【体育研究所】「体育・スポーツを通じた塾風の涵養」 体育研究のプロたちが目指すもの/体育研究所特集 #1体育研究所とは

大学関連

 慶應義塾大学体育研究所を特集した3本立てのシリーズ。今回は第1弾。体育研究所について、歴史と概要、そして所員が掲げる目標を深掘りする。

 

【体育研究所の歴史】

 体育研究所は、1961年(昭和36年)に発足し、同年に研究所規程が制定されるとともに、所長を中心とした教授・助教授・専任講師・助手からなる教員組織が整備された。創設当初より、大学における体育実技教育の充実と体育・スポーツに関する学術研究の推進を目的とし、教育と研究の両面を担う中核的機関として位置づけられている。この時期には、組織基盤の確立とともに、体育教育の体系化および研究体制の整備が進められた。

 1960年代には、日本体育学会大会の開催などを通じて学術的機能を強化するとともに、水球専用プールの増設など施設整備も進められた。また、文部省補助による計算機の導入や基礎体力研究室の設置により、研究の科学化・高度化が進展した。さらに、兼任教員の多さに起因する運営上の課題に対応するため、運営体制の見直しが図られ、組織運営の安定化が進められた。教育面においても、講義内容の高度化や授業改善が進み、多様化する学生ニーズに対応する体制が整備された。

 1970年代には、教育制度の見直しと組織再編が進み、特別講義の廃止などカリキュラムの再構築が行われた。1974年には体育研究所棟の新築工事が着工され、1975年の完成により、教育・研究の拠点としての機能が大きく強化された。これにより、研究環境および教育環境は飛躍的に向上し、活動基盤の強化が図られた。

 1980年代から1990年代にかけては、活動の領域が学内にとどまらず、社会との連携へと拡大した。横浜市民講座などの公開講座を通じた地域社会への知的還元が進められたほか、スポーツイベントの開催や課外活動支援など、学生生活の充実に資する取り組みも活発化した。また、1993年には保健体育科目が必修から選択へと移行するなど、大学教育制度の変化に対応した教育内容の再編が行われた。さらに、トレーニングルームや各種運動教室の整備により、実践的な体育教育および健康支援機能も強化された。

 2000年代以降は、プロジェクト型研究の推進により研究活動の体系化と高度化が図られ、その成果は研究報告書として公表された。また、スポーツセンター構想の具体化や施設再編が進められ、2005年前後には施設の移転・再整備が行われた。これに伴い、屋外プールの廃止やスポーツ棟への機能集約など、時代の要請に応じた施設運用が展開された。さらに、プロスポーツクラブとの連携など外部機関との協働も進展し、実践的な教育・研究活動が拡充された。

 2010年前後には、スポーツ医学研究センターや健康マネジメント研究科等との連携により、教育・研究・医科学の融合が一層進展した。公開講座や市民向けプログラムも継続的に実施され、地域社会への貢献機能が強化されている。

 その後、基盤研究プロジェクトが本格的に始動し、体育・スポーツをめぐる現代的課題に対して組織的かつ体系的に取り組む体制が構築された。これにより、個々の教員による研究から、研究所全体として方向性を共有した研究推進へと移行し、大学体育の意義や役割、地域社会との関係性に関する理論的・実証的研究が進展した。加えて、スポーツ科学・健康科学・医科学との連携により、運動・健康・パフォーマンスに関する学際的研究が展開されている。

 教育面では、多様な学生ニーズに対応した体育科目の充実や多キャンパスでの授業展開が進められるとともに、体育会活動支援や課外活動との連携も強化されている。また、学生の健康増進および生涯スポーツ意識の醸成を目的とした教育内容の改善が継続的に行われている。さらに、一貫教育校との連携も視野に入れた教育活動が推進され、大学体育の役割がより広い教育体系の中で再定義されている。

 スポーツ振興を含めた社会連携の面では、公開講座や市民講座を通じて地域社会への知的還元が継続的に行われており、中高年層を含む一般市民に対する健康づくりや運動指導の機会が提供されている。また、スポーツイベントの企画・運営や施設活用を通じて、地域との交流およびスポーツ振興にも寄与している。

 さらに、スポーツ医学研究センターや健康マネジメント研究科等との連携も再考され、教育・研究・実践を結びつけた取り組みが進展し、スポーツを科学的に捉える体制が強化された。近年ではデータ活用やトレーニング科学の発展を背景に、より高度かつ実践的な研究・教育が可能となっている。

 以上のように、体育研究所は機能の再編と高度化を重ねながら、教育・研究・社会貢献を三本柱とする総合的なスポーツ拠点へと発展してきた。従来の体育教育機関としての役割を基盤としつつ、現代社会の要請に応じた新たな価値創出を担う組織として、その機能を拡張し続けている。

(文は体育研究所提供)

 

 以上が体育研究所の歴史となる。現在は教育・研究・スポーツ振興の3つの理念を掲げ、塾内にとどまらず社会のスポーツ発展に貢献している。特筆すべきは、他の大学では複数機関にまたがって行われることが多い教育・研究・スポーツ振興を1つの機関が担っていることだと所員は話す。

取材に応じてくれた須田芳正所長

 体育研究所の目標については、授業の実施で「人間関係づくりのきっかけをつくる」ことだと語る。

矢作拓也所員

梅本雅之所員

 また、「体育・スポーツを通じた塾風の涵養」を掲げ、授業履修者の早慶戦観戦や、授業を通して慶應義塾の校風(=塾風)が浸透することにも期待を寄せている。

林卓史所員

 小泉信三元塾長は『スポーツが与える三つの宝』について説いた。一つは、『練習ハ不可能ヲ可能ニス』の精神を体得できること。もう一つは、『フェアプレーの精神』を学べること。そして最後は、『友』を手に入れられることであると。塾生がスポーツによって『友』を手にし、人と人とのつながりが広がっていくことを、体育研究所は思い描いている。

 

第2弾はこちらのリンクからお読みください!:【体育研究所】この春履修すべき塾生におすすめの体育授業を紹介/体育研究所特集 #2教育編 | KEIO SPORTS PRESS

第3弾はこちらのリンクからお読みください!:【体育研究所】所員と研究内容 スポーツ振興の活動を紹介/体育研究所特集 #3研究・スポーツ振興編 | KEIO SPORTS PRESS

体育研究所リンク:慶應義塾大学体育研究所 – Keio University Institute of Physical Education

 

(取材:柄澤晃希、蕭敏星)

タイトルとURLをコピーしました