【應援指導部】応援の力で優勝へ 夏を越えてさらなる進化を見せる/秋季リーグ戦前 総合練習

應援指導部

明日から始まる野球の東京六大学リーグ戦に向け、今季もチアリーディング部・吹奏楽団の両部門が集まる総合練習が行われた。春季リーグ戦からの変更点を共有するとともに夏の合宿を踏まえて一段とパワーアップした応援を作り上げた。

 

4年生にとってはラストシーズンの開幕。今までやってきたことを全力で発揮すると同時に、3年生以下は「これまで上級生がやってきたことをできるように」(野球サブ=野球応援担当Sさん)という一層の成長が求められる秋が始まった。

まずは回曲や「チア曲」と呼ばれる曲の練習から行ったが、部門内での動きは完璧。総合練習ではテンポや終わりの部分を課題に挙げた。実際、「チア曲」では最後の小節の微調整が行われ、チアリーディング部員も好反応を見せていた。リーグ戦では5回に行われる「チア曲」は毎試合観客を楽しませている。リーグ戦応援時の注目ポイントの一つである。

練習を取りまとめたSさん

今季からは、守備時に相手の犠打などで走者が進んだ場合には「がんばれがんばれ○○」という掛け声に変更することになった。アウトを取ったから「いいぞいいぞ」ではなく、実際には犠打で進塁していることを踏まえ、状況に応じて選択肢を増やすようにしたという。應援指導部は攻撃時だけでなく守備時の掛け声をとても大切にしている。「守備では守ることしかできないので、ここをどう盛り上げるかが重要。レパートリーを探しながら練習をしている」(1年部員)。応援席に来たら守備時の掛け声にも耳を傾けてみるとさらに楽しめるだろう。

 

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試合想定練習に入る前には、応援企画責任者のMさんから「応援席の主体は観客であるということを念頭に置き、誘導からしっかり考えること」とあり、応援席内での應援指導部の存在について意識する必要があることを部員と共有した。そして夏合宿から取り組んできた観客側の視点に立つ練習の成果を発揮し、「観客が(応援歌を)歌いやすくする」という目的を持って応援指導に臨んだ。総合練習は「夏合宿を蘇らせて、アウトプットする場」とMさん。初戦から最大限のパフォーマンスをするために、試合想定練習が始まった。

今までの練習の成果をアウトプットする場として臨んだ

春季は月曜日(第3戦)までもつれることが多かったため、今季は日曜日で決着を付けるという意味も込めて、日曜日を想定した練習を1回・3回・7回・9回と行った。3回には吹奏楽団の部員を含めて、全員が「平サブ」という観客に直接応援を指導する役割を担う場面も見られた。夏合宿から取り組んできたことの一つで、全員が平サブもできるという高い意識を持っている。それでも9回が始まる前には野球サブのKさんから、「執念が感じられない」という厳しい言葉も飛んだ。ただ「正しく」踊ったり演奏したりすることが目的ではない。観客を巻き込んで盛り上がってもらい、それを野球部の勝利につなげるための應援指導部。そんな強い思いを感じさせられた瞬間だった。3年生のSさんは「自分で定めた上限を取っ払う」と臨んだ9回の長い攻撃。Kさんの言葉に奮起した部員たちは、動作や演奏の正確さだけでない、そばにいる人を引き付けるような声と音と踊りを披露した。

吹奏楽団も観客へ直接応援指導する場面を想定

今回の総合練習では、以前より観客を巻き込むことや応援指導をすることをさらに意識していた。それは上級生だけでなく全部員に備わっている。「観客の方に応援にのっていただけるようにしていきたい」(1年部員)。メイン台に観客の視線を向けさせるにはどうすれば良いか、初めて神宮球場に来た人にも応援してもらうにはどうすれば良いか、観客に歌詞や動きを分かりやすく伝えるためにはどうすれば良いか。應援指導部員だけが応援するよりも、観客と一体となって応援することの大切さ、楽しさ、パワーの大きさはコロナ禍で部員たちが一番実感していることだろう。そして甲子園での慶應高の応援を見た人・体感した人も同じことを思ったはずだ。野球サブのTさんは「慶應の応援には引力がある」と表現した。執念を燃やして応援をつくり上げる部員の本気の姿は、人々や勝利を引き寄せる力がある。今季こそ優勝へ。慶大最大の武器は、応援席に足を運ぶ一人一人の存在である。

 

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(記事:長沢美伸、取材:岡澤侑祐、酒井里彩、工藤佑太、岩切太志)

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