慶大は大会3日目の2部決勝で法大に3―4で惜敗すると、直後の1部・2部入れ替え戦で専大に敗れ、1部昇格を逃した。
24年からの2部2連覇が途絶え、入れ替え戦は3年連続の敗戦でまたしても苦杯を嘗めた。
2026年6月18日 @東京・駒沢オリンピック公園総合運動場体育館
東京都知事杯 令和8年度 東日本学生レスリングリーグ戦
※試合は全て男子フリースタイル、7つの階級に分かれた団体戦で、4勝以上したチームが勝利となる。階級順は各試合前にくじ引きで決める。
※スコアは慶大選手を左、相手選手を右で掲載しています。
【2部リーグ決勝】
慶應義塾大学3-4法政大学
70㌔級
近藤大朗[VSU 4:13=0-10]田中宏尚
50-57㌔級
[VFO]中西真大
86-125㌔級
佐藤秀一郎[VPO 6:00=4-5]矢作元貴
61㌔級
菅原大志[VPO 6:00=7-1]工藤真之祐
65㌔級
髙橋慧大[VPO 6:00=1-3]志村僚眞
86㌔級
岡澤ナツラ[VSU 2:11=10-0]千川元暉
74㌔級
瀧澤勇仁[VSU 1:43=11-0]川村奏太郎
2部2連覇中の慶大は前日の予選グループを4戦全勝で勝ち上がり、法大との決勝に進出した。法大とは昨年は予選グループで対戦し、当時3年の髙橋慧大(商4・慶應)、佐藤秀一郎(環4・八千代松陰)の活躍で4-3の接戦をものにしている。
決勝で敗れて準優勝となっても昇格を懸けた入れ替え戦には進出できるが、優勝すれば入れ替え戦の対戦相手を選ぶことができる。慶大は相性の良い東洋大との対戦を望んでいた。
試合前、65㌔級の主将・髙橋を70㌔級に出場させる秘策を検討していた。「試合前に組み合わせのメンバーをいろいろ考えて、他にちょっと思い切ったメンバーの変更、階級の変更みたいなのを考えた」(吾田鉄司監督)。しかし、髙橋は65㌔級、70㌔級は近藤大朗(総3・名古屋)で臨む結論をチームは導き出した。
トップバッターの近藤。序盤から積極的に攻めるが、ポイントを取り切れない時間が続くと、第1ピリオド終盤に4点技を決められ0-7で第2ピリオドを迎える。第2ピリオドも攻め続けたが、突き放された。

50-57㌔級は棄権し、2連敗で迎えた3戦目は86-125㌔級の佐藤。ライバルと認め合う矢作元貴との対決となった。序盤に1点を先制されるが、その後試合は膠着。0-1で第1ピリオドを終える。第2ピリオド開始48秒、ステップアウトで追加点を許すと、直後にアクティビティタイムがタイムオーバーとなり0-3とされる。その後ステップアウトでさらに1点を追加され、0-4。終盤に2点を返すがすぐさまステップアウトで3点差とされ、終了間際にステップアウトと相手の場外逃避で反撃するが及ばなかった。


後がない4戦目は61㌔級の菅原大志(商1・慶應)。アクティビティタイムで点を取れずに先制され、0-1で第1ピリオドを終える。第2ピリオド開始1分10秒頃、1点を返しラストポイントで前に出ると、その後4点技と2点技を立て続けに決め7ー1と大きくリードする。終了間際は高速タックルで相手の足を取って時計を進め、タイムアップを迎えた。

6戦目の岡澤ナツラ(法2・慶應)と7戦目の瀧澤勇仁(経2・慶應)につなぎたい5戦目は髙橋。第1ピリオドに1点を先制するが、相手のがぶりに苦戦。第2ピリオド中盤に1点を許し、ラストポイントで逆転される。残り35秒頃、相手の足を取るが攻め切れず、終盤にテイクダウンでダメ押しを許した。チーム4敗目となり、2部3連覇はならなかった。


86㌔級の岡澤、74㌔級の瀧澤は危なげなく完封のテクニカルスペリオリティ勝ち。接戦となった佐藤と髙橋の敗戦が悔やまれる結果となった。吾田監督は試合後、「主将の髙橋が彼とやって勝ちたいという話をしたので、それを期待して試合に出して、負けてしまったんですけれども、いい試合をしてくれたのでその(階級の変更をしない)判断自体は間違っていなかった、私も髙橋も間違っていなかったかなと思います。いい試合だったと思います」。髙橋は「何日も前からメンバーについてはたくさんの会議を重ねた上で臨んだことなので後悔はしませんが、僕個人としても勝つ算段で今回のオーダーを組んで試合に臨んだので、それが達成できなかったのは非常に悔しいです」と振り返った。
2部優勝の法大は入れ替え戦の対戦相手に東洋大を選択し、慶大は専大との対戦となった。

岡澤

瀧澤
【1部・2部入れ替え戦】
慶應義塾大学1-4専修大学
86㌔級
岡澤ナツラ[VSU 1:34=10-0]寺地頼斗
61㌔級
菅原大志[VPO 6:00=0-4]徳原誠馬
86-125㌔級
佐藤秀一郎[VPO 6:00=3-9]乾志音
65㌔級
髙橋慧大[VSU 1:52=0-10]石原弘幸
(入れ替え戦はチーム4勝が決まった時点で試合終了)
入れ替え戦初戦は86㌔級、岡澤。試合開始1分が過ぎたところで、相手の背後にまわり、回転技で一気に7-0とする。その後、相手を押し出し8-0とすると最後は相手の背後をとって10-0。テクニカルスペリオリティ勝ちで入れ替え戦初戦を白星で飾った。

2戦目は61㌔級に菅原が出場。相手は日本代表経験も持つ徳原誠馬。ここで勝利できれば1部昇格がグッと近づく大一番だが、序盤は拮抗した展開が続く。試合開始1分半が過ぎたところで、菅原が相手の片足を掴み、体勢を崩す。しかし、相手の手堅い防御で得点を掴むことが出来ず。パッシブで1点を失い、0-1で第1ピリオドを折り返す。第2ピリオドは相手に背後を奪われ0-3とされると、試合終盤には場外へ押し出され0-4に。6分間戦い抜くも、相手の攻撃を崩しきれず。テクニカルスペリオリティ負けに終わった。

3戦目は86㌔-125㌔級に佐藤が出場。試合開始直後にいきなり押し出しで1点を失うも、その後すぐ押し出し返し1点を取り返す。試合開始1分経ったところで、佐藤がタックルで相手を押し出そうとする。しかし、直前で相手に体勢を崩されてしまい、結果として4点を失う。第1ピリオド終盤に押し出しで1点を奪い、2-5で迎えた第2ピリオド。いきなり相手を押し出し1点を取り返す。その後、押し出しを狙うも、またも直前で体勢を崩されてしまい、2点を失い、3ー7とされる。粘りを見せるもなかなか得点に結びつけることができず。3-9で敗れた。

4戦目は65㌔級に主将・高橋。50―57㌔級の不戦敗を含めすでに3敗を喫している慶大は、ここで負ければ1部昇格の夢が途絶えるという展開に。慶大の命運を賭けた1戦で、主将の意地を見せつけられるか。序盤、2回のテイクダウンで0-4とされると、その後も押し出しなどで0-8とされる。第1ピリオド残り1分というところで背後を奪われ、0-10に。非情にもテクニカルスペリオリティ負けに終わった。

1部昇格の千載一遇の大チャンスだった。確実に勝てる岡澤、瀧澤がいて、計算が立つ佐藤、リーグ戦に無類の強さを誇る髙橋、ギリギリで減量を間に合わせた近藤、期待のルーキー・菅原。メンバーやコンディションは近年でも屈指のチームだった。結果からすれば髙橋と佐藤の4年生2人が2部決勝と入れ替え戦で全敗に終わったことが目立つが、誰よりもチームに貢献してきた彼らを責める者はいないだろう。
吾田監督は試合後、選手たちに「チームとして、他の1部のトップレベルのチームの選手、他の試合に出てない選手も含めて、このリーグ戦にかける想いと気持ちが本当に態度に出ている。必死に戦っている姿を、それをサポートしている姿を見てたと思うので、そういうチームになることをまず全員で目指そう」と話した。
髙橋と佐藤が下級生だった頃に比べれば、部員は大幅に増えた。一方で、試合に出られない部員も当然増えている。年末には団体戦の早慶戦が控えている。ここからの半年間、一人ひとりの意識を高め、チーム全体をいかに引き上げていけるかがカギとなる。
【大会後インタビュー】
吾田鉄司監督
ーー昨年のリーグ戦から約1年間、1部昇格に向けてどのようなことに取り組んできたか
最大の目標に「1部昇格、早慶戦勝利」というのを掲げて、半年前(昨年の早慶戦後)、1年前(昨年のリーグ戦後)からみんなで頑張ってきました。
ーー法大戦を振り返って
去年もギリギリの勝利だったので、かなり厳しい戦いになるというのは予想していました。菅原が頑張って勝ってくれていい勢いをつけてくれたので、一気に勝ちたかったんですけれども、ちょっと力が及ばなかったかなというところですかね。あとは試合前に組み合わせのメンバーをいろいろ考えて、他にちょっと思い切ったメンバーの変更、階級の変更みたいなのを考えたんですけど、主将の髙橋が彼とやって勝ちたいという話をしたので、それを期待して試合に出して、負けてしまったんですけれども、いい試合をしてくれたのでその判断自体は間違っていなかった、私も髙橋も間違っていなかったかなと思います。いい試合だったと思います。
ーー専大戦を振り返って
これも勝負の分かれ目は菅原の試合だったかなと思います。そこで勝っていれば一気に流れが続いたのではないかなと。相手も日本代表の選手の方で、菅原も頑張ってくれたけれども、勝ちたかったという悔しい想いがあります。私も悔しいですけど、本人がそれ以上に一番悔しいと思うので、まだ1年生ですからもっともっと強くなっていくことを期待しています。
ーー今季の早慶戦と来年のリーグ戦に向けての意気込み
今年の早慶戦は本当にずっと言い続けてるんですけど、「絶対勝つ」ということでやっています。早稲田は2階級いないので、勝算というか勝つ可能性、今年はかなりあるかなと自信を持っていますので、皆さんご期待ください。1年後のリーグ戦に向けて試合後にチームのみんなに言ったのは、勝ち負けは組み合わせだったりとか運だったりとかいろんな要素があるので、今日の結果は受け止めるしかないですし、来年勝てたらいいなというのは当然あるんですけど、それよりもチームとして、他の1部のトップレベルのチームの選手、他の試合に出てない選手も含めて、このリーグ戦にかける想いと気持ちが本当に態度に出ている。必死に戦っている姿を、それをサポートしている姿を見てたと思うので、そういうチームになることをまず全員で目指そうという話をしました。
髙橋慧大(商4・慶應)

――今どんなことを感じているか
本当に「悔しい」というのがありますね。一昨年、去年と2部では優勝していましたし、優勝した上で入れ替え戦に臨んでいたので、今回は違った入り方になってマイナスな面になったのも敗因の一つだと思いますので、本当に悔しいという言葉しか出てこないです。
――法大戦はかなりの接戦となった
何日も前からメンバーについてはたくさんの会議を重ねた上で臨んだことなので後悔はしませんが、僕個人としても勝つ算段で今回のオーダーを組んで試合に臨んだので、それが達成できなかったのは非常に悔しいです。他のメンバーについても本当にみんな頑張ってくれて、大事なところで勝ち点を残してくれたメンバーが非常に多かったので、来年以降は僕はいないんですけれども、今日勝ってくれた下級生が引っ張ってチームをつくってくれると思うので、そこは期待していますし応援しています。
――専大戦は厳しい試合運びとなった
専修戦も絶対に勝てないという感じで臨んではいなくて、全然勝つこともあると思いながら臨んでいました。結果は悔しいものでしたけど今後につながるような試合を各個人できたと思うので、その点は非常に良かったと思います。
――3年続けて入れ替え戦で敗れて1部昇格を成し遂げられなかったが、後輩たちにどんなことを伝えたいか
「勝ってくれるでしょう」というのがありますかね。本当に自慢の後輩しかいないので、試合ももちろんですし今後のチームづくりにおいても僕なんかよりもっともっといいチームにできるポテンシャルを持ったメンバーしかいないので、心配はしていないです。陰ながら応援してますということをお伝えできればと思います。
――試合の後、チームメイトや監督と話したこと
僕が2試合とも不甲斐ない試合をしてしまったので、率直に申し訳ないという気持ちを伝えましたが、「そんなことないよ」と言ってくれるメンバーがたくさんいて、励まされた部分が多かったです。主将として本当は引っ張っていかないといけないんですけれども、慶應はいいチームだと思いましたし、頼もしいと思います。
――残りのレスリング人生の目標
できるだけ多く勝ちたいというのと、個人戦に加えて最後に団体戦で早慶戦が控えていますので、勝って有終の美を飾りたいと思います。
――どんなチームづくりをしたいか
2部の決勝まで行ってチームはとてもいい状態ではあるんですけれども、まだまだ課題が見えるものばかりで、チームの練習においても試合においてもそれを伸びしろと考えて、その部分を改善してチームに貢献して自分も勝ちたいと思います。
佐藤秀一郎(環4・八千代松陰)

──法大戦、専大戦のプレーを振り返って
法大戦の相手は中学校時代から対戦している相手でした。去年のリーグ戦では第2ピリオドのラストで逆転勝利しましたが、今年は勝ちきれなくて悔やむ部分もありました。あと一歩が出ないというところで非常に反省点があります。
この負けを生かしたい専大戦でした。タックルは何回も入ることができたんですけど、しっかり自分の点数に繋げることができませんでした。その結果、スタミナ切れに繋がって最後までしっかり戦うことができなかったところが反省点です。
──次のインカレに向けての意気込み
昨年はグレコローマンで3位入賞することができました。4年生で最後のインカレなので、両スタイルで入賞を狙って、最後勝って終われたらと思います。
──今回のリーグ戦で2部残留が決まったが、後輩たちには何を期待するか
アップ級の僕と65㌔級(髙橋、出久根慈英(経4・St. Mary’s International School) )の2人が抜けるんですけど、慶應義塾高校から2名が入学してくるので、彼らにしっかり託したいと思います。経験者だけではなく、大学から始めた選手にも一勝をもぎ取ってもらえるよう指導していきたいと思います。

表彰式での髙橋、佐藤

2部敢闘賞受賞の岡澤
(取材・記事:柄澤晃希、塩田隆貴、檜森海希)


