOB・OGの方がすごく応援してくださっていて、力になったという言葉に尽きます。ホームで第100回目の早慶戦を迎えられたことは、自分の中でも貴重な体験だったと思います。

――次の団体戦は秋のリーグ戦になりますが、それに向けて

今回負けた選手も勝った選手も、それぞれの課題が見えたと思うので、そこを絶対に潰すということ。それから全体では、今日負けて危機感や手応えがあると思うんですけど、今日の悔しさを絶対に忘れないで、練習でも気を引き締めた練習を続けていくことが大事だと思うので、前を向いてやっていこうと思います。

 

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